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9年ぶり伊勢路へ!森凪・三浦中心に強い中大を証明せよ―全日本大学駅伝選考会展望(中大・他大学分析)

いよいよ明日、全日本大学駅伝選考会が相模原ギオンスタジアムで行われる。全日本大学駅伝は、出雲駅伝、箱根駅伝と並び大学三大駅伝の一つに数えられ、大学駅伝日本一を決める大会で、通称「伊勢路」と呼ばれている。毎年11月上旬に愛知・熱田神宮から三重・伊勢神宮までの106.8㎞を8区間でつなぐ。中大は第44回大会(2012年)を最後に出場が途切れており、9年ぶりの伊勢路出場へ藤原正和駅伝監督のもと充実の戦力で復活を期す。

 

上位7校が本戦へ

箱根駅伝は関東学生陸上競技連盟に加盟する大学のみで争い、出雲駅伝は選抜方式で出場校が決定する。一方の全日本大学駅伝は、前回大会上位8校と全国8地区で行われる選考会を勝ち抜いた大学が出場権を手にすることができる。

今回の選考会では参加20校のうち上位7校が伊勢路への切符を獲得する。選考会は各校から8名が2名ずつ4組に分かれて10000mを走り、その8名の合計タイムで競う。例年、安定感のある選手が序盤に出走し、後半に各校のエースが登場する。ただ、選手の配置に規定はなく、各大学の戦略によって異なる。全日本選考会は箱根予選会とは異なり、一人でも棄権をするとその大学は失格となってしまうため注意が必要になる。

5月30日に発表された13人のエントリー。この中から8人が明日の選考会に出場する

 

総合力で上位戦線へ

中大のエントリーを見ると日本選手権を来週に控える吉居大和(法2)と不調に苦しむ千守倫央(商3)は外れたが、4年生4人、3年生3人、2年生3人、1年生3人と学年のバランスがとれている。なかでも注目は4年生ダブルエースの森凪也(経4)と三浦拓朗(商4)だ。2人は一昨年の全日本選考会で各校のエースが集う最終4組を走った経験があり、今年も最終組での起用が濃厚だ。森凪は5月に行われた関東インカレ10000mでは本来の力を出し切れずに終わったが、「彼が走らないとチームも締まらない」と藤原監督は森凪に絶大の信頼を寄せている。三浦はけがの影響でシーズンインは出遅れたが、復帰明けのレースとなった東海大記録会(5月29日)では5000mを2本走ってチームトップの記録でゴールし、状態は良い。

Wエースの森凪㊨と三浦㊧

近年、学生長距離界のレベルが上昇しているため、この全日本選考会も例年以上に厳しい戦いが想定される。熾烈(しれつ)な戦いを勝ち抜き本戦への出場権を獲得するためには、森凪や三浦といったチームのエースが他大学の主力とどれだけ勝負できるかが焦点になるだろう。

3年生は次期エース候補の助川拓海(経3)に期待したい。3週間前に行われた東海大記録会では、5000mで自己ベストを更新し勢いがある。ハイペースで試合が展開すれば、10000mでも自己ベスト更新の可能性がある。

2年生の注目は園木大斗(法2)だ。昨年の箱根予選会では初ハーフで63分台をマーク。今年3月に行われた学生ハーフにも出場し、長い距離への対応は万全だ。

ルーキーは東海林宏一(経1)と山平怜生(法1)らスピードランナーが初の選考会に挑む。入学前の3月に行われた中大記録会では、10000mに出場し東海林が29分24秒19、山平が29分47秒09を記録。組上位で走破すれば、自己記録短縮も十分にあり得るだろう。

全日本選考会の特徴として留学生ランナーの力がチームの順位に大きな影響を与える。今大会にエントリーされている27分台ランナーはいずれも留学生でチーム順位の大幅アップに期待が高まる。なかでも注目は東国大のヴィンセントだ。10000m27分30秒の自己記録を持ち最終組での大逆転を狙う。中大としては留学生の登場する最終4組までにどれだけリードを確保できるかが選考会突破の鍵になる。

選考会通過の一つの指標となる参加校上位8人の10000m平均タイム。中大は国学大に次ぐ2位となっている

前評判や他大学とのタイム比較を行う限り上位通過を果たしたいところだ。ただ、わずか20秒のなかに上位7校がひしめく混戦模様。当日の気候やレース展開、選手のコンディションで順位は大きく変わると予想される。実際、2018年の選考会では上位8人の持ちタイムで中大は首位であったにもかかわらず、出場権を逃す結果になった。例年、選考会は梅雨時期と重なり高温多湿なコンディションで開催される。暑さへの対応もチーム順位を左右する大きな要因となりそうだ。

多士済々の国学大

選考会での注目校は持ちタイムトップの国学大だ。藤木・中西のダブルエースに加え、2年連続で主将を務める木付、3月に行われた学生ハーフで3位入賞した島﨑ら精鋭がそろい、上位通過は堅い。中央学大は10000m28分台ランナー6人を擁し総合力で全日本9年連続出場を目指す。個人では藤本(日体大)と鎌田(法大)に注目だ。藤本は関東インカレ二種目で入賞した勝負強さを生かし日本人トップ争いを展開するだろう。鎌田は今年の箱根駅伝1区区間賞を獲得。勢いそのままにチームを伊勢路へ導く。

 

ついに明日、伊勢路出場をかけた一戦が行われる。昨年は新型コロナウイルスの影響で選考会が中止になり書類審査の末、戦わずして敗北を喫した。その悔しさを力に変えて9年ぶりの伊勢路へ、選考会を確実に突破する準備は整った。

記事・写真:「中大スポーツ」新聞部