春は東洋大相手に入れ替え戦で見事残留し、この秋も長く続いている1部の舞台でプレーした中大野球部。この秋は春の最下位から見事躍進を遂げ、リーグ優勝の夢は叶わなかったものの2位でシーズンを終えた。成長を遂げた秋を終えた監督、選手たちは何を語るのか。17日間に渡り彼らの思いをお届けする。
連続インタビュー16日目は森下翔太選手(商4=東海大相模)。ラストシーズンとなったこの秋、序盤こそ夏場に受けた死球の影響もあり苦しんだが、大学野球最終打席となった対日大2回戦ではレフトスタンドへ豪快な本塁打をたたき込み、これ以上無い形で中央大学での4年間を締めくくった。ドラフト1位指名を受け、2ヶ月後にはキャンプインを控える森下。東都屈指のスラッガーはプロの舞台で更なる輝きを放つべく、日々その腕を磨いている。(取材、構成=志水恒太)
▲秋季リーグ開幕戦で県営あずま球場の打席に立つ森下
──秋季リーグを振り返って
結果、2位で終われたって事は入れ替え戦から見たらだいぶ成長できたなって思うんですけど、優勝できなかったのは素直に悔しいです
──ラストシーズンという所で心境の変化はありましたか
副キャプテンって立場もあったのでそこは個人の結果だけでなくチームを引っ張っていかないとな、という部分はありました
──福島、ZOZO、神宮など計4球場で試合をしましたが印象的だった球場はありますか
自分の中では神宮が何回もやっていて慣れていたので、神宮で4年生でも1部としてプレー出来たって事は良かったですね
──リーグ戦の後半にかけて調子が上がっていった印象がありましたが、その要因についてはいかがですか
(日本代表の練習試合での)デッドボールの影響が最初あったので、恐怖心ってのは多少あったんですけど、試合をやるにつれて慣れていったり、インコースをどんどん踏み込めるようになったっていうのは後半状態が上がった要因かなって思っています
▲先制タイムリーを放ち、雄叫びをあげる森下。強い気迫でチームを鼓舞し続けた
──ご自身の持ち味である逆方向への強い当たりは秋も発揮できたと感じていますか
そこまで数は多くは無かったんですけど、打球はそれなりに良い打球が飛んでたので、そこは良かったかなと思います
──去年から今年にかけて打撃フォームを大きく変更されましたが、今のフォームで良い感覚が得られていますか
今の変更したフォームの感覚がとても良いので、そこは貫いてやっていますね
──具体的にどのような課題を意識して、どのように変更されたのですか
打率が残りづらいっていうのが課題だったので、率を残すためにバットを寝かしてよりミート出来るような形って事を目指して変更しました
──リーグ戦期間も打撃フォームの細かい調整をしていたように感じましたがその部分についてはいかがですか
ずっと打撃フォーム的にはちょくちょく変えているので、毎リーグ毎リーグそういう事は少しずつ自分の中で調整はしてます
──リーグ戦を通して、普段通り次の塁を狙う走塁の姿勢が随所に見られましたが、手応えは感じていますか
そのスタイルは入学した当初から変えずにやっていこうって自分の中でも意識していたので、そこは大学4年間通しても、秋リーグの中でもちゃんと出来たなって思います
──走塁は高校時代の経験が生きていますか
そうですね。高校時代が自分の全てだと思います
▲本塁に生還し、ベンチ前で笑顔を見せる森下
──春は主にライト、秋はセンターを守りましたが自身の守備の強みについて教えて下さい
自分はバッティングだけでは無くて守備から流れを作ってという意識で練習からやっているので、そこは守備を疎かにしては絶対にいけないなと思っているので、常に意識高くやっています
──秋もチャンスでの貴重な一打が数多く見られました。ご自身の勝負強さの鍵はどのような部分だとお考えですか
そこは日頃の緊張感だったり、あとは試合慣れっていう所が一番大きいのかなって思いますね
──リーグ戦で最も手応えを感じた一打を挙げるとしたら
駒大との開幕戦、初打席でレフト前に打ったところですかね。やっぱりリーグ戦良いスタートを1打席目で出来たのは、秋2位って形で終えたのは、あのヒットがあってこそ自分も乗れたかなっていうのはありますね
──今季対戦してみて印象に残った投手は
やっぱり国学院の武内投手は背も高かったですし、球の勢いだったり変化球でファール打たされたりっていう所ですごい良いピッチャーだなと感じましたね
──リーグ最終戦の日大戦、大学野球の最終打席でホームランを打ちましたが、そこに関してはいかがですか
やっぱり優勝するには日大戦で勝たないといけないという思いもありましたし、自分の中でもホームランが出ていなかったので、1本日大戦で打ちたいなと思っていたので、それがたまたま最終打席で出たって事は良かったですね
▲大学野球最終打席で特大ホームランを放った森下
──今年からホームラン後のパフォーマンスとして「デスターシャ」をやられていますが、どのような経緯で始める事になったのですか
やっぱり牧(秀悟=横浜DeNAベイスターズ)さんがやっているのが一番大きいかもしれないですね。特に誰がやろうと言い出した訳では無く、流れでやる事になりましたね
──この1年間で副キャプテンとしてのご自身の役割というのはどのように捉えていましたか
監督からも最初言われたんですけど、どっちかがキャプテンというよりはダブルキャプテンみたいな、両方で引っ張っていくって事で新チームが始まったので、形式上では恵吾がキャプテンだったんですけど自分の中では恵吾に頼りすぎず、自分もキャプテンっていう意識の中で練習、試合をやっていましたね
──リーグ戦を通して接戦をものにしての勝利が多くありましたがその要因については
やっぱり春に入れ替え戦を経験して、ここ一球の大切さというか、勝負強さ、そこを手を抜かずにやった事が大きいかなと思います
──リーグ戦終盤は優勝争いの中での試合が続きましたが、チームの雰囲気はいかがでしたか
良かったと思います。悪い雰囲気もなく初戦の駒澤のカードを取れたので、そこでチーム自体も勢いに乗れたかなって思っています
──中央大学での4年間を振り返って最も成長を感じた部分は
メンタル面がすごい大きいなと思っています。打てなくても下を向かないであったりとか、周りに声をかけるようになったとか、そういう部分が自分の中では一番成長しているなと思いますね
▲守備でも走塁でも代名詞のアグレッシブなプレーを発揮した
──ドラフト1位指名を受けた瞬間の率直な感想は
まずはとにかく嬉しかったというのが一番でしたね
──北村選手と共にプロ入りを果たした事についてはいかがですか
2人で指名されたいという思いはずっとあったので、それが叶って本当に良かったですね
──中大出身の先輩である牧選手や古賀(悠斗=埼玉西武ライオンズ)選手とはお話されましたか
そうですね、連絡くれて「おめでとう」って言ってもらえて、「ありがとうございます」という形で会話はしましたね
──甲子園球場のイメージについて
高校でやった時にはホームランも打ってないですし、たくさん打った記憶が無いので今のところ良い思い出はあまり無いんですけど、プロの世界でプレーする甲子園の舞台もまた違った感覚になってくると思うので、そこは実際に行ってみて自分の中で感じたいなと思っています
▲指名挨拶で岡田彰布新監督(左)と並ぶ森下
──2ヶ月後にはキャンプインも控えていますが現在の心境を教えて下さい
自分はとにかく楽しみですね。緊張とかは一切無くて、今のところは練習出来ていますね
──プロでの対戦を楽しみにしている投手はいらっしゃいますか
高校の先輩の菅野(智之=読売ジャイアンツ)投手であったり、小笠原(慎之介=中日ドラゴンズ)投手、あとはパ・リーグではあるんですけど山本由伸投手は球界を代表する投手だと思っているのでそこは対戦してみたいですね
──先日、日本代表の強化試合で牧選手がホームランを放ちましたが、先輩の活躍をどのように感じていますか
身近な人があのように活躍しているのは素直に刺激になっているというか、自分も頑張りたいなという思いが沸いてきますね
──秋季リーグの活躍を踏まえてプロ入り後も継続していきたいと考えている部分はありますか
まずバッティングのスタイルは変えずに、自分の中でやりたいと考えている事があるので、そこは貫きたいなと思っています
──具体的にどのような部分を貫きたいとお考えですか
すごく細かい話になってしまうので、口で言うのはちょっと難しいですね。まだやっていない事もあるのでやってみないとという感じです
──春季キャンプに向けて、この冬取り組む課題について教えて下さい
課題についても引退してからずっと取り組んでいる事があって、それも細かい技術の事にはなってしまうので話しづらいんですけど、チャレンジしている事は色々ありますね
──ルーキーイヤーの目標についてはお考えですか
目標は新人王ですね。そこは絶対取りたいなと思っているので、一つの目標として頑張っていきたいです
▲会見では甲子園の舞台での躍動を誓った
──中大野球部は新チームとなりますが期待している下級生を1人挙げるとしたら
そうですね、中前(祐也・法3=浦和学院)は努力している姿も近くで見てきているので頑張って欲しいなと思っていますね
──来年以降の中大野球部に期待している事は
投手陣は今年からそのまま残っているので安心しているんですけど打力、特に長打力っていうところがまだ課題かなと思うので、打撃陣全員に投手を援護するような活躍をしてもらって頑張ってほしいなと思いますね
──最後にプロに向けての意気込みをお願いします
まずは1年目から新人王を取れるように1日1日大切にしながら頑張っていきたいなと思っています
◇森下翔太(もりした・しょうた)◇
学部学科:商学部・金融学科
身長・体重:181㌢・90㌔
出身高校:東海大相模高校