▲疾走する市田
※「中大スポーツ」第166号2面の本文を掲載しております。
2021年8月13〜15日 松本市美鈴湖自転車競技場
チームスプリント・ケイリン・1キロタイムトライアルで圧巻の走りを見せて優勝し、三冠王の地位をものにしたのは市田龍生都(いちだ・りゅうと法2)だ!彼の走りが中大のトラック種目総合優勝に大きく貢献した。しかし、彼は今回の結果に満足せず、日本新記録を虎視眈々(こしたんたん)と狙っている。
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まさに圧巻だった。チームスプリント・ケイリン・1キロタイムトライアルの3つの種目で抜群の走りを見せ優勝。中大のトラック総合優勝に欠かせない存在となった。ラスト1周を告げる鐘が鳴った瞬間に集団から飛び出し、そのままゴールする。一点突破が彼のスタイルだ。自身の走りを「他の選手よりトップスピードを長く保って走ることができるところに強みがある」と分析する。大雨の中の出走となったが、むしろ雨のレースは得意らしく、「体がオーバーヒートせず、高い速度で走り続けられたことで、他を圧倒する走りができた」と振り返る。雨の舞台はまさに市田の独壇場だったのだ。
そんな彼の父親である佳寿浩さんは、数多くの大会で優勝し続けた伝説的な競輪選手だ。佳寿浩さん自身は「もう龍生都には負けているから」とこぼすものの、市田は「お父さんの走りは自分に足りないものを全て備えており、まさに憧れ」と熱弁する。また、父親の走りを見たことをきっかけに競技を始めてから、練習の内容は常に佳寿浩さんに聞いているという。「父の走りを理想としている」三冠王市田の激走のルーツにはそんな憧れの姿があった。
日本人未踏の59秒台を目指すモチベーションは、至ってシンプルで「かっこいいから」。しかし日本新へのこだわりは強い。記録更新のために自分の心拍数の限界値を上げ、出せる最高速度と、持続時間を伸ばすためのハードな練習を重ねてきた。今大会では日本新記録を出すことができなかったものの、自身のベストタイムを更新することに成功。「さらに上のステージに登れる確証が持てたレースだった」と自信をにじませる。市田の走りに監督も「彼は今後優勝ではなくて、記録の面で周りを驚かせる選手になる」と大きな期待を寄せる。「日本記録を目指しつつ、2年連続三冠王という称号を手にする」と来年の目標を淡々と語った。去年よりも一回りも二回りも大きくなった彼は、日本人未踏の地を見据えている。
(記事、写真:小野澤美優)
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