25年ぶり表彰台!ペナルティーシュートアウトまでもつれた激戦の末、筑波大を制す!ー2023年度関東学生水球リーグ1ー4位決定トーナメント戦 対筑波大
2023年6月25日 神奈川県・日本体育大学健志台キャンパス
日本学生選手権では2020年から3年連続、準々決勝で筑波大に敗北している中大。因縁の相手に見事に雪辱を果たし、25年ぶりに表彰台に上った。
▲試合前リラックスした様子を見せる選手たち
第1ピリオド(以下P)の始めは苦しい展開が続く。先制点は筑波大。追いつこうと竹村駿太郎(文3)、藤林佳聖(文1)が果敢に攻めるもゴールには及ばない。谷健吾(文4)も2本立て続けにシュートを放つが、惜しくも枠にあたってしまう。またしても筑波大に得点され、中大は流れがつかめない。とうとう筑波大に3点目を決められてしまう。しかし、西森郁未(文3)が「いつも通り楽しい雰囲気で、雰囲気を悪くしないようにと意識していたので、そこはできていてチームの雰囲気はとても良かったかなと思います」と振り返ったように、選手たちは落ち着いていた。第1P終了まで残り1分9秒、竹村が放ったシュートが決まり、ついに中大が得点する。ここから勢いづいた中大は、相手の息の合ったプレーを安田康太朗(文1)が止めると、カウンターを仕掛ける。針谷晴人(文3)がシュートをおさめ、1点差で第2Pを迎えた。
▲パスを出そうとする竹村
▲シュートを放つ谷
第2Pの序盤も中大は流れに乗り切れない。笠間栄祐(文4)が攻めるも、相手DF・GKに阻まれ、このPも筑波大に先制されてしまう。船水淳希(文2)がシュートを放つもわずかに外れ、さらに筑波大に追加点を許してしまい、再び3点差となる。しかし、ここで中大に絶好のチャンスが巡ってくる。素早いカウンターを仕掛けると、相手DFが1人という状況に吉村光貴(文2)が冷静にゴールをおさめた。このプレーから勢いを取り戻した中大は、船水のパスから谷がシュートを決める。その後、筑波大に1点を許すも、すぐに谷が決め返しくらいついていく。5ー6と1点差のまま第3Pを迎えた。
▲パスを出す笠間(上)、船水(下)
第3Pも互いに譲らず、接戦となる。先に得点したのは中大。竹村のパスから藤林がシュートを決めた。藤林が追加点を狙うが、惜しくも決まらず、筑波大に1点を返されてしまう。中大も笠間からパスを受けた谷がシュートを放つが決まらない。その後、船水、吉村、藤林も懸命にゴールを狙うがなかなか得点できずに時間が過ぎていく。この間チームを支えたのは守備陣だった。まず中大の守護神安田。「最初調子が悪くてあまり止められなかったのですが、先輩方がしっかりフォローしてくれて立て直せたかなと思います」と振り返るように、試合が進むにつれてますます集中が高まっていく。なんと相手のペナルティースローを止めたのだ。次に笠間。「自分自身チームのディフェンスだったり、泳いだりといった影の部分が得意な選手なので、そういったところをしっかりできたのが良かった」と語ったように、幾度となく相手のボールを奪い、自らの長所を存分に活かした。加えて竹村、針谷のディフェンスにより失点を最小限に抑える。さらにこの2人はオフェンスでも魅せる。針谷は自身のディフェンスから1人でボールを運んでシュートを決めた。続けて竹村も自らボールを運んで得点する。一気に流れを引き寄せた中大は、8ー9と1点を追い最終第4Pを迎える。
▲パスを出す安田(上)、針谷(下)
最終第4Pはまさに手に汗を握る展開となった。谷から笠間へのパスはつながらず、谷からパスを受けた森田晃輝(文2)のシュートも惜しくも決まらない。しかし、ここでも安田が相手のシュートを何度もセーブし得点を許さない。ついに、笠間からパスを受けた藤林がシュートを決め、同点に追いつく。安田は勝ち越そうとする相手のシュートを2本連続で止めるが、残り2分52秒、相手に得点を許してしまう。追いつきたい中大は、針谷のパスから藤林がゴールを狙うも、ここは決まらない。ここで中大にチャンスが巡ってくる。相手のペナルティーにより、中大のペナルティースローとなったのだ。谷が意地を見せてシュートを決め、再び同点に追いつく。しかし相手も譲らない。残り52秒、筑波大に決められてしまう。だが、その直後、藤林がシュートを決めて同点となる。残り17秒、中大はTOを取り、最後の攻撃を仕掛けた。残り3秒、ここでまたしても中大のペナルティースローとなる。これを決めれば勝利が目前となる大事な場面。任されたのは谷。会場全体に緊張が走る。観客も固唾を飲んで見守る中、谷の渾身の一撃はわずかに外れてしまう。11ー11となり、勝敗はペナルティーシュートアウトで喫することとなった。
▲パスを出す森田
▲チームメイトに声をかける(左から)吉村、船水、木庭幸輝(文1)、西森
ペナルティーシュートアウトでは両大学の代表者5名がシュートを放ち、ゴール数の多い方が勝利となる。もし5回で決まらなかった場合は再び1人目の選手から打ち、どちらか一方のみがシュートを決めるまで続く。
中大の代表には谷、竹村、笠間、藤林、森田が名乗りをあげた。そして中大のゴールは西森が護る。
先攻は中大。トップバッターは谷。この時の心境を「正直、最後外してペナルティー戦にもつれて下を向いてしまっていたのですが、2年生の子に頭どつかれて気合入って、行ったろという気持ちでいきました」と語った。シュートを決めてチームを盛り上げる。後攻の筑波大。西森の気迫に押され、シュートを外す。
2人目は竹村。決めれば相手を引き離すチャンスとなるが、ここは相手GKに阻まれてしまう。一方、筑波大はシュートを決めて中大に追いついた。
3人目は笠間。見事に決めて立て直す。笠間はこの場面を「自分は楽しんで打つというだけだったので、前の人は関係なく楽しんで、自分は決めようという思いでシュートを打ちました」と振り返った。続けて筑波大。ここで西森が魅せる。相手のシュートを見事に止めたのだ。会場全体がどっと沸いた。西森は自身のこのプレーを、「ずっと出る準備はして、最後ああやって止めて3位に貢献できたので100点をあげたいかなと思います」と評価した。
4人目は藤林。谷に並んでチーム最多の3得点を挙げた勢いそのまま、ここでもシュートを決める。ここは筑波大も決めて、次へと託す。
5人目は森田。森田がシュートを決めれば中大の勝利が決定する場面。ここは相手GKが意地を見せて、惜しくも止められてしまう。一方の筑波大はシュートを外せば敗北。そのプレッシャーに打ち勝った相手のシュートに、西森の手はわずかに届かず、決められてしまう。
ここからはサドンデスとなる2巡目。谷は落ち着いてゴールをおさめる。相手も譲らない。
続いて1巡目でシュートを阻まれてしまった竹村。緊張した面持ちで、手を合わせて祈る様子を見せるが、見事にシュートを決めた。筑波大のターン。ここでも西森が気迫の感じるプレーを見せ、相手のゴールを防いだ。
この瞬間、中大は見事に勝利した。
わずかな静寂のあと、歓喜の声をあげ、嬉しさのあまりプールに飛び込む選手たち。会場も大きな拍手に包まれた。
▲喜びを分かち合う選手たち
▲賞状を掲げ、ガッツポーズを見せる選手たち
チームを引っ張った4年生の2人は試合を振り返って、「自分の反省としては何もできなかったと思っているのですが、後輩を含めて、同期もチームも頑張ってくれたおかげで勝つことができたので、本当にこうやってチームを作ってこられて良かったと思います」(笠間)、「自分は結構シュートを決めることが多いのですが、みんながパスをつないでくれて自分は最後にシュートを打つだけで。水球をやっていて今のチームが1番楽しいです」(谷)と語り、共に勝利を勝ち取ったチームメイトへの感謝をにじませた。
また、25年ぶりの表彰台という快挙を成し遂げた今の心境をこう語った。「とても嬉しくて、チーム全員が勝ちを目指してやった結果が3位という結果だったのですごい嬉しいです」(笠間)「最高です。自分の代で結果を残せて、チーム全員、選手もマネージャーも監督もコーチ陣も含めてなれた3位だったと思います」(谷)
大躍進を続ける中大。日中戦、日本学生選手権への意気込みについて、選手たちはこう話した。「3位といういい結果が残せたので、またチームとして勢いをさらにつける練習をして、日中戦もいい結果で終わって、またインカレに向けて頑張っていこうというふうに思います。」(笠間)「1週間後の日中戦で必ず勝利して、インカレではもちろんメダル獲得を目指して頑張ります」(谷)「全てを勝ち切るような気持ちで、しっかりと練習して全力でプレーしていきます」(安田)「楽しむことを最優先に考えて、観客を沸かせられるようなプレーをして、みんなを楽しませたいと思います」(西森)
日々進化する中大。日中戦、日本学生選手権ではどのような試合を見せてくれるだろうか?さらなる躍進の兆しに胸が高鳴る。
◆試合結果◆
〇中大(2ー3、3ー3、3ー3、3ー2)筑波大● (PSO 5ー4)
(記事:福田菜緒、写真:琴寄永里加)
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