2021年11月23日 東京・警視庁交通安全教育センター
透徹した秋空の下、警視庁交通教育センターにて全日本学生自動車運転競技選手権大会が開催された。
今大会は、コースの線に触れると減点となる「接」や、コースの線をタイヤが丸ごと越えると減点となる「脱」などのペナルティ減点をされずに、標準タイムを上回ったり、T.O.とならないように、いかに速く教習所のようなコースを走り切るかを競い合う。そのため、安定した速さ、正確さ、丁寧さが求められる。
新型コロナウイルスまん延の影響で、従来のように練習ができない大学に考慮し、コースの発表が前日の夕方となった昨年とは異なり、約1カ月前にホームページにて発表となった今大会に、中大からは男子の部に4人、女子の部に1人が出場した。
▲神妙な面持ちでフィニッシュを迎えた岡安優晋(法4)
男子小型乗用の部Aに出場したのは岡安。「経験した範囲内のトラブルで収まった」と、自身の走りに納得の表情を見せた。しかし、「合わせられていたら1位になれていたのかな」と、コースに走りを一発で合わせられなかったことを悔やんだ。結果は1位と9秒差で準優勝と、あと一歩届かなかった。
▲慎重な走りを見せる水口来夢(商2)
男子小型乗用の部Bに出場したのは水口。公式戦初出場となった今大会を、「いろんな人の支えがあったので、もうちょっとまともな結果を出したかった」と悔し気な表情を見せた。結果は3位で、練習していたよりも小さく感じたというコースに対し、「来年は後輩も出るのでそこも伝えながらやっていけたらいいな」と、自身の練習のみならず、後輩への指導をも見据えた。
▲バックで走行する渡辺知成(商2)
男子小型貨物の部Aに出場したのは渡辺。今まで乗用の部の練習をしていたが、突然貨物の部に移ってしまったという今大会を、「ちょっと本番の焦りが出た」と、4位となった結果を悔やんだ。しかし、「どこが遅いとかじゃなくて全体的にしなきゃいけない」と、既に次戦へと前を向いていた。
▲ハンドルを切る尾形莉欧(国経2)
男子小型貨物の部に出場したのは尾形。想定よりも攻めすぎたという自身の走りを、「爆死」と振り返った。9位となり悔恨に苛まれたが、次戦は、様々なパターンのコースを想定し、練習していくと意気込み十分。「良い経験となった」と、下ばかりを向いてはいなかった。
▲準優勝と、奮闘した上村静香(文4)
女子小型貨物の部に出場したのは上村。公式戦ではラスト走行となった今大会を、「ミスをしたところから動揺した」と反省していたが、準優勝と健闘し、集大成にふさわしい結果となった。自動車部での4年間の活動を振り返って、「やり切った」と、どこか晴れ晴れとした表情を見せた。
▲今大会に出場した選手たち
「フィギュア」にプロの世界はなく、全日本学生自動車連盟(AJSAA)に所属する大学体育会自動車部独自の、純粋な運転技術で勝負する競技である。日々の練習量がものを言う競技だからこそ、選手に力も入る。男子団体3位、男子個人で岡安が、女子個人では上村が準優勝と、奮闘するもここで満足はしないのが中大自動車部。今大会で得た課題を改善し、悔しさを力に変え、さらに速く、正確に、丁寧に走り切るための練習をし続ける自動車部の次戦に期待したい。
◆試合結果◆
男子団体の部
①慶大②早大❸中大
男子小型乗用の部A ②岡安
男子小型乗用の部B ③水口
男子小型貨物の部A ②渡辺
男子小型貨物の部B ⑨尾形
女子小型貨物の部 ②上村
◆コメント◆
岡安
──今日の大会を振り返って、いかがでしたか。
練習がたくさんできたので、今までの練習で経験した範囲内のトラブルで収りました。そういう意味では、調子の悪いいつも通りでいけました。
──懸念点は何が残りましたか。
部室でたくさん練習はしましたが、自分たちで作ったものと実際のものが違うので、一発で合わせるのが難しかったです。でも合わせられたら1位になれたのかなと思います。S字バックで帰る時もやってはいけない方のパターンで入ってしまいました。そこからの脱出は上々だったかなと思います。
──4年間を振り返って、いかがでしたか。
自動車部はゼロから教わって、4年間終わったら運転が上手くなるだけの部活では全然ないなと、むしろ学年を重ねれば重ねるほど大変なことが多く、社会勉強になりました。
上村
──今大会までに取り組んだことを教えてください。
今回、コースが事前に発表されていたので、3、4週間くらいやりこんで練習してきました。
──特に意識して練習した部分を教えてください。
ペナルティをもらわないように、注意して練習してきました。線に触れないようにだったりっていうのを意識して練習してました。
──試合自体を振り返って、いかがでしたか。
最初は落ち着いて走れてたんですけど、途中から、ミスをしてしまったところから、動揺して、大きな、20点の失点になっちゃうペナルティを犯してしまったので、そこは大きく反省しています。
──今日で、大会自体は引退となると伺いましたが、4年間を振り返って、いかがでしたか。
今回ミスはあったんですけど、やり切ったかな、と思います。
水口
──今回が初めての大会でしたが、初大会を振り返っていかがでしたか。
いろんな人の支えがあったので、もうちょっとまともな結果を出したかったんですけど、正直、今日の結果が自分の全部なので、あと2年しかないですけど、次もっといい結果を出せるようにしたいです。
──今回の大会の懸念点は何ですか。
コースが紐で作っていましたが、実際クランクになると圧迫感やサイズが練習してたものよりも小さいと感じて、来年は後輩も出るのでそこも伝えながらやっていけたらなと思います。
──次回大会に向けて、いかがですか。
次回は他の3人が出て最後なので、支えつつチームとしていい結果が出たと終われればいいかなと思います。
渡辺
──今大会までに取り組んだことを教えてください。
まず、フィギュアって2種目あって、乗用と貨物なんですけど、今まで乗用で、突然貨物に移っちゃったので、今まで2カ月か3カ月しか経ってないんですけど、基礎力を固めました。後は、「接」、「脱」っていう、こういう線とかを踏む行為が減点になるので、そういったことを減らしにいきました。
──今大会を振り返っていかがでしたか。
基礎的なことはできたんですけど、結果だけ見ると、「急発進」っていう減点が5、6回くらい入っていて、ちょっと本番の焦りが出たっていうのもあるんですけど、日頃の練習でもうちょっと意識するところかなと感じます。
──次戦に向けてどのような練習を行っていきたいか教えてください。
全体的なコースのタイムアップですね。どこが遅いとかじゃなくて、全体的にしなきゃいけないのと、あと、急発進を減らすことですね。
尾形
──今大会までに取り組んだことを教えてください。
渡辺くんも言ってたかもしれないですけど、コースが1カ月前に情報開示になって、1カ月前からできたので、この前の、3月にあった全関東とはまた違った、自分はこの前の全関東(学生自動車運転競技選手権大会)で初めて選手になったので、1カ月オープンコースっていうのが回ってて、コース分かってるので、同じコースを作ってやってきた感じですかね。まあ、練習場の大きさ的にフルコースでかけなかったので、部分部分で練習して、っていう感じでやってきました。
──特に意識して練習した部分を教えてください。
向こう(岡安、水口)が乗用の部で、自分貨物なんですけど、貨物の方がタイヤの切れ角が大きくて、ちょっと、アルティメットな技を使えるので、常識にとらわれずというか、新しい攻略法はないか、っていうのを意識しながらやってきました。
──今回の走りを振り返っていかがでしたか。
結構、爆死ですね。自分的には、100攻めたつもりが、102とか103とかになってて、出すぎちゃったかな、って感じですかね。でも、朝も軽く練習してきて、その時はすごい調子良かったので、良い経験になりました。
──次戦に向けて、どのような練習をしていきたいか教えてください。
コースは一応ホームページで発表されるんですけど、実際それ通りに作られているとも限らないので、一応測って寸法を作ってるんですけど、実際テープ貼って、それこそ、ガムテープを内寄せで貼るか、外寄せで貼るかで2センチくらい変わってきちゃうので、もっと色んなパターンの、もし、仮に、結構きついときとか、仮に、もうちょっと楽な時っていうのを、考えて、もうちょっと時間があれば、そこは今度は詰めたいと思います。
◆お知らせ◆
次戦は12月5日(日)に鈴鹿サーキットで行われる全日本学生ジムカーナ選手権大会です。
(記事:葛西教華、写真:村上建太)
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