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「俺たちもやれる」 “泥臭さ”で勝ち取った10年ぶりのシード奪還劇(監督・出場全選手コメント)―第53回全日本大学駅伝

▲当日発行の本紙号外(写真提供・全日本大学駅伝事務局 ‎@daigaku_ekiden

◆大会結果◆
総合結果
①駒大  5時間12分58秒
②青学大 5時間13分06秒
③順大  5時間14分20秒

個人結果
1区 9.5km
吉居大和(法2)27分05秒 区間2位=区間新

2区 11.1km
阿部陽樹(文1)32分43秒 区間12位

3区 11.9km
中野翔太(法2)34分30秒 区間9位

4区 11.8km
助川拓海(経3)34分51秒 区間13位

5区 12.4km
三浦拓朗(商4)36分19秒 区間3位

6区 12.8km
山口大輔(文1)38分54秒 区間11位

7区 17.6km
中澤雄大(経3)53分14秒 区間8位

8区 19.7km
手島 駿(商4)59分30秒 区間5位

展望記事(11/5更新)
区間エントリー発表! 中野「区間賞を取ってチームを勢いづけたい」ー全日本大学駅伝展望

結果記事(11/7更新)
全員駅伝でつかんだ10年ぶりのシード 名門復活への第一歩踏み出すー第53回全日本大学駅伝


「『俺たちもやれる』という成功体験」

藤原正和 駅伝監督

──大会を振り返ってのご感想と8位という結果についての受け止めをお願いします

9大会ぶりの参加ということで、新たな一歩を刻もうとチーム全体でここに向けて作ってきました。年間のチーム目標として8位シード権獲得を目指していましたので、難しいチャレンジの中でしたが目標を達成出来たことに大きな喜びを感じています。

──区間配置の意図とそのポイントとなった箇所はどういったところでしょうか

駅伝経験の少ないチームですので、まずは出遅れずに前でレースをする事を念頭に組みました。4区に助川を配置したのは、来年のチームの主軸に成長させるにはこの難しい区間でレベルの高い選手と競ることが必要と考えました。4区終了時点でシード権圏外までの遅れを想定していましたので、5区に三浦を配置しジャンプアップを狙いました。7・8区は単独走でスタミナを試される区間ですので、安定感のある中澤・手島を早くから選んでいました。6区に関しては東海林の予定でしたが、直前の状態で山口を選びました。

──2区以降は終始8位~11位付近で展開しました。レース中の戦略的な部分についてお聞かせ願います

6〜8位のラインを常に意識するよう指示しました。阿部・中野翔・助川がもう一段強くなる為にはこの区間に出てくるレベルの選手達と競り合う事が当たり前になっていかねばなりません。その意味では多少チームとしてビハインドを背負ってでもチャレンジさせようと考えました。それぞれ想定タイムから30秒ずつ遅れたので、その分順位としては下がった形になりました。
箱根予選会もありましたので、8位獲得は難しいかもしれないが、駅伝は何があるか分からないし培ってきた我慢強い走りを繋いでいければチャンスは出てくるとメンバーには伝えていました。中澤・手島まで繋げば何とかしてくれると自信はあったので、前を追って勝負してくれ良かったです。

──2カ月後に箱根駅伝で戦う関東勢とのシード争いも演じました。指揮官から見て、今大会で得たものや今後に繋がるものはどういった部分でしょうか

全日本の場でしっかりと泥臭い駅伝が出来た事が大きな収穫です。8位にも入れ、選手にとっては俺たちもやれるという大きな成功体験になったと思います。

──最後に、いよいよ箱根駅伝まで2カ月を切りました。目標と意気込みをお願いいたします。

全日本8位ということで大きな自信にはなりました。しかし箱根はまた別物です。山対策等も抜かりなくやっていきます。残り50日強を箱根本戦への練習に費やし、目標に掲げる5位を達成出来るようチーム全員で戦っていきたいと思います。

「区間賞を」 箱根ではリベンジ誓う

1区 吉居大和(法2)

──今大会をチーム全体、個人で振り返っていかがですか

チームとしてはシードを目標にしていたので達成できて非常にうれしいです。個人では区間賞を狙っていて、自信のあったラストで競り負けた事は悔しさが残っているので、これからの課題が見つかったと思います。

──今大会、どのようなレースプランでしたか。また、監督からはどのような指示がありましたか

区間賞を目指したいと相談していました。自分の行けるタイミングで行けと言われていました。

──ラストスパートはどのタイミングで仕掛けるか決めていましたか。また、実際にはどうでしたか

ラスト2kmで突き放したい気持ちがありました。前に出ましたが、ロングスパートでラスト2km勝ち切る強さが足りませんでした。

──仙台育英時代の同期である東海大の喜早選手と同区間でしたが、何か話したり意識した部分などありましたでしょうか

頑張ろうと声は掛け合いましたが、レース前ということもありお互い集中していたので多くは話さなかったです。

──箱根駅伝に向けた目標と意気込みをお願いします

チームとしてシード権獲得と個人としては区間賞を目指します。

他大主力相手に「少しでも耐えて」

2区 阿部陽樹(文1)

▲2区・阿部(写真提供・全日本大学駅伝事務局 ‎@daigaku_ekiden

──今大会をチーム全体、個人で振り返っていかがですか

チーム全体としては、目標であったシード権を獲得することができて良かったですが、個人としては他大学のエースとの力の差を改めて感じたのでこれからその差を少しでも縮めていきたいと思います。

──2区への起用でしたが、監督からどのような指示がありましたか

吉居さんが先頭で襷を持ってくると想定されたので、焦らずに自分の力を発揮するようにとのことでした。

──2位でたすきを受けました。どのようなことを考えて走り出しましたか

後ろから強い選手が追いついてくることは分かっていたので少しでも耐えて、前の人が見える位置で襷を渡すことを心がけました。

──他大学のエース級の選手たちとのレースとなりました。見つかった課題はありますか

細かいペースのアップダウンがまだ苦手だったのでより、タフな練習が必要だと思いました。

──箱根駅伝に向けた目標と意気込みをお願いします

全日本で見つかった課題を克服し、より強くなって箱根でもシード権を獲得できるように走っていきたいです。

「もっと爆発力のある走りを」

3区 中野翔太(法2)

▲3区・中野㊨(写真提供・全日本大学駅伝事務局 ‎@daigaku_ekiden

──今大会をチーム全体、個人で振り返っていかがですか

全体としては、8位でシード権を獲得することができたので良かったです。
個人では、最低限のことはできたと思いますが、なんともいえないようなレースをしてしまったことがとても悔しいです。

──8位と数秒差でたすきを受けました。どのようなことを考えて走り出しましたか

自分の順位のことはよくわからずに走っていたので、とにかく前を追っていこうという気持ちでした。

──今大会で見つかった収穫、課題はありますか

前半で前の集団に追いついてから抜き去ることができませんでした。そこまでの力がないことがわかりました。もっと爆発力のある走りができるようにしていきたいです。

──箱根駅伝に向けた目標と意気込みをお願いします

あと約2ヶ月あるので、自分の体と相談しながら、できることをやっていきたいと思います。

箱根では「今回のリベンジを」

4区 助川拓海(経3)

──今大会をチーム全体、個人で振り返っていかがですか

チームとしては9年ぶりの出場でシード権獲得の目標を達成できたので特に振り返ることはないです。しかし、個人としては区間13位に沈んでしまい目標タイムからも50秒遅れてかなり反省、課題点の多い駅伝になりました。

──東洋大、駒澤大と数秒差でたすきを受けました。どのようなことを考えて走りましたか

東洋の石田(洸介、1年)選手には無理に追いつこうとせず自分のリズムで走りました。駒澤の選手も追い付かれるのは仕方ないと思い、とにかくシード権獲得順位との差を意識して走りました。

──今大会で見つかった収穫、課題はありますか

駅伝の難しさ、本戦出場校の選手たちの強さを実感できました。監督にも言われた通り今回の区間の選手たちに勝てるようになることが今後の課題です。

──箱根駅伝に向けた目標と意気込みをお願いします

今回のリベンジを果たせるような走りをして今度こそチーム目標達成に貢献します。

予選会から2週間 「良い状態で走れた」

5区 三浦拓朗(商4)

▲5区・三浦(写真提供・全日本大学駅伝事務局 ‎@daigaku_ekiden

──今大会をチーム全体、個人で振り返っていかがですか

予選会に出場しながらもここで結果を残せたのは、チームとして力がついたなと自信になりました。個人としては区間3位で走ることができましたが、まだ前に2人いるので箱根ではそこを詰めていきたいです。

──順位を3つ上げ、区間3位の結果でした。状態はいかがでしたか

予選会では調子を合わせることができず不安な状態でしたが、監督コーチ、チームの支えがあり良い状態で走ることができました。

──予選会からの2週間で取り組んだことや心境はどうだったでしょうか

チームとしてはじめての経験でしたが、監督指導のもと落ち着いて全日本に合わせていくことができたと思います。

──箱根駅伝に向けた目標と意気込みをお願いします

持ち味であるチーム力で箱根駅伝もシードを獲得します。レベルアップした中央大学を箱根路で魅せます。

「この借りは来年の伊勢路で」

6区 山口大輔(文1)

──今大会をチーム全体、個人で振り返っていかがですか

目標通りシード権を獲得できてうれしく思います。しかし、個人では順位を上げることができず、先輩方に助けて頂きました。この借りは来年の伊勢路で返します。

──初めての大学駅伝となりましたが、いかがでしたか

急遽走ることなりとても緊張しましが、先輩方から「何も失うものは無い、気負わずに走ろう」と言って頂けたので緊張がほぐれました。

──今大会で見つかった収穫、課題はありますか

大学駅伝の雰囲気を感じられたことは、とてもよい経験になりました。
単独走になってから自分のペースを刻むことができませんでした。安原さん(駒大)に追い付かれても離されないような力を付けなければならないと思いました。

──箱根駅伝に向けた目標と意気込みをお願いします

まずはメンバー入りをすることが目標です。限られたレースで結果を残すと共に、目標に向かって鍛錬していきます。

「走っていてとても楽しかった」

7区 中澤雄大(経3)

▲7区・中澤(写真提供・全日本大学駅伝事務局 ‎@daigaku_ekiden

──今大会をチーム全体、個人で振り返っていかがですか

チーム全体では常にシードを狙える位置でレース展開を行えたことが良かったと思います。個人としてはシード権内に順位をあげることはできましたが、箱根駅伝予選会の疲労もあり後半で一気に体が止まってしまいました。後半でもっと粘れていれば手島さんに楽をさせることができたので悔しい気持ちです。

──11位でたすきを受けました。どのようなことを考えて走り出しましたか

後半が向かい風で距離も17.6キロと長かったので、前と約10秒差でスタートしましたが序盤は焦らずに追っていこうと思っていました。

──箱根予選会の取材時に「楽しんで走りたい」とおっしゃっていましたが、いかがでしたか

前を追える良い位置で襷を貰ったので気持ちよく走ることができました。特に中盤では動きも整ってきていたので走っていてとても楽しかったです。

──箱根駅伝に向けた目標と意気込みをお願いします

箱根駅伝では自分の課題である後半の失速に対してしっかりと対策して、自分の力を最大限に出し切ることができるような走りをしたいです。

「来年に残せるものができてうれしい」

8区 手島駿(商4)

▲ゴールテープを切る手島(写真提供・EKIDEN News

──今大会をチーム全体、個人で振り返っていかがですか

チームとして8位という目標を掲げており、全員駅伝でそれを達成することができ、充実した大会でした。チームメイトの粘走とサポートのおかげで個人としても納得のいく走りができました。

──最終8区を任された経緯と、実際のレースでの戦略的な部分を教えてください

自分自身、長距離区間とタフさに自信がありました。監督からもその点を評価していただき、最終区間を任せていただきました。走る直前に指示をいただき、後半に勝負をかけて7位を目指すというプランで走りました。

──選考会時の取材で「アンカーでシード権獲得のテープを切りたい」とおっしゃっていました。まさにそれが体現されたことになりますが、心境はいかがですか

来年に残せるものができて本当に嬉しく思います。自分が一番力を出せると思う形でチームの力になることができました。

──今大会で見つかった収穫、課題はありますか

単独走で区間上位で走れたこと、プレッシャーの中で役割を果たせたことが収穫でした。しかし、箱根駅伝で5位を目指すにあたって他大の主力と渡り合うにはまだまだ成長が必要だと感じました。

──箱根駅伝に向けた目標と意気込みをお願いします

箱根駅伝では10区で区間賞をとることが目標です。残り約2ヶ月、悔いなくスタートに立てるよう精一杯がんばります。

※なお、コメントは文面取材でおこないました。
(構成:杉浦瑛俊)

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