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「大会前に負荷をかけすぎて…」万全でないチーム状況も連続シード死守 ─第54 回全日本大学駅伝対校選手権大会

2022年11月6日 愛知・熱田神宮~三重・伊勢神宮

学生三大駅伝の第二戦、第54回全日本大学駅伝対校選手権大会は2年連続のシード権獲得となる7位だった。当日変更で6区に起用された吉居大和(法3)が区間新記録の快走見せた一方で、二大エースのもう一角、中野翔太(法3)を欠くチーム状況のなか地力を発揮した。(記事:若林拓実、井口縁 写真:杉浦瑛俊、古川紗菜、石坂明日香、鈴木咲花、渡辺朗将、角谷優希、小幡千尋、牧島駿太、二村沙羅、松本あゆみ)


◆大会結果◆
①駒大  5時間06分47秒
②国学大 5時間10分08秒
③青学大 5時間10分45秒
⑦中大  5時間13分03秒

1区 9.5km   千守倫央(商4)27分13秒 区間3位
2区 11.1km 山平怜生(法2)32分58秒 区間11位
3区 11.9km 吉居駿恭(法1)34分21秒 区間8位
4区 11.8km 中澤雄大(経4)34分37秒 区間8位
5区 12.4km 若林陽大(法4)36分36秒 区間6位
6区 12.8km 吉居大和(法3)37分01秒 区間1位=区間新
7区 17.6km 湯浅 仁(経3)51分39秒 区間10位
8区 19.7km 阿部陽樹(文2)58分38秒 区間8位

大会2日前に発表されたメンバーエントリーで補員に回っていたWエースの吉居大和(法3)と中野翔太(法3)の区間配置が注目を集めていた。大会前日の監督会見でも、藤原正和駅伝監督は「ほかの大学さんの動きを見て最終的に決定していきたい」と戦略的な配置をほのめかしていた。

しかし、実情は違っていた。「(11/4に発表された)Wエースを欠いた8人で行こうと決めていました。吉居大に関しては大会前に3日間休養を与えていて走らせるつもりはなかった」。ただ、吉居大は前日の5㌔の刺激走を14分15秒で余裕を持って走破したことから昨晩に出走が決まった。6区に起用したことについては、「東海林(宏一、経2)も調子が良く起用したかったが、ほかの大学さんのオーダーを見たときに前半で後手に回っても4・5・6区で挽回できると思っていた」と藤原監督。

▲7区で指示を送る藤原正和駅伝監督

その思惑は的中し、アップダウンのある4区をロード巧者の中澤雄大副将(経4)、5区を主将の若林陽大(法4)と着実につないで、6区・吉居大でジャンプアップ。一気にシード圏内に返り咲いた。

二大エースのもう一角、中野翔に関しては、「故障ではなく調子が上がりきらなかった。4日前の10㌔のビルドアップ走はラスト1㌔を2分50秒でこなしていたが新戦力の台頭を優先した」とした。

複数の選手がコンディション不良だったことについては、「大会前に練習の負荷をかけすぎてしまい選手たちの体が全体的に重い状態になってしまった。さらに上を目指すために一回でも多く練習をやっておこうという”一回”が余計でした」と振り返った。

▲3人抜きで区間新記録を樹立した吉居大

二人に代わり前半区間を任された1区・千守は得意とするラストスパートで抜け出し区間3位。「残り2㌔を切ってからの上りで他大学の選手が苦しそうだったので仕掛けました。集団で力をためて最後抜け出すプラン通りに走れた」と納得した。3度目の箱根駅伝に向けて、「自分が復路を走れるくらいのチーム状況だったら中大も3位を目指せると思う。出雲・全日本と区間3位で区間賞には届いていない。最後は区間賞を取ってチームに貢献したい」と意気込んだ。

▲1区で流れをつくった千守

今大会、各校のエース級が集った2区は三大駅伝初出場となった山平怜生(法2)が区間11位で8つ順位を落とした。藤原監督は「山平を箱根で起用したいので、全日本は経験してほしかった。本当は5区か6区でデビューさせるつもりだったがチーム状況もありやむを得なかった。難しい展開だったがよく粘ったと思う。及第点ですね」と話した。

▲各校のエースに真っ向勝負した山平

監督会見で指揮官がキーマンに挙げた3区・吉居駿恭(法1)は「自分の力を出して攻めの走りがしたいと思っていた。いい形で中盤まで行けたが、残り4㌔過ぎで差し込みが痛くてペースを上げようとしたところで逆に落としてしまった」と悔やんだ。初の箱根駅伝に向けては、「20㌔を走る力はついてきたと思う。チームに貢献して4年生に恩返しがしたい」と誓った。

▲安定した走りを披露した吉居駿

エースの足並みがそろわなかったものの、「いまのメンバーで思い描いた駅伝はできた」と藤原監督。中澤副将も、「昨年はフルメンバーで走って8位だったが、今年7位に入れてチーム全体の力が向上していることを確認できた」と手応えを得た。シーズンの総決算となる正月の箱根駅伝は、中大にとって第77回大会(2001年)以来、21年ぶりの表彰台を狙う。若林主将は、「あと2ヵ月、3位以内を確実に取るためにキャプテンとしてできることを精一杯やっていきたい」と冷静に先を見据えた。

▲4年連続の山下りに期待がかかる若林

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