10月の箱根駅伝予選会では、過酷なコンディションに苦しみながらも6位に入り出場権を獲得。11月のMARCH対抗戦では多くの選手が自己ベストを更新し、優勝を果たした。この勢いを箱根路で発揮なるか。選手たちの思いを連載でお届けする。
第3回は中大の中核を担う鈴木耕太郎(法2)、藤田大智(文2)、本間颯(経2)の2年生組。共にMARCH対抗戦に出走、大幅にタイムを更新した。この勢いを箱根に繋ぐことができるか。今年1年を振り返りつつ、箱根への目標を語ってもらった(取材は12月17日、19日、20日にオンラインにて行いました)。
鈴木耕太郎(法2)
──今年1年を振り返って
去年スタートして、4月くらいまではいい調子で走れてたんですけど、ちょっと関カレ前にけがしちゃって、そっから流れが悪くなっちゃって、精神的に参った部分もあったんですけど、夏合宿をきっかけにようやくメンバー入りまで戻ってこれて、箱根の16人にも入れて、メンバーとして走れるかどうかっていうところまで戻ってきました。
──先日の合宿を経て今の調子はいかがですか
メンバーの当落選上に自分自身いるので、1つ1つの練習が緊迫していて、緊張感のあるレースばかりで、結構しんどいなか、上手くやってこれたので調子的には悪くないんじゃないかなって思ってます。
──先日の共同取材にて「外さない走りが武器」とおっしゃっていたが、それを1番生かせたレースは
大学入って、正直実力を100パーセント発揮できた試合が具体的になくて、それが、さっき言った夏合宿をきっかけにようやく実力通りというか、100パーセント出せるようになってきたなかで、先月MARCH対抗戦と荒川ハーフ2本走ったんですけど、タイム的にはそんなびっくりするほどすごいタイムではないんですけど、それなりにまとめられたので、そういった、外さないというか、求められている走りはできるなっていうふうに思ってます。
「ようやく主力に」
──今年1年でターニングポイントとなったレースは
箱根の予選会が、自分のなかできっかけになったのかなっていうところで。今までチームの中間から下位くらいでやってきたなかで、ようやく主力に上がるチャンスというか、チームの大事な試合に出れたっていうところで、1つのきっかけになったかなと自分では感じています。
「なんならぶち抜いてやる」
──同期の存在(本間が27分台を出しているが、刺激は受けてるのか)
自分が入学した時、一応5000㍍のタイムで学生の時色々評価されたりするんですけど、13分台っていうので自分は入学した時に、同期の柴田と本間も13分台を持って入学して、入学した時3人で13分台トリオって感じで特集だったりで扱っていただいたんですけど、そこから去年の1年、あんまり自分のなかでいい走りができないなかで、2人には置いてかれて、柴田は箱根走ったり、本間は27分台だったり、三大駅伝出てるなかで、日々置いていかれてる感じが自分の中でずっとあって。ようやく、追いついてきたなっていうのを(感じている)。まあまだ抜かせるってまではいかないですけど、ようやく入学した時と同じラインに今戻ってきたなっていうのがあって、最近、刺激にはもちろんなってるんですけど、追いついて、なんならぶち抜いてやろうぐらいで、そういう意味では2人の活躍は刺激になってますし、それ以外も、自分の代が好きっていうのもありますけど、他の藤田だったり、佐藤蓮であったり、山﨑、みんな他学年に比べてうちの学年すごい強いと思っているので、みんなの活躍が刺激になってます。
──4年生との最後のレースですが、4年生への思いなど
自分の中で特にお世話になってるのが、キャプテンの佐野さん。佐野さんとは、自分が去年上手くやれてない中で同じチームでやったりとか、ジョグとか、練習が同じになる時が多くて、一緒にご飯とか連れてってくださったりして、よくしてもらってる仲で、今回箱根メンバーに佐野さんがなれなかったというのもあるので、1番はキャプテンをいい気持ちで卒業させてあげたいなっていうのが1つと、4年間箱根を走りたいっていう思いで中央大学に入学したなかで、自分が代わりっていったら弱いですけど、一緒に今までやってきたぶん、自分がそういう気持ちをのせて走れたら、と思ってます。
家族、地元の友人の支え
──モチベーションや原動力となっているもの
大学から寮に入って、高校までは家から通ってたので、寮生活っていうのが大学入って初めてだったんですけど、親元離れて1年半くらいたつんですけど、生活してるなかで、例えば洗濯物干したりとか、生活の1つとってもそうですけど、やっぱり親のありがたみっていうのを日々感じますし、やっぱり地元の友達だったりとかの支えも今まであっての自分の走りだったって、すごい感じますし、そういうお世話になった方々に、いい走りを見せたいっていうのと、やっぱり大学来るのもタダじゃないんで親への感謝も同時に伝えたいなっていう意味で、原動力。例えば辞めたいとか、メンバー入れないとか1つとってもそうですけど、色んな人に思っている以上に支えてもらっているので、こんなところじゃへこたれないって、そういうのを原動力に頑張ってる感じです。
──先日の共同取材にて走りたい区間(7区)とおっしゃっていましたが、その理由は
自分自身まだ三大駅伝出たことがないので、個人的な考えにはなるんですけど、けっこうデビュー戦といいますか、箱根で初めて使われる区間で7区が多いんじゃないかなっていうので、走りやすさっていうところと、自分が小さい時から箱根駅伝を見てるなかで、見てた年に阿部弘輝さんっていう明治大学の方が走られた時に区間新記録で走られてて、個人的に、考えは人それぞれあると思うんですけど、今の1区から10区のなかで1番区間記録の更新が難しいんじゃないかって思ってるので、実力的にはまだまだ届かないところではあるんですけど、いずれ7区の区間記録に挑戦したいなっていう意味で、7区を希望させていただきました。
──箱根への目標
13位っていう結果から1年たって、1番去年悔しかったのは、13位っていう結果ももちろんですけど、16人のメンバーにすらなれずに13位の実感がない、チームの一員として自分が何をしていたのかっていうところから去年がはじまって、ようやく今年16人のメンバーにも入って、今走るか走れないかっていうところにいるので、当日しっかり自分の区間を任されることがあったら、チームの一員として、中央大学の名に恥じない走りをしたいなと思います。
▲ターニングポイントとなった箱根駅伝予選会での鈴木(写真中央)
藤田大智(文2)
──今シーズン、10000㍍の大幅な自己ベスト更新もあったと思いますが、振り返って
今年は去年と違って、 一度も故障なく練習できたことがその結果につながったかなと思います。あとは、去年よりは補強をする時間も伸びて、しっかりやっと体ができてきたかなと思います。
──印象に残ってるレースは
前期の学連の10000㍍で、 その時初めて28分台で走った試合で、それが一番自分に自信がついたレースというか、一番印象に残ってるかなと思います。
──先ほどけがが2年目はなかったということだが、意識的な面での1年生と比べて変化はあったのか
1年目はただ練習を 出されたメニューをこなすだけというか。それ以上もそれ以下もなくって感じだったんですけど、 今年に入って、考えることが多くなって。なんか自分の体と相談しながら、うまくここはちょっと抜いた方がいいなとか、ここはあえて なんかちょっと距離を増やして重さを増やした方がいいかなとか、そういうのを考えるようになれた 1年だったかなと思います。
下級生の勢いに背中を押され
──考えが変わるようになったのは、きっかけがあったのか
そうですね、下級生が入ってきて、強い1年生が入ってきて、そこから、 そうですね、このままだと、メンバーにすら入れないというのがあって、少しずつですけど、変わってきたかなと思います。
──後期の方は、調子など振り返ってどうか
調子が良いなって思うのは最近ぐらいで。それまでは 練習はできてたんですけど。なかなかレースであんまりいい結果が。前期は 1、2本はいいレースがあったんですけど。全体を通してあんまり良くなかったかなと思ってたんですけど、最近は安定して走れているかなって。練習通りの走りが試合でもできてるなっていう印象です。
──MARCH対抗戦とかでの走りか
MARCH対抗戦とその1週間後の荒川ハーフで。その2本はちゃんと練習通りというか、 ちゃんと力通りの力を出せたかなと。
──夏頃の取材で距離に不安があるという話をしていたが、 荒川ハーフで払拭されたか
そうです。最近は長い距離の練習も今まで離れたところも、余裕を持てて練習もできていますし、荒川ハーフでもしっかり走れて自信になるレースができたので、今はそこまで長い距離に対しては不安はあまりないです。
尊敬する先輩
──SNSで公開されていた湯浅仁(令6卒・現トヨタ自動車)選手と井上大輝(令4卒・現大阪ガス)選手の対談で、湯浅選手が藤田選手を注目選手に挙げていたが
そうですね。うれしかったというか。一番尊敬してた先輩で、ああなりたいなっていう理想像の方だったので、その人にあのようなことを言っていただいて、 本当にうれしいという気持ちでした。
──9区も志望されてる理由も湯浅選手が関係していると聞いたが
湯浅さんに少しでも近づけれたらいいなっていう思いで、9区を希望しました。
──ご自身のどのような持ち味が9区で発揮されると考えるか
9区は前半ちょっと下りで後半、平坦っていうコースで、自分は その速いペースで押していくのがどっちかというとリズムに乗れていいかなと思っているので。9区だと前半下りで、 そのリズムのまま後半も行けるかなと思ってたので、速いリズムで押していけることができればいいかなと思います。
──単独走への苦手意識とかはあるか
別にないです。単独でもさほど、あまり変わらないかなと。
──4年生への思いは
今年は本当に自分の個人の事でも助けられたところが多くて、 1年間通しても「後輩のために」っていう思いでやってきてくれてたのは本当に、自分たちにはもうすごく伝わってきたので、何としてでも4年生は最後笑顔で送り出したいなっていう思いで、走りたいなと思います。
──最後に箱根駅伝の意気込みをお願いします
どの区間になるかまだ分からないですけど、4年生のためにしっかりと自分の走りができればなと思います。
▲「自信がついたレース」と語った学連記録会での藤田
本間颯(経2)
──今年1年の振り返り
前半のトラックシーズンは5000㍍、10000㍍で自己ベストを更新できたというところはよかった点だと思います。でも、夏合宿の時に体調不良と故障をしてしまってなかなか自分の状態を上げることができずに、予選会ではチームのみんなに負担をかけてしまって、全日本でも自分の走りができずにシードを落としてしまいましたが、MARCH対抗戦で修正できたので、今の段階ではいい感じできているのかなと感じます。
MARCH対抗戦、チームの輪が一つに
──印象に残っているレース
MARCH対抗戦が自分の中で一つきっかけとなるレースだったのかなと思います。
──記録を出せる感覚とかはあったのか
今までの自分はいい練習が詰めていても試合で発揮できない状態でしたが、27分台いける力はあるだろうなっていう感覚はありました。
──予選会、全日本を経てのチームの変化
MARCH対抗戦で多くのものがPBを更新して、チームとして結果を出すことでチームの輪がより一段強くなったというか、まだまだ自分たちはやれるという意識に変わったんじゃないかなと思います。
──走りのモチベーションとなっているもの
箱根駅伝を走って恩返しをしたいという思いが1番大きなモチベーションになっていると思います。
──4年生への思い
大和さん、中野さん、仁さんといった絶対的エースが抜けてしまった分、今の4年生は言葉とかそういうところで引っ張ってくれたと思います。自分もそういう言葉に救われたり、気持ちが変わったこともあるのでしっかりそれは恩返ししたいなと思います。
──4年生にかけてもらった言葉のなかで印象に残っている言葉は
夏合宿で調子が悪い時に佐野さんとかに「大丈夫」とか「絶対調子上がってくるから」といった言葉をかけてもらいました。自分が調子悪いとどうしても気分も落ち込んでしまうんですけどその時にプラスの言葉をかけてもらったり、笑わせてもらったりしたので頑張れたなと思います。
──メンバー入りが決まった時の気持ち
まず第一にほっとしたという気持ちはありますかね。16人に入らないと箱根を出走する権利もないので、まずは16人に入れて安心しています。
──合宿での手応え
昨年の自分に比べてもいい練習が積めたので自信になっています。
──走りたい区間、目標、箱根駅伝にかける思い
走りたい区間は往路ですね。今年は吉居大和さんが往路を解説するということなので。
区間賞を取って区間賞インタビューでお話ができたらなと思います。箱根にかける思いとしては今年1年、世間での箱根駅伝での注目度の高さをより感じることができたので今までは「走りたい箱根駅伝」だったんですけどもう自分の中で「走らなきゃいけない」ものとなったのでそこで応援してくれる方々に感動や勇気を与えたいなと思います。
▲MARCH対抗戦で27分台の力走を見せた本間
多くのレースに出走し、一回りも二回りも大きくなった鈴木、藤田、本間。直前のMARCH対抗戦、荒川ハーフからは調子の良さがうかがえた。両親、地元の友人、卒業した先輩、4年生などたくさんのお世話になった人へ向けて、箱根路を目指す。箱根駅伝まであと数日。本間は2回目の、そして鈴木、藤田にとっては初めての箱根が、すぐそこに迫っている──。
(取材、構成:大畠栞里、二村沙羅、山崎響)
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