三大駅伝の初戦となる第37回出雲全日本大学選抜駅伝競走（出雲駅伝）が2025年10月13日に開催される。出雲大社から出雲ドームまでの６区間、45.1キロのコースに22チームが集結。今年１月の箱根駅伝で５位に入り、出雲駅伝の出場権を獲得した中大は２年ぶり28回目の出場。今季最大の目標である箱根駅伝総合優勝に向けて、幸先の良いスタートダッシュとなるか。
メンバーには二枚看板である４年生の吉居駿恭主将（法４）と溜池一太（文４）、今年の箱根駅伝で快走を見せた本間颯（文３）、藤田大智（文３）ら安定感のある上級生がエントリー。昨年度三大駅伝に二度出走した岡田開成（法２）と佐藤大介（文２）に加えて、濵口大和（法１）や三宅悠斗（文１）といったフレッシュな面々も顔を揃え、藤原体制初の栄冠を目指す。（記事：日向野芯）
■吉居・溜池二枚看板が軸
やはり今年度の中大もこの二選手を無しには語れない。新体制就任時、理想のキャプテン像に関して「まずは結果を出すということと、練習への取り組み。しっかりやっているなと思わせる背中を見せていきたいというのと、チームを盛り上げて巻き込んでいきたいというのがありますね」と答えた吉居は文字通り、背中で引っ張ってきたシーズンとなった。箱根駅伝後は溜池と岡田がアメリカ合宿へと旅立つ中、チームへ残って仲間を率いたかと思えば、４月下旬の織田幹雄記念国際陸上（広島）5000mでは実業団ランナーを突き放す圧巻の２連覇。１カ月後の全日本大学駅伝関東選考会では「失敗できないレース」という重責の中、２組１着に輝き本戦出場に大きく貢献した。その後の日本選手権5000mでは予選敗退に終わったものの、調整として出場した９月下旬の早稲田記録会では軽快な走りで順調な仕上がりをアピール。
▲背中でチームを率いてきた吉居
今季抜群の安定感を発揮している溜池も同様に、エースとして貫禄でチームを鼓舞してきた。今冬は岡田とともにアメリカ合宿を敢行して自己研鑽に励むだけではなく、５月の関東インカレでは維持の４位入賞、同月下旬の全日本大学駅伝関東選考会でも留学生が形成する集団へ果敢に挑み、日本人トップのタイムをマーク。インタビューを重ねる中でも、今季の溜池は「エースとして」、「チームの代表として」という言葉を多用するなど、最終学年としての自覚と責任が顕在化してきた。
▲溜池は最終学年としての自覚と責任を持って臨む
中大の顔として活躍を続ける二人に対して、チームメイトも黙っていない。９月下旬に寮取材では、本間が「駿恭さん溜池さんに負けたくないというのはずっと思っています」と語り、岡田も「（本間も含めて）27分台トリオって感じでいわれているんですけど、僕らもいるよなというのは世間に見せていきたいと思っています」と語気を強めた。二枚看板はまさにカンフル剤。二日後に控える三大駅伝初戦ではどのような化学反応を起こしてくれるのだろうか。
■下級生や三大駅伝未出走組も躍進なるか
「中間層がどれだけ上位層に食い込んでいけるかというところが大事だと意識作りを徹底してやってきた」という藤原監督の方針通り、上半期は新戦力も続々と台頭。七枝直（法２）は６月の日体大記録会5000mで13分49秒、７月の学連記録会10000mで29分９秒と自己ベストを連発すると、９月下旬の早稲田記録会では13分46秒をマーク。「特別ずば抜けていいという練習はなかったんですけど、100点満点な夏合宿ができたのではないかなと感じています」と順調に仕上がってきているようである。
▲順調な仕上がりを見せる七枝
また、１月の箱根駅伝で涙をのんだ並川颯太（法２）も「５、６月で体調不良になってしまって走れていない時期があった」としたものの、絆記録会5000mで13分48秒で自己ベストを出して調子を取り戻しつつある。加えて、トラックで安定感を発揮してきた藤田大智（文３）、潜在能力抜群の濵口、強心臓の三宅らが盤石の布陣を勢い付けるピースとなる。
■「１個１個真剣に、一生懸命戦う」
絆記録会後、藤原監督は２週間後に控える駅伝へ向けて、「伝統校ですし、プレッシャーはあるかと思うんですけれども、僕と花田が入ってきて10年目の体制で無冠なわけですからね。そういう意味で１個１個真剣に一生懸命戦って、その中で勝ちを手に入れていきたい」とチームの想いを代弁した。
今季は例年以上に戦国時代の様相を強め、出雲駅伝から青学大と駒大、國學院大、早大、中大ら５強を中心に高速レースが展開されることが予想される。まずは初陣を制して、三大駅伝の主導権を握れるのか。真紅の歴史に新たな１ページが刻まれる。
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