5月24日 神奈川・レモンガススタジアム平塚
伊勢路出走を懸けた20大学による予選会が行われた。各校から2名ずつ4組に分かれて1万㍍を走り、その8名の合計タイムで7枠を競うなか3時間50分27秒09という記録で1位通過となった。1位通過候補との前評判通り、圧倒的な力で見事本選への切符をつかみ取った。
強い中大が伊勢路に帰ってくる。まさかのシード落ちを喫した前回の全日本大学駅伝から一回りも二回りも強くなった選手らの力は圧倒的なものだった。「全力で戦いたい」との藤原監督の宣言通り、エース・吉居駿恭(法4)、溜池一太(文4)をはじめとする強力な布陣で戦い抜いた。
緊張感の漂う空気の中、中大の先陣を切ったのは先日の関東インカレ10000m7位入賞の佐藤大介(文2)と藤原監督が「次のエース格」としての期待を寄せる田原琥太郎(文2)。佐藤はスタートの合図と共に大きく飛び出し、先頭に立つ。田原は第二集団の真ん中から淡々とレースを進めた。3000m通過前、佐藤と集団の間がじわじわと縮まり始め、3000mを通過する頃には田原がけん引する集団が先頭に追い付き、縦長の大集団が形成された。佐藤も田原もじっと先頭に立つ機会を伺った。徐々に集団の人数が絞られ、先頭争いもし烈に。残り二周で佐藤が前に出るも田原が猛追を見せる。ラストスパートは田原に軍配が上がり、2着、3着でフィニッシュ。好スタートを切った2人であったが、レースを振り返って「最低限の仕事はできたがレースの進め方が下手だと実感した」(田原)、「1着を取ることができなかったところは弱さが出た」(佐藤)とそれぞれ納得したレースではないことを明かした。
▲序盤から積極的なレースを展開した佐藤
▲2着でフィニッシュした田原
2組目はキャプテンでエースの吉居駿恭、注目のルーキー三宅悠斗(文1)。「自信はあったが失敗できないレースだったので緊張感を持って臨んだ」という吉居は号砲と共に大きく飛び出し、終始先頭を譲らなかった。「強い先輩方がいたので安心してレースを楽しもうという気持ちだった」と語った三宅は集団の中ほどからレースを展開した。レマイヤン(駿河台大)にぴったりとつく形でレースを進めていた吉居。ラスト一周で後続を振り切るスパートを見せ、堂々の1着フィニッシュ。集団の中ほどでレースを展開していた三宅も最後の直線に入ると、一気にギアを上げ、ラストスパート。29分23秒84と好記録をたたき出した。
▲走りで示す吉居
▲期待のルーキー三宅
雨足が一番強くなった頃行われた3組目には副キャプテンの吉中祐太(文4)、藤田大智(文3)が出場。5月のGGN5000mにて吉中とともに日本選手権の参加標準記録を突破するなど、勢いに乗る藤田は佐藤、吉居に続くように序盤から大きく飛び出し、先頭で集団を引っ張る。吉中は後方からのスタートとなった。藤田は5000mを14分20秒で通過した後、先頭を譲るも冷静に前に出る機会を伺う。吉中も同様に前を追った。9000mを過ぎた頃、藤田がペースを上げる。ラスト一周で先頭に立ち、スパートを仕掛けるも最後は競り負け、2着でフィニッシュ。「ゆとりがあれば最後抜け出したかった」と話した吉中は終始集団の中ほどでレースを展開する形となったが、ラストはペースアップに対応し、レースをまとめた。
▲レース後肩を組む藤田、吉中(左から)
エースが集まる最終4組目には、アメリカで修行を積み、さらなる強さを身につけた溜池一太(文4)と岡田開成(法2)が登場。溜池はスタート直後に勢いよく飛び出すと、外国人留学生らがけん引する集団で日本人トップにつけた。岡田も集団の中ほどからスタートしたもののすぐに集団に追いつき先頭集団でレースを進めた。最初の1000mは2分45秒で通過した。溜池の後ろにぴったりとついていた岡田だったが徐々に間が空き、単独走を強いられる展開となった。そんな岡田を溜池が気にかける場面も見られた。溜池は依然として日本人トップをキープ。前を行く留学生選手を捉え、さらに順位を上げる。ラスト一周の鐘と共にぐんぐん加速し、日本人トップの4着でレースを終えた。岡田も懸命な腕振りで力を振り絞り、28分30秒23でレースをまとめた。
▲先頭集団でレースを進める岡田、吉中(左から)
トップ通過候補の前評判以上の突出した力を発揮したが、選手たちに納得の様子はなかった。それでも、真紅の歴史に新たな1を刻んだことに変わりはなく、「力はついている」と吉居も手ごたえを感じている。進化し続ける選手たちの活躍は今後も目が離せない。
◆大会結果◆
1組
②田原琥太郎(文2)29分01秒99
③佐藤大介(文2)29分03秒35
2組
①吉居駿恭(法4)28分34秒81
⑤三宅悠斗(文1)29分23秒84
3組
②藤田大智(文3)28分39秒00
⑱吉中祐太(文4)29分09秒48
4組
④溜池一太(文4)28分04秒39
⑪岡田開成(法2)28分30秒23
◆コメント◆
佐藤大介(文2)
ーレースプラン含め、振り返り
自分が集団を引っ張り、スローペースにさせないように戦うことを目標にして走った。ただ、組で1着を取ることが出来なかったところは、弱さが出た部分だったと感じる
ーお互いにプランを合わせたレースだったか
2人で交代で引っ張る予定だったが、田原がスタートで前に出れず、一人で飛び出す形になって、誤算が生まれてしまった
ー上半期に狙うレースや目標タイム
次は日本選手権で、決勝の舞台で戦えるように頑張ります
田原琥太郎(文2)
ーレースプラン含め、振り返り
レースプランとしては、大介と一緒に交互で引っ張り合ってレースを進めていく予定でしたが、自分が最初に集団に埋もれてしまい、大介に大きく負担をかけてしまいました。結果的には、2着で最低限の仕事は出来ましたが、レース内容としては全然ダメで、レースの進め方が下手だと改めて実感したのでそこもしっかり今後に向けて改善していかないといけないと感じました
ーお互いにプランを合わせたレースだったか
最初から先頭で二人で引っ張り合って、5000mくらいで給水で後ろに下がってラストまた仕掛けて5番手以内を目指そうと二人でレースプランを合わせました
ー上半期に狙うレースや目標タイム
次のレースがハーフマラソンとなり、直近のレースが納得のいくものとなっておらず、課題ばかりが残っているので、納得のいくレースをして、目標タイムは自己ベストの62分40は最低限更新して61分台後半から62分1桁台を目指して、レースまで練習を積んでいきます
吉居駿恭(法4)
自信はありましたが、失敗できないレースなのでそれぞれ緊張感を持っていましたし、緊張感を持ってやっていこうという声掛けもしていました。今年は練習の質が上がっていて、トップチームでやっている者は力がついてきていいトラックシーズンになっています。中には疲労が出てきて結果として示せてない者もいますがカはついています
三宅悠斗(文1)
予選会ということで、失敗ができない状況の中でとても緊張しましたが、強い先輩方がいたのでとても安心して自分はこのレースを楽しもうという気持ちでした。次は6月7日の日本インカレの5000mで入賞することを目標にしています。格上の選手が多い中なのでどこまでくらい付けるかが楽しみです。1年間の目標として箱根駅伝で出走しチームに貢献することを目標しているので、夏は距離に対応できる足作りをしっかり行っていきたいです
吉中祐太(文4)
集団の中で粘ってゆとりがあれば最後抜け出すプランでした。残りの上期は日本選手権で本来の走りをすること、夏場は駅伝シーズンでガス欠しない体作りをしていきたいです
藤田大智(文3)
スローペースにはしたくなかったので自分のリズムで走っていくことができ、最後もしっかりとまとめることが出来たと思います。残りの上期は日本選手権で決勝に残ることを目標にしていき、夏合宿で上期に鍛えたスピードを長い距離に活かしていけるようなトレーニングを積んでいきます
溜池一太(文4)
一岡田選手とレース前にプランは立てた?
外国人の1番後ろについて行って確実に日本人トップを取りにいくことを共有していました
一三大駅伝の目標
どこの区間でも4年生として、エースとしてチームに貢献する走りをします
岡田開成(法2)
ーレースプラン
思ったよりペースが速かったので自分のペースで粘れるところまで粘り、あわよくば落ちてきた留学生をとらえていこうと考えていました。最低限チームの優勝(1位通過)に貢献できたのは良かったが、全体としては全く納得のいくレースはできなかったです。先輩方に頼りきりになってしまっているので、この現状を打開し状態を上げていけるように今後も頑張ります
(記事:大畠栞里、写真:功刀萌恵、山崎響、村野風珈)
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