2024シーズンは春リーグ2位、秋リーグ5位と悔しい結果に終わった中大硬式野球部。2025年は四冠を達成すべく、繁永晟(商3=大阪桐蔭)新主将のもとに現在冬練習に励んでいる。今回はそんな選手たちを陰からサポートする学生コーチの方々の声をお届けする。
今回は、佐藤豪(経3=藤代)学生コーチ。春季リーグでは値千金の代打逆転タイムリーを放つなど、勝負強い打撃でチームを幾度となく救ってきた佐藤豪。秋季リーグ終了直後、学生コーチ転身の一報が入り、取材を申し込んだ。決断の理由、外から見た中大野球部の景色。様々な立場を経験したからこそ紡がれる佐藤豪の「今」の言葉をお伝えする。(取材・構成=松岡明希)
▲取材に応じる佐藤豪
──学生コーチ転身の経緯
「自分も上を目標にやってきていたんですけど、まあ上でやることが厳しくなって、違う形でチームに貢献しようということで、学生コーチとういう立場になりました」
──自分から申し出たのですか
「そうですね。リーグ戦終わった後に、野球(継続が)確定している人もいるんですけど、自分みたいにやるかやらないかあいまいな人は親とも話し合って考えてこいという時間があって。親と話し合って期間が終わった後に監督に話したという形です」
──秋季リーグではベンチを外れる場面も増えた。どういう心境だったのか
「3年の秋でアピールしないと上でできる可能性はどんどん少なくなってくると思っていたので。上でやるにしてもラストシーズンくらいの気持ちで挑んでたんですけど、結果も振るわず。ベンチ外れることも今までで一番多くて。結果的に一番悔しいシーズンでした」
──シーズン終わった後の野球継続への気持ちは
「自分の中でも、ここできっちりアピールしないと、それまでどこかから声がかかっていたわけじゃないので。厳しいなという風に思っていたので、ちょっと就活・学生コーチになるという方に気持ちは傾いていました」
──家族と話し合って
「自分(実家が)近いんで、ちゃんと面と向かって話をして」
──どのように打ち明けたのか
「ここまで野球できたのは親のおかげなのでその感謝をまずはいったん伝えて。自分はここで一区切りつけて学生コーチという立場でやっていこうと思っているという話をしたら、(家族は)ここまでよく頑張ったという感じで。お前が決めたらなら、学生コーチでも支えてくれるという話だったので、そこはありがたいなと」
──チームメイトには相談しましたか
「相談というほどしっかりとした相談はしていなかったですけど、みんなも、3年生は特にこのシーズンはアピールのチャンスみたいにとらえているので。その中でそういう話はしました」
──チームメイトからかけられた言葉は
「もったいないと言ってくれた人もいたんですけど。自分はバッティング得意で、みんなバッティングあるからもったいないよという風に言ってくれたんですけど。バッティングが良いだけじゃ上でやるのは厳しくて。自分の中で上でやるのは厳しいとなったので」
▲2024年5月16日、対亜大戦で代打で逆転打を放った佐藤豪
──監督からは
「最初、監督に伝えて、そうかみたいな。自分もともと指定校で入ってきているので、お前はそんなバカでもないから、無理して野球やるよりはそういう道選んだ方がいい方にいけるかもねという話はもらいました」
──学生コーチに就任したのはいつから
「(秋の)リーグ戦終わって、オフがあって新チーム始動の時に監督に伝えてからですね」
──生活は変わりましたか
「グラウンドでは自分のために使う時間じゃなくて人のために使う時間が増えたので。今まで見えてなかったところも見えるようになってきましたし。より無駄を省いて効率よい練習をできるにはどうすればいいのかというのを考えています」
──どういうところが見えてくるのですか
「今までは自分がメインで動いている分、アップとかでも動いていない人とかがあまり目に入らなかったんですけど。まあ自分が動かなくて外から見るとちゃんとやっている人とやっていない人。意識してやっているんだろうなという人とただやっているんだろうなという人が見えてきますね」
──外から見て悔しさというのは出るのか
「自分の中でちゃんと話し合って区切りをつけてやめる、学生コーチになると決めたので。悔しい気持ちというのはそんなにですけど、ロングティーとかを見ていてたまに打ちたいなーというのはありますね」
──学生コーチの仕事とは
「朝、美馬さん(中大コーチ)と大体の練習の流れを決めて、バッティングのメンバーとか決めて。ノック打ったりとか、今は冬練なのでタイムを測ったりとかですね」
──コーチとして気を付けていることは
「選手がケガしないのとかはもちろんそうですし。無駄な時間があるとだらけてしまうと自分は選手の時からずっと思っていて。無駄な時間や合間の時間を極力少なくして、やることはきちんとやったうえで、その分自主練の時間が長くなっていったらなと」
──小林大也(経4・郡山)コーチは学生コーチの難しさに、選手との目線の違いについておっしゃっていた。難しさはあるか
「学生コーチという立場ではあるんですけど、自分は結構リーグ戦出させてもらった立場なので。リーグ戦に出ている人の気持ちもわかるし、(ベンチ)外れて応援している人の気持ちもわかるし。結構いろいろな人の気持ちがわかると思うので。コーチという感じで接するよりは、選手と同じくらいの立場にいて、美馬さんとか監督には意見を言いやすい間にいるのかなという風に思っています」
──3年生はどんな学年
「明るくワイワイやるような学年だと思います」
──繁永主将になりました
「いい意味で大きく変わったところはないと思います。(繁永は)もともと明るい感じで、良いか悪いかわからないんですけど、2年生までは明るくという感じだったんですけど(笑い)。3年生になってキャプテンになってその明るさをチームを引っ張っていくという方にいってるんじゃないかなと」
──チームカラーは
「とにかく明るくだと思います」
──コーチとしての目標は
「美馬さんとか監督が意見言ったりするとどうしても雰囲気が悪くなってしまうというのがあると思うので。極力選手が、自分たち自身で雰囲気を作り上げていくことが一番だと思うので。監督コーチが言う前に気が付いたことがあったら、キャプテンのしげだったり、雰囲気をよくするために必要な選手だったりに、自分とか出田(龍太郎=経3・東明館)とか大斗(永井大斗=経4・福岡大大濠)とか中心に声をかけていくのがいいのかなと」
──コーチになるにあたって野球を勉強しなおしたか
「野球を勉強しなおしたというよりは、人のプレーを外から見るようになって、自分バッティングはそこそこ自信を持ってやっていたので、バッティングとかたまに聞いてくる人がいるんですけど。今までに感じたことを教えるようにしています」
──アドバイスを求めてきた選手は
「鈴木(謙介=文2・都立昭和)です。ロンティーとかで飛ばないと悩んでいたので教えました。新しい感覚だったらしくて、今後もやってみようかなみたいな感じでした」
──教えるにあたって大事にしていることは
「いろいろなタイプがいるんで、自分がやってきたことを押し付けるんじゃなくて、その人にあったフォームや形をちゃんと引き出せるように頑張りたいなと」
──チームとしての目標は
「しげも言ってるんですけど、日本一とって、四冠するというつもりで」
──2024春季前のインタビューで大学野球をやる意義について「自分の生きていく道を見つけていく力をつけられる」とおっしゃっていた。今後はどのように輝いていかれるのか
「チームが優勝することは、自分たちが優勝することにもなるので。チームが優勝するのはもちろんですし、聞いてくる選手やよくノック打つ選手が活躍したら自分もうれしいですし、そういうところで輝くのではないかなと」
▲1年間を振り返り色紙に漢字1字を記入してもらいました
◇佐藤豪(さとう・ごう)◇
学部学科:経済学部・経済学科
身長・体重:184.1㌢・79.5㌔
出身高校:藤代高校
▲「変」を選んだ理由:立場が変わり、人生が変わるポイントなのかなと
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