• Twitter
  • facebook
  • instagram

「少し怖くなっていた」過酷なコンディションに苦しむも、ルーキーの活躍で本戦出場を決める─第101回東京箱根間往復大学駅伝競走予選会

2024年10月19日 東京都・陸上自衛隊立川駐屯地~立川市街地~国営昭和記念公園(21.0975km)

箱根駅伝出場を懸けた43大学による予選会が行われ、中大は98回目の出場を決めた。各チームのエントリーメンバーから12人がハーフマラソンを走り、上位10人の合計タイムで10枠を競うなか、10時間56分03秒で総合6位に入った。


チームの核を担う吉居駿恭(法3)、溜池一太(文3)、柴田大地(文2)が欠場、1年生が5人エントリーという大胆なオーダーで臨んだ今大会。13位という結果に終わった前回の箱根駅伝本戦から中間層に大きな成長が見られ、トップ通過に期待が懸かっていた。しかしながら、激しく照り付ける日差しと30度近い酷暑が選手の体力を蝕み、チームの底力が試される苦しいレースとなった。

9時35分、澄み渡る青空に鳴り響く号砲とともに、12人の選手たちは決戦の舞台へと飛び出した。レース序盤は、「岡田と2人で日本人トップ集団で行く予定だった」と白川陽大(文3)が岡田開成(法1)とともに積極果敢に歩を進め、その他の選手が後方に続く形をとる。5km地点では外国人留学生を中心とした集団が14分前半で通過。白川、岡田がけん引する日本人2位集団は15分0秒台と例年に比べて30秒前後の遅いラップを刻み、高い気温の影響は早くもレース展開に影響を及ぼし始める。

▲日本人2位集団を引っ張る白川

▲ルーキーながら攻めの走りを見せた岡田

日本人トップを独走する吉田礼志(中学大)を追いかけて、白川と岡田が29分台で10kmを通過。他の選手もそれぞれで集団を形成して、30分40秒前後と盤石のレース運びを見せると10人の通過順位は3位に。勢いをそのままに本戦出場を勝ち取りたい中大だったが、後半戦に待ち構える立川の悪魔はまさかをもたらした。

▲後続の選手たちは集団を形成してペースを刻んだ(手前:佐藤、左奥:原田、右奥:並川)

▲単独走が続くも粘りを見せた鈴木

阿部陽樹(文4)、佐藤大介(文1)、原田望睦(文1)らの集団を引っ張っていた山平怜生(法4)は「10km以降から一気にきつくなってしまった」と吉中祐太(文3)とともに急激に失速し、16分前後までラップを落とす。また、並川颯太(法1)、伊東夢翔(経3)、佐野拓実(経4)や七枝直(法1)も後方で単独走を強いられる苦しい展開に。

▲山平は10km以降急激にペースを落としてしまった

▲厳しいコンディションのなか、必死に歩を進める佐野

▲七枝のハーフマラソンデビュー戦はほろ苦い結果に

他大学が着実に追い上げを見せるなかで、自チームの選手が暑さに苦しむ状況に「後半少し怖くなってきた」と当時の心境を吐露した原田だったが、「後半身体が動いて、自分のペースで押して行けた」という言葉通りの粘走を見せ、日本人5位の白川、岡田、阿部に次ぐチーム内4位でフィニッシュ。佐藤も同5位で初のハーフマラソンを終えた。

▲4年生としての矜持を覗かせた阿部

▲ロードの適性を示した原田

▲吉中も自身の力を発揮することができなかった

トップ通過を目標としていたなかで総合6位に終わり、今後に向けて一抹の不安を残した半面、「1年生はタフさで戦えるのかというところで不安だったが、みんな力通りちゃんと頑張ってくれて良かった」と山本亮コーチは評価した。2週間後に控える全日本大学駅伝や総決算の箱根駅伝へ向けて、ルーキーたちはいかにして新紅の挑戦に彩りを加えてくれるのだろうか。今後の活躍からも目が離せない。

◆大会結果◆

総合順位

①立大 10時間52分36秒
②専大 10時間53分39秒
③山学大 10時間54分06秒
④日体大 10時間55分58秒
⑤中学大 10時間56分01秒
➏中大 10時間56分03秒
⑦日大 10時間56分53秒
⑧東国大 10時間58分53秒
⑨神大 10時間59分12秒
⑩順大 11時間01分25秒

個人順位

⑰白川陽大(文3) 1時間03分58秒
㉔岡田開成(法1) 1時間04分28秒 PB(初)
㊱阿部陽樹(文4) 1時間04分58秒
㊵原田望睦(文1) 1時間05分01秒 PB(初)
㊼佐藤大介(文1) 1時間05分09秒 PB(初)
103鈴木耕太郎(法2) 1時間05分55秒
126並川颯太(法1) 1時間06分12秒 PB(初)
133山平怜生(法4) 1時間06分22秒
139吉中裕太(文3) 1時間06分26秒
218伊東夢翔(経3) 1時間07分34秒
259佐野拓実(経4) 1時間08分24秒
324七枝直(法1)  1時間09分50秒 PB(初)

◆コメント◆

白川陽大(文3)

──自身の走りを振り返って

今日は突破することが最低限必要だったので、貢献出来て良かったですし、自分で落としてしまったシードだったので、責任もって回収できて良かったです

──本戦が決まって率直な感想

決まったのは嬉しいですが6番目ですし、まだまだ課題はあるかなというのが正直な感想です

──全日本大学駅伝、箱根駅伝に向けて

ここにいない青山学院大学や駒澤大学、國學院大學とかの強いチームがいるので、僕たちは挑戦者としてガンガン攻めていけたらなと思います

 

岡田開成(法1)

──レースを振り返って

自分としてはもっと行きたかったんで。ラスト上げれなかったというのは悪かったですけど、最低限まとめることはできたので、そこは良かった点かな

──全日本大学駅伝、箱根駅伝に向けて

6位通過ではあったんですけど、スタートラインは他の大学と一緒なので、全日本でも箱根でもその他の大学と戦っていけるように頑張りたいと思います

 

阿部陽樹(文4)

──レースを振り返って

自分個人としては暑さもあったので、タイムではなくて順位の目標で30番前後を目指していたんですけど、たぶん自分が40番前後だったので、もう少し後半に順位を上げていきたかったなっていうところがあります

──全日本大学駅伝、箱根駅伝に向けて

まずは2週間後の全日本に向けて、ここからチームを切り替え立て直して、向かっていくっていうのと、もちろん本戦も10人で戦っていかなくてはならないので、よりハーフの距離対応というところをしていって、個人としては区間賞を目指せるような走りをしていきたいと思います

 

原田望睦(文1)

──レースプランは

山平さんや吉中さんが作ってくれた集団についていく形で行ったのですが、結構暑さでみんなやられてしまって、後半少し怖くなってきたんですけど自分のペースで押していけて、後半も結構身体が動いてくれたのでそれはよかったです

──全日本大学駅伝、箱根駅伝に向けて

やっぱり中大は優勝候補と言われているので、本当に自分もそうですけど、チーム全体として目標に向けて強くなっていけるように頑張りたいです

 

佐藤大介(文1)

──良かった点と悪かった点

良かった点としては、自分が想定していた順位で走れたところですが、全然最後で追い上げきれなかったし、学内3番以内を目標にしてやってきたんですけど、それができなかったっていうのが1番悔しいです

──箱根駅伝に向けて

まずは確実にメンバーに入ること。まずは2週間後の全日本に向けてリカバリーして、いい走りをすることで箱根につなげられて、箱根でもチームに貢献できる走りができればと思います

 

鈴木耕太郎(法2)

──沿道に浦田選手がいたが声掛けなどは

声掛けはちょっと聞こえなかったんですけど、とりあえずいるなっていう。でもやっぱり中大の誰かが声を掛けてくれるだけで結構力になりました

──箱根駅伝に向けて

まだ力的に確定で走るみたいな力はないので、そこに向けてもう1回作り直して、その前に全日本でアピールして、箱根でしっかり区間が任されるような選手になれるように頑張ります

 

並川颯太(法1)

──レースプランは

僕は中大のなかで最後尾のグループでレースを進めていくっていう計画だったので、最初は自重して公園内は後ろの集団で走っていたんですけど、10km過ぎて余力があったので中大のもう1個前の集団に追い付こうと思っていて。ちょっとペースを上げて追いついたんですけど、そこで力を使っちゃって、後半失速しちゃったっていうので、ちょっと悔いが残ります

──良かった点と悪かった点

良かった点は無くて、反省点ばかりでした

──全日本大学駅伝、箱根駅伝に向けて

まあすぐに全日本がありますし、ここで一喜一憂して、足踏みしていたら到底勝つことはできないので、やっぱり自分の今回の結果はしっかりと受け止めてまた全日本に向けてやっていきたいです

 

山平怜生(法4)

──レースを振り返って

10km以降で一気にきつくなって、あまり粘れなくて、ちょっとあまりいいレースではなかったかなと思います

──指導陣からの声掛けは

本当に夏結構練習をやってきて、予選会から出たチームの中で一番練習をしたから、自身を持って走るようにというふうに言われたので、みんな自信を持って走れたかなと思います

──箱根駅伝に向けて

やっぱり今日の結果は決していい結果ではなかったので、そうですね。11月、12月ともう1回鍛え直して箱根も20km以上の距離になるので、しっかり距離も追いつつ質も追いつつ。あとは体調管理を徹底して箱根に向かっていきたいなと思います

 

吉中祐太(文3)

──レースを振り返って

暑さもあったんですけど、自分の力をしっかり発揮できなかったレースだったなっていうのは第一に感じたところです

──箱根駅伝に向けて

前回大会でエントリーしていただいて走れなかったので、今年こそは走れるようにここからもう1回頑張りたいと思います

 

伊東夢翔(経3)

──レースを振り返って

本当にチームに助けられたというか、白川と岡田が(貯金を)稼いでくれて、もう少し自分も最終ラインとしてもっといいタイムで上がりたかったんですけど、そこが粘れなかったっていうのがあるかなって

──声援がたくさんあったが

いや、本当にありがたくて。しんどい中でもペースを落とさず走れたのは本当にきついところで応援があったからだと思うので、ありがたかったです

──箱根駅伝に向けて

そうですね。夏はやれてきていたので、そこは自信を持ちつつ、ただ結果に結びついていないところは何かしら変えないといけない部分があると思うので、そこをスタッフの方と相談しつつ、しっかり変えていって、本戦を走れればって思っています

 

佐野拓実(経4)

──レースを振り返って

チームとしては本当にトップ通過を狙って目標にしていたので、少し叶わずに悔しい思いと力不足を痛感したんですけど、ここで1つ、5位で本戦の切符を得られたっていうのは良かったかなと

──レースプランは

最終ラインの集団で走るっていうプランでペースを守って後半ビルドアップしていくっていうプランだったんですけど、予定よりちょっと早く5km入っちゃって。レース中に気温が上がっていく厳しいコンディションの中で、少しずつ苦しくなっていく感じで理想の走りはできなかったです

──指導陣からの声掛けは

落ち着いて入って、直前まで体を冷やしておけよっていう風に指示はいただきました

──箱根駅伝に向けて

箱根で3位以内、メダル獲得というところを目標にしてるので、今までとやるべきことはそんなに変わらないと思います。 全員が今までやってきたことを当日に発揮する力をもっとつけられるようになれば、自ずと結果はついてくると思いますので、日々の練習からちゃんと試合を意識してイメージして走ることが大切です

 

山本亮コーチ

──レースを振り返って

6位通過できたのでOKだということと、今日は暑いっていうのも天気予報で皆さんも知っていたと思うんですけど、わかっていたのでいかにスピードっていうよりもタフネス、いかにタフさで戦えるのかっていうところだったので、1年生がいっぱいいるからそこが少し不安だったんですけど、みんな力通りちゃんと頑張ってくれて良かったと思いますね

──チームの目標は

もちろんトップ通過が目標だったんですけど、こういう暑いコンディションはやっぱりそういう、なんていうか、計算通りタイム設定が上手くいかないんで、やっぱりいかにそこに崩さずにいくかっていう、順位よりも本当に走りの内容をきちっと崩さないようにするっていうそっちに集中してました

──全日本大学駅伝に向けて

前回4位なんで1つでも上を取る、3位以内に入るっていうのがひとまず目標ですね

 

大石港与プレイングコーチ

──レースを振り返って

立教さんがすごい強かったなっていう印象なのと、中大はちょっと苦戦したところもありますが、通過してよかったなというのが中大に対しての印象で、予選会全体としては予選会を通過するということは難しいことなんだなっていうか、元々の記録のランキングではうちのチームが一番ではありましたけど、他大の当落線上の争いを見ても、厳しかったなという気はするので、予選会を戦うっていうのがすごく難しいことなんだなっていうのが他大の結果も見て感じたことです

──中大の戦略は

岡田と白川に関してはフリーで、日本人キャプテンのところ、中央学院の吉田くんも力があるんですけど、それこそどれくらいのところでいけるかっていうのも個人の判断に任せる、最終ラインはしっかり引っ張ってもらって、後ろは2つの集団でレースを組み立てていくっていう戦略でした

──全日本大学駅伝に向けてはどのような練習を取り組むのか

今日走ったメンバーに関してはまだダメージが残っているので、そのケアを大切にしなきゃいけないのと、あとは今日外している選手が何名かいますのでどう合わせていくかっていうところで、どれだけフレッシュなメンバーを使えるかが大事な気がするので、どちらにせよ今日出た選手には練習内容をちょっと抑えながらリカバリーしてもらって、全日本一本の選手に関してはしっかり骨のある練習ができたらなと思います

 

(記事:日向野芯、藤本佳野 写真:大日方惠和、酒井奏斗、松岡朋希、功刀萌恵、小林陽登、山﨑響、大畠栞里、要明里沙、片岡芹菜、土屋日向、波多江紗希、比留間柚香、二村沙羅、琴寄由佳梨、村野風珈、遠藤潤、日原優、井口縁)

公式X(@chudaisports
Instagram(@chuspo_report