春季リーグで中大硬式野球部は負け越し、4位に終わった。巻き返しを図る、東都大学野球1部秋季リーグ戦は9月16日に開幕する。ジャイアンツタウンスタジアムで迎える初戦の相手は亜細亜大学。春に躍進を遂げた相手とどのような勝負になるのか。肝心の初戦を前に選手17名に取材を行った。今季にかける選手たちの思いをお伝えする。(取材は2025年9月6日に行いました)
第3回は伊藤櫂人(文3・大阪桐蔭)選手、佐藤壱聖(経3・東日本国際大昌平)選手、安田淳平(商3・聖光学院)選手です。
<伊藤櫂人>(聞き手、構成:紀藤駿太)
▲春リーグの青学大との開幕戦で本塁打を放った伊藤櫂
──この夏のオープン戦での調子や状態などはいかがですか
「悪くないかなっていうのと今までよりも比較的オープン戦の中で打ててる方なので、これからもっと調整していけばいい感じなのかなと思ってます」
──この夏に重点的に取り組んだことはありますか
「この夏は、下半身をしっかり使うっていう中で自分は今まで、意識はしてたんですけど上半身でボールに当てに行く感覚っていうのは人よりもある気はするんで。その分、当てに行ってしまったりとか、ボールに合わせての凡退が多かったんで、トレーナーの矢内さんとかに話聞いたりして、下半身で地面を踏んでその力を伝えるっていうトレーニングとか。その意識をした中での練習とかを結構やってきました」
──どんな感じのトレーニングですか
「難しいですけど、お尻に刺激入るようにして、ちょっと負荷かけると勝手に普段よりも地面を踏んだ状態になれるっていうのが、矢内さんに色々教えてもらったんで、説明するのは難しいんですけど。その教えてもらったことを継続的にやったら、ちょっとずつ良くなってきたなと。今いい感じに なっています」
──昇格してきた駒大の印象などいかがですか
「自分が1年生の時に駒澤いて、駒澤と亜細亜は細かい野球っていうか、そういうイメージがあるんで、少しでも隙があったらやられるっていうか。そういう隙をなくせる野球を自分たちがやらないといけないですね。隙を見せたらいけないなと思います」
──細かい野球というと
「盗塁とか、あとバントとかエンドランとか。青学とかよりもそういう小さい積み重ねっていうのが多いチームだなと」
──開幕戦の亜大の印象は
「春は負けて、やってきて1番強いなっていうイメージはあったんでピッチャーも野手も結構今年揃ってると思うんで。その中でも勝ちたいなって気持ちがあって、力では一緒ぐらいなのかなと思うんですけど、運もあると思うんで。そこで少しでも勝てればいいなと思います」
──中大の中で仲良くしてる後輩はいますか
「この前の交流戦でホームラン打った那賀球道(商2=臼杵)。1番仲良くっていうか、彼が1年生で入ってきてからずっと練習一緒にしてて、ずっと良くしているのでもっと頑張ってほしい。悪くないと思うんで、早く出てベンチ一緒に入りたいと思います」
──この秋期待してる選手はいらっしゃいますか
「今年っていうか、春は1年生何人か出て、若井(勇輝=文1・桐蔭学園)が1番目立ってたと思うんですけど、今回のオープン戦も監督さんが1年生多く使う機会があって。誰じゃなく1年生が結構いい活躍するんじゃないのかなと、このオープン戦通して思います。藤本(陽毅=文1・京都国際)とか髙橋(徹平=文1・関東第一)だったり若井、青木(勝吾=文1・中央学院)、前川(竜我=商1・福井商)。この子たちがオープン戦も出る機会が多かったんで、そこでも結果残す選手が多くいたんで、その中で言ったら自分は徹平が1番今回結果残すんじゃないかなと期待したいです」
──3年間一緒にやられてきた先輩達とのラストシーズンとなりますが、先輩達に対しての思いなどはありますか
「自分も仲よくしてもらった方で。一緒に1年生の頃から入ってやってきた人ばっかりなんで、最後ぐらいは勝たせてあげたいっていうか。勝って終わって楽しく終わってほしいなっていう気持ちはあるんで。 今年は4年生が結構メインでいい選手が多くて、やってくれてるんで。なので、もっと下から困ってる時こそ自分たちが助けてあげれるようなプレー、結果残せたら優勝できると思うんで。 最後、優勝して終わりたいです」
──リーグ戦で自分のここを見てくれっていうポイント
「自分の中での勝負の時期が、1番ここがメインだと思うんで。 誰よりも結果残せるような、守備とかバッティングにこだわらずに全体的に自分がこのチームの1番なれるような結果を残します」
──具体的なリーグ戦の目標
「自分的には、始まる前から思ってたんですけど、3割打っていつもホームランが2本ばっかなのでよく言ったら5本ぐらいは打ちたいなと」
◇伊藤櫂人(いとう・かいと)◇
学部学科:文学部・人文社会学科
身長・体重:177㌢・87㌔
出身高校:大阪桐蔭高校
<佐藤壱聖>(聞き手、構成:高橋美帆)
▲ヒットを放つ佐藤壱
──まず現在の心境と、現在の調子を教えてください
「秋に向けて今自分が何ができるのかっていうのを考えながら常にやってます。今の状態としてはバッティング・守備どちらとも、自分的にはいい状態をつくれてるのかなって思います」
──今のチームの雰囲気はどういった感じですか
「秋に向けていい緊張感がありながらもしっかりと技術面でもそうですし、チームとしての連携プレーなどもしっかりチーム全体が話し合いながらできてるので、いい緊張感と秋に向けて優勝を目指してやるチームがしっかりと作れてるんじゃないかなと思います」
──春季リーグ後のオフはどのように過ごされましたか
「やっぱり秋に向けてしっかりもう1回体作りを見直していかないといけないなっていう風に思ったので、体重の増量だったり、そういう体のメンテナンスも含めてですけど。しっかりと自分の体と向き合って秋に向けていい状態の体を作れるようにやってきました」
──夏強化してきたことはフィジカル面?
「そうですね、フィジカル。まあ、技術面ももちろん伸ばしていかないとだめっていうのは分かってたんですけど。そこの技術面を上げるためにもしっかりフィジカルを成育しながらやっていければなっていう風に思ったので。そういう面ではしっかりできたのかなっていう」
──技術面を上げるために取り組んだことは何かありますか
「技術はそうですね、やっぱり春見返すと自分の力不足っていうのがバッティングの面でちょっと出てしまったので。やっぱり東都のレベルは本当にピッチャーのレベルが高いので、そこに対応する力を身につけるためにスイング軌道や構えから、1からもう一回見直そうと思って。技術面のそういうところを意識してやってきました」
──春季リーグの話になるんですけど、まず春4位という結果を受けてどういう感想をお持ちですか
「やっぱり初戦の青学戦だったり2回戦の亜細亜戦で、4連敗したところが大きいかなっていう風に思ってて。青学と亜細亜さんは春は1、2位だったのですごい力のある大学だと思っていますけど、それに劣らない力は中大もあると思うんで。何が足りないかっていうのをもう1回チームで見直しながら、練習やオープン戦を通して勝負どころのバッティングだったり1点の重みっていうのもう1回再確認できたので。そこがちょっと春リーグの4位っていう結果になってしまったのかなっていうふうに思います」
──奇しくも秋も亜大、青学という順番で対戦していくと思うんですけど、そこを春と同じにしないためにどういうアプローチだったり、どういったことが必要だと思いますか
「まず相手どうこうとかじゃなくて、やっぱりチーム。個人個人のコンディションをまず開幕戦に合わせるっていうところが大事だと思ってるので。自分も含めてそうですけど、やっぱり今調子良くても開幕で調子落としてたら意味がないと思うんで、そこはやっぱりコンディション面でしっかりリーグ戦開幕の時に調子を合わせられたらなっていうふうに思います」
──今オープン戦やってると思いますが、オープン戦の成果と課題を教えてください
「守備面ではショート、サードを守ることが多くなってきたので、そこに対するポジション別の対応だったり、考え方っていうのを、そういうところが難しいところがあるのでもう少し課題っていうか、もっと練習が必要だなっていうふうに思っています。バッティングの面では徐々に徐々にですけど、結果はついてきてるので、この調子を継続して開幕まで持っていけたらなっていうふうに思います」
──春はほぼファーストで出場されてたと思いますが、秋はショート、サードって感じですか?
「そうですね。今のところファーストはやってないので。サードもたまにやったりするんですけど、今はショートメインでやってます」
──ショートで言うと藤本(陽毅=文1・京都国際)選手だったり、武井(仙太郎=商2・鎌倉学園)選手だったりって選手がいると思うんですけど、ポジション争いがかなり今熾烈だと思いますがそこについてはどうお考えですか
「そうですね。やっぱり藤本も武井ももちろん、良いところが2人にはとてもありますし、やっぱり見習う部分が多いんですけど。やっぱりそこは負けてられないと思いますし。お互い高め合いながら、練習後のノックだったり、そういうのは一緒にやったりっていうふうに、お互いを刺激しあって、よりよい良いチームが作れたらなっていうふうに思ってるので。そこは切磋琢磨しながらできてるのかなっていうふうに思います」
──個人的に一番やりたいのはショートですか
「そうですね。1年秋からショートで開幕スタメン取ってからは、やっぱりショートっていうこだわりも強いんですけど。今は4年生にとっては最後のリーグ戦だと思うので、そんなことは言ってられないと思うので。しっかり4年生の優勝に貢献できるように、日本一に貢献できるように、与えられたポジションはしっかり自分のできるベストを出したいなっていうふうに思ってます」
──じゃあどのポジションでもできる準備をしてるって感じですか
「はい。そうですね」
──各ポジションをこなす上での意識の違いは何かありますか
「やっぱりそれぞれのポジションにいろいろな難しさっていうのがあるので。それをちゃんと理解することとそれに対してどう対応するのかっていうのをやらないといけない。事前の準備や考えを持ってそこに立たないととっさの判断だったり、いざ一か八かのプレーだったりができないと思うので、しっかり事前の準備をできたらなっていう風に思います」
──4年生と野球ができる最後のシーズンですが、そういった面で秋に向けてはどんな思いがありますか
「自分が来年最後のシーズン迎える者として4年生の気持ちっていうのはまだ分からないんですけど。相当な思いで最後のシーズン臨むと思うので、それに貢献できるというか、その力になれるような下級生にならないといけないと思ってるので。そこは4年生には思い切ってプレーしてもらって、そのお手伝いじゃないですけど。しっかりと個人個人結果が残せるようにチーム全体で声かけあって高め合ってやっていけたらなっていうふうに思います」
──2部から駒大が昇格してきましたが。駒大の印象はどんなものですか
「そうですね。自分が2春までは多分いたと思いますけど。やっぱり色々やってくるチームですし、とても力のあるチームだと思ってるので。そこはやっぱり1部にいたとか2部にいたとか関係なくしっかり自分たちの野球をするだけだと思ってるので。そこは駒澤だからどうこうとかじゃなくて、しっかり自分たちの野球ができたらなっていう風に思います」
──他大学で注目する大学だったり、選手っていうのはいらっしゃいますか
「投手は青学の鈴木泰成ですね。小学校の時ヤクルトジュニアで一緒だったので、3年でジャパン選ばれてすごい刺激にもなっていますし、もっと自分もやらないといけないなっていう風に思ってるので、そこはあいつには負けられないかなって思いますね」
──打者は?
「みんな良いバッターだと思う。見習う部分も多いので、そこはしっかり見習って自分も負けないようにやっていけたらなと思います」
──中大のチームメイトの中で注目してほしい投手だったり、注目してほしい打者はどなたかいらっしゃいますか
「やっぱり4年生は注目っていうか。個人的にも4年生には恩がありますし、頑張ってほしいです。プロ目指す人たちばかりなので、4年生には思い切ってプレーしてもらいたいですね。最後のシーズンっていうのもありますし、やっぱりプロに行ってほしいっていう気持ちもあるので。自ずと結果がついてくれば日本一も見えてくると思うので4年生には頑張ってほしいですし、自分たちを含めた下級生たちがそれに付いていければもっともっと日本一が近づいてくるんじゃないかなっていうふうに思う。4年生にプレッシャー与えるわけじゃないんですけど、自分たちもそれについていけるような頑張りを(4年生に)してほしいなっていう風に思いますね」
──仲の良い4年生ってどなたなんですか
「基本的にはみんな仲良いんですけど、その中でも一緒にバッティングの話とかをしてもらえるのは同じ左バッターの皆川(岳飛=経4・前橋育英)さんと松嶋(晃希=経4・浦和学院)さん。色々話をさせてもらってるんでとてもいい勉強になってますね」
──秋のご自身のアピールポイント教えてください
「自分は三拍子揃ったじゃないですけど、走攻守そつなくできるところが売りだと思ってるんで。やっぱりミスを怖がらずに、チームの勝ちに貢献できるように。走攻守全ての面でいろんな人に見てもらえたらいいかなっていう風に思います」
──最後にチームとしての目標と個人としての目標を教えてください
「チームの目標としては、もちろんリーグ優勝ですし、その後の神宮大会の優勝するところまでがチームの目標です。個人の目標としては、リーグ戦最後までフルで出続けるっていう目標がまだ達成できていないので、達成したいですね。体力の面でも結果の面でも全てにおいてリーグ戦期間は常に野球のことを考えていかないといけないと思うので、そこはしっかりリーグ戦フル出場を目指してやっていきたいなっていうふうに思います」
◇佐藤壱聖(さとう・いっせい)◇
学部学科:経済学部・経済学科
身長・体重:180.5㌢・71.2㌔
出身高校:東日本国際大昌平高校
<安田淳平>(聞き手、構成:齊藤さくら)
▲春に続きバッティングに期待がかかる安田
──今の調子と状態はいかがですか
「調子上がってきてるなと思います」
──春を振り返っての感想をお願いします
「春は個人的な成績は数字だけ見ればよかったなと思うんですけど、チームとしては最初の方はやっぱり苦しんでなかなか勝てない状態で。でも最後、国学戦とかはしっかり結束して戦えたんでそこは良かったかなと思います」
──春は特にバッティングの調子が良かったかと思います。ご自身で春を分析するといかがですか
「青学、亜細亜の時はピッチャーがやっぱり良くて。なかなか自分のスイングはさせてもらえなかったんで、やっぱり自分のスイングをまずしよう!っていうことで、もう1回1からティーだったり、バッティングを見直していったっていうのが良かったと思います。あとはチームとしてもやっぱり絶対負けられないっていう思いが、ああいう結果になったんじゃないかなって思うので。そこを秋は最初から出していけるようにやっていきたいと思います」
──夏はどのようなことに力を入れて練習されてきましたか
「そうですね。春、良かったとは思うんですけど、個人としてはやっぱり規定に乗れなかったので、そこで最後まで使ってもらえる選手になれるように、バッティング以外でも守備だったりバントだったりっていうところでも貢献できないと打席は増やしていけないかなと思うんで。そういうところをしっかりこだわっていくっていうのと、やっぱりそうは言っても外野手なのでバッティングでチームに貢献したいと思うところはあるので。夏場は暑さに負けず振り込めたかなと思います」
──オープン戦の手応えは
「夏場の最初の方はちょっと状態悪かったんですけど、そこからなんとか修正して良い調子に持ってきていけてると思うので、崩さないように継続してやっていきたいと思います」
──オープン戦は何試合くらい出られましたか
「15試合くらい。代打とかも含めればもうちょっとあるかもしれないですけど」
──夏休みの思い出は
「最近ゴルフを。8月はちょっと行けなかったんですけど、7月に中大野球部のみんなとゴルフに何回か行けたのが楽しかったです」
──どなたと行かれましたか
「伊藤(櫂人)とか、佐々木琉生(経3・健大高崎)とか佐藤壱聖とか古河(琢磨=経3・佐野日大)とか。あと繁永(晟=商4・大阪桐蔭)さんとかとも行けたんで楽しかったです」
──バッティングに生きるみたいな
「自分右で打つんですよね。バッティングは左なんですけどゴルフは右で。なので息抜きみたいな」
──単位は順調ですか
「めっちゃ順調です。やりきったっす(笑い)」
──安田選手の試合前のルーティーンがあったら教えてください
「部屋を綺麗にする。元々そんなに綺麗にするタイプじゃないんですけど。試合前やっぱり負けた時にそこになんか悔い残したくないんで、普通のことを」
──4 年生のラストシーズンになりますが、特にお世話になった先輩は
「3、4年生は結構仲いいと思うんですけど。なのでいろんな先輩に本当に同じくらいお世話になってるんですけど、一番は一緒に部屋も過ごした繁永さん。やっぱり春苦しい姿も一番近くで見てたと思いますし、そういう意味ではみんなですけど、特に春苦しんだ繁永さんを勝たせたいなっていうのが今は一番大きいので、なんとかどういう形でもいいんで優勝に貢献できるように、何とか4年生を勝たせたいなと思います」
──開幕まで1週間ほどですが、今のご心境はいかがですか
「そうですね。もちろん日本一取りたいっていう思いはすごく強いんですけど、4年生とできる最後のリーグ戦なので、そこはやっぱり1試合1試合噛み締めて。自分が出たり出なかったりするとは思うんですけど、どういう結果でも良い顔して4年生と1試合1試合積み重ねていって、その中で絶対負けないぞっていう気持ちももちろん全面に出さないといけないと思うんで、そうやって貢献出来たらいいなって思います」
──秋リーグでのご自身の役割はどのようなものになるとお考えですか
「もちろんプレーでも貢献したいっていう思いもありますし、出た時に結果が出せるようにっていうのはもちろんなんですけど、やっぱり明るく熱い空気っていうのが自分は一番特長なのかなと思うので、そこはどういうときでもぶらさず。いいエネルギーをチームに与え続けられるようにしたいなと思います」
──秋季リーグ戦、自分のここを見てくれ!
「気持ち!いっつも同じですけど(笑い)」
──リーグ戦の意気込みと目標をお願いします
「とにかく日本一を目指して、自分にできることをやりたいなと思うので、最高の秋にしたいなと思います!」
◇安田淳平(やすだ・じゅんぺい)◇
学部学科:商学部・商学科
身長体重:177.4センチ・67.7キロ
出身高校:聖光学院高校
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