2023年7月15日 北海道・千歳市青葉陸上競技場
中長距離のトップランナーが集結し、全5戦にわたり北海道で開催されるホクレン・ディスタンスチャレンジ。その最終戦となる千歳大会が7月15日に行われ、中大からは5名の選手が出場、うち3名が自己ベストを更新するなど上期締めのレースでも成果をあげ、勝負強さを見せた。
▲ゴール時にガッツポーズを見せる浦田
大雨が降りしきるなか、5000㍍F組には深川大会で13分台と大幅に自己ベストを更新した浦田優斗(経3)が出走。イーブンペースの中、序盤は真ん中後方でレースを進める展開。3000㍍付近で外側からペースを上げ、前方に出る。山内健登(青学大)がペースを上げ、後続を突き放しにかかったが、4000㍍すぎには浦田が一気にペースをあげ独走状態に。ラスト一周は追随を許さず、堂々1位でフィニッシュ。13分52秒77のタイムで見事深川につづき自己ベストを更新した。
このレースについて浦田は、「キツいと考えていたが、思いのほか調子がよかった。ラストしっかりあげられたので合格点」と語る。また、今後については「今年はけがもなく、調子が良いので箱根駅伝に出たい。箱根駅伝では復路で区間賞が取れる選手になるために夏合宿をしっかりやりきりたい」と力強く語った。
浦田の走りに藤原監督も「勝負強さは相変わらず光っているなと感じる」と称賛。「夏もけがなく超えて、駅伝の主力として成長してほしい」と期待を寄せる。
続いて男子1500㍍には山田俊輝(経4)が出場。スタートから積極的にペースメーカーの後ろにつき先頭でレースを進めるも、800㍍過ぎからペースを落としてしまい、そのままペースを上げることができず9位でフィニッシュ。上半期は苦しいレースが続いたが、藤原監督は「レース内容的にはよかったと思うので、夏にもう一度作り直して、全日本インカレでしっかり勝負させたい」と語る。
▲前半から攻めのレースを見せた山田
5000㍍C組には今シーズン好調である吉中祐太(文2)と溜池一太(文2)が出走。溜池は「自分でレースメイクすることが今日の目標だった」と話すようにスタートから積極的に前に出てレースを展開。一方吉中は後方からレースを進めた。レースが動いたのは3800㍍付近。溜池が2位に浮上するも、4000㍍過ぎには富田峻平(ロジスティード)が仕掛け一気に後方を突き放す。だが溜池もラストスパートで粘りの走りを見せ3位でフィニッシュした。吉中も着実に順位を上げ、第2集団先頭でレースを進め4位でゴール、どちらも自己ベストを更新するレースとなった。
▲果敢にレースを展開した溜池
このレースを溜池は「ラスト500㍍で切り替えできなかったのが改善点」と振り返り、前半シーズンについては「去年と比べタイムや底力は上がったが(吉居)駿恭や中野(翔太)さんが大きく自己べを出している中、自分だけ置いて行かれてしまったので、駅伝シーズンでは自分もチームを引っ張っていけるよう頑張りたい」と語る。
一方の吉中は「13分45秒を切ることが目標だったのでそれが更新できてよかった」とレースを振り返った。今シーズンは数多くのレースに出走し、毎レースで強さと存在感を見せた吉中。「スタミナだったり20㌔持続して走れる力を距離走をしっかりやっていきたい」と夏へ向け意欲を口にした。
▲藤原監督は吉中について「浦田とともに駅伝の主力として期待してる」と話す
一日中悪天候に見舞われた千歳大会のラストレースを走ったのは吉居大和(法4)。このレースには中大OBの森凪也(令3卒・現Honda)も出場した。「25秒を切ること。ラストしっかり上げて25秒をどれだけ切れるかを意識すること」を本レースの目標に掲げた吉居。
レース序盤から攻めの走りで集団の前方で引っ張る。積極的に外国人選手と勝負し、中盤まで鈴木芽吹(駒大)や松枝博輝(富士通)と共に目標タイムより速いペースで走っていたが、終盤ペースを落としてしまい、13分25秒を切るという目標を達成することはできなかった。
この結果について「大事なラスト1000㍍で切り替えることができなかったので、ちょっと残念な気持ち」と語り、また、前半シーズンについては「上手くいかないレースも多かったが、安定感がついてきた。これからその上のレベルをしっかり走るようにしていきたい」と振り返った。
そして今後については「駅伝シーズンに向けて夏合宿がどれだけ大事かを3年間で感じてきた。その大切さを肝に銘じながらトレーニングし、3大駅伝1本ずつでしっかりチームに貢献する走りをしたい」と学生ラストとなる駅伝シーズンに向け強い意志を示した。
▲ウィーンレース後には3週間ほど長野で合宿をしたという吉居大
トラックシーズンの締めくくりとなるホクレンを終えて藤原監督は「3名が自己ベストということで、上期の締めのレースとして非常に内容、タイムが良かったのではないか」と評価。前半シーズンについては「浦田、吉中、山平怜生(法3)、伊藤夢翔(経2)、白川陽大(文2)など伸びてきてほしい層が順調に力をつけているのでその点はよかった。練習自体のレベルが上がっていることもあり、1年生の芽が出切れていないところが課題」と総括した。
前半のトラックシーズンが終了し、三大駅伝初戦となる出雲駅伝は2ヵ月後に迫る。
「中間層をもう一回しっかりと育てて、駅伝シーズンで戦える選手を一人でも二人でも増やしたい。厳しい夏になると思いますが全員で乗り越えたいですね」(藤原監督)と駅伝シーズンに向けての思いを口にした。
前半シーズンは国外問わず多くのレースで結果を残し、選手一人ひとりのレベルアップが大いに感じられた。「三大駅伝三冠」の目標を胸に勝負の夏が始まる。
◆試合結果◆
男子5000㍍
F組
①浦田優斗(経3)13分52秒77 PB
C組
③溜池一太(文2)13分39秒85 PB
④吉中祐太(文2)13分44秒09 PB
A組
⑩吉居大和(法4)13分33秒39
男子1500㍍A組
⑨山田俊輝(経4)3分54秒12
◆コメント◆
浦田優斗選手
ーレースの振り返り
深川から状態を上げて臨もうという思いがあったんですけど、思ったよりも調子が上がらなくて少し不安だったが、中盤ペースが落ちたことによってラストもしっかり切り替えられてベスト更新できたので合格点じゃないかなと思います。ペーシングライトが少し緩急をつけた設定になるというのを聞いていたので、予想通りというか、思っていたようにレースが進んで良かったです。
ー深川と千歳大会のテーマ
深川は千歳のターゲットナンバーに入るために13分台が必要だったので、なんとしても13分台だ、という思いでペースメーカーの選手についていき、ギリギリ切れたという感じで、ラストは切り替えられなかったのでその課題を千歳で達成できてよかったです。
ー2回連続ベストの要因
昨年は2、3ヶ月に一度はけがをしてしまってまとまって練習が出来ていなかったのが、今年は冬からけがなしで来れているので、練習の継続が一番の要因かなと思います。
ー今シーズンの振り返り
昨年も上半期は割と走れたんですけど、駅伝シーズンはけがが続いてレースに出るような状態ではなくなってしまったので今年は夏合宿でけがせずにに距離を踏んで駅伝シーズンにもチームの戦力になれるように成長したいと思います。
ー今年の駅伝シーズンに向ける思い
箱根駅伝は絶対出たい。そこまでに箱根の距離にも対応できるのを示せるような練習だとか、1万㌔まででも距離への対応をアピールできたらなと思います。復路を走るような選手が区間賞争いできるくらいのレベルに来ないとやっぱり総合優勝は厳しいと思うので、僕がその役割というか復路で区間賞を取れるよう頑張りたいです。
ー1万㍍の目標タイム
28分30秒台は箱根駅伝で走る上ではマストかなと思うので欲を言えば30秒切りを目指したいなと思います。
ー夏合宿へ向け
合宿を消化しきったことがほとんどないので、まずはしっかり自分の足と相談して最後まで走り切るという目標で頑張りたいです
溜池一太選手
―今日のレースプラン
自分でレースメイクすることが今日の目標というか、タイムよりもレース展開が今日は大事だと思っていたので前に出られなかったのが改善点かなと思います。
―今年のトラックシーズンを振り返って
去年と比べてタイムも上がっていますし、自分の底力が去年より上がったなとは思ったんですけど、やっぱり(吉居)駿恭だったり中野さんが大きく自己ベスト出している中で、自分だけ置いて行かれてしまったので、そこは駅伝シーズンでは自分もチームを引っ張っていけるようになりたいです。
―吉居(駿恭)選手との距離
やっぱりアメリカ行って帰ってきてから、ジョグとかの質が自分たち日本にいた組と開いてしまったなというのは感じているので、自分も夏合宿しっかりと距離を踏んで、自分は満足の行く走りができていないので、しっかりそこはできればなと思います。
―箱根では今年以上のものを出したいか
そうですね、去年区間賞を取るということと、三大駅伝全部出るということが目標だったんですけど、ケガしてしまって全日本出られなくて、区間も4位か5位で全然、大和さんとか中野さんのおかげでの総合2位だったので、自分も優勝という目標があるのでそこに貢献出来たらいいなと思っています。
―箱根は1区で勝負したいか
箱根1区でもう一回リベンジして、今年よりもレベルは上がると思うんですけど、しっかり自分が区間賞とっていいスタートを切りたいなと思います。
―チーム全体としてここまで
自己ベストの数も多くなっていて、いいペースだと思うので、チームとしても去年より必ず強いなというのはあります。
吉中祐太選手
―レースを振り返って
自己ベストが更新できたので良かったです。
―レースプランやタイム目標は
タイムは13分45秒を切ることで、レースの内容としては早い組に入ったので、とりあえずついていくという感じでした。
―深川大会からの調整
強い練習はせずに、深川でいい感じで走れていたのでそのイメージを崩さないようにというのを意識しました。
―前半シーズン好調だった要因
冬季しっかり距離を踏んで土台作りができたのでそれが要因なのかなと思います。
―ここまで振り返ってみて
そうですね、一番前半シーズンの大きな目標としていた関東インカレ入賞ができて、前半シーズンいい感じで走れたので、駅伝シーズンに向けてもう一回夏で作っていこうと思います。
―夏の期間の目標は
この(大会にでてる)上位の選手みたいにスタミナや20㌔走れる、持続する力はまだないので、そういう距離走をしっかりやって20㌔走れるようになりたいなと思います。
―駅伝シーズンの目標
去年全くメンバーにも絡めなかったので、今年はしっかり出走してチームに貢献することです。
吉居大和選手
ーレースの振り返り
今日はベストを狙っていたんですけど、大事なラスト1000㍍というところで切り替えることができなかったので、ちょっと残念な気持ちがあります。
ーレースプランや目標タイムは
25秒を切ることを目標にしていて、ラストをしっかり上げて25秒をどれだけ切れるかというところを意識していました。
ー前半シーズンの振り返り
去年や一昨年と比べて、今回上手くいかないレースも多かったんですけど、30秒前後のタイムを何度か出すことができ、ここはしっかり安定感がついてきたと思うので、その上のレベルをしっかり走るようにしていきたいと思っています。
ー前回の試合からどのように大会に向けて調整したか
高地トレーニングを3週間ほどしたんですけど、オーストリアの試合のなかなかうまくいかなかったレースの中で、調整できたうちに入ったんじゃないかなと思います。
ー夏合宿に向けて意気込み
ここの駅伝に向けて、夏合宿がどれだけ大事かというのをこの3年間でしっかり感じてきたので、その大切さをしっかり肝に銘じながらトレーニングをしていけたらなと思います。
ー駅伝シーズン中大のエースとして自分の役割
昨年は3大駅伝全て区間賞を取ることができたので、もちろん今年もそれ以上の結果を狙っていって、チームも3冠を目標にしているので、それぞれ1本ずつ、しっかりチームに貢献する走りに集中していきたいと思います。
(記事・写真:小幡千尋、要明里沙)
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