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【箱根駅伝特集2023/勇往邁進】第12回 中大・藤原正和監督 5・6区が勝負所「往路優勝に絡みたい」

今大会、中大出身の指揮官は前回から一人増えて4名。各監督はそれぞれどのような信念で指揮を執っているのか、箱根路でどんな争いを繰り広げるのか─。

第12回は中大・藤原正和監督。箱根駅伝特集号の紙面には載せきれなかったインタビュー全文を大公開。(取材は12月11日に行いました)

<藤原監督プロフィール>
藤原正和(ふじわら・まさかず)1981年(昭56)3月6日、兵庫県生まれ。西脇工高卒、99年中大入学。箱根は2年次に5区を走り37年ぶりに往路優勝を達成。4年次には2区・区間賞。本田技研入社後は、マラソンで世界選手権に2度出場。16年に母校の監督に就任し、今年度全日本と箱根で10年ぶりのシード権を獲得した。


チーム状況は順調

──合宿中とお聞きしました。現在のチーム状況はいかがですか?

「合宿の中間点あたりにいますが、ここまで順調に来られていると思います。残りの期間も抜かりなくやっていきたいと思います。」

──どこに注力してトレーニングを行っていますか?

「この強化期間の練習の消化率がダイレクトに本番の結果につながると考えています。ですので、例年同様この強化期間を大事にしています。この合宿前のマラソンフェスティバルから本格的に始まっている強化期間ですが、その前週の脚づくりのところからここまでの積み上げは良い形でやれています。残りの大事なポイント練習も今週控えていますので、そこがどれだけできるかで本番の結果も占えると思います。」

──昨日エントリーメンバー16名の発表がありました

「選手たちが頑張ってくれまして、年々レベルの高い中での16人の選考になったと思います。まずはいい形で12月10日(エントリー発表日)を迎えられたと思っています。前回出走した居田(優太・経3)や実力者の園木(大斗・法3)、28分台の伊東(大翔・文3)、1年時に全日本を走っている山口(大輔・文2)らは現状の力ではメンバーから外れる形になりましたが、その子たちの分まで16人がやってくれると思います。」

大志田監督からの勧誘

──中大出身の監督が4名になります。近年、中大OBの存在感がより一層高まっています

「私自身にとっては、東国大の大志田さんや創価大の榎木さんは先輩にあたりますし、大志田さんに関しては中大時代から勧誘をしていただいた間柄ですので、非常にリスペクトしていますし、学ばせていただきたいという立場です。当然、大学としてはライバルですし、負けたくないなという思いはありますが、切磋琢磨(せっさたくま)してやっていきたいというところは非常に大きいです。」

──中大進学やホンダ加入の勧誘は大志田監督から受けたのですか?

「中大進学への経緯は、当時中大陸上部のコーチを務めていた大志田さんに勧誘していただきました。しかし、入学した日に大志田さんがホンダの意向で中大のコーチを離れることになりました。我々の世代は大志田さんの指導を受けたいと思って入学してきた世代だったので残念な部分はありました。ホンダに行くかどうかというところは当時、浦田春生(昭59卒・現長距離ブロック渉外担当)前監督がホンダの監督をしていましたし、大志田さんがホンダのコーチとして動いていらっしゃいましたので、大学1、2年生の時から勧誘していただきました。私の場合3年から4年に上がるタイミングで大志田さんは社業に専念されるということでしたので、なかなか大志田さんの指導を受けられないまま選手時代は終わってしまったので、いまは指導者として色々学んでいきたいなと思っています。」

──大志田監督から学んだことで印象的だったことは何ですか?

「入職して1年目、箱根に出られなくて学生連合の監督を務めることになって、スタッフで大志田さんにも入ってもらっていましたので、チームをまとめる際に悩みを相談してもらったのが印象深かったなと思います。また、自分の指導がうまくいっていないときは相談させていただいてアドバイスをもらったりしたこともありました。」

5・6区が勝負所

──東国大・創価大の今年のチームについてどのような印象を持っていますか?

〈東国大〉

「出雲、全日本と主力の山谷選手やヴィンセント選手が不調で出られなかったということで本来の力は発揮できていない印象はあったのですが、大志田さんの表情や手応えを聞いているとかなり二選手が復調してきているのかなと。エースの丹所選手や2年生の白井選手といった強力なメンバーがいますので、山対策さえしっかりしてくれば強力な往路になりそうだなと思います。」

〈創価大〉

「優勝争いをしても遜色ないメンバーがそろっていますので、胸を借りるぐらいな心境です。全日本で区間賞を取っている4年生の葛西選手がどこに配置されるかでパンチ力が変わってくるかなと。去年は1区でしたが、1区を走れる選手が別にいるのだとすれば3区という可能性も十分に考えられます。そうすると、2区に留学生が来て4区に嶋津選手がいて5区の山上りもいい選手がいますから往路取りに来るのかなと。ですので、葛西選手には非常に注目しています。」

──その上で、今年の中大の強みをお願いします

「箱根は山に代表される駅伝だと思っていますので、5・6区が安定して強いのが本学の一番の強みになると思います。5・6区の合計タイムで競ったときに本学が一番タイムがいいと思いますのでここが勝負所だと思っています。また、エース格の選手が復調してきてくれているので、選手がそろっているだけに往路をどう並べようか悩んでいるところです。一番効果的な攻めた配置を組みたいなと。なんとか往路優勝に絡んでいけるような配置をしたいなと。復路に関しては選手がそろっていますので総合3位にチャレンジするならとにかく往路重視のオーダーを組んでなんとしても3位以上を取りたいと考えています。」

──先程、エース格の選手の復調とありました。全日本を欠場された中野翔太(法3)選手の状態はいかがですか?

「中野にトレッドミルを利用したポイント練習をやっています。まもなくロードでの練習も再開する予定です。いま復調過程にある選手に加えて吉居兄弟や千守(倫央・商4)を含めてどうやって往路をならべていこうかなといい意味で悩んでいます。残りの期間の状態などを見て最終的に決断していきたいですね。」

──溜池一太(文1)選手はいかがですか?

「溜池は12月の日体大記録会でいいタイムで走ったのですが、そこに調整したというよりは箱根に向けてのあくまでもチェックという位置付けでした。箱根の20㌔に向けての通過点としては非常によい確認ができたと思います。」

──上野監督とはご年齢も一番近く、実業団時代は選手として被っていた時期もありました

「年齢は近いですが主戦場が違いまして、彼はトラックを中心に活躍していましたが、私はマラソンをメインにやっていたので一緒に走ったことのある大会は2014年の福岡国際マラソンだけだったと記憶しています。また、現役時代はお互いに行きつけの治療院が同じでした。あのキャラなので非常に親しみやすいですよね(笑)。」

──3位表彰台に向け、意気込みをお願いします

「ここまで順調に来られていますので、当たり前のことを抜かりなくやっていくことが一番大切だと思います。昨年に引き続き今年も感染症が怖いですし、流行具合からすると今年の方がより敏感にならざるを得ないので、選手はもちろんですが選手以外を含めて対策を万全にしていきたいです。練習に関してはやるべきことをしっかりやれていますので、当たり前を徹底すれば結果はついてくると思います。」

(取材・構成:若林拓実)

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