陸上界の超名門、洛南高校。高校駅伝のトップを決める都大路では9年連続30回目の出場を果たし、第72回には日本人最高記録を樹立した。そんな洛南高校の強みは、大学へ進学しさらに伸びる選手が多いことだ。今年の箱根駅伝ではエントリー13人と洛南高校出身選手が最も多く、また三浦龍司(SUBARU)、佐藤圭汰(駒大)など世界で戦える選手を多く排出している。このように名実を兼ね備えている洛南高校出身選手が、キャプテンの佐野拓実(経4)、溜池一太(文3)、柴田大地(文2)、岡田開成(法1)、並川颯太(法1)と過去最高の5人所属している現在、彼らに母校について語り合ってもらった。(取材は6月8日に行いました)
前半では、箱に入っている紙を一人ずつ引いてもらい、書いてあるテーマについてフリートークしていただいた第一部をお届けします!
(聞き手・構成:大畠栞里・琴寄由佳梨・山崎響)
▲和気あいあいとトークする選手たち
──洛南の強み、入ってよかったところ
岡田
「自主性を大事にしていて、それを高校生の頃から大事にしているからこそ大学でもしっかり通用する練習ができているのかなと思って、入ってよかったところは先輩方とか皆さん強いのでいい環境で練習できるところです」
佐野
「真面目な感じのほうがいいですか?(笑)」
──ぜんぜん!
岡田
「話題が真面目だったから(笑)」
佐野
「溜池行く?」
溜池
「岡田が言ってたように自分で考えてやるっていうところが洛南の強みかなと思っていて、入ってよかったところは佐藤圭汰や三浦龍司など関西の強い人はみんな洛南に集まってくるので洛南で一番になれれば少なくとも関西では一番みたいな感じなのでそこはいいかなと思います」
──洛南に行こうと思ったきっかけ
佐野
「関西で強いところを選ぶとなると洛南でしたし、都大路に出ようと思ったらやっぱり洛南しか厳しいかなっていうのがあったので全国駅伝に出たいなと思ったのが一番のきっかけでした」
並川
「僕は中学の頃は強い選手というわけではなくて、半分遊びで始めたのがきっかけなんですけど、そこからどんどん続けていって中三の頃に家族と冗談交じりで洛南から推薦来たらどうしようとか話してたら本当に来たのでそれはちょっとびっくりしたんですけど、洛南から推薦が来たってことは都大路や、行けなかったですけどインターハイを目指す原動力にはなりましたし、自分自身やるからには強いところでやりたかったので洛南に行こうと思いました」
──洛南の後輩に期待したいこと
並川
「自分の一個下の話になるんですけど、競技力で言っても一番総合力でも強いと思うのでインターハイに出場して総合優勝と、今年の都大路で総合力はかなりあると思うので初優勝狙ってほしいです」
岡田
「並川とほとんど一緒で、初優勝狙ってほしいですね」
佐野
「ちょっといいですか(笑)インスタとかめちゃくちゃ頑張ってるんですよ、洛南(笑)」
一同(笑)
佐野
「ユーチューブの登録者とかインスタのフォロワー数をどんどん伸ばしてほしいなと思います。影響力はあると思うので」
──(インスタ)フォローしてます(笑)
佐野
「先生が運営してるんですよ、あれ(笑)。僕らもたまに写真載るんですけど、それでフォロワー減ってないか心配です(笑)」
岡田
「1日1ストーリー(笑)」
佐野
「俺らよりあげてる(笑)。そこはちょっと期待してます」
▲テーマが書かれている紙を引く溜池
──洛南あるあるは何かあるか
溜池
「自分たちは関係ないですけど前髪がまゆげにかかっちゃだめとか」
──進学校というイメージがあるが
佐野
「クラスによりますね。スポーツクラスは全然あほなんで(笑)。僕らは坊主じゃないですか、でも前髪下ろされてまゆげかかったらやり直しみたいな。耳にかかってたらアウトで頭髪検査の再検査とかあるんですよ」
ー岡田さんと並川さんは一般クラスですけど勉強との両立は大変だったか
岡田「大変でしたね。授業もついていくのに精一杯っていう感じでした」
ー洛南生はこういう人が多いとかは
佐野
「眼鏡かけてる賢そうな人が多いですね。僕の代だったら数学オリンピックに出たとか。スポーツだけじゃなくてめちゃくちゃ頭いいんですよ」
──隣の人の第一印象は
柴田→溜池
「溜池さんの第一印象ですか。溜池さんは気づいてないですけど、僕が初めて溜池さんに会ったのが中2の全中(全日本中学校陸上競技選手権大会)の予選なんですよ。第一印象はお菓子好きそうな人(笑)。けど競技にはすごくストイックでっていうのが印象的でした」
──今の印象は
柴田
「今も変わらず競技に対してのトレーニングとか練習も常に競技中心に考えててすごいストイックな先輩だと思ってます」
──溜池さんの面白い一面、かわいい一面とかは
柴田
「面白い一面…かわいい一面…?」
溜池
「俺は面白くないってこと?(笑)」
柴田
「いやいや違いますよ。いっぱいあります」
岡田
「いつも野菜残してます(笑)」
柴田
「かわいいですね(笑)。意外って言ったら失礼かもですけど、めっちゃ真面目に学校行ってます(笑)」
溜池→並川
溜池
「すごい練習も真面目で、それはたぶん高校の頃からだと思いますけど、一年生の中でもちゃんとやってるんじゃないかなと思います」
並川→佐野
並川
「高3の夏に1回中大の寮に来させてもらったときが佐野さんと面と向かって初めて会ったときで怖いなーって(笑)」
佐野
「別に怖くないやろ(笑)」
佐野→岡田
佐野
「岡田さんはけっこう話は聞いてたんですが、まじめな子で、顔怖いじゃないですか(笑)、実際顔怖くって」
岡田
「否定できないです(笑)」
佐野
「あまり被ってないので走ってるときとかも顔怖いなって思ってたんですけど、合宿で会ってしゃべったらめっちゃいい子だし、笑ったらかわいいし、で、朝練だけ眼鏡かけてるんですよ、眼鏡のほうがかわいいんですよ!(取材も)眼鏡かけて来てほしかったんですけど(笑)。本当はもっとかわいいってことだけ言っておきます(笑)」
岡田
「佐野さんにしか言われないです(笑)」
佐野
「眼鏡めっちゃ似合うんですよ、(記事に)ちょっと書いといてもらって(笑)」
一同:(笑)
──岡田さんは文面取材も長文で書いてくださるので真面目だなという印象があります
岡田→柴田
佐野
「ないと思うんで次いっちゃって(笑)」
柴田
「いやいや(笑)尊敬してるとことか言って、長文で(笑)」
岡田
「柴田さんも顔怖かったので…」
柴田
「誰がやねん!(笑)」
岡田
「最初はめちゃめちゃ怖かったんですけど、洛南時代から面倒見てもらってて関わっていったらいい先輩っていう感じでした」
▲笑顔で紙を引く並川
──洛南と中大の似ているところ、違うところ(練習面、監督についてなど)
岡田
「洛南はけっこう基礎の練習をしてくれて、中大は発展の練習してくれるっていうイメージがあって、そこが相違点かなと思います。奥村(隆太郎)監督は自分はすごいいい監督だなって思います」
佐野
「まじでそう」
岡田
「一人ひとり面倒見てくださって指摘とかも的確で、藤原(正和)監督も同じだと思うのでどちらの監督もいい監督だなと思います、僕は」
柴田
「おいみんな同じこと思ってるって(笑)」
──藤原監督との雰囲気とかのちがいは
佐野
「奥村先生、めっちゃでかいんですよ。対面したときの圧みたいなのは奥村先生のほうがちょっとあるなって思いますけど、大学入ったら、(洛南は)もう卒業してるのでめちゃくちゃ優しいから、当時はちょっと話してて怖いなっていうのは奥村先生かもしれないです。でも言ってくれることとかはめっちゃいいことなので」
──監督からよく言われた言葉
岡田
「『異常はないか』」
一同:(笑)
岡田
「あいさつしに行ったら毎日『異常はないか』って言われます」
──何と答えるのか
岡田
「『はい』って(笑)。(異常が)あるって言ってメンバー外されたやついたんですよ」
佐野
「異常があっても『はい』って言うんですよ」
柴田
「そう。『はい』が正解やから」
佐野
「他なにかある?」
柴田
「あれじゃないですか、『三浦龍司をすごいと思うな』じゃないですか」
並川
「いや三浦さんはすごい(笑)」
柴田
「三浦さんはすごいよ(笑)」
佐野
「『三浦さんでもできるんだから同じ練習してるお前らもできる』みたいなこと言われるんですけどできるわけない(笑)」
──三浦さんは高校生の時から違ったのか
佐野
「全然違いました」
──具体的には
「高2くらいから急に伸びて、3000㍍障害とかも敵なしみたいな。急にジョギング速くなったんですよ。いつものジョギングが三浦さん最近速いなみたいな。その辺からポイントも一人でやるようになって強くなったのに、お前らもできるって、すごいと思ったら終わりって(笑)。いやすごいやんって(笑)」
柴田
「それがその後佐藤圭汰さんになって、2,3年後には岡田さんになるっていう(笑)」
岡田
「いや、柴田さんとか溜池さんもなりますよ(笑)。(柴田が)前に61分台出したときに、『柴田大地は61分台出したけどすごいと思うな』って言われました」
柴田
「ちょっとはすごいと思ってもらえてるんだ(笑)」
佐野
「(柴田は)けっこうすぐ調子乗るタイプなんで(笑)」
▲紙に書かれているテーマを読む佐野
──洛南時代のレースで印象に残っているもの
佐野
「都大路ですね」
柴田
「都大路ですね」
──皆さん都大路が印象に残っている
柴田
「佐野さんの、都大路ですね(笑)」
一同:(笑)
佐野
「都大路走るために洛南入ったのでみんなそれぞれ掲げてる思いはあると思いますけど…僕らがせっかく出した記録をすぐ次の代に抜かれたので(笑)それはちょっと悔しかったですけど」
柴田
「悔しくて?泣いちゃったんですよね~(笑)」
佐野
「こいつ(柴田)がずっといじってくるんですよ!先生としゃべってるときに横にこいつ(柴田)がいたんですよ、それで僕が泣いちゃってるところを見てて(笑)」
柴田
「それはもういじるしかないですよ」
佐野
「お前は最後の都大路でなんて言われたんだっけ?」
柴田
「僕ですか?『1区のせいでこうなった』」(2022年の都大路で1区を走った柴田は、区間12位に留まりチームは7位だった)
一同:(笑)
佐野
「最後それはやばすぎる(笑)」
──洛南時代の面白エピソード
岡田
「面白い話でいったら、奥村先生に骨伝導イヤホンをプレゼントしたんですよ、けっこう気に入ってくれたらしいんですけど、福岡クロスカントリーの大会があって帰り道に骨伝導イヤホンを付けてくださったんですけど、音漏れがすごくて(笑)。新幹線中に奥村先生の『Bling-Bang-Bang-Born』聞いてたのが響きわたってました(笑)」
一同:(笑)
佐野
「奥村先生それ聞くの?(笑)」
柴田
「それは面白いわ(笑)」
岡田
「骨伝導イヤホンから(笑)」
柴田
「(奥村先生は)『Bling-Bang-Bang-Born』と対局じゃない?(笑)」
佐野
「ちゃんと流行押さえてるよね(笑)」
──柴田さんの面白エピソードは
柴田
「僕が高校1年のときに何の大会か忘れたんですけど、レース終わりに先生と握手しながら泣いてる人がいたんですよ」
佐野
「それ俺や(笑)」
一同:(笑)
──岡田さんは何かあるか
岡田
「溜池さんが都大路で2位とった後の集合写真でメダル割った」
一同
「え~!」
佐野
「どうゆうこと?(笑)」
溜池
「なんか落ちたんですよ。ちょっと走っただけで落ちたんですよ。メダルが悪くないですかそれは」
一同:(笑)
佐野
「壊れたの?」
溜池
「壊れました(笑)」
柴田
「誕生日プレゼントでチロルチョコがけっこう入ってる箱のをもらってた人が、ちょっと誰だったか忘れたんですけど…まあ溜池さんなんですけど(笑)、京都駅から洛南まで1kmくらいの道のりで、学校ついたときにはなくなってたっていう(笑)」
佐野
「あとは、言葉使いがめっちゃ厳しいんですよ。略語とか禁止だったり、『今日』は『本日』って言わなきゃいけないんですよ。みたいなのは洛南と言えばかもしれないです」
柴田
「面白エピソードではないけどな(笑)」
佐野
「そうやな(笑)」
▲テーマを読む柴田(左)と溜池
──洛南メンバーの中で競技面以外でこれだけは負けないもの
佐野
「コミュ力ですね、僕は。一番面白いと思ってるので」
柴田
「でも性格が負けてます(笑)」
佐野
「だまれ(笑)」
岡田
「並川には負けるかもですけど、勉強は(笑)」
佐野
「勉強はさすがに無理だわ(笑)」
柴田
「1限寝て起きたら6限やぞ!(笑)」
一同:(笑)
──大学の勉強はどうか
岡田
「やっぱり難しいですね」
──並川さんが負けないものは
並川
「真面目さですかね」
──溜池さんは
溜池
「えー…」
──好きなものとかでも
溜池
「好きなもの…やっぱり人間として面白くないんで(笑)」
一同:(笑)
佐野
「何が好きなの?俺も知りたいわ」
溜池
「洛南メンバーというか、この全世界の生きてる人の中で自分の彼女が一番かわいいです」
柴田
「おー!いいっすねー!」
佐野
「俺らまったく関係ない(笑)」
──柴田さんは
柴田
「まじで生きてく力はたぶん一番ですよ。ぎりぎりにはいつもなるんですけど、いろんな人に支えてもらいながらですけど生きてく力はあります」
──無人島とか行ったら
柴田
「そうです!まじで生きていけます(笑)。頭はよくないですけど生きてく力はあるんですよ」
佐野
「こいつ(柴田)と小学生の時から一緒なんですけど、どこでも寝るんですよ(笑)。電車とかでも絶対寝るし、どれだけ揺れるバスとかでも寝るんで」
柴田
「バスは(つり革つかんで)立ち寝できます(笑)」
【中大陸上部同窓生対談/洛南高編】〈後半〉はこちら
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