2021年10月24日 エディオンアリーナ大阪
前年度の第68回大会が中止となり、2年ぶりの開催となった今大会。中大剣道部はこれまで一度も達成されたことのなかった3連覇を達成した。
▲表彰式後に笑顔を見せる剣道部員たち
2018年、2019年と優勝を果たし連覇が継続している中で迎えた今大会。3連覇という大きな目標を前にプレッシャーを抱えながらもそれをはねのけるくらいの気合の入りようで試合に臨んだ。
▲試合出場者としては唯一の3年生。勢いと積極性でメンを取りチームに勢いをもたらした川﨑
初戦は芦屋大との対戦。先鋒で起用された小川夢希也(法2)、次鋒の藤田航洋(法2)がそれぞれドウとメンで1本勝ちを収めて好スタートを切ると、そのまま逃げ切り3―0で完封勝ちを収める。次の広大戦は中大の切り込み隊長・川﨑陽也(商3)が試合開始直後にドウを決めると続けざまにメンを決め、2本勝ちを収める。続く藤田、池田龍ノ介(法2)、小畔直(法1)と4人連続の2本勝ちで勝利を確定させる。
▲メンを決める小畔。1年生ながら無敗の活躍見せた
3回戦はシードの鹿屋体大を破った駒大との対戦。先鋒、次鋒と引き分け、両チーム1本も取れずに試合が進むが、均衡を破ったのは小畔。長身から鋭く振り下ろしたメンが決まり、1本勝ちを収める。流れを引き寄せると、後ろには4年生の実力者コンビ、黒木裕二郎(商4)と山崎将治(商4)が控える。後半は盤石の体制で二人がコテで本数を重ねて、3-0の勝利で準々決勝へ進出する。
▲安定した強さで優勝に貢献した黒木。副主将として精神面でもチームを支えた。写真はコテを決める場面
準々決勝の日大戦は清家羅偉主将(法4)も優勝の要因とする「誰かが取られたら誰かが取り返すチームワーク」が遺憾なく発揮された試合だ。まずは高校王者となってから中大へ入りこの2年でも大きく成長した先鋒の池田がメンを取る。藤田がメン取られて振り出しに戻ると、小畔が2本取って勝利し中大優位で次へ繋げる。黒木はコテを取られるが、同学年の山崎がメンを取って勝利しカバーする。大将の清家は避けたように見えた相手のメンに審判の旗が上がって1本を取られ敗北するが、小畔の2本が効いて本数で日大を上回り、勝利を収める。厳しい局面も清家主将の言う「助け合い」で乗り切る試合となった。
準決勝は関西勢、関大との対戦。先鋒に川﨑が起用されるもここはドウを取られて1本負けを喫する。しかし誰かが取られたら、次のメンバーが取り返すのが今年の中大。日大戦で負けた藤田はここでメンを取って振り出しに戻す。中堅の小畔はここでも2本勝ちを収めて2-1で4年生に繋げる。黒木はメンを、山崎はコテを決めると、清家は敗れたが4-2で勝利。決勝へと進む。
▲コテを決めた山崎。狙いすましたコテは鋭い
決勝は準決勝で筑波大を破った国士大との対戦。川﨑がコテを取られるもメンを取り返して引き分けに持ち込むと、「大きく成長している」と監督にも言わしめる藤田がメンを取ってリードを奪う。「決勝は攻める」と監督の言葉通りの展開で五将の池田も勝利。中堅の小畔はメンを取られるが、味方から「焦るな、大丈夫」と声がかかり、じっくりと反撃の気を伺うと、相手の反則で点が入り引き分けに持ち込んで2-0のまま4年生へつなぐ。
ここまで全試合三将として出場の黒木は繋ぎの役割を果たして引き分けで後続へ。副将は関東大会から全試合で大将として出場していた清家が出場する。清家は準決勝が終わるまでに決めたのは初戦のメンの1本のみ。その後は思い通りにいかず個人成績は1勝2敗2分と苦しんでいた。「本当は大将で出たかったですけど…。チームのためにと思って切り替えました」と心を入れ替え、目の前の試合で攻める剣道を見せて勝つことに集中した。序盤から積極的に仕掛けると中盤にメンを取り先制。続けてもう一本決め優勝を決定させた。「(決めた瞬間は)涙出てきましたね。あり得ない、夢みたいな、マジかと」と喜びを隠しきれなかった。
大将戦を任されたのは山崎。勝敗は決まっていたが、優勝チームの大将として負けられない試合に山崎は集中力を高く持って臨んだ。最初に山崎がメンを決めるが、その後メンを取り返される。それでも最後はこの日4本目と何度もチームを勝利へ導いたコテを決めて2本勝ち。気を抜けなかった決勝戦も終わってみれば4-0で完勝。活躍しない人もいない堂々の優勝だった。
▲優勝決定を大きく近づけた清家のメン。清家の努力が実った瞬間だった
「(2年間は)長かったですね。モチベーションをキープするのがきつかったです。練習しんどかったし、練習きつめにやって、自分が練習組むんですけど嫌な顔されようがひたすら打ち込んで…。でもみんな面付けたらスイッチ入るのでそこは感謝しています。(優勝は)うれしすぎてやばいです」(清家)。コロナで昨年の大会は中止となり、3連覇に挑戦できずプレッシャーだけを感じる日々が続いただけに、喜びはとても大きなものとなった。剣道部一同の努力が報われたような、そんな歴史的快挙となった。
▲優勝後は1年次から活躍してきた清家(右)と山崎が自分たちの代で優勝達成した喜びを分かち合った
▼試合詳細
※数字は勝数、()は本数
1回戦
○中大3(3)-0(0)芦屋大●
小川夢 ド- 森
藤田 メ- 村田
小畔 × 土屋
池田 × 柳田
黒木 × 長谷川
山崎 × 中尾
清家 メ- 立花
2回戦
○中大5(9)-0(0)広大●
川﨑 ドメ- 川口
藤田 メメ- 小薗
池田 メコ- 加賀谷
小畔 メメ- 森
黒木 × 上野
山崎 コ- 加藤
清家 × 伊達
3回戦
○中大3(3)-0(0)駒大●
川﨑 × 児嶋将
藤田 × 末永
小畔 メ- 横井
池田 × 田中
黒木 コ- 福田
山崎 コ- 勝本
清家 × 児嶋博
4回戦
○中大3(4)-3(3)日大●
池田 メ- 春木
小川夢 × 小林
藤田 -メ 濱田
小畔 コメ- 菊池
黒木 -コ 大津
山崎 メ- 原
清家 -メ 須田
準決勝
○中大4(5)-2(2)関大●
川﨑 -ド 舘井
藤田 メ- 内城
池田 × 岡本
小畔 メメ- 上田
黒木 メ- 大橋
山崎 コ- 小阪
清家 -メ 廣崎
決勝
○中大4(9)-0(0)国士大●
川﨑 メ×コ 片山
藤田 メ- 曽我部
池田 メメ- 清水
小畔 反×メ 大橋
黒木 × 内村
清家 メメ- 岩部
山崎 メコ-メ 廣崎
(記事・写真:尾又賢司)