10月27日 千葉ポートアリーナ
昨年度、24年ぶりに全国制覇を果たし、連覇のかかった今大会。昨年と同様、決勝の舞台に上がったのは中大と筑波大だ。試合は1本差でリードを許し、勝負は大将戦へ。主将の本間渉(法4)が開始2秒でコテを奪い会場を沸かせると、終了間際に再びコテを決めて、執念の二本勝ち。見事逆転優勝を果たした。実に第1回、第2回大会以来の連覇である。
▲令和元年 優勝 中央大学
「何よりもチームワークがあった。前の試合で負けた分を取り返そうという気持ちや、チーム内での助け合いがあった」と北原監督が総括したように、出場選手一人一人が大事な場面で力を発揮した。2年連続の優勝となった今大会を、1回戦目から振り返っていきたい。
1回戦の常葉大との試合は、先鋒、次鋒、五将の前3名が二本勝ちで優位に立つと、残りの4名は引き分けて3-0で勝利する。続く高知大との2回戦。先鋒の山崎将治(商2)が二本勝ちし、次鋒が一本負け。その後は互いに技を取っては取り返す形で、引き分けが3人続いた。副将の丸山大輔(法4)は「1試合目は仲間に助けられたので、今度は自分が」と気持ちを高めてコートに立ち、見事コテの一本勝ち。大将の本間主将が引き分けでまとめ、軍配は2-1で中大に上がった。
▲8月に左手をケガした丸山だが、4年生としての意地で復活して見せた
3回戦目の龍谷大戦では、先鋒が引き分け、その後6名が勝利し6-0と圧倒する。迎えた準々決勝。山崎に代わって先鋒になった黒木裕二郎(商2)が一本勝ちで流れを作ると、五将・沖拓真(法3)も相手の打ってきた小手を返して、メンで勝利した。「チームの勢いを後ろに繋ぐのが自分の役目」と語った三将・清家羅偉(法2)は、勢いそのままにコテで二本勝ち。コーナー際で場外に押し出されそうな場面もあったが、逆に相手を押し返し、気迫溢れる戦いぶりが印象的だった。結果3-2で勝利し、準決勝へと駒を進める。
▲準決勝に向け整列した選手たち
ベスト4に進出した中大の相手は明大だ。先鋒が引き分けると、次鋒の沖がメンで二本勝ち。同じ3年生の鈴木雄弥(法3)もその流れに続き勝利した。中堅・河嵜遼(商3)と三将・清家は先に相手に一本取られたが、時間内に取り返す勝負強さを発揮して、両選手ともに引き分けに持ち込んだ。その後は沖と鈴木の勝利を守り切り、今年も決勝へと進んだ。
▲決勝戦前の円陣
決勝戦は昨年と同様、筑波大との対戦。9月に行われた関東インカレ決勝では敗れた相手だ。
先鋒の黒木は、同じ九州学院高校出身の重黒木(筑波大)と対戦し、両者一歩も譲らず引き分け。続く次鋒戦では、開始から10秒が過ぎたところで、相手の隙をついた沖の引きメンが見事に決まり、中大にとって大きな1勝をもたらした。「関カレで思い通りの結果が出せず悔しい思いをした。今大会まで練習後に清家や黒木に自主練習につき合ってもらい、その成果が出せた」と沖のストイックさがこの一本につながった。
▲引きメンを打ち残心をとる沖
五将の山崎は、4年生の加納(筑波大)に果敢に攻めるも、惜しくも二本負け。本数差で相手にリードを許した。そんな中、再び中大に勢いをもたらしたのが3年生の河嵜だ。試合時間4分が過ぎたあたりで、「攻めて打つ!」と北原監督の声が飛ぶと、捨て身で技を出していった河嵜がスピードのある見事なメンで一本あり。まもなくして試合終了のブザーが鳴り、再び流れをたぐり寄せた。
三将の清家は、インカレ個人3位の白鳥(筑波大)に惜しくも敗戦。両チーム取っては取り返す互角の試合展開が続いた。
残すはあと2戦。「とても頼もしく安心できる存在」(沖)と後輩からの信頼が厚い4年生に勝負は託された。
▲副将の丸山(右)と大将の本間主将
副将・丸山は、相手の面に対してコテで先制する。その後相手もコテを返し、両者一本ずつの引き分けで終えた。ここまでの勝敗は、勝者数2-2、本数3-4と一本差で筑波大がリードしていた。
勝負の大将戦は、本間主将 対 インカレ個人覇者の星子(筑波大)。
「出し切るぞ」。そう意気込んだ本間主将が、試合開始の合図とともにコテを放ち、わずか2秒で華麗に一本を先取する。その後は相手の猛追を受けながらも、本間主将は技を見極め、有効打突を与えない。仲間も「ラストラスト」と声をかけながら、祈るように応援した。試合時間はラスト10秒。本間主将は「みんなの声援が後押しとなって、体が勝手に出た」と相手の面に対して出ゴテを放った。見事な逆転優勝だった。
▲同じ4年生の丸山は一番に駆け寄り、ぎゅっと本間主将の腕を掴んでねぎらった
「厳しい戦いになったが、選手たちが本当によく頑張ってくれた。最後は本間がよくやってくれた」と語った北原監督。選手を称え安堵(あんど)の表情を浮かべた。
▲北原監督は今年も宙を舞った
新チームが始動すると毎年テーマとなる言葉を掲げるという。今年のテーマは「初心」。昨年度の優勝から追われる立場となったわけだが、「『連覇』ではなくて、また一からチームを作り上げていき『優勝』を目指す」(本間主将)。そんな思いが込められていた。その言葉を胸に、「挑戦者として挑んだ」(丸山)選手たちは、プレッシャーを跳ね除け、一戦一戦を確実に戦い抜いて見せた。
有終の美を飾った4年生は、これで引退となる。登録選手9名のうち7名が3年生以下であるため、まだまだ選手層は厚い。中大は優勝記録をどこまで伸ばすことができるのか。そして来年はチームテーマとしてどのような言葉を掲げるのかも楽しみの一つである。
▲令和元年のスローガン『初心』
この言葉を胸に見事連覇達成!!
◆試合結果◆
決勝
〇中大3-2筑波大●
黒木 × 重黒木
沖 メー 寒川
山埼 -メコ 加納
河嵜 メー 佐藤
清家 -メ 白鳥
丸山 コーコ 松﨑
本間 ココー 星子
準決勝
○中大2ー0明大●
黒木 × 梶谷
沖 メメー 石井
鈴木 メー 谷口
河嵜 ド× メ 山本
清家 メ× コ 池内
丸山 × 松尾
本間 × 槌田
準々決勝
○中大3ー2立命大●
黒木 メー 森
山崎 ―メ 川元
沖 メー 石本
河嵜 × 小倉
清家 ココー 岩崎
丸山 ーメ 青木
本間 × 丸山
3回戦
〇中大6-0龍谷大●
山埼 × 井尻
沖 コー 森野
河嵜 メー 吉田
黒木 コー 立入
清家 ココー 牧野
丸山 ココー 本山
本間 ココー 沖田
2回戦
○中大2ー1高知大●
山崎 メメー 寒川
河嵜 ーメ 栗田
沖 コ× メ 竹元
鈴木 メ× コ 銭谷
清家 メ× コ 瀧澤
丸山 コー 福田
本間 × 西原
1回戦
○中大3ー0常葉大●
山崎 ドコー西田
沖 メメー鈴木
河嵜 メメー中西
鈴木 × 立嶋
清家 × 石橋
丸山 × 山下
本間 × 岡村
記事・写真:「中大スポ―ツ」新聞部