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【特集・西湖合宿から③】藤原正和駅伝監督

2023年9月 山梨県・西湖

▲西湖合宿のようす

第3回は藤原正和駅伝監督。「90点」。今期8年目を迎えた藤原監督は現時点でのチームの自信の点数をこのように表した。藤原監督に取材をしていく中で90点の要素として①夏合宿の充実さ②選手への信頼③箱根駅伝への思い④箱根駅伝のその先が挙げられる。(取材は9月3日に行いました。)


①夏合宿の充実さ

コロナ禍が終焉へと向かい「今年はあたまからしっかりとできていて、まとまりをもっていい形でここまではやれている」と語るように予定通りのスケジュールで合宿をこなしていた。そして監督が日々キーワードとして挙げるのは「中間層」のレベルアップだ。夏合宿の中間層の成長について問うと

「浦田(優斗、経3)、吉中(祐太、文2)、白川(陽大、文2)、伊東夢翔(経2)山平(怜生、法3)、本間(颯、経1)、柴田(大地、文1)、山崎(草太、文1)、小田切(幹太、文1)、このあたりが大分芽として出てきてくれていますのでもうちょっとしっかりと競り合わせて、誰を出してもハーフの距離をしっかりと戦えるような状況を残りの期間で作っていきたいなと思います」と話した。

以前から1年生の出遅れを懸念していたが順調に向かい、そして多くの選手の好調が伺えこれからの秋シーズンへの期待がかかる。

②4年生への信頼

特に藤原監督の4年生への信頼は厚い。

「4年生はよくやっている。上の3人(湯浅仁(経4)、中野翔太(法4)、吉居大和(法4))は抜けていて特に湯浅が非常にいい練習を積めている。箱根の2区に出してもどの大学にも引けは取らないだろうなという走力はついてきていますね。中野がこの夏非常に順調なので秋に非常に期待したいのと、吉居大和の方も去年の夏がかなりひどかったのでそれに比べたらしっかりやっているのかなと。ここにきて大澤(健人、文4)がしっかり成長してきてくれているのが非常に大きい。4年生全体でチームを牽引するという雰囲気を作ってくれているので非常に頼りにしています」。

そして今年度のチームのカラーについて問うと羽藤隆成(経4)の名前を真っ先に挙げた。「羽藤が寮長として色々な決め事をしっかりと作ってくれて、1年生とか2年生だとか関係なく全員がチームの一員だと感じることができる施策だとかチームへの関心を持つと言うところを使ってくれて、そこは今のチームのいいところかなと」と語った。

▲左から湯浅主将、中野翔副主将、羽藤寮長、怡土涼香主務(経4)(3月新幹部取材)

 

③箱根駅伝への思い

今シーズンは監督就任して初めて「三大駅伝三冠」を目標に掲げる。この目標の達成は簡単ではないが、来年の箱根駅伝に対しては「年々、与えられている課題、ミッションは違うのでもちろん優勝を目指せるというところでは非常に手応えを持って楽しいシーズンでもある。しかしそれ以上に、8年経ってようやくこういう状態ができてきて、このチャンスを取れるか取れないかでこのあとの流れが大きく変わる。もし出雲全日本は取れなくても箱根はとりたい。三つのうちどれか一つは勝たないと、このいい流れは途切れさせかねない。なんとしてもどれかはとりたい」と第100回という記念大会に向けて強い決意を表した。

▲「楽しい分プレッシャーもある。ありがたい状態を作っていただいている。スタッフは成果を出すために呼ばれたわけですから」と話した藤原監督

しかし三大駅伝三冠という大きな目標を掲げるとチーム内の意識の差が課題となる。そこに関しても言及した。「目指すべきところがより明確に『勝つ』という方に向かっているので、全体像としてはそこに向かっていっているのですが、どうしても下の方の子たちは自分の目の前のことに精一杯というか一生懸命になってしまう。そこの層をどう拾い上げていくかというところがこれから駅伝シーズンを迎える中で1番大事かなと。意外とそういう子たちの雰囲気がちょっとした勝負の機微に影響してくるので取りこぼしのないように僕らも尽力しながらやっていきたいなという感じですね」。

また、箱根駅伝には今年まで4年連続6区で出走した若林陽大(令5卒)がいたが、来年の6区候補について尋ねると「そうですね。若林と遜色ないくらい走れると思います。山に関しては心配していない」と名前は明かさなかったものの箱根駅伝の特殊区間への対応は盤石の様子であった。

▲箱根前回大会、中大は22年ぶり表彰台となる総合2位の結果をおさめた

④箱根駅伝とその先

そして中大陸上部はYouTubeやInstagramなどSNSの活用にも積極的である。YouTubeに関しては、開設して約1年となりチャンネル登録者数も8000人を超えている。そこには監督のこんな意図があった。

「中大は伝統校でありオールドファンが非常に多い。6連覇の世代が上になってきているので頼り切ってしまっては勝ちを知らない世代ばかりになってきているので、その世代が頼るだけではなく、僕らが新しいのを作ろうっていうのもある。そうしたらじゃあ同じようにファンの獲得をしなきゃいけない。大きな所でいうと、野球やサッカーに比べると陸上ファンって少数だと思うんですね、そこを増やしていきたいよねというところが。大学という枠にとらわれないで陸上界に貢献できるという所もそうだし在学生、OB含めて世界に送り出せる体制を作ってくために、今までにないことということでいろいろなことやっている」

中央大学陸上競技部だけではなく、“陸上界への貢献”というところまで視野を向けている藤原監督の思いがあった。

三大駅伝の初戦の出雲駅伝は残り1カ月を切った。「とにかく駅伝を経験していない子にできるだけ大舞台を踏ませたいなと考えているところがあって、日本インカレに出場したり出雲と全日本でも新戦力を試していて、箱根では必ず勝てるようにしていきたい」(藤原監督)。チームの点数である90点の残りの10点は「これからに向けての要素」という。箱根駅伝に向けて、そして三冠の一つ目となる出雲駅伝に向けて負けられない戦いが始まった。

(記事:二村沙羅)

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