2021年5月7日
全3回に渡ってお届けする「特集・吉居大和 2年目インタビュー」前編。
昨年、男子5000mのU20日本記録を2度更新し、日本選手権では学生トップの3位入賞と世間を驚倒させる活躍を見せた吉居大和(法2)。箱根駅伝を終え、2月からは森凪也(経4)とともに渡米し、アメリカのプロクラブ「BTC(Bowerman Track Club)」の練習に参加した。中大が例年参加しているプログラムだが、吉居にとってトップレベルの練習から得たものは大きかったという。インタビュー前編では大学2年目のシーズンを迎えた吉居に、初めての海外遠征について話を聞いた。(聞き手、構成:「中大スポーツ」新聞部)
初めての海外遠征
──よろしくお願いします。さっそくですが、アメリカ遠征についてお聞きしたいと思います。遠征が決まった時期はいつ頃でしたか。
吉居 入学した時から監督と冬場に(遠征に)行けたら行こうと話していて、ただコロナの影響もあったのでギリギリまで行けるか分からないという状況でした。
──中大がアメリカ遠征を行っていることを知った上で入部したのですか。
吉居 詳しくはよく分かってはいなかったのですが、そういった海外遠征にも力を入れていることは知っていて、自分としてもそういうところで練習したいと思っていたのですごく楽しみでした。
──遠征が入部の決め手にもなったということですか。
吉居 これがすべてではないですが、決める要因にはなりました。
──アメリカにはどのくらいの期間行かれましたか。
吉居 3か月経たないぐらい、85日くらいですね。
──初めての海外遠征となりましたが、日本の練習との違いはどういった部分でしょうか。
吉居 日本では学校もあるので、朝練習して、学校が終わってから走るということが普通でした。合宿ではプロチームに参加したということもあり、走ることがメインとなってくるので、特に朝練習とかではなく、午前練習と午後練習といった形でした。睡眠時間も結構取ることができました。練習内容としても、一週間のルーティンがしっかりと決められていてかなり質の高いトレーニングが多くありました。
──生活面ではどうでしたか。
吉居 一人部屋ということとあまり外出できる環境ではなかったということで、一日の中でリラックスできる時間は多くありました。
▲アメリカでの様子。右は森凪(写真提供:Impress社 柳原氏)
“トップレベル”の練習で感じたこと
──オレゴン州での合宿とのことでしたが、高地トレーニングなども行ったのですか。
吉居 自分たちが練習していた場所は高地ではなかったのですが、BTCの選手たちは高地トレーニングを多く行っていました。自分たちが参加する前や、最後の方ではBTCの選手たちは高地に移動するような感じでした。
──遠藤日向選手(住友電工)とも練習をされたようですが、海外の選手を含めトップレベルの選手と練習して感じたことや学んだことはありますか。
吉居 一番に思ったことは、まだまだ自分のレベルでは世界の大会に出場することだったり、そこで結果を残すためにはやることがたくさんあるんだなという風に思いました。
──具体的にどういった面でそういうことを感じましたか。
吉居 陸上の基本練習といってもいいジョグの量であったりペースが、自分の今までやっていたものとは比べ物にならないというか、かなりの量をやっていましたし、ワークアウトという実際のレースペースで走る練習に関しても、一回一回がすごく質の高い練習でした。こなすのがすごく難しい練習ばかりだったので、そういう練習ができるようになっていかないとそういった選手と勝負していくのは難しいのかなと思いました。
──練習についていくので必死ということだったのですね。
吉居 はい、そうですね。
▲写真提供:Impress社 柳原氏
──アメリカでもレースに出られたということですが、いかがでしたか。
吉居 自分の思っていたような走りができなかったというのがすごくあります。周りからは初めての海外で難しいところがあるという風に言われていた部分もあったのですが、自分としては、それこそ2か月以上居て慣れてきていたので、質の高いトレーニングをしていた分疲労のコントロールが難しかったのかなと思います。
──遠征全体を通じて見つけた課題や収穫をどう活かしていきたいですか。
吉居 自分のレベルというのが再確認できたので、ジョグであったりポイント練習を今まで以上に、少しずつでいいのでレベルアップしていきたいなと思いました。
アメリカでは様々なことを学んだという吉居。次回、中編ではU20日本記録更新や日本選手権3位など次々と結果を残したルーキーイヤーを振り返ってもらった。
中編「ルーキーイヤー」はこちら
後編「東京オリンピックへの思いとその先」はこちら
なお、今回の取材は5月5日にオンラインで行いました。