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【会見詳報】中大ハンド部7選手が欧州4クラブへ。名門セカンドチームで武者修行!

2025年12月3日 中央大学多摩キャンパス

中央大学ハンドボール部が、欧州名門クラブのセカンドチームへ選手7名を派遣する記者会見を行いました。

その会見の模様を詳細にお届けします!

宮本英範氏(公益財団法人日本ハンドボール協会 専務理事)

このプロジェクトが実現した理由

今年4月に、我々ハンドボール協会としては、欧州ハンドボールエージェント機構とのMOUを締結いたしました。この想いは何かと言いますと、「日本ハンドボールの国際化」をキーワードに掲げており、どうやって日本の選手を海外に送り出し、本場で強豪チームと厳しい環境の中で戦ってレベルを上げるか、という取り組みです。これはロサンゼルスオリンピックに向けて強化をするにあたって非常に大きなキーワードです。その延長線上で、ここにいるメンバーは全員U-21、19(日本代表)のメンバーです。全てのカテゴリーで、本物のエージェントについていただき、適切なビッグクラブに行っていただくためのサポートを協会として行っていこうと、4月から取り組んでいます。

男子監督であるトニー・ジローナ氏は欧州で顔が利きます。彼の知っているクラブの中で、どこに行くのが適正かといった議論をした上で、今回このような7名を海外へ派遣するというご判断を中央大学様にしていただきました。

具体的に協会はどのような活動をしたのか

先ほど申し上げた「国際化」というキーワードに基づき活動しています。

今回7名というインパクトのある数字になりましたが、日本のハンドボール界の皆様が「国際化」に目を向けていただけることはリーグとして非常にありがたいことです。今後もこのようなご依頼があれば、我々としては汗をかいてやっていこうと考えています。

その中で、先ほどのビデオにもありましたが、トニー・ジローナ監督のネットワークを活用したことは事実ですし、これが女子チームにも広がっていくと非常に素晴らしいことだと考えています。

実方智監督

監督が学生の海外挑戦を勧める理由

日本のハンドボールは、東京五輪、パリ五輪と2大会連続で出場していますが、予選敗退というところで、なかなか世界との差、壁というものを、いち視聴者として感じておりました。大学の監督という立場では生意気な発言ですが、日本の選手一人一人は、体格こそ世界より劣りますが、ハンドボールスキルやスピードは劣っていないと試合を見ながら感じておりました。

振り返ると、サッカー日本代表は今非常に強いですが、ベストメンバーを揃えると全員が海外で活動している選手です。それを見て「答えはここにあるな」と私自身は思いました。ハンドボールの現日本代表は、海外で活動している選手はゼロではありませんが、あまりいません。やはり世界と対等に戦っていくには、世界で経験する、その経験が少ないのかなと勝手に感じております。

今回の7名は、ジュニア(U-21)、ユース(U-19)の日本代表です。彼らは昨年、アジア選手権で優勝しました。この7名は大変活躍してくれました。ですので、この7名には学生時代から本場ヨーロッパで経験を積んでもらい、卒業後は本人次第ですが、ヨーロッパで活動するようなきっかけを作ってもらいたいなと思い、世界と戦うための経験を積んでほしいと思った次第です。いち大学として、日本のハンドボールが少しでも強くなるための施策と捉えていただければと思います。

このプロジェクトの金銭面について

当然これだけのプロジェクトですからお金がかかります。昨年の11月に、中央大学ハンドボール部を支援することを目的に、一般社団法人を設立しました。私が代表理事に就任し、様々な事業を行っております。

この法人を設立した大きな理由は、中央大学ハンドボール部は2021年から2024年までインカレ4連覇を達成し、強くなってきたのですが、監督として「強くなったチームをさらに強くしたい」と当然思うわけです。そうすると「ああいうことがしたい、こういうことがしたい」と頭の中でぐるぐる出てくるのですが、結局お金がないので何一つできません、というジレンマが私の中にありました。

それでなんとか自分たちでお金を集めてチームの強化をしたいなというのが、法人設立の大きな理由になります。

法人の事業としては、OB会の運営、ファンクラブの運営、物販の運営、支援金のお願いなどを行っております。

法人を立ち上げた後、なんとかお金を集めてチームの強化に使いたいと思いながら、色々な企業の社長様とお話をする機会を設けておりました。その中で、この「学生を海外で経験積ませたい」というプロジェクトの話をたまたましたところ、賛同してくれた社長さんがおられまして、そこから様々な社長さんとお会いした時にこのプロジェクトの話をし続けました。

結果、5社ほどからご支援いただけることになり、この7名をヨーロッパに行かせるお金を集めることができました。

このプロジェクトは学生の負担はゼロです。全て法人が負担します。航空券、宿泊代、諸々です。ですのでご支援いただいている企業様には本当に感謝しかありません。

それで資金も整い、次はヨーロッパのクラブ探しですが、私にはクラブを探す伝手もスキルも何もありませんので、日本ハンドボール協会の宮本専務理事に相談しました。そうしたところ、ハンドボール協会の中でヨーロッパのクラブを探していただきました。後ほどご説明しますが、私も本当にびっくりしたのですが、とんでもないビッグクラブを4つ交渉していただき、クラブが決まりました。本当にハンドボール協会様には感謝の気持ちでいっぱいです。

この7名は、世界最高峰のハンドボールをヨーロッパで学んできてほしいことはもちろんですが、異国の文化や語学、そこで暮らす人々の価値観などを学んでもらって、グローバルで活躍できる人材のきっかけとなってほしいなというのも、ハンドボール以外のところで監督として非常に思っております。

今回のドリームプロジェクトが成し得たのは、様々の方のご支援・サポートがあってのことです。この7名はご支援いただいた方々への感謝の気持ちを忘れずに、ご支援に報いるためにもヨーロッパで全力で頑張ってきてほしいと願っております。

学業との両立について

2月1日から3月末までは、大学の授業がない期間ですので、そこを基本としています。ただ、一部の選手に関しては、大学の教授の理解があり、「4月以降、授業に出なくてもレポートを出せばよい」と言ってくださる教授もいらっしゃるため、そういった調整がうまくいったメンバーに関しては、5月末や6月中旬まで行く予定にしています。

活躍すればトップチームにも契約するというような形にはなるか

まず練習生として行きます。向こうのセカンドチームのリーグ戦には出すよと言われています。彼らがすごいパフォーマンスが良くて、セカンドチームのリーグ戦でも活躍して、となると、向こうはすぐ「プロ契約しようよ」と言ってきます。本当のプロなので。その場合、ダメだったら「もうお前リーグ戦出さないよ」とはっきりしています。ですので、おっしゃるようにプロ契約という可能性は全然あります。セカンドチームでも向こうはみんなプロ契約していますから。もしセカンドチームで大活躍したら、「明日からトップチームね」と言われることもありますので、可能性としてはあると思います。

藤川淳(法3)

【ライプツィヒ(ドイツ)】

リーグ優勝こそないが伝統のある強豪クラブ

海外挑戦への意気込み

まず、このプロジェクトをサポートしてくださっている関係者の皆様、本当にありがとうございます。昔からの夢である欧州のビッグクラブでプレーするという目標を叶えられてとても嬉しく思います。海外に渡ってからはフィジカル面や技術面、選手とのコミュニケーションにも力を入れて、中央大学に戻ってからチームを勝利に導けるような選手になれるよう頑張りたいと思います。

中島大智(文3)

【ライプツィヒ(ドイツ)】

海外挑戦への意気込み

まず、この欧州挑戦のプロジェクトに協力していただいた企業の方や関係者の皆様、ありがとうございます。ハンドボールを始めた頃から夢であったヨーロッパでの挑戦ができることがとても嬉しいです。2ヶ月間という短い期間ですが、ドイツの伝統や文化、言語、そしてハンドボールへの向き合い方など多くのことを学べるよう、毎日1日1日を大切にして頑張っていきます。ありがとうございます。

長谷川惣唯(法3)

【モンペリエ(フランス)】

2002年から2011年まで9回優勝、2014年以降も常に上位のビッグクラブ

海外挑戦への意気込み

今回海外へ挑戦する環境作りにサポートしてくださった皆様、ありがとうございます。幼い頃の夢であった海外でプレーすることができ、とても嬉しく思います。世代別代表では世界選手権などに出場してきましたが、ヨーロッパの選手とのフィジカルの差を感じてきました。今回のプロジェクトを通じて、日本のハンドボールを盛り上げられるような選手となって帰ってきたいと思います。ありがとうございます。

海外へのという想いがどのように強まってきたか

ジュニアの時の同期が今海外でプレーしており、その同期の話を聞いたり、プレーしている姿を見たりしていると刺激になり、自分も海外でプレーしてみたいなという気持ちが強まりました。

小幡駿陽(法1)

【モンペリエ(フランス)】

海外挑戦への意気込み

今回、このプロジェクトの欧州派遣の選手として選んでいただいたこと、本当に嬉しく思います。現在、中央大学にはゴールキーパーコーチがおりませんので、向こうのチームではゴールキーパーのトレーニングや試合中のセービングの組み立て方、また選手の適用の仕方などを学んで、中央大学に持ち帰って来年のインカレ優勝へ繋げたいと思います。以上です。ありがとうございます。

古澤宙大(法1)

【バロセロナ(スペイン)】

2009年から2024年まで15年連続優勝の強豪クラブ

海外挑戦への意気込み

まずはこのプロジェクトをサポートしてくださった関係者の皆さん、ありがとうございます。スペインのバルセロナという世界最高峰のチームでプレーできることに感謝して、2ヶ月という短い間ですが、全力で取り組んで、少しでも成長して日本に帰ってこれるように頑張ります。

南城魁星(法1)

【バルセロナ(スペイン)】

海外挑戦への意気込み

まず初めに、海外遠征への第一歩をサポートしてくださった企業の皆様、ありがとうございます。私はバルセロナの同年代の選手とハンドボールへの意識の違いや、フィジカル面の意識の違いを体感してきて、そして自分が向こうで成長できると確信しています。一生懸命頑張ってきますので、よろしくお願いします。

永森悠透(法2)

【PSG(フランス)】

2014年からリーグ11連勝中。各国のスターが揃う超ビッグクラブ

海外挑戦への意気込み

まずこのプロジェクトをサポートしてくださった皆様、ありがとうございます。私は半年間、PSGで活動していくので、U-20の時に課題であったフィジカル面を克服し、インカレで優勝できるように頑張ります。

実際にPSGとジャパンツアーで対戦してみて体感したこと、そこからPSGに実際にご自身が行ってきたしいていること

ジャパンツアーでPSGと試合をした時に、圧倒的にフィジカルで劣っていたと感じました。セカンドチームとはいえ、フィジカルは同じくらいあると思いますので、そこを克服できるようにしていきたいです。

言語について

英語はあんまり喋れません(笑)。今ちょっとフランス語を勉強しています。

海外へのという想いがどのように強まってきたか

ヨーロッパへのチャレンジはもっと遠いものだと思っていましたが、思ったより近い存在だなと感じました。

協会の支援があることについて

僕もヨーロッパでチャレンジしたかったので、とてもありがたいことだと思っています。


欧州で揉まれ、どう化けて帰ってくるのか。今後の彼らに注目だ。


(記事:佐伯真生、写真:今村志歩

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