2024年8月24日 佐賀県・佐賀県立森林公園野球場(さがみどりの森球場)
昨年度末の関東大会で優勝し全日本出場を決めた中大。全日本大会では過去2年間宿敵、日大に敗北して優勝を逃している。しかし今大会、その日大と初戦からぶつかる組み合わせとなった。実に3時間を越える熱戦を繰り広げ、中大はわずか1点差で辛勝した。「三度目の正直」で日大に競り勝った選手たちの目には涙があふれていた。
初回、中大の先発田中駿佑(商4)はヒットを打たれ、苦しい立ち上がりとなる。4人目との対戦では後逸の間に二塁ランナーがホームを狙ったが、キャッチャー岡部匡十(経2)の好返球で見事アウトにとり、失点を防いだ。
しかし中大打線は相手先発の赤岩に苦戦を強いられた。高い制球力と打たせて取るピッチングを前に5回まででヒットもわずか2本と沈黙した。
3回、代わった木藤忠広(商4)は2本のヒットなどでランナー一三塁とされ、5人目にセンター前ヒットを浴びて先制点を献上してしまう。その後三橋朋徳(経4)が後続を抑え、この回何とか1点で切り抜けた。4回からは春季リーグ戦でも活躍した大山北斗(商3)がリリーフとして登板。安定したピッチングで日大の得点を許さなかった。
▲6回1失点の好投を見せた大山(写真中央)
6回、日大の投手交代を機に中大にチャンスが訪れる。5番山口剛大(文2)が二塁打、6番岩井大和(経3)もヒットで続いてランナー一三塁とし、直後にフライで二死となるも、次の岡部がレフト方向へヒットを放ち、待望の1点を舞い込んだ。岡部は出塁後ベンチに大きくガッツポーズして見せた。7回には村田慶二(商2)が四球と送りバントの間に二塁に進むと、続くDHの佐竹秀也(商4)はライト奥に長打を放ち、逆転に成功する。
▲逆転の一打を放った佐竹(写真左)
過去2年間の日大戦では8回で複数点を決められ、敗北している。「魔の8回」を任された大山は仲間からの声援を受け、見事三者凡退で切り抜け、チームに勢いをもたらした。
最終回、村田が先頭でヒットを放ち出塁する。その後二死、さらに山口が先ほどの長打を警戒した日大によって申告敬遠となる。迎えた5人目の岩井は敬遠された直後に打席が回ってきたことを「悔しかった」と吐露しつつも「絶対に打てる」という自信があったと語り、その言葉通りライトへヒットを放ち、追加点を呼び込んだ。打点を挙げたことに対してはあくまで「当たり前、当たり前」と自分を奮い立たせたと口にした。
▲敬遠のあとに点を決めた岩井(写真右)
その裏、大山はゴロで二者連続アウトに抑えたが、その後立て続けにヒットを打たれ、日大に1点を返されてしまう。なおも一二塁でピンチは続いたが、最後は大山自らがゴロを処理して試合を決した。
時間にして3時間を越える熱戦を繰り広げた中大は、3度目の対戦でついに日大に勝利して、翌日に駒を進めた。終了後選手たちは互いに抱擁し、涙を浮かべた。主将の功刀史也(文4)は「自分たちの出せるものを出したら勝てると思ってたので、とにかく頑張ってました」と語り、2年越しの悲願を喜びつつも「まだ初戦なので、あと(勝ちを)4つ続けて優勝まで走り抜けたい」と気を引き締めていた。ロングリリーフとして役目を果たした大山は「劣勢から逆転といういつもとは違う試合展開だったが、しっかり抑えることができてホッとしている」と安堵(あんど)したが、「最後爪が甘かったので、最後まで気を抜かず、全力で投げて完璧に抑えたい」と語った。
ロースコアの試合を制した中大。最大のライバルを倒した勢いそのままに連戦連勝し、8年ぶりの王座奪還を果たせるか、勝負は始まったばかりである。
◆試合結果◆
〇中大 3-2 日大●
中大 000 001 101|3
日大 001 000 001|2
(記事:大日方惠和、写真:浅野詩多、高橋若夏)
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