10月の箱根駅伝予選会では、過酷なコンディションに苦しみながらも6位に入り出場権を獲得。11月のMARCH対抗戦では多くの選手が自己ベストを更新し、優勝を果たした。この勢いを箱根路で発揮なるか。選手たちの思いを連載でお届けする。
第5回は走りで中大を引っ張ってきた3年生エース、溜池一太(文3)、吉居駿恭(法3)。この1年を振り返るとともに「エース」としての思い、箱根駅伝への意気込みを語ってもらった。
溜池一太(文3)*12月1日に取材を行いました
──荒川ハーフ後だが、どうだったか
そうですね、7割か6割 って感じなんですけど、みんなが全日本終わって頑張ろうとしてる中で、 自分が思うように練習を引っ張れないっていうのはすごい悔しいですけど、自分のこと考えたら順調に戻ってきてるかなと思っています。
──全日本後からは練習を
そうですね。全日本から箱根に向けて、そのけがしてた期間できなかった練習をしてきたんですけど、さすがにやっぱりけが明けなので思うように練習できなくて。 前期シーズンがうまくいっていた分、それが自分の中で引っ張っちゃって、ちゃんと走れないっていう焦りが今あるんですけど、今日走ってみてもそれなりには走れたので、なんとか間に合うかなと思います。
──2月にアメリカに行かれたが、今振り返ってアメリカ合宿はどのようなものになったのか
そうですね。本当に自分が前半戦うまく走ったのは、本当にアメリカに行かせていただいたおかげです。なので、 中大や受け入れてくれたアメリカにも本当に感謝していますし、これからの自分の陸上人生で本当に大きなきっかけだったなという風に思っています。
──アメリカから帰られたあとのトラックシーズンはどうだったか
織田記念以外はもう全部自己ベストで。久しぶりに楽しいトラックシーズンだったので、来年の世界陸上目指せるっていう風に自分でも思えたので、良いシーズンだったなと思います。
──アメリカでどのような経験が春トラックシーズンにつながったのか
目の前で(5000㍍)12分台であったり(10000㍍)26分台っていうのを見させてもらって、自分の中での基準とか当たり前のレベルが上がったのが、このシーズンの飛躍というか、原因だと思います。
──距離が増えたのか
そうですね、練習の距離、ジョグの距離とかも、今までだったら「今日頑張ったな」って思っていた距離が、その自分の中で当たり前の距離になったり、 スピード練習であっても「頑張らなきゃいけない」っていう風に練習前に身構えるようなペースでも、アメリカ行ったらそれが普通だったので、自分の中で本当に練習の向き合い方であったり、やる練習1つ1つの取り組み方が変化がありました。
▲走りでチームを引っ張る溜池
──今シーズン「エース」という言葉が印象的だが、そこに対する思い
そうですね。全日本であれだけの結果が出てしまって、結果や数字を見て、振り返った時に自分がけがせずに走ってれば予選会もトップで通過できてましたし、自分が(全日本大学駅伝で)7区を走っていればシード権は行けたと思うので、やっぱり本当に自分がやらなきゃいけないんだっていう風に 来年4年生になりますし、箱根駅伝で優勝っていうのは目指しているので、そこに向けて貢献していきたいです
──9月下旬頃にけがの期間は焦りなどもあったか
全日本は間に合わないと思っていて、 箱根に向けてやっていければいいっていうのは自分の中であったので、焦らずゆっくりやればいいかなっていう風に。 今できることをとりあえずやって、箱根には間に合わせようっていう風に思っていました。
──何かリフレッシュ方法はあるのか
えー、そうですね。寝る。寝てますね。最近はそうですね。
──全日本の後からチームの雰囲気
みんなが一丸となりきれてなかった部分が多分あったと思うんですけど、全日本をやってミーティングをしたりして、 本当にチームとしてやっていこうっていう意識とかが上がってきて、それが多分(MARCH)対抗戦の結果として表れましたし、練習にしても普段の練習にしても、みんなで ちゃんとやりきろうっていうのがすごくあるので、前期シーズンと比べて本当に変わったなと思います。
──同期の雰囲気や存在は
そうですね。これも全日本前まで、去年とかは、自分が我が強いと、みんな我が強いというか、自分が自分がって感じがあったんですけど。そろそろキャプテンを決めなきゃいけないってなったり、チームとして変わっていかなきゃいけないってなった時に、 自分たちの学年がこのチーム見た時に強いので、自分たちがやらなきゃいけないっていうのは、1人1人の意識が上がって、今までだったら自分も含めてなんですけど、自分の結果がだけっていうの思ってたと思うんですけど、本当にみんなでやっていこうっていう風に変わってきているので、来年一丸となって良いチームになっていくんじゃないかなと思います。
──3年生でまとめる存在は誰か
マネージャーの長嶋(翔大=総3)がやってくれたりします。
──ムードメーカーは
吉中(祐太=文3)ですかね。
──4年生にはどのような思いがあるか
そうですね、 4年生も前期と比べて、全日本の後、夜遅くまで4年生だけでミーティングをしているところを見たりしてるので、4年生のために箱根駅伝ではシード取って、ちゃんと卒業してほしいというか、良い思いをして卒業してほしいっていうのはあります。
──競技を続けてて良かったなっていう感じる瞬間はどういう瞬間か
アメリカ行っても思ったんですけど、やっぱり自分は速い人たち、強い人たちと一緒にいたいっていうのがあるので、 今までは多分「負けたくない」とか、「このタイムで走りたい」っていうのはあったんですけど、アメリカに1ヶ月ちょっといて、1秒も苦しいと思う時間がなくて。何でかなって考えた時に、すごい人たちと一緒にいたいなっていう風に思って。 自分が本当に世界に行きたいって思ったのも、その人たちと一緒に走りたいって思ったからなので。もちろんタイムとかを出さないとそこに行けないので、日本選手権とかでも勝たないとそこに行けないので、負けてはいけないですし、タイムも出さないといけないんですけど、自分のゴールっていうのは速い人たちと走りたいっていう、もうシンプルにそこだけなんで。 一番はやっぱりアメリカに行ってそういう経験ができたのは、ここまで続けてきたおかげなので、それは本当に良かったと思います。
──速い人と走るとわくわくする感じか
そうですね。自分がゴールして倒れてても、アメリカの人たちは笑ったりしていたので、そういうところを見て自分も楽しくなってはいきますね。
──箱根駅伝はどんな走りをしたいか
予選会とか全日本、 全日本は出たが、エースっていう立場としては人はできていないと思ってるんで、 しっかり自分がエースか2区であったり、前半区間走って、そこでチームに貢献したいなっていう風に思っています。
──最後に箱根駅伝の意気込みをお願いします
箱根駅伝、今年自分が1区走ってそこで 今の時点でもう「優勝」というのは変わってしまって、本当に4年生とか応援してくれた方々に申し訳ない思いをしたので、 やっぱり箱根でしかリベンジできないと思っているので、どこの区間走るかは分からないですけど、どこの区間でも行けると思ってるので、そこに合わせて準備していこうと思います。
吉居駿恭(法3) *取材は12月17日にオンラインで行いました。
──今年1年の振り返り
箱根終わって、自分は2月にアジア室内があったので、そこを目指してやっていく中で調子が上がらず、 精神的に不安定で、焦りも多かったです。その中でも4月の織田記念で結果を出せて、まだパリが見える、まだ諦めなくていいというとこだったんですけど、そこからも少し上がらずということで、前半はそういう焦りや悔しさの残るシーズンになりました。日本選手権終わって、パリオリンピックへの道ががもう途切れてからは0からというところで、夏以降は駅伝に向けてやっていく中でだんだん調子も上がってきて、自信もあった中での全日本は悔しい結果になって、その悔しい結果で自分を詰め直すきっかけになりました。さらに練習も増やしたので全日本からはいい練習もできてるなと思っています。
──最初思ってたよりはちょっと上がりきらなかった感じ
そうですね。昨年の12月から調子悪くて、 箱根は走れたんですけど、また箱根終わったら調子悪くてっていうところで、 楽しく走れないシーズンでしたね。
──印象に残ってるレース
MARCH対抗戦ですかね。
──27分台で中大記録更新という点でか
いや、タイムはそこまで。出るタイムだったので、 タイムっていうよりは、しっかりと全日本で悔しい結果になって、自分の取り組みを 一度見つめ直してやっていった中ですぐに形として現れてきたので、自分のやってることが、正しいんだなっていう風に感じるレースだったので。あとは本当に 1年通していい結果で終わってなかったので、久しぶりに自己ベスト出して嬉しい気持ちになりました。
▲MARCH対抗戦での吉居。「自己ベストを出せて嬉しかった」。(写真右)
──トラックシーズンからの下級生の好調はどう見えたか
自分が走れてなかったので焦りにはなりましたけど、本当にいい練習してたので、刺激をもらいながらっていうところで、本当に自分も頑張りたいなって気持ちにはなりました。
──箱根予選、全日本を経てチームの雰囲気が沈んでしまった時期があったとのことだが今のチームの雰囲気は
全日本終わって、自分たちの甘さというものに気づけたので、そこからはそれぞれが、 熱意を持ってできてるので、それによってまとまりもってできて、いい雰囲気にはなってきたかなという風に思ってます。
──来年からは最高学年となり、チームを作っていく立場になるが
そうですね、やっぱり大学生として駅伝が1番重要になってくるので、今年はやっぱり駅伝にチームとして向かっていくというところが薄かったので、来年度はそういったところを4年生として示していったり、声かけをしていきたいなという風に思ってます。
──エースとしての理想像
練習や生活から、やっぱり背中で見せていくっていうところと、先頭引っ張っていくっていうところ、 そしてレースで安定して結果を残し、常に外さない積極的なレースができるっていうところがやっぱエースだと思ってます。
──合宿での手ごたえ
モチベーションも高く、すごく熱意も出てきていて、いい練習も集めているので、自信になる合宿になりました。でもまだあと半月あるので、調子を整えていかないといけないというか、緊張感も持ちながらっていうところで。でも、いい合宿になったので、しっかりと残りの日数でやるべきことやっていきたいなっていう風に思います。
──箱根駅伝で走りたい区間と目標、箱根までどういった意識で取り組んでいくか
今は1区走りたいなと思ってて。監督に1区を行ってほしいって言われたので、 行きたいなと。監督の行ってほしい区間を走りたいので、自分的には そこでインパクトある走りを積極的な走りをして、チームに流れを作っていけたらなという風に思っています。
──お兄さんの大和さんの記録は意識されるか
区間記録は出せないタイムではないと思っていますし、自分の方がその当時の兄よりは練習してると思ってるので、展開によっては 出したいなと思ってます。
この1年を通して壁にぶつかりながらも、乗り越え、さらなる強さを身に着けてきた。「箱根でしかリベンジできない」、「チームに流れを作りたい」それぞれの強い思いを走りにぶつける。エースの意地を箱根路で見せつけられるか。
(取材、構成:二村沙羅、大畠栞里)
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