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【箱根駅伝直前特集2024/戮力協心】 第4回 浦田優斗(経3)× 吉中祐太(文2)


連載・戮力協心

3冠を掲げて臨んだ三大駅伝は、出雲駅伝7位、全日本大学駅伝4位という結果に終わった中大。残るチャンスは箱根のみ、「戮力協心」で悲願の優勝へ―。大会を目前とした選手たちは何を思い、何を目指すのか。

第4回は、今期トラックレースで躍進し三大駅伝デビューを果たした浦田優斗(経3)、吉中祐太(文2)。「中間層」から「エース格」へと成長が期待される二人に、ここまでのシーズンを振り返り、箱根駅伝への思いを語ってもらった。(取材は12月3日に行いました)

 

今シーズン、ここまでを振り返って

──現在のコンディションは

浦:箱根まで1ヶ月ということで少しずつ実践的な練習も取り入れつつ、調子の方もかなり上がってきているかなという感じです。まだ箱根まで1ヶ月あるので今はまだ絶好調にはならないように練習している感じです。

吉:自分はMARCH(対抗戦)であまりいい走りができなかったんですけど、そこからうまく気持ち切り替えて箱根の20キロの距離に対応できるように、今は絶好調ではないですけど箱根に向けての練習期間ということで状態的にはいい感じで走れています。

──吉中さんは3月の中大記録会で初の28分台を出されて、その時に関東インカレの5000メートル入賞したいと言い、実際に8位入賞。ご自身で今年一年振り返ってどうか

吉:前半、関東インカレの5000メートル入賞が目標でそれを達成できて、駅伝シーズンは出雲・全日本・箱根の三本を走りたいって思っていたんですけど出雲は調子合わなくて走れなくて、出雲走れなかったところが悔しいというか、概ね自分の目標にしていたタイムだったり目標は達成できたんですけど出雲走れなかったところは悔しかったなと思います。

──浦田さんは3000㍍障害をメインでやられて日本選手権に出場。今年のトラックシーズンを振り返ってどうか

浦:上半期は3000㍍障害をメインでやらせてもらって関カレ(関東インカレ)では2位で優勝には届かなかったですけど、表彰台に乗るっていうことは達成できてよかったですし、日本選手権では納得いく走りはできなかったですけど出場できたっていうのは去年より一つ大きな進歩だったと思います。下半期に関してはトラックレースに出てないので、箱根に向けてっていう意味でトラックレースに出ないっていう選択肢をしてることに対して全く後悔というか間違いではないかなと思っているので、下半期はトラックレースに出ないという決断をしました。

──二人ともトラックで活躍されたが、トラックレースから駅伝・ロードへの移行という点で苦労は

浦:練習とかでトラックを使う機会っていうのはロードシーズンに向けて減ってはいるので、自分はそこまで変化というかフォームとかも変えなくてもロードにスムーズに移行できたかなと思います。

吉:自分もトラックからロードは苦労しなかったんですけど、全日本終わってMARCHってなってロードからトラックっていうところは難しかったかなと思います。

▲今期トラックレースで躍進した浦田

──今シーズンのベストレースは

浦:ホクレンの5戦目の千歳で自己ベストを出せた時のレース。狙っていたほどのタイムではなかったんですけど自分のレースができたというかラストスパートも今までで一番上がることができて組トップも取ることができたのでそのレースが一番流れに乗れたというか良かったレースだと思います。

吉:自分も浦田さんと同じ千歳。関カレも印象に残っているんですけど千歳は1年間で13分45を切ろうっていうのを目標にしてて13分45を切れたのですごい印象に残っているというか良かったと思います。

──今シーズンここまでの得点をつけるなら

浦:60点くらい。上半期は90点くらいつけてもいいかなと思うんですけどその後、出雲でひどい走りというかチームに迷惑をかけてしまう走りになったので30点引いて60点くらいだと思います。

吉:70点くらい。同級生の溜池(一太、文2)や吉居駿恭(法2)がトラックでいいタイム出して駅伝でしっかり走ってて、負けたくないというかライバル意識を持っているので負けた気がしてー30点ですね。

──7月の中大記録会後に取材した際には、同年代の溜池さん・吉居駿恭さんについて「2人が抜き出ているので頑張って追いつきたい」話していたが、吉中さんは全日本に出場されて区間4位で走った。二人との差について意識が変わったところは

吉:全日本だったら溜池がインパクトのある走りをして駿恭も1区で3番でいい走りしてたと思うんですけど自分はそこまで目立たない感じだったので、差は開いたとかは思わないですけど先行っちゃったなっていう感じはするので箱根は自分がそれくらいインパクトのある走りをしたいなと思いました。

▲全日本で三大駅伝デビューを果たした吉中

初めての三大駅伝

──二人とも初めての三大駅伝、今振り返って

浦:自分は今シーズンずっといい流れで来ていたんですけど、出雲は自分の持ち味が全く出せなかったというか、体の調子もそうですし三大駅伝というプレッシャーに負けてしまった部分も大きかったと思うので苦い経験になりましたけど、一度三大駅伝のプレッシャーを経験できたっていうのは絶対、箱根で三大駅伝デビューっていうよりも精神的にかなり余裕が持てるというか大きな経験にはなるかなと思います。

吉:やっぱり初めての三大駅伝で緊張した部分もあって前半から前に追いつかなきゃと思って突っ込んで、中盤苦しい走りになって順位は一つ上げれたんですけど自分の思い描いていたレースはできなかったと思います。

──三大駅伝の区間(浦田:出雲1区、吉中:全日本6区)はどのように決まったのか

浦:自分はもともと1区の予定ではなかったんですけど吉居(大和、法4)さんが出走できる状態ではないということで、1区お前で賭けるからと花田コーチに最初言われて、その後(藤原正和駅伝)監督にも言われて自分の志望した区間ではないですけど「1区でお前で賭けに出るしか勝ち筋はない」と言われたので覚悟を持っていったという感じです。

吉:自分は花田コーチから走るなら6区だよと言われていて、最後の大きい練習で監督から6区に行こうかと言われて6区になりました。

──自身の強みは

浦:可能性を感じられる走りというか自分に限界を作らない走りができるかなと思っていて、いい意味でも悪い意味でも無茶ができるというか。自分自身に限界を作らないのが強みかなと思います。

吉:自分は安定感とラストのスパートっていうところが強みだと思っています。

──お互いの走りについてどのような印象をもっているか

浦:上半期はほとんど一緒の流れでやってきて吉中は安定感が自分から見たらチームトップくらいあると思っていて、吉中くらい安定感が出せるようにしたいなと思います。

吉:やっぱりリミッターを感じない、いい意味でも無茶できるということがすごいと思っていて、ホクレン千歳のレースを見てたんですけど普通は自分だったらラスト400とか300とかでいくところが500とかからいってそのまま行き切る、リミッターを感じない走りというのはすごいと思います。

「エース格」への道

──監督が『中間層』としてよく二人の名前を挙げていたが、『エース格』になる為に何が必要か

浦:今の段階でエース格の人たちに勝っている部分は一つもないかなと思っていて、底上げというか自分のステータスを全てもう一段二段上げていかないと今のエースを張っている人たちには追いつけないかなと思っているので、レースの爆発力や安定感も一段じゃ足りないので二段三段上げていく必要があるかなと思います。

吉:練習をエース格の人とやったりしているんですけど同じ練習だけはダメというか、プラスで補強トレーニングだったり、その人たちと同じことをしていてもダメだと思うのでそういうプラスのことをしていかないと差は埋まらないかなと思います。

──二人とも上級生という立場なるが、意識の変化は

浦:自分は競技面で引っ張っていく立場にならきゃいけないなっていうのが一つあって、けがとか多くて別の流れでやらせてもらうことが多かったんですけど、やっぱり最上級生になるので合宿とかでは全体のメニューにしっかり参加して、前を引っ張っていかないといけないなと思っています。

吉:三年生でやっぱり四年生を支えなきゃいけない立場もありますし、下級生の二年生、一年生も引っ張っていかなきゃいけないと思うので、難しい立場ですけど競技面だったり普段からの声かけだったりを今よりももっと細かく先輩後輩にできるようにやっていかないといけないなと思っています。

最初の印象は“やばいやつ”⁉

──お互いの初対面の印象は

浦:なんか僕、吉中は新入生がみんな来る宮崎合宿に来てなくて、一人地元で遊びまくってるやばいやつがいる(笑)ってなっていたので、その時吉中は走れてなくて「一般人が一人来るぞ」みたいな話題になっていたので、面白いやつ来るんだなっていう風に思ってましたね。

吉:浦田さんの同級生から浦田はやばいやつだよってことを聞いていて、ちょっとおもしろそうだなって絡みに行ったのはすごい覚えてますね。

──実際やばかった?

吉:いや、その時はやばいとは思わなかったですけど

浦:その時は?(笑)

──そこから印象の変化は

浦:自分は入学前の段階では、やばいやつだって聞いていたので(笑)ストイックで真面目だなと思います、今は。

吉:そうですね、この生活していくにつれて最初の時に感じなかった優しさだったりとか(笑)話しやすさはありますね。

──同期の雰囲気は

浦:三年生はみんな優しくて仲のいい雰囲気もかなりいいと思うんですけど、優しすぎるがゆえにあんまり強く言ったりする学年ではないので、来年チームを引っ張るっていう存在になるうえで、もうちょっとこう、なんですかね喧嘩するくらいというか意見のぶつかり合いも必要かなと思ってて、でも最近のミーティングとかでは結構言い合いというか本音で意見のぶつかり合いとかも出てきているので一つ学年の雰囲気としてもよくなってきたかなと感じてます。

吉:二年生は、仲はいいですけどミーティングとかなると結構厳しい意見も出たりしますし、オンオフっていうか仲いい時はいいけど厳しい時は厳しい、そういうオンオフがしっかりとしている学年なのかなと思います。

──自分の性格について

浦:自分は怠惰ですね。めっちゃめんどくさがりで、本能のままに生きてるというかマイペースに生きている感じですかね。

──(吉中さんに)感じますか?笑

吉:めちゃめちゃ感じますね(笑)

──長所はどのようなところ

浦:そんなに気分が落ち込んだりとかはないというか、常に楽しく生きていられていることが長所かなと思います。

吉:自分は意外と負けず嫌いかなと思っていますね。ポイント練習で集団から離れちゃったりしたら、夜いつもより眠れないというか悔しいなと思って寝れなくなったりするので、意外と自分負けず嫌いなんだなと最近思ってますね。

──座右の銘は

浦:ないですね

吉:自分はいつも下剋上、アンケートとかで聞かれたら書いてますね。大学入って春先すぐケガして、下のチームからスタートだったので上を食ってやろうっていうのがあったので、下剋上を掲げさせてもらってます。

「自分たちが100%の力を出す」

──出雲・全日本と駒大勝っているが、駒大に勝つために必要なことは

浦:今の駒澤に勝つには多分10人全員が100%の力を出さないと始まらないくらいのレベルだと思うので、しっかり自分としては箱根で持ってる力を100%出せるような準備をしていきたいと思っています。

吉:駒澤大学さんめちゃくちゃ強いんですけど、今浦田さん100%の力出すことが大切って言ってたんですけど、自分も同じで残り1か月相手を意識するのではなく自分たちがいかに100%の力を出せるかっていうところに注力していくことが大切だなと思っています。

──希望区間や目標タイムは

浦:自分は6区です。

吉:自分は7区・9区・10区で変わらずです。

──箱根はどのような舞台か

浦:やっぱり大学の陸上で一番目標とされる大会だと思いますし、自分にとっても一年で一番大切な大会です。

吉:中学校から見てきた大会で憧れの舞台でもありますし、今まで支えてくださった方に感謝を伝えられる場所かなと思っています。

──箱根駅伝への意気込みをお願いします

浦:自分の希望する6区って自分の性格にマッチしているというか先のことを考えずに突っ込める選手が結果を出せる区間だと思うので自分の限界を感じさせないような走りを見てほしいと思っています。

吉:自分はまだどこ走るかわからないですけど、総合優勝に意識を向けて魂のこもった熱い走りをしたいと思っています。

▲箱根駅伝への意気込みを掲げる二人

初の三大駅伝では本来の力を発揮できず悔しい思いをした二人にとって、その悔しさを晴らすことのできる残された機会は箱根路しかない。箱根駅伝初出走、そしてチームの総合優勝へ向けて気合は十分だ。

 

(取材:二村沙羅、遠藤潤、構成:遠藤潤)

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