2023年6月1日~6月4日 大阪・ヤンマースタジアム長居
陸上の日本選手権が大阪・ヤンマースタジアム長居で4日間開催され、中大からはU20男子3000m障害で柴田大地(文1)が見事優勝を収めた。また、U20走幅跳では村松晃成(経1)が準優勝、5000m吉居大和(法4)、110mH宮﨑匠(法4)らが入賞を果たした。
▲フィニッシュ時の柴田
2日目、激しい雨が降りしきるなか行われたU20男子3000m障害決勝。柴田は序盤から先頭集団でレースを進め、残り600m付近で初めて先頭に立った。そして、最後の障害を飛び越えてからのスパート勝負を制し見事PBで優勝を果たした。「優勝を目指していましたが、8分45秒という目標タイムに届かなかったのでそこは物足りない結果だと思う」と優勝したものの、レースの内容には満足していないと話す。今後については、「今回はU20というカテゴリーでしたが、大学生やシニアの中で勝負していかないといけないですし、まずは三大駅伝で結果を出したい」とこれからの活躍を誓った。また藤原正和駅伝監督は「状態があまり良くなくて、正直勝てるような状態ではないと思っていたが、本人の頑張りもあって全国大会で勝てたというのは大きな自信になると思う」とルーキーの活躍を労った。
初日最終レースでは男子5000m決勝が行われた。スター級の選手が勢揃いした本レース。中大からは吉居大和(法4)と吉居駿恭(法2)が並んでスタートラインに立ち、吉居大が8位入賞を果たした。
▲並んでスタートラインに立つ吉居兄弟
序盤は吉居駿がレース先方で引っ張る。これについて「先頭付近でレースを進め、余力があれば自分の行けるタイミングで仕掛けたいと思っていた。全体のスタートがそんなに速くなかったので自然とペースメーカーの後ろにいた」と明かした。しかし中盤以降は「立教の上野(裕一郎監督)くんがペースをガッと上げてからペースが乱れてしまい、少しずつ地力の差が出てしまった」(藤原監督)と語ったように徐々に順位を落とす展開に。
▲序盤から積極的にレースを進めた吉居駿
一方吉居大は「ラスト1000mまでは余裕を持って、そこから勝てるところで出ようと思っていたが、つくのが精一杯だった」と語ったように、4000m付近まで先頭集団にくらいついたが、塩尻和也(富士通)のロングスパートには付いて行くことはできず。それでも見事8位入賞を果たした。吉居駿も最後まで粘りの走りを見せ、21位でフィニッシュ。
▲2年ぶりに日本選手権の舞台に立った吉居大
レース結果について吉居大は、「ギリギリ合格点だと思う」と話す。一方、吉居駿は「13分20秒は狙える練習ができていたのでかなりショック。調子のピークが1〜2週間前に来てしまった感じ」と率直な感想を口にした。藤原監督は2人について「春先から集中して日本選手権に向けつくってきたなかでは、大和に関しては13分25のPBを最低限更新して20秒前後でゴールしたいということでやってきたので少し悔しい結果だった。駿恭はゴールデンゲームズ延岡でいい状態をつくったなか短い時間でどれだけ戻せるかだったが順位がなかなか着いてこなかった。次のレースへ向け切り替えてやっていきたい」と振り返る。
ハイレベルな戦いを繰り広げた2人。今後について吉居大は「海外レースに出場して、パリに向けてスタートしていこうと思う」と2024年のパリオリンピックへの意欲を示した。吉居駿は「まだ決まってはいないが、今回外してしまったのでもう1回5000mで記録を狙ったレースに出たい」とリベンジに燃えている。
男子110mHでは個人選手権、関東インカレともに準優勝の宮﨑匠(法4)が前日の予選を組4着の13.65で通過し、最終日に行われた決勝に自身初出場。
シーズンイン当初から口にしてきた「日本選手権での決勝進出」という目標を見事達成した。結果は6位。「体も軽くてPBが出てもおかしくないかなというコンディションだったが、会場の雰囲気に飲まれてしまった」とレース後コメント。また決勝ではトップ選手たちが顔を揃え、泉谷駿介(住友電工)が自身の持つ日本記録を塗り替えた。「日本選手権の舞台は独特な雰囲気で、そこにいかに自分らしさを持っていけるかが記録を出す人たちの強みだと思っていて、自分はそこに慣れていない」と率直な思いを口にした。大学ラストシーズンとなる今季、順調に結果を残してきた宮﨑。「ここから先またチャンスがあれば、もう一度決勝に上がって次は勝負できるようにしていきたい」と語った。
▲学生で唯一決勝進出を果たした宮﨑
その他、長距離ブロックからは男子1500mに中野倫希(経3)と山田俊輝(経4)が出場。中野が安定感のある走りをみせ2年連続で決勝へ駒を進めた。迎えた決勝。大会新記録が生まれたハイレベルなレースの中、序盤は先頭集団に食らいつくも、ラスト2周手前から次第に先頭集団から離されていった。結果は3分54秒48の12位で去年と同じ順位だったものの、藤原監督が「(去年と比較して)今年は戦う気概を持って決勝のスタートラインに立ってくれたので、内容としては成長してくれている」と評したように、来年の日本選手権につながるレースとなった。
▲日本選手権後は箱根駅伝を目指すと語っていた中野
また、3000m障害決勝には浦田優斗(経3)が出場した。大雨が降り難しい条件でのレースとなったが、一時は3位に立つなど積極的な走りを見せた。終盤は疲れ、初めての日本選手権は8:53.97で12位だったが、藤原監督は「十分に合格点」と評価した。レース後には「ここからはしっかり練習を積んで、自力をつけて、夏を乗り越えて、駅伝でも使えるようなタフな選手になりたい」と話していた浦田。今後の活躍に期待がかかる。
▲初の日本選手権となった浦田
その他、短距離ブロックからU20走幅跳に村松晃成(経1)と山下然(経1)の2選手が出場。村松は3回目の跳躍で7m48を跳んで1位に立った。最終跳躍で記録を越され優勝はならなかったものの見事準優勝を果たした。また、U20男子200mにはエケジュニア瑠音(法1)が出場。余力のある走りで予選を組1着で通過し、迎えた決勝では7着となった。昨年の日本選手権800mで優勝を果たした金子魅玖人(商4)は予選敗退に終わった。
▲準優勝を果たした村松
女子400mH 決勝には昨年に続き松岡萌絵(経3)が出場。58.13秒のタイムで6位。関東インカレでの結果から約1秒縮める結果となった。「きつい練習メニューを取り入れたことにより、前の調子に戻って走れるようになった」とレース後コメント。今後については「全日本インカレで57秒を出して良い感覚をつかめるようにしたい」と語った。女子100m決勝では、関東インカレ優勝の田路遥香(法4)が11.96で8位入賞を果たした。
▲決勝は覚悟を決めて臨んだと語った松岡
日本選手権が閉幕し、トラックシーズンも折り返しとなった。藤原監督は長距離ブロックの今後について、「7月のホクレンや夏季の学連記録会で記録を狙っていきたい。また(男鹿駅伝では)例年通り2チーム出す予定。その子たちは今結構しっかり練習をやっているのでどれだけやれるかというところ」と話す。また、三大駅伝に向け「よりエース力を磨くことと、いかに人数多く戦力化させれるかというところが夏の大きなテーマ」と夏へ向け強化の方針を語った。
◆試合結果◆
1日目
男子1500m予選
1組④中野倫希(経3)3:45.93
2組⑦山田俊輝(経4)3:50.86
U20男子200m予選
1組①エケジュニア瑠音(法1)21.18
男子5000m決勝
⑧吉居大和(法4)13:27.72
㉑吉居駿恭(法2)13:42.96
2日目
U20男子400mH予選
1組
⑤中島陽基(法2)52.95
3組
③酒井大和(法1)53.83
小栁新(法1)DNS
U20女子100mH予選
4組
⑥髙木茜里(文1)14.81
⑦金山由依(文1)15.03
U20男子3000m障害決勝
①柴田大地(文1)8:55.30
U20男子200m決勝
⑦エケジュニア瑠音(法1)21.57
男子400m予備予選
3組
④稲川慧亮(法3)47.33
男子1500m決勝
⑫中野倫希(経3)3:54.48
男子3000m障害決勝
⑫浦田優斗(経3)8:53.97
女子100m決勝
⑧田路遥香(法4)11.96
3日目
女子棒高跳決勝
⑦諸田祐佳(文4)3m90
U20女子800m予選
2組
南日向(文2)DNS
U20男子100m予選
3組
③エケジュニア瑠音(法1)10.81
4組
田村莉樹(経1)DNS
男子800m予選
2組
⑤金子魅玖人(商4)1:51.23
女子400mH予選
2組
③松岡萌絵(経3)59.78
男子110mH予選
3組
④宮崎匠(法4)13.65
男子100m予選
4組
⑦藤原寛人(法3)10.57
U20男子走幅跳決勝
②村松晃成(経1)7m48
⑯山下然(経1)6m83
4日目
U20女子走幅跳決勝
⑮橋本結空(商1)5m44(+1.0)
女子400mH決勝
⑥松岡萌絵(経3)58.13
男子110mH決勝
⑥宮﨑匠(法4)13.88
(記事:井口縁、二村沙羅、松本あゆみ、遠藤潤、小幡千尋 写真:小幡千尋、井口縁、二村沙羅、松本あゆみ、片岡芹奈、遠藤潤、大日方惠和、功刀萌恵、琴寄由佳梨、日向野芯、日原優、藤本佳野、要明里紗)
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