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7年ぶりの伊勢路出場ならず しかし次につながるレースにー第51回全日本大学駅伝対校選手権 関東学連推薦校選考会

6月23日 相模原ギオンスタジアム

各校から2名ずつ4組に分かれて1万㍍を走り、その8名の合計タイムで競う今大会。小雨が降る中、伊勢路出場の5枠をかけた熱い戦いが繰り広げられた。

7年ぶりの伊勢路出場に向けて挑んだ中大だったが、結果は惜しくも6位。5位の中央学大には、わずか18秒届かず本戦出場を決めることはできなかった。


▲1組目5着の矢野郁人(商3)。チームに良い流れを作った

1組目に出走したのは、今年の箱根駅伝で区間一桁台の走りを見せた矢野、川崎新太郎(経3)の2名だ。同じ組には、日本人学生ランナーで唯一1万㍍27分台のタイムを持つ阿部(明大)がいるため、ハイペースなレース展開が予想された。

スタートと同時に阿部が頭一つ抜きん出ると、そこに創価大の米満がついていく。その後ろにできた大集団の前方に矢野、川崎は後方につけて走っていた。3000㍍を過ぎた辺りから、レースは阿部(明大)の独走モードに。矢野は「阿部さんについていくのはペース的にリスクがあった」と判断し、後ろの集団の前方につき続けた。

集団の後方に付けていた川崎は「誰が引っ張っているかを見ながらしっかり合わせていこう」と先頭の様子をうかがいながら、徐々に集団の真ん中へと上がってくる。


▲ラストスパートをかける川崎

残り2000㍍となったところで集団の中から仕掛けたのは矢野だった。川崎も前に走る選手を確実に拾っていき順位を上げていく。矢野が5位、川崎が8位でフィニッシュし、二人は1組目の総合順位を2位で締めくくる好走を見せた。矢野は「良い流れは作れた」と、残りの組に望みをつないだ。

2組目には、畝拓夢(法3)、大森太楽(文3)の2名が出走。畝は、1年次の箱根で5区を走り区間10位と健闘した実力者だ。しかしその後は、けがの影響から公式戦を走れない日々が続いた。「チームの代表として出る試合が久しぶりだったのでうれしかった」と走れる喜びを口にした畝。スタートから先頭集団に付ける積極的なレースを見せた。


▲復調の兆しを見せた畝

大森は「4組を走る2年生に楽をさせてあげたい」という思いを胸に、レース序盤から確実に集団の前方に付ける。しかし6000㍍を過ぎた辺りから少しずつ前との差が開いてしまう。第2集団に付く形となり、レース後半には前の選手を追い上げる場面も見せたが、組15着でゴール。「最低限の走りしかできず、貯金を使ってしまった」(大森)と悔しさを見せた。畝が11位でフィニッシュし、2組目も伊勢路出場圏内に入る、総合4位で次につないだ。

3組目は、池田勘汰(商3)、加井虎造(文3)が出走。池田は今年の箱根駅伝で4区区間9位と健闘し、加井は先月行われた関東インカレの1万㍍で好走を見せた。自己ベスト29分台前半の両選手の力走に期待が高まった。

▲レース前、気持ちを集中させる池田。左腕には「思い出せ」の文字が

レース序盤はともに先頭集団中ほどから後方につける。そのまま安定したペースで進み、レースは後半へと差しかかる。「前半に行き過ぎると後半止まってしまうので、ペースが変わったときに対応できるように考えていた」と自身のレースプランを崩さなかった加井は集団に必死に食らいつく。加井はその後も粘り強く走り続け、ラストスパートは最後の力を振り絞って全体の9位でフィニッシュ。しかし、池田は集団が縦長になり始めたタイミングで、ついていくことができず集団から離脱。池田は最後まで巻き返すことができず23位に終わり「悔しいの一言」と振り返った。この時点で中大は順位を4つ落とし、全体8位で最終4組目を迎えることとなった。

▲ラスト100㍍で全力疾走する加井

全日本出場は最終4組目に出走した三浦拓朗(商2)、森凪也(経2)の二年生コンビに託された。留学生が名を連ねる4組目は、各校のエースが多く出場するためハイペースなレース展開に。序盤からキロ3分を大幅に切るペースで早くも集団が縦長になる。そんな状況で三浦は第2集団を引っ張る位置につけ、森も集団の前を意識し何度か前方に出るなど積極的な走りを見せる。

しかし疲れが見え始めるレース中盤に三浦のペースが徐々に落ち始め、最終的に集団から離れてしまう。一方、森はなんとか集団に食らいつこうと必死に腕を振り続ける。ラストも1秒を削るために全力で走り抜け、全体では15番目となったものの森は自己ベストを20秒近く更新するタイムでゴール。「5000㍍から8000㍍のきつくなったところで耐えられたのが良かった」と手ごたえを感じていた。三浦は本人も言うように反省の残るレースとなり20位で終えたが、両選手とも健闘し結果を待つのみとなった。

▲苦しみながらも最後まで粘り強く走った森

全体5位までが出場できる全日本大学駅伝。1位はチーム力向上が見られた東京国際大。2位には明大、3位は早大と1~4組で常に先頭を引っ張った大学が全日本出場を決めた。中大は5位の中央学大と18秒差で6位となり、惜しくも全日本への出場を逃した。今年の箱根駅伝に続き、またしてもあと一歩というところだった。

中大として7年ぶりの全日本駅伝出場の夢はかなわなかったが、ここが終わりではない。箱根駅伝という舞台に向けて、スタートラインに立ったばかりだ。「みんなしっかり戦えていた。チームとして、前を向いて進んでいかないといけない」と矢野は気持ちを引き締める。また藤原監督は「チームが成長しているという点で手ごたえを感じているので、来年もう一回リベンジしたい」と話した。

堀尾謙介(現トヨタ自動車)、中山顕(現Honda)のダブルエースが抜けた中大だが、29分台で安定して走れる頼もしい選手が多くいるということが証明できたのは一つの大きな収穫と捉えられるだろう。またしても僅差で出場を逃したこの悔しさを、箱根という大舞台で晴らしてくれることを大いに期待したい。

 

◆コメント◆

藤原監督 *囲み取材・コメント抜粋

選手の出た8人は一生懸命やってくれたと思いますし結果は私たちの責任です。全日本に関してはずっと悔しい思いをさせてますのでちょっと不甲斐ない思いではあるんですけど今回に関しては出た8人がしっかり戦ってくれたのかなと思います。言って良いのかどうか分からないですけど手応えはあるのかなと。確実にチームは成長していってるなという点は感じてますので、来年もう一回リベンジしたいなと思います。

1組目
矢野
最終結果を見てからだと、もう少し自分が(タイムを)稼ぎたかったなと思っている。でも最終組を見てもみんなしっかり戦えていたので、チームとして前を向いて進んでいきたい。

川崎
レース展開は悪くはなかったが、狙っていた順位よりは低かった。今の気持ちとしては、悔しい。秒差が18秒と数字で出ているので、そこを強く意識しながらやっていきたい。

2組目

入学時は持ちタイムが学年で1番だったけど、まともな活躍が出来ていない。エースを2年生に任せている状況なので、自分がエースになれるくらい夏にしっかり頑張りたい。

大森
(1組目終わって)雰囲気がすごく良かったので、その流れに乗り一桁順位でゴールしたいと思っていたが、レースに対応する力が足りなかった。上級生であるという自覚を持って、レースに挑んでいきたい。

3組目
池田
今回はチーム全員で出走のエントリーメンバーを決めて、その中でチームメイトやマネージャーが自分をスタートラインに立たせて後押ししてくれたがこのような結果になってしまった。チームメイトにはありがとうしか言えないし申し訳ない。これからのレースでは強くなるしかないのでもっと強くなる。

加井
関東インカレから1カ月調子を崩さずやってこれて、コンスタントにいつも通りの力は出せた。自分としては何年もかけて常連校になるのではないかと思っていて、少しずつチームで成長していったらいいのでは。記録を伸ばして前でチャレンジしていけるようにしたい。

4組目
三浦
自分の中では日本人トップで帰ってくる予定だったが、関東インカレで5000㍍が走れたからといって1万㍍もいけるという甘い考えが自分の中にあった。あと一歩二歩レベルの高い競り合いをしていないとこういった場面で勝負ができない。前に行くだけで終わってしまったので、そこで結果を残す走りに変えていきたい。


個人として今できることはやったが、8000㍍以降で気持ちが折れてしまって前が遠ざかってしまった。チームが勝てるところまで至らなかったのは自分自身にも詰めの甘いところもあるし本当に悔しい。箱根予選会ではまず結果を出して今年出られなかった悔しさをぶつけたいし、そこで初めてチームに貢献できれば最高の形になるのかなと思う。チームを勝ちに導ける選手になりたい。

◆大会結果◆

総合順位
①東京国際大 3時間57分13秒15
②明大 3時間57分26秒23
③早大 3時間58分46秒84
④日体大 3時間59分29秒30
⑤中央学院大 3時間59分53秒89
⑥中大 4時間00分11秒12
⑦山梨学大 4時間00分31秒56
⑧日大 4時間01分15秒62
⑨大東大 4時間01分52秒58
⑩神奈川大 4時間02分11秒25

1組目
⑤矢野郁人(商3)30分03秒92
⑧川崎新太郎(経3)30分06秒72

2組目
⑪畝拓夢(法3)30分28秒14
⑮大森太楽(文3)30分37秒16

3組目
⑨加井虎造(文3)29分39秒71
㉓池田勘汰(商3)30分29秒06

4組目
⑮森凪也(経2)29分09秒57 PB
⑳三浦拓朗(商2)29分36秒84

記事・写真:「中大スポーツ」新聞部