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【2024春季リーグ戦終了後インタビュー】第7回 皆川岳飛編

昨年までチームの中心として活躍を続けてきた選手たちが卒業し、「結勝」をスローガンに始動した今季の中大野球部。苦戦が予想される声もあった中、4月8日に開幕した春季リーグでは序盤から勢いに乗り、最終的には勝ち点4を獲得。シーズン終盤には4連勝を記録し、全日本王者となった青学大との優勝決定戦に持ち込んだ。惜しくもリーグ2位で終わった春。大きな収穫と課題を得た選手たちの声を全8回に渡ってお届けする。

第7回はベストナイン外野手部門を満票で受賞した皆川岳飛(経3・前橋育英)選手。上級生となった皆川選手がリーグ戦でどのようなことを感じていたのか、そして、主力へと成長した同級生や後輩への思いを話していただきました。(聞き手、構成:中島遥)

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▲昨春に続き2年連続でのベストナイン受賞となった皆川

――春の戦いを振り返って

「そうですね、ピッチャー陣中心によく抑えられてて、 攻撃も点をおのおのがとってくれて、1人が大活躍したとかじゃなくて、みんなで全員が団結して取れた勝利かなと思います」

――個人としては

「リーグ戦2か月弱通して、調子が良かったり悪かったりあったんですけど、その悪かった時にすぐ修正して、次の試合にどう向き合うかっていうのができました。ピッチャーに対しても得意不得意があって、安打がなかなか出ない中で少し落ちちゃって。でも、それを練習で生かしてというか、切り替えられたのでタイトル取れたと思うんですけど、やっぱりまだ少し悔いというか、あまり自分の中でも満票は取れたんですけど、納得しないというか。打点とかもそうですけど『取れたか』という打率だったので。チームの勝利に貢献できたかって言われたらあんまりだったので、秋に向けて、自分のタイトルもそうなんですけど、チームの勝利に貢献できるようなバッティングができればなっていうのは個人的に思います」

――打率は.283いうところだったと思うんですけど、ご本人としてはまだ納得はいっていない

「フォアボールとかも打率上げるためには重要で、それも次のバッターにチャンスとして送れる1個の武器だと思ってるので、 いかにボール球を振らなかったりとか、 ピッチャーが振らせに来る球を我慢できるかっていうのが、バッターの勝負強さというか、いいバッターの特徴だと思うので、そこが少なかったかなって思うのと、チャンス、打点という部分で3番打たせてもらってるときもあったので、そこはクリーンナップとしてもう少し自分で勝ったっていう試合が作れればいいかなと思いました」

――四死球は5。個人としてはもっと欲しかった

「そうですね。櫻井(亨佑・商4=習志野)さんとか、4番打ってる人が送られて。自分が5番、6番打ってる時に前のバッターが送られた時は得点のチャンスなので、点を取らなきゃいけないですし、逆に自分が3番のときは4番になんとかして回したいっていう中で、フォアボールとかも1個の武器だと思うので、そこは欲しいとかじゃなくて、振らされる球を見送れるかっていうのが一番の勝負強さ、いいバッターの特徴かなと思います。自分がフォアボールを選ぶことでチームが打ちやすくなって勝利につながると思います」

――三振がかなり少なかったが

「若いカウントから打ちに行くっていうイメージで打席に立っていました。やっぱりダメな時は甘い球をファウルにしちゃって、簡単に追い込まれたりとか、初球振り出せずにワンストライク取られた状態から『あ、やばい』ってなって、力入ったりとかしてってなっていたんで、三振しないってよりかは、甘い球を積極的に早いカウントで打ちに行くっていうイメージがそういう結果に繋がったのかなと思うのと。強打者というか、打率残ってる人たちは (三振)少ないんですよね。データ見る限りは。やっぱり甘い球を積極的に振りに行ってるのとか、初球から振り出せているのとかしてたので。さっき言った振らされる球を振らない技術、そこはリーグ戦通して培えたのかなと思います」

――4月10日の駒大2回戦は6回に逆転打を放って勝利に貢献した。あの試合を振り返って

「2三振したあとで、東田(駒大)さん。もうスライダーキレッキレで。でも負けてたのでなんとかしたくて。負けたらもう2タテされて、勝点取られるって状況で、 なんとかして点取りたいという思いで打席に立ちました。初球振り出せて、スライダー振れてファウルにできたので、少しそこで気持ちが楽になったというか。あれ見逃してたら、たぶん次の球も振れてなかったと思います。初球振れてファウルになって、いいファウルじゃなかったんですけど、振れたってことがたぶん自分の中でも気持ちのリセットになって、次の球見えたので。次の球はたぶんスライダーで、バット折れたんですけど、先っちょで振り切れて何とか右中間に飛んでくれて逆転できたので、これは良かったですね」

 

▲逆転打を放ち、塁上でガッツポーズを見せた

――東田さんはやっぱり左のバッターとしても打ちづらい

「球が速いですし、コントロールもいいので。でも、コントロール重視かって言われたら、結構真っすぐで押してくるイメージがあるので高井(駒大)さんとはちょっとタイプが違うピッチャーなので、ちょっと嫌でした」

――でも、対左投手のほうが打率は高い

「(球種を)絞ってるっていうか、目付けの位置をやってるんで。右より左の方が球もあんま早くないですし。変化球もスライダーとかは外に逃げるんですけど、右みたいにフォークで落とす系がないので、それは楽とかではないですけど、絞って、ここのゾーンを来たら振り出すとか、そういうイメージで打席立ってるので、そこは割り切っているので(左投手に)嫌なイメージはないです」

――右投手と比べて選択肢が少なくなる

「球種の数もそうですし、タイミングだったりとか球の速さがちょっと右より遅いぶん、早めに始動しなくていいので、楽とかではないですけど、割り切ってます。左だから嫌とかはあんまりない、苦手意識とかがあるわけではないです」

――5月16日の亜大との2回戦のホームランを振り返って
「インコース真っすぐ。で、打った瞬間にもう角度と振り切れたのもあって、『入ったなー』って。ちょっと狙ってた感ありました。ツーボールだったので、真っすぐは絶対だなと思って、インコース詰まらないようにしようというイメージで、インコース真っすぐ来て、瞬間で引っ張れたので。めちゃくちゃいい感触でしたし、 負けてた状況だったので、1点でも多く稼げて良かったです」


▲本塁打を放ち、ベンチに笑みを見せる。打球はライトスタンド中段まで飛んだ

――ホームランは常に狙っているのか

「いや、場面場面だったりとかカウントだったりとか、 試合の状況によって変えたりとかしてるんですけど、あの時は少し狙ってました」

――守備の面を振り返ってみてどうでしたか。

「今までセンター主に守ってて、今季から橋本(航河・文1=仙台育英)がセンター入ったので、ライトになったんですけど、見える幅というか、見え方も全然違いますし、試合どんな感じかなと思って。練習とかオープン戦でずっとライト守ってて、慣れとかもあったので、スムーズに守備ができました。やっぱりセンター1年生なので、レフトの櫻井さんと声かけながら、風はどうこうとか、毎球毎球声かけながらやってたので、自分のことを精一杯だったんですけど、それ以上に橋本に声かけるのとか、 シートノックの風の状況をベンチに帰ってきたときに伝えたりとか、自分のこと以上に、周りを見れたので、それが自分の守備にも繋がったのかなとは思います」

――高校時代もセンターが多かった。ライトはあまり守ったことがない

「あまりないですね。でも、できましたね」

――結構難しい打球も飛んでいたと思うが

「そうですね。それもあんまり、センターの守り方とかはそのままでできていて、あとは、送球の長さとか、バックホームの勝負する送球とかなかったので、逆に良かったんですけど。声とか、前後左右の取り方とかは問題なくできてるので。そこはそうですね。こういうバッティングからの守備が出たかなとは思います」

――5月24日の青学との2回戦、守備につくタイミングでマウンドで投手に声をかけている姿があったが

「もう一言、『先頭』とか、『気負うな』とか。山口(謙作・商3=上田西)とか、岩城(颯亜・経3=富山商)、(三奈木)亜星(商3=浦和学院)が投げてたのでもう先頭だけ。もうその一言だけですね。ただそれだけ声かけて。山口とか、もう初先発とかロングとかだったので。ずっとワンポイントピッチャーだったのが、先発でロングリリーフで投げるのは、やっぱりプレッシャー大きかったので、近くで見てて伝えられることはあるかなって、一言だけなんですけど伝えました。何回か」

▲ライトの守備につく前にマウンドで声をかける姿があった

――5月21日の日大との3回戦は途中出場だったがアクシデントがあったのか

「いや、体のアクシデントとかでは全然なくて。日大戦、全然結果出なかったので、全部無安打だったので、やっぱり安田(淳平・商2=聖光学院)の方がチャンスはあるのかなっていう監督さんの意向で。でもすぐ変わる可能性あるので、『絶対だらけんな、準備しとけ』って言われていたので、ベンチだったりとか、裏とかでスイングだったりとか、走ったりとかしていつでも出れるような準備してたので、途中から守備から出てバントも決められたのでよかったです」

――今季の橋本選手の活躍を見て

「ここまでできるなんて思ってなかったですし、予想以上にすごい結果出してくれて。 1番として塁に出たりだったりとか、足を使ってピッチャーにプレッシャーをかけて、守備も危ないところもあったんですけど殺せてたので、自分が1年の時より全然すごいですし、自分新人賞取れなかったので。羨ましいですね」

――対戦して印象に残った選手

「いっぱいいるなあ。でも東田さんはずっと無理ですよ。ヒット打てたっていう結果とかはあるんですけど、もう嫌、嫌ですね。嫌なイメージしかないですね。一昨年か去年に、ど真ん中の真っすぐでライト前打ったんですけど、バット折れたんですよ。そこでもうやばいなって。ど真ん中なのに折れるんだなと思って。やっぱり球の質と伸びと、あまり背でかくないんですけど、プロ行った武内(夏暉・国学大=現埼玉西武ライオンズ)さんみたいに、背でかい150km/hとかじゃないんで、低い位置から伸びとかがあるので、まず真っすぐが嫌で。あとは同級生で日大の市川(祐)。市川はもう打てる気がしないです」

――チームとしても市川投手はまだ攻略はできていない

「そうですね、全然できないです。でももう自分らと同級生なので、 自分が4年になってもいますし、どんどん1年、2年で進化してるので、いつか攻略して絶対崩さないと、もう向こうはこっちに対して中大はこれ投げておけば、みたいないいイメージしかないので」

――ほかに印象に残った選手は

「あと亜大の同級生の齊藤(汰直)くんは体つきもめちゃくちゃでかくなって。3年の同級生で、絶対覚醒するので打てるイメージを持っておかないとダメなので。あと三振を取る能力がかなりあります。自分は右はだいたいフォークPがちょっと嫌いです。どっちかと言ったら、スライダー投げてくるとか真っすぐ速いとかよりは、フォークで落とされるような。そこを課題として練習やっていかないといけないので、早いうちに、早ければ秋、フォークを打てるようなスイング力というか対応力を培って、フォアボール増えたりとかピッチャーに嫌がられるようなバッターになりたいです」

――もうすでにかなり嫌なバッターになっていると感じたが

「いやー、まだなんですよ。長打があんまりない中で、それを課題としてやっていてホームランが出たんで。 長打があると外野も自然と後ろに下がってくるので、そこで前に落としたりだったりとか、もう守備にもピッチャーにも嫌がられたりとか、それがいいバッターの秘訣かなと思いますね」

――繁永(晟・商3=大阪桐蔭)選手が大学日本代表合宿に呼ばれた

「試合はもうもちろんみんな見てるんですけど、練習の姿だったり、バッティングの1つ1つの細かさだったり、守備だったりとか、そういうのを間近で見て、やっぱりジャパンにふさわしい人だなって同級生で思うんですけど。守備も違うし、右左で全然タイプも違うので、あんまりライバル心とかはないんですけど、チームとして一緒に頑張っていけたらなとは思います。このリーグ戦入る前も、首位打者、タイトル取るっていう目標で入って、最後の最後までまだ自分もチャンスはあったのでしげ(繁永)と同率で2人(日大・谷端)選ばれて、本当に悔しかったので、自分のチームから出ることは嬉しいんですけど、やっぱりチームの結果の次に悔しいです。首位打者というタイトルは東都の中で打率が1番高い人にしかもらえないので、そこはもう目標としてやるのと、ジャパンにはいつかは選ばれたいと思っていて。その先の将来に繋がるのと、経験としてもそうですし、周りにどんな選手がいるのかとか、そういうのでも行きたいなと思います。しげには今年ジャパンに選ばれてもらって、それをチームとして共有してもらって、来年絶対選ばれるようにしたいですね」

――松嶋(晃希・経3=浦和学院)選手の今季の活躍はどのように映っているか

「1年の時に腰の怪我で何もできず、全然グラウンドにもリーグ戦中は来れなくて、試合のデータ取ってくれたりとか、チームのサポートをしていた人でした。当時は野球ができない、スイングとかもできない、投げれない、走れないで、データ班としてリーグ戦中はやってもらってて、朝練終わったら寮に帰って相手の情報収集をしてて。それが2年練習やってきて、主に2年の冬だったりとかオープン戦で活躍して、リーグ戦で花咲かせてくれて。やっぱりこれから先にも絶対重要な存在ですね。あまりチームを引っ張るとかそういうタイプじゃないので、自分の成績で周りを鼓舞するというか、チャンスで回せば安心できるようなバッターになっていて一緒にベストナインも取れましたし、自分らの同じ代にいるなって思うと、頑張らなきゃいけないなっていう思いもあるので、みんなで頑張っていきたいですね」

――ともに練習してきた先輩がプロで活躍する姿をどのように見ているか

「ピッチャーはあんまり一緒に練習してきなくて、分からないんですけど、バッターは1年4年で一緒にやっていたもり(森下翔太・令6卒=現阪神タイガース)さんは出てるんですけど、北村(恵吾・令6卒=現東京ヤクルトスワローズ)さん。1年の時に自分が入ってきて、もうバッティング練習もものすごいえぐいし、肩も強いし、勝負強さあるのに、一軍として出られないって思うと、やっぱりプロ野球の世界って壁高いなっていうのは実感させられて、一緒にプレーしててすごいなと思った選手が舞台に立って、壁が高いなってもうすごく率直に感じたので、そこは今のままじゃ全然ダメなので頑張ろうと思いましたし、その先輩方が頑張ってる姿で自分たちも頑張ろうっていう思いもあるので、活躍してほしいですね」

――秋に向けて力を入れたいこと

「この春で課題が何個か見つかったんですけど、そこだけじゃなくて、今までできたこともさらに上を目指すためにやっていかないといけないですけど、個人のタイトル以上に、秋は4年生最後なので、チームの勝利を1番として優勝できるようにするのと、その中で自分の結果がおのずとついてくるようにしていきたいので、オープン戦とかが増えてくると思うので、そこでしっかり結果出して、もう4年生抜けたら自分らの代なので、引っ張っていくっていう自覚を練習だったりとか話し合いで出していって、周りから見て安心されるようなバッターになっていければいいなって思います。タイトルももちろん取りたいんですけど、第一はチームの勝利と課題を埋める。で、できてる部分を伸ばす。あと、苦手なピッチャーを早めに克服できるようにして。もう自分らの代になっていざ克服しようっていっても遅いので、もうあと何回かしかないので、リーグ戦は。そのリーグ戦2か月を通して戦える体力だったりとかメンタル面も強化しないといけないですし、守備でさっき橋本を気にかけてるって言ったんですけど、もう橋本はのびのびやってくれればいいと思うので、自分もしっかり自分のことに集中して、その勝利に貢献できるようなバッティングしていきたいです」

 

◇皆川岳飛(みなかわ・がくと)◇
学部学科:経済学部・経済学科
身長・体重:181.2㌢・81.2㌔
出身高校:前橋育英高校

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