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【特集・2024西湖合宿③】柴田大地(文2)吉中祐太(文3)

今年の箱根駅伝を13位で終えた中大陸上競技部。約1ヶ月後には2020年以来の箱根予選会、そして予選会の約2週間後には全日本大学駅伝を控える。今夏は高地トレーニングや距離を積ませる練習をより強化している。エース級の選手に中間層や下級生を加えた「戦える全体層の厚さ」がこれからの駅伝シーズンには不可欠な要素となってくる。西湖で夏合宿に参加した選手たちは今どのような思い、またプランを掲げてこれからの駅伝シーズンへと挑んでいくのか、インタビューを行った。【全5回】

第3回は柴田大地(文2)と吉中祐太(文3)。(取材は9月8日に行いました)


柴田大地(文2)

5月の関東インカレ3000m障害で2位、続く 6月の日本選手権でも堂々の学生歴代2位のタイムで2位の輝かしい成績を残した柴田。

 しかしながら、上半期について尋ねると「レースだけで見れば上手くいった期間だと思うが、練習面など、競技以外を見ると苦戦した時期が長かった」と振り返る。4月末に軽度の肉離れを経験し急ピッチで仕上げた関東インカレ。関東インカレで一区切りと考えていた3000m障害でターゲットナンバーに入り、約1か月前に出場が決まった日本選手権など、多くの経験をした前半シーズンであった。その状況下で結果を残した柴田について藤原正和駅伝監督も「さすが勝負強い」と評価した一方で、「年間通して(練習の)積み上げというところではできていない部分でもある」と今後の継続した練習をポイントに挙げていた。

▲見事2位を獲得した日本選手権

夏合宿前には「20㌔を走れる体をしっかりと作っていきたい」と目標を語っていた柴田。夏合宿について「トラックシーズンはトラックだけやっていたので、ロードでの距離走も8月になったタイミングはなかなか上手くいかなかったり、逆に9月にスピード練習となった時にワンテンポ遅れて対応出来なかったりして切り替えに苦戦した」と苦労を口にする。一方、「去年よりも距離を走れて、目的を持った練習ができている」と成長面も語った。

10月に箱根駅伝予選会を控える中大陸上部が狙うのはトップ通過。柴田は今後の取り組みについて「常にラスト5キロ、公園内に入ってからを意識して普段の練習から取り組んでいきたい」と話す。ホクレン後の取材では「61分台は必ず出して日本人トップ争いを目標にしていきたい」と意気込んでいた。

また、大きな大会は緊張をするタイプだというが「緊張はするものだと思っているのでそこに対してのネガティブな感情はあまりない」と大舞台に向けてのメンタル面についても明かした。

予選会の2週間後には息つく暇もなく全日本大学駅伝が行われる。「秋の連戦は今年始まったタイミングから分かっていたこと。そのために夏に日本選手権から学連の10000㍍とホクレンとの連戦をやっていたのでその流れで一本一本の質を落とさないようにしながら両方走れるようにしたい」と語り、経験から得た自信も垣間見えた。

今月末に行われるyogiboチャレンジで3000㍍障害にエントリーされている柴田は、来年の世界陸上も視野に入れている。「今年度は駅伝に向けて取り組むことが一番大事だが、来年度以降は(世界陸上を)大きな目標としてやっていきたい」と胸の内を語った。

▲ 合宿中の柴田(写真右)、岡田開成(左)

「自分の中でレースでの安定感が誇れるところなのでそこを見て欲しい」と述べた柴田には憧れの先輩がいる。「湯浅仁さんのように何区であっても、どんな順位や展開であってもゲームチェンジをし、チームに良い流れを持っていけるような走りを目指したい」。

成績を着実に残しながらも現状に満足せず、常に向上心を持ち続ける柴田の経験や努力は、駅伝シーズンの大きな糧となる。

 

吉中祐太(文3)

昨年、全日本大学駅伝で三大駅伝デビューを果たすなど大きな飛躍を見せた吉中。今期はここまで、7月に開催された中大記録会で1500㍍の自己ベストを更新。さらにホクレン千歳では5000㍍で自己ベストに迫るタイムを出すなど、駅伝シーズンへ向けて状態の良さをうかがわせている。

▲吉中(右)と長嶋翔太(総3)

好記録は苦難を乗り越えた先にあった。「去年の12月、箱根駅伝前に左のアキレス腱をけがして、2月くらいに右のアキレス腱をけがして、『ちょっと、もう陸上辞めたいかな』っていうぐらいまで落ち込んでいました。大石さんとかに面倒を見ていただいて走れるようになったので、感謝ですね」と語り、5月まで苦しい時間が続いた中で見せた自己ベストだと明かした。ホクレンの5000㍍についても昨年より短い練習期間で挑んだが、「大石さんに練習メニューを立ててもらって、『13分50秒切れれば100点』と言われていた。13分45秒までいけると思っていなかったので、意外とタイムが出てびっくりだなという感じでした」と、さらなる自信へとつながったレースになった。

復活を遂げたトラックシーズンから駅伝シーズンへ。合宿では「距離の克服」を目指した。以前から距離に対しての不安を語っていたが、「合宿で距離を踏んで、苦手な感じ・不安とかそういうのは無くなった」と語るほど自信をつけた様子だった。走り込みによる疲労の影響もあり、思うように体が動いていないというが「距離を踏む・ハーフに向けて土台を作るという点では、けっこうできたかなと思う」と、長い距離への適応へ着実に進めている。夏合宿で意識している選手を問うと、伊東夢翔(経3)を挙げた。「調子良く走れているので負けたくないと思って練習している。練習を外さないというか、ポイント練習をやっているなかで、距離も自分と同じくらい走っている。本当に強いと思う」と、選手間で選出する合宿MVPにも選ばれた伊東へ対抗心を燃やした。

▲二年連続の出走となったホクレン千歳

開催まで一か月を切った箱根駅伝予選会、その後の全日本大学駅伝・箱根駅伝本戦に向けて、「できるだけ全部走りたい。去年は短いスパンでレースに出ていたのでうまく対応できると思っています」と意気込む。昨年出走がかなわなかった箱根駅伝への思いを尋ねると「前回大会はエントリーされたのにけがで走れなかった。今年こそは走りたいという気持ちで練習してきたので、何とか走りたい」と強く語った。下級生も多く台頭しており、駅伝へ向けて校内選考は激しさを増す。厳しい争いを勝ち抜き、箱根路で輝く姿を見せつけるため、駆け抜ける。

(取材、記事:遠藤潤、土屋日向)