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【箱根駅伝特集2025/捲土重来】第7回 阿部陽樹(文4)、浦田優斗(経4)

10月の予選会では、昨年度の本大会で掴めなかった出場権を見事獲得。先日のMARCH対抗戦では多くの選手が自己ベストを更新し、優勝を果たした。この勢いを箱根路で発揮なるか。選手たちの思いを連載でお届けする。

 

第7回は、前回の箱根駅伝に引き続き箱根での活躍が期待される浦田優斗(経4)、阿部陽樹(文4)。今シーズンの振り返りや4年間の大学生活、そして箱根への意気込みを伺った。(取材は12月1日、5日に行いました)


阿部陽樹(文4)

▲MARCH対抗戦では2組1着でフィニッシュ

 

もっとチームを引っ張っていきたいと思っていた

―今シーズンを振り返って

春先に貧血になったり、小さい故障があったりというところで、あまり順調ではなかったんですけど、夏合宿しっかり練習を積んできてギリギリ間に合った感じです

―今年の目標の達成度

まずトラックで頑張りたいというのはあったんですけど、前半シーズンは春先が良くなかったので夏もトラックというよりは自分はハーフマラソンとかロードの方でやっていたので、あんまり自己ベストとか出なかったですけど、走り込むことはできたんですけどトラックシーズンは足踏みしてしまったなっていうのは正直どうだったかなと思います

―新体制時の想像通りか

もっと本当はチームを引っ張るエースじゃないですけど、もっとチームを引っ張っていきたいと思っていたんですけど。予選会とかはしっかり後ろ後ろで集団を率いて走ることができたんですけど。まだあまりいい走りができなくて悔しい思いをしたので箱根に向けて残り1ヶ月ですけど、しっかりやっていきたいなと思います

▲全日本大学駅伝では3年連続で8区を任された

―去年との流れの違いは難しく感じたか

特に難しかったのが、予選会と全日本の間が2週間しかないっていうところですね。自分は最終区間で8区だったので連続でハーフを走るみたいな形になって、やっぱりなかなかまだ疲労が抜けきれていなかったのかなという、合わせることができなかったのが悔しかったです。MARCH対抗戦は自己ベストを狙うというよりは余裕を持って。みんなと違ってMARCH対抗戦で出しきるというよりは、 練習した上で自分がそこそこの走りをしてトップで帰ってきて、チームの流れを作る、そういう部分もしていきたいなと思ったので、しっかりトップで帰ってこれたのは良かったかなと思います。中大の勢いがまた戻ってきたなっていうところは感じたので、この勢いを切らさずにあと1ヶ月戦っていきたいと思います

―今年満足行くレースは

予選会はまずまず。100点ではないですけど、まずまずの走りだったというのはあるんですけど、そこのセットの全日本が全然ダメだったので、 それこそマーチ対抗戦は自分の中ではよくしっかり余裕を持って、意図を持って走ったので、それを達成できたかなと思います

4年生みんなで走りたい

―4年生の印象は

やっぱり僕らの代は学年の仲が良くて、仲がいい学年ではあるんですけど下の学年に強く言えるというか、いわゆる後輩たちから怖がられるような先輩がいないので、同期にそういう人も本当はいた方が良かったかなと思うんですけど仲の良さというか、1つの輪かな。チームの仲がいいっていうところがあるので、チームの風通しを良くするみたいなのをずっと言っていたので、 そこがちょっとゆるいところに繋がってしまったのかなというのは自分の中でも反省するところかなと思います。学年全体ですと僕らの代、あまり駅伝出走している人数がいないので、やっぱり最後の箱根っていうところで、大学の陸上生活あと1ヶ月しかないので。 最後までやりきるしかないかな。特にやっぱり4年生みんなで走りたいなと思っています

―3年生の印象

やっぱり溜池は安定感ありますし、ロングも強いですし、駿恭はこの前のMARCH対抗戦でもエースらしい姿を見せてくれたので、やっぱりこの2人。 うちのチームのエースっていう呼ばれるのはやっぱこの2人だと思うので、この2人がしっかり走ってくれれば、駅伝でも後続も続いていくと思うので、 そういう部分でやっぱりこの2人はチームに欠かせない存在かなと思います

―2年生の印象

2年生も本当にみんな強くて特に今、本間とかはやっぱりいい流れで来ていて、 いい走りしてくれているので駅伝でも強い区間を走ってくれると思いますし、柴田もやっぱり日本選手権だったりトラックとかでしっかりチームに勢いつけてくれたので。しっかり1人1人が結果を出してくれているので、すごい強い学年だなと思っています。

―1年生の印象

やっぱり1年生フレッシュで元気な子たちが多いので、競争し合って、 切磋琢磨しあって記録がどんどん伸びているかなという印象です

▲箱根駅伝予選会ではチームの第一集団を引っ張った

―箱根の往路志望多いが

みんな各々が自分の走りたい区間になって目標があると思うのは面白い、いいことだと思いますし、往路でしっかり強い人と戦いたいというか、目立って走りたいっていう気持ちがあるのはいいことなのかなと思いますね

―阿部さんの志望区間は

特にはないんですけど、やっぱり自分の個人としては、昨年8区でやっぱり失速してしまっているので、昨年のリベンジはしたいかなっていうところで、やっぱり8区かなとは思っています

箱根の印象

本当に 1年で1番の大きな駅伝じゃないですか、やっぱり陸上を普段見ない人、駅伝を見ない方たちも見てくれているので、そういう意味ではやっぱり注目度はすごく高い大会だと思います

―ここから箱根に向けてどう持っていきたいか

やっぱり最後に区間賞をしっかり取って、笑顔で終わりたいと思っています。MARCH対抗戦も終わって本当にいい流れができているので、残り1か月の練習の中で流れを途切れることなくいって、チームまとまってしっかり自信を持ってスタートライン、駅伝に臨んでいきたいと思います

 

浦田優斗(経4)

前回の箱根は「最低限合格ライン」

▲昨年度初の箱根出走を果たした

―昨年度初めての箱根を走って区間5位。結果に関してどう振り返っているか
個人としては、一応自分のやるべき仕事はできたかなというのは思っています。でも自分の目標として区間賞というところには全然届かなくて、最低限合格ラインの走りだったかなと思います。展開的に往路は苦しい展開だったので、復路のスタートである僕が最初に前半突っ込んで、後半ちょっと持たなかったのですが、前半区間賞争いをできるようなピッチでレースを進められたのは、チームにとって勢いを与えられるような走りにはできたかなと思います。

―箱根を走ってから意識が変わった部分は
三大駅伝全部ですが、その3つで戦うには、もっとタフさというか土台の部分がしっかりしていないと安定したパフォーマンスは出せないとすごく思っていて、特に3年目は質を追ったような練習やかなり高いレベルのポイント練習をやっていったのですが、4年目はちょっと質を抑えて量を増やしていくような感じの意識をして、メニューを花田コーチに組んでもらっています。

―入学してから走るなら山下りの6区だなというイメージだったのか
下りはずっと好きで、 下ってみたいなという気持ちはあったのですが、1、2年目はそれどころじゃないというか、下りの適性があるかどうかも試すことができないくらいけがしがちでした。頭の片隅にはできれば下りを走りたいなというのはあったのですが、若林さんという4年連続で下っている先輩もいたので、 若林さんが卒業した3年目からは本格的に6区を狙いたいなと思っていました。

4年生として

―新体制が始まって最終学年としての具体的な目標は
僕の全日本の走りもそうでしたが、4年生が4年生としての走りをできていないというか、 もっと4年生がチームを引っ張るような走りをしなきゃいけない場面でそれができていないので、 最後の箱根は自分がさすが4年生だなと思ってもらえるような走りをしたいと思います。

―4年生の学年は浦田さんから見てどういう学年か
すごく仲が良くて真面目な人が多い学年だなと思っていて、だからこそ結果があまりついてこないこの1年間は、学年のミーティングでの雰囲気もかなり暗いものになってしまっていて。特にキャプテンの佐野(拓実・経4)は、自分の競技の結果とのギャップでちょっと自信を失ってしまっていると思うので、 そういうところを学年としてあと箱根だけなので、箱根でいい学年だったなと思えるような結果を出したいなと思います。

―特に仲がいい選手は
チャレンジチームで一緒に練習していたメンバーはかなり仲いいので、東海林(宏一・経4)とか、マネージャーになっているメンバーだと矢萩(一揮・法4)とか川田(涼・経4)とかはずっと同じチームでやっていたので仲いいです。

―強力な1年生が入ってきて刺激を受けたりなどは
今年本当に1年生がいい意味で1年生らしくないというか安定感もあって、ハーフもいける選手が多くて、チームとしては本当に頼もしい存在ですが、個人的にはかなり焦るというか。1年目の僕はもっとふにゃふにゃしていたので(笑)全く頼れるような走りができなかったので、強力な1年生にもすごいなと思ってもらえるような走りをしないといけないなと思っています。

―1年生はどういう学年か
1年生はストイックな学年かなと思います。1年目は全部初めてなので、監督とかから言われたメニューをそのままこなしていくみたいな感じなのですが、今年の1年生は自分からメニューを調整したり、自分に必要なトレーニングを考えたりしていて、やらされていないというか、主体的に競技に取り組めているのはすごいなと思います。

―2年生、3年生の学年はどう見ているか
2年生は全員強いというか、個々がしっかりあるなという印象があります。それぞれに違った競技面での良さがあるなと思っていて、あまりタイプが被らないというか、全員がしっかり自分の役割がある学年かなと思います。3年生はエース世代で、(吉居)駿恭(法3)を筆頭に、競技では正直僕らの学年より全然チームを引っ張っていて、 他にも吉中(祐太・文3)とかいますし、エース世代というイメージです。

―今年の初めに想像した自分になれたか。うまくいった部分、逆にうまくいかなかった部分
今年は想像していたところには到底及んでいないという感じです。上半期でいえば、3000m障害で関東インカレを優勝して、日本選手権でも表彰台に上るという目標はあったのですが、関東インカレは予選落ちで、日本選手権も状態が上がらず出場しただけという感じになってしまって、点数で言えば0点。そこから下半期は夏合宿でかなり練習ができて、1年前の波に乗っていた時と同じくらいの調子まで戻ってきて、やっと軌道に乗ってきたなという状態で全日本大学駅伝(以下、全日本)には出れたのですが、全日本もかなりひどい走りになってしまって。目指してきたところには全然及んではいないですが、ギリギリ耐えているというか、なんとか箱根には間に合わせられるような状態ではあるかなという感じです。ただ、実戦での結果がついてきていないので、全日本が終わった後、箱根までの間にレースに出るという話もコーチと相談したのですが、 去年も出雲の後から何も出ていなくて、今年も山だけに絞って準備していこうと決めたので、 レースで自信を取り戻すというよりは、山下りに絶対的な自信を持って箱根に臨もうというイメージです。

―息抜き、オフの日にやる趣味とかは
夜トランプやっています(笑)学年バラバラで、 1年生の相地(一夢・理1)とか荒井(遼太郎・法1)とかと一緒にやっています。

今シーズンを振り返って

▲全日本インカレでは3000m障害準優勝

―トラックシーズンは3000m障害メインでやっていたが、 関東インカレ、日本選手権、日本インカレ(以下、全カレ)とだんだん手応えを感じるようになってきたなという感覚だったか
関東インカレはパフォーマンスを発揮できなかったというか、実力を試せなかったというのが近いかなと思っていて。そこから状態が全然上がらなくて、日本選手権も挑戦できるような感じではなかったです。最初から集団から離れてしまったのですが、途中で失速するイメージをつけたくなかった中で、シーズンベストで走ることができたので、本来戦いたい舞台ではあったのですが、その時の自分の状態に合った走り方はできたかなと思います。全カレはもともと出る予定ではなくて、夏の合宿の状態が良かったので全日本に向けて作っていこうという話もあったのですが、それまでポイントを稼げなかったというか、チームに貢献できなかったというのもあって、全カレくらいはしっかり優勝してポイントを稼ごうという感じで、そんなに調整はせずに、ロードに向けた練習の中で出たのですが、 予想外に走れたというか、正直自己ベストが出るとは全く思っていなくて(笑)順位的にも村尾(順大)君には負けましたが、正直入賞ラインギリギリくらいかなと思っていたので、あのペースでしっかり最後までついていけたというのはよかったです。逆にあそこまでいったからには最後勝ち切りたかったというのはありますが、全カレはかなり自信を取り戻せたレースでした。

―ゴールした時に笑顔だったが、できたという感覚があったからか
優勝を狙っていたらもっと悔しかったと思いますが、1番ゴールした後嬉しそうだったのは、たぶんタイムで。「これでベスト出ちゃうんだ」という表情だったと思います(笑)

―日本選手権では3000m障害で柴田大地(文2)さんも一緒に走っていたが
練習自体は一緒にやっていないですが、日本選手権の時は200mくらい離されていて、バックストレートに僕がいる時に横目で見たら柴田が先頭の方で争っているのが見えて、あそこまで行けるんだと思って。去年からしたらそこまで想像できなかったというか急成長していて、世界を狙えるようなところまで来ていたので、 3000m障害は僕の方が去年まではいい成績を残していたので、一気に追い抜かされたというか、僕も追いつかないといけないなと思います。

▲日本選手権のレース後柴田と握手を交わす

―全カレ、10月頭の東海大記録会では3000m障害と10000mで連続で自己ベストを更新したが振り返って
東海大記録会も僕はあまり調整していなくて。練習の流れの中で28分台は確実に出そうという目標で走ったのですが、自分の中ではもうちょっと行きたかったなとは思いました。前半はそんなに早いペースで入らずに、ペースメーカーの人がいい感じのペースを作ってくれたので、 そのペースだったらもうちょっと余裕を持って、最後東海林とかと同じくらいのところからラストスパートをかけて一気に30秒台まで行きたかったので、ちょっと悔しい部分はありますが、最低限の28分台は出せてよかったなと思います。

―東海大記録会は東海林さんが中大で1着だったが
めちゃくちゃ嬉しかったです(笑)東海林は1年目から実力はあったのですが苦しんでいて、ここぞというところで結果が出ないとか、駅伝もまだ1回も走っていなくて。合宿も一緒にやっていたのでかなり状態がいいのは分かっていたのですが、1週間前くらいのポイントで状態が良くなさそうな感じの動きで本人も不安そうだったので、しっかり当日には合わせてきて結果を出せていて嬉しかったです。

―今年満足しているレースは
全カレが1番満足しているかなと思います。他はあんまりないです。上半期に何本か1500mを走ったのですが、3分46秒で走った時のレース(第229回東海大長距離競技会)は、 3000m障害がボロボロだったので、できる距離が見つかったというか、1500mならとりあえずは走れるというのがわかって、一旦安心できたレースだったかなと思います。

―全日本の前の調子は準備万全という感じだったか
練習自体の調子はすごく良くて、全日本の1週間前のポイントでかなり動きが良くてそこでちょっと出しすぎたかなとも思ったのですが、相当動きは良かったので、 大丈夫かなというのはありました。準備はかなり良かったと思います。

―結果としてはどのように振り返っているか
実力的なものというよりは、経験不足というか自分の調子が落ちてきていることに気づけなかったというのがあると思います。それに気付けていれば、もうちょっと落ち着いた入りができたかなと思うのですが、最初から調子がいい状態だと仮定して突っ込んでしまって、走り始めてから「やばい、重い」 となって。そこから自分のペースが乱れたというか、自分の走りができなくなってしまったので、 常に冷静に自分の状態を見極めながら走っていく必要があると思いました。

―MARCH対抗戦では、多くの選手が自己ベスト更新したが刺激を受けたりは
見に行っていましたが、毎レースのように組トップを取ってきてほとんど自己ベストですごく刺激を受けましたし、僕もちょっと出たかったなと思いました(笑)チームの勢いはいいと思うので、僕もその勢いをもらってしっかり走らないといけないなと思いました。

▲全日本大学駅伝では4区に出走

4年間の集大成へ

―4年間を振り返って、どんな4年間だったか
最初の2年間はけがをしまくっていて、競技が続けられるかという不安もありましたが、花田コーチのおかげでモチベーションは保てたというか、1つ1つのレースで自己ベストを更新するというような少しの成功体験を重ねてこれたのでなんとか続けられたかなと思っています。3年目の初めに、4年間で活躍するにはやはり3年目から箱根の経験を積まないといけないと思って今年絶対箱根で走ろうという決意をして。なので、3年目は前半からかなり結果も出せて安定感も出てきて1番成長できた1年だったかなと思います。4年目は逆に3年目の流れでそのまま成長してエース級になりたいという目標があったのですが、上半期からうまく噛み合わないことが多くて、思っていたような1年にはならなかったですが、最終的な目標は箱根なので、「終わり良ければ全て良し」というように箱根で去年以上の走りをして、いい4年間の競技人生だったなと思えるようにしたいなと思います。

―今年引っ張ってきた佐野主将、山平怜生副将(法4)へ
本当に苦しかっただろうなと思っています。僕らの学年を全部背負っていて、監督や下級生の意見と僕ら4年生の意見にギャップがある時に、板挟みになってしまうのは佐野だったので、辛くて苦しい思いをさせてしまったなと感じていて。だからこそ4年生の出走メンバーがもうちょっと結果を出さないといけなかったなと思っています。1年間チームのことをたくさん考えてくれたので、本当に感謝しています。

―箱根の希望区間は
変わらず6区です。

―自分の走りの目標は
57分台で区間賞を目標にしています。

―チーム全体の目標は
チームとしては7位というところで、全日本などの結果を踏まえて掲げてはいますが、直近のMARCHなどの結果を見ても、流れにさえ乗せられれば3強にも絡んでいけると思うので、個人的にはうまくいけば3位も全然あるかなと思うので頑張りたいです。

▲最後の箱根へ挑む浦田

 

前回大会では8区で苦しい走りとなりリベンジに燃える阿部、前回大会の区間5位を超えるべく今年も山下りに照準を合わせ練習を積んできた浦田は最後の箱根路で4年生としての矜持を見せるか。

 

(取材、構成:遠藤潤、琴寄由佳梨

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