全国高等学校駅伝競走大会(通称:都大路)に通算25回の出場を果たしており、東京の陸上競技部の中でも強豪校として名高い國學院大學久我山高校(以下:久我山)。現在中大陸上競技部長距離では浦田優斗(経4)、伊東夢翔(経3)、長嶋翔大(総3)、鈴木耕太郎(法2)と計4名の久我山出身の選手とマネージャーが在籍している。今回はその4名にインタビュー。高校時代の話や、お互いの印象、今後の目標についても話を伺った。【全3回】(取材は5月25日に行いました)
中編は中大に進学しようと決めた理由や4人の普段の生活の様子をお届けします!
(聞き手・構成:大畠栞里、大日方惠和(=久我山卒))
▲決めポーズ「デスターシャ」で映る4人。
手前は同じく久我山出身で短距離ブロックの寺田向希(文1)
―久我山で過ごして、中大に入るときに先輩や同期は意識したか?
浦田
「僕は伊東兄(=伊東大翔)がいたので、中学の時から埼玉から久我山行った先輩っていうので、久我山入る時ももちろん意識してましたし、中大行った時ももちろん意識しました。あとは僕の場合は父(浦田)の影響ももちろんあるんですけど、1個上の高校の先輩がいるっていうのはすごい心強いなっていう風には思っていました」
伊東
「自分は選ぶ時は逆に兄がいるんで、周りはなんか中大だろうみたいな感じだったんですけど、意外と迷ったっていうか。 別に大翔がいるから中大にするとかは特になくて、フラットな視点で自分が1番競技をいい形で送れる大学にしようっていう風に決めてたので、 選ぶ時は先輩がいるからとかっていうのは意識しなかったんですけど、入ってから浦田先輩とかがいたことで、1個上の先輩とかとコミュニケーションが結構取りやすかったり、あと困ったことがあれば浦田先輩に聞けたりみたいな感じで、先輩がいることのありがたさを感じることが多かったですね。」
鈴木
「僕は逆に先輩がいるからっていうのが1番大きな理由で、なんか久我山の環境が大好きだったからこそ、そのまま大学生になれればいいなっていうのが正直1番強くて、中大が1番再現しやすい、各学年にひとりずつ先輩がいるっていうので、大翔くんも4年と(自分が)1年で被るんで、ようやく一緒のチームでできるっていうのも嬉しかったですし、浦田先輩も1年しか被ってなかったのもあるし、夢翔先輩とまた一緒に走れるし、長嶋先輩ともお喋りできるので。しかも今、すごい熱血指導してくださってて、本当に中大でよかったなって思っています」
長嶋
「1番は夢翔ですかね。自分がマネージャーやるっていう考えに至ったのも夢翔が都大路で付き添いに選んでくれて、そういう舞台で付き添ったっていうのも、やっぱり自分の中でひとつ大きな、マネージャーしたいって思った理由のひとつになってたので。最初にマネージャーはやろうって決めて、 どこの大学でやりたいかなっていう選び方をしてて、そう思わせてくれた夢翔がいるしっていうのもあって、もちろん中大に久我山からの先輩が多いのもあったので、1番やりやすいのかなっていうのもあったので中大したっていう感じですかね」
―夢翔さんと長嶋さんの繋がりが大きいですね。
長嶋
「たぶん勝手に俺が思ってるだけ」
伊東
「いやいや」
―久我山と中大で練習に違い、また久我山でやった練習で活かされているものはありますか?
浦田
「練習量で言うと久我山は少ないんで。1部練習だけなので、大学入ると久我山の選手は1年目に苦しむことが多くて、 僕は久我山でも量が少ない方だったんですけど、中大来て花田コーチがもう付きっきりで見てくれてるので、量とか質はだいぶ調整してもらって、なんとか伸びるような練習を継続させてもらえたっていう感じです。
高校時代はできる練習全部に食らいついて、ポイント練習はもう全部消化しようっていう意気込みでやっていたら、けがを繰り返してっていうので、3年目とかはあえて設定を1個下のグループでやって、余裕持って全部引っ張るみたいなことをし始めてから、安定して練習できるようになって、力もついてきたなっていうのがあったので、大学でも花田コーチに見てもらい始めてからは、質はもちろん全然トップチームと比べたら劣るようなものなんですけど、久我山の3年目のような感じで、余裕持ったペースでこなすっていう練習で結構力ついてきたなっていう風に思うんで、その3年目の取り組みが活かされてるかなっていう風に思います」
―練習中の雰囲気は変化がありましたか?
浦田
「高校生と大学生なので、久我山時代の方がポイント練習に対するピリつきはあったかなっていう風に、 高校のポイント練習やるぞみたいな良くも悪くも毎回全力みたいな感じだったと思うんですけど、今はもうみんなそれぞれ考えて、気合を入れる時と入れない時を分けてるように、うまくやってますね」
伊東
「僕は浦田先輩と同じように、どうしても大学に入ったら練習の量は増えたんで、そこに慣れるのはやっぱり結構きつかったのと、それにプラスして、自分は結構トップチームで練習することがたまにというか、何か月間かぐらいあって、 高校の時は自分のペースでやってたんだなっていうのが、そういう時に気づいて、高校の時はあんまりレースも(調子を)外さなかったし、安定感があったんですけど、大学に入ってから外すレースも増えて、それは多分練習で100%出せてる分、試合に100%が持ってこれてないっていうのが大きくて。
でもそこは自分の中ではそんなに悪いことだとは思ってなくて。狙った試合でしっかり力を出せるっていうのは大事だとは思うんですけど、せっかく練習で自分より強い人がいるんだったら、 少しでもついてって力つけてた方がいいかなっていう風には思うので。 1番大学入って違うなって感じたのは、やっぱり高校だったら自分が引っ張って、余裕があったら自分で練習してみたいな感じだったんですけど、大学に入ったら自分より強い人が普通に同期にもいるし、なんなら後輩にもいるぐらいなので。 自分がきついって思ってる練習も、先輩とか同期とか全然余裕でこなしてたりするので、試合で力出せないみたいなことは話したんですけど、いい意味で言うと、練習がすごい高いレベルで行われてるんで、ポイントレーニングとかは毎日楽しいなって思ってやっています」
鈴木
「僕は2人と一緒で練習量が増えたのもあるんですけど、高校の時は朝練がなくて毎朝7時起きとかだったので。もう起きるのが1年目すごいツラくて、なおかつ学部の関係(法学部)でちょっとみんなより早く起きたりとかして、その慣れない環境での生活っていうところで、それも練習だなと思いながら、それと練習量の多さに大学で最初苦しんで。
あとトレーニングがあまり好きではなくて、高校の時も最低限しかやってこなかったので、大学ではこんな体つきで駅伝とかの長い距離走れないので大学のトレーニングには結構苦しんでいて。走るとこ以外でキツいところが多かったけれど、高校のめちゃくちゃきつかった練習が効いていて走る練習自体は そんなにキツくなかったって感じです」
長嶋
「トレーニングをすごいしっかりやってるのは、大学入って端から見ててすごい思うところで、逆に高校生は体力作りとかやると思うし久我山もハードルドリルだったり、普通の動き作りとかよくやってたイメージがあるけど、中大はそんなにまとまって動き作りとかハードルドリルとかやらないから、そこは大きな違いかなっていうのは思ってて。
ポイント練習の感じは大学の中では中大がわりと強度も追ってる方、質も追ってる方の大学だと思うし、久我山も朝練ができなくて走行距離が少ない分、1回1回のポイント練習の質が高い、他の高校に比べても高かったと思うので、練習の質が高いっていうところはお互い似てるのかなっていう気はしてますね」
―トレーニングとそれ以外の比重は変わりましたか?
長嶋
「端から見てて思うのは、トレーニングの比重が高校の時より大きくなってるんじゃないかなっていうのはすごい感じます。同じトレーニングって言っても中身をちゃんと理解しないとできないトレーニングとか、意図したところをやらないといけないトレーニングが多いので、 トレーニングっていう部分が、高校の時は『やれば良かった』ところが、もっと『詳しく理解してやんなきゃいけない』から、難しくなったのかなっていうのはすごい感じますね。中大に入って、話とか聞いて、ああ、そうなんだって、高校でそのこと知りたかったなって思うこともあるし、奥深いなっていうのは大学入ってから思いました」
―高校の頃の活動頻度ってどれくらいでしたか?
伊東
「週7かな?でも、月に1回か2回休みがあるかないかぐらいだった」
長嶋
「でも相場さん※になってから週1で休みになったんだ」
※相場さん・・・相場祐人氏。現久我山陸上競技部監督。久我山から中大に進学し、第89、90回大会箱根駅伝に出走。2021年より有坂好司氏の遺志を継いで監督に就任。
浦田
「監督たちが夏場は50日連勤とかあったわ」
伊東
「でも久我山は朝練がないから、毎日練習しても1部練なので。ジョグの距離も決まってないから、自分で(練習量を)落とそうと思えば落とせました」
―中大で寮生活に変わりましたが、この生活になってから相手が変わった、もしくは全く変わってないと感じたことはありますか?
鈴木
「浦田先輩は高校の時のままでした(笑)」
浦田
「そうですね。変わったはないかも。僕は元々怠惰なので、寝たい時に寝てみたいな生活をこっちに来てもしてます。夢翔もそれで言ったら結構ダラけてる。みんな高校のイメージのまま生活してるから、逆に長嶋はすごい規則正しい」
伊東
「でも高校の時から規則正しかったですよね」
長嶋
「でも最近ホントに9時に寝てる」
浦田
「長嶋は去年とか過労で死にそうでありえんぐらい働いてたんで、たぶん今年の方が休めてるんじゃないかな?」
伊東
「高校の時からここ2人(浦田・伊東)は結構授業中寝てるみたいな感じで、ここ(鈴木)は起きてるけどなんも理解してない。無駄な時間を過ごしてて、こいつ(長嶋)は起きながらちゃんと勉強してるみたいな感じだったんで、なんか今でもそんな感じですよね。
俺と浦田先輩はマイペースって感じ。耕太郎はよく何してんのか分かんないみたいな無意味な行動をとってる(笑)けど本人の中では意味があるっぽい。僕らからしたらこいつ何してんの?みたいな、早く寝ろよみたいな感じですけど。長嶋はやることやってんなみたいな。仕事してんなみたいな。遊ぼうと思ったけど大変そうだなみたいな感じです」
鈴木
「え、もういいんですか(笑)。夢翔先輩はね、変わりましたね!」
伊東
「変わってねぇって(笑)」
鈴木
「高校の時の方が、『おい、ついてこいお前ら!』みたいな」
伊東
「それは俺がキャプテンだったからじゃん」
鈴木
「だからもう佐野万次郎みたいな、マイキーみたいに『来いよ!』だったんですよ。今はもうタケミっち」
伊東
「タケミっち一番いいじゃん。やる時はやるやつじゃん」
長嶋
「(伊東は)タイムリープできないけどね(笑)」
伊東
「タイムリープできないタケミっち(笑)。でも俺は本当はこっち(浦田)側なんだよ。だけどキャプテンだったから、やる時はやるって頑張ってたっていうか」
鈴木
「僕たち今ちょっと2人結構落ちてるじゃないですか。一緒に上がっていきたいなっていう」
伊東
「もう置いていってるけど、俺はもう次で復活するよ」
鈴木
「一番フォーカスしてほしいのは長嶋先輩です」
長嶋
「いやダルい(笑)」
鈴木
「これ久我山フォーカスなので、選手だけじゃなくてマネージャーさんにもフォーカスしてほしい。すごい大学生してるなっていう感じですよね?」
浦田
「ひとり暮らしいいなーーー(棒読み)」
(一同笑い)
▲寮生活のイメージは各々違う
―寮ってこんな生活なんだって感じたことはないですか?
長嶋
「マジでイメージ通りの生活している」
浦田
「ダラダラ人間からするとマジで寮は苦痛なんですよ。全部時間決められてるので、門限もあるし、なんか24時間をもっと有効に使いたい(笑)」
伊東
「でも僕は家がめっちゃ結構厳しいんですよ。夜ご飯の時間決められたり、 朝起きる時間、夜寝る時間決められてたり、勉強する時間も携帯触れる時間とかも決まってて、めっちゃ厳しかったので、寮めっちゃいいなって思いますよ」
鈴木
「単純にここ(伊東)もそうですけど、もう大好きな人と一緒に暮らしてるっていう環境が、だって5歩進めば友達と先輩いるんですよ!」
長嶋
「気持ち悪いー(笑)」
鈴木
「何でなんすか!だから友達とシェアハウスではないけど、最初は寮がイヤとかじゃなくて単純に家に帰りたいなっていうのが何回かあったので、ちょくちょく帰ってたんですけど、今はもう毎日楽しくて、もう大好きですね」
長嶋
「いやもう耕太郎がイヤでひとり暮らしだよ(笑)」
鈴木
「そうなんですか!?でも(伊東と)隣の部屋なんですけど、ほぼ毎日遊びに行ってるって感じです。ずっと修学旅行みたいな、一緒に風呂入って、一緒に飯食って」
伊東
「でもこいつは本当に毎日修学旅行みたいなテンションで部屋に入ってくる」
長嶋
「確かに、すごいと思う」
鈴木
「いや楽しいんすよ」
浦田
「人多すぎるので、僕はもうちょい静かに暮らしたいです。アパート型みたいな、部屋に風呂とトイレあるみたいな、お風呂でゆっくりアニメとか見ながら入りたいです」
長嶋
「めっちゃわかります」
鈴木
「じゃあ(テレビ)付けましょう」
伊東
「変えましょう」
鈴木
「そしたらもうみんなでうぇーいって話してうぉーってお酒飲んでみたいな」
伊東
「コイツはそうなんですよ」
鈴木
「うん、違うタイプ」
伊東
「俺もそういう日あるけど、コイツは毎日修学旅行、毎日枕投げしようぜのテンションで部屋に入ってる」
鈴木
「えー違いますか?」
浦田
「でもたぶん引退して寮出たら寂しくなるとは思うんですよ。これに慣れすぎちゃって」
鈴木
「いやー楽しいですね!」
浦田
「夜遊べるのは結構いい」
伊東
「1人でいたくない時に人がいるのはいいことでもある」
浦田
「あとなんでも誰かしらは貸してくれる人がいる。1人ぐらいは持ってる(笑)」
鈴木
「ゲームしようと思ったら対戦相手後ろにいる(笑)」
―勝負飯は何ですか?
浦田
「僕は試合前はもうコンビニの具なしの塩むすびですね。1番消化良さそうなので。海苔は消化悪いので、海苔巻いてないやつがいいんですけど、中でもなんも入ってないのが浄化されていく感じがあります」
伊東
「僕は基本うどん食べてます。本に良いって書いてあったから、別に食べ物に好き嫌いがないので、1番体に良さそうだったのでうどんを食べてますね、毎回レース前は」
鈴木
「中学高校までは納豆が勝負飯で、好きだけどその試合の日しか食べないみたいなのでやってたんですけど、寮だと毎食納豆出ちゃうから、勝負飯じゃなくなっちゃった(笑)」
伊東
「確かに毎朝出るもんね」
鈴木
「親が好きってのもあったんですけど、決まりみたいな感じです。親が『今日は勝負事だから粘り強くいけ』みたいな感じです」
伊東
「試合の前日にカツ丼食べる派の家だ」
長嶋
「あるかなぁ…」
伊東
「カフェインじゃない?」
長嶋
「カフェインかも!カフェインだね。最近エナジードリンクだったところがどんどん微糖になって、コーヒー(無糖)になって、カフェイン必須やね。やっぱ集中して支えないとね。サポートしなきゃっていう」
浦田
「でも、運転中ってか走ってる時じゃないけど、信号が青になってるのに動かない(笑)」
長嶋
「それ漢祭りの日それだった。箱根前が一番しんどい。だから寝ないためにカフェインは必須ですね」
―普段の生活で気をつけていることはありますか?
▲気を付けていることを話す浦田
浦田
「本当は僕の場合はけがをしない。けがをしやすいので、でも花田さんのメニューやって、やり始めてからけがが減ってきてて、全面的に信頼はしてるので、とりあえず本当にけがしないようにやりすぎないっていうのだけですね」
鈴木
「真面目なやつなんですけど、走ることの楽しさを忘れないっていうのは重視してて、なんか高校までいい成績を出していて、マジで楽しくて、ポイント練習も余裕だし、プラスして楽しいしみたいな感じだったけど、 大学入って苦しむことの方が大きくて、高校の時はメンバーどうこうじゃなくて、エースとしてどれだけ走るかみたいな立場から、メンバー争いとかの視点があって、厳しいことが大きくて、走らせられてるというか、そう感じる方が多かったけど、何のために走ってるのかと考えちゃうこともあるので、単純に好きでこの競技やってるので、楽しむことは結構重視してるというか、気をつけてます」
長嶋
「でもなるべくその選手の話を聞こうっていうのは気をつけてて、こっちが全部何々してとかお願いする、今で言えばトレーニングこういうのしてとか、そういう全部こっちが一方的にやるんじゃなくて、なるべく選手からの話を吸い取った上でベストな方法を探して、っていう方が選手もやりやすくて、こっちとしてもうまく運営していけるような形を探すようには意識してて、なるべくこっちからの一方的なお願いにはならないようには一応意識してはいるって感じですかね」
伊東
「基本的に頼み事は断らないですかね。気をつけていることって。でもそうじゃない?寮生活してたら人がいっぱいいるので、多分自分もどっかで迷惑かけてるだろうなって思いながら、ちょっとめんどくさかったり、それ俺やんなきゃダメ?って思うこともあるんですけど、顔には出さずに、やりますやります!みたいに」
浦田
「頼みづらっ(笑)!」
伊東
「その分自分もどっかで迷惑かけるし、どっかで人に頼み事するので」
浦田
「今度から『ホントは?』って聞くわ」
伊東
「でも浦田先輩は結構断ります。『コンビニ行こう』とか言われても『ちょっと今めんどくさいのでいいですかね』って。でも頼まれた時はよく返事してるっていうか、自分はうるさいし、人にめちゃくちゃ喋っちゃうので、すごい迷惑かけてるんだろうなって思いながら、そういう持ちつ持たれつの関係を大事にしています」
▲色紙へのサインを先陣を切って書き始める鈴木