新型コロナウイルス感染拡大の影響で、紙面上での7月号(第160号)製作を行えないことが決定致しました。そのため変則的な形ではありますが、この中大スポーツWEBにて、7月号製作に向け部員が執筆してきた連載記事や、この時期にふさわしい記事を選別し公開することとなりました。
今回は五輪を目指すフェンシング部の江村美咲さん(法4)に引き続き、本紙独占インタビュー特別企画第2弾!「藤原駅伝監督の胸中に迫る」です。コロナ禍による4月から現在に至るまでの部の取り組みや、予選会中止に伴う書類審査での全日本大学駅伝落選に対しての想いなど、藤原監督に貴重なお時間をいただき、本紙へ赤裸々な想いを語っていただきました。
*取材は7月10日に電話取材にて行なったものです。状況は刻一刻と変化しているため、今後取材内容と状況が異なる場合もございます。
――コロナによる自粛期間での部の取り組みや当時のチーム状況を教えて下さい。
基本的には実家に戻ることを希望した子は実家に帰って貰って、1年生は上京したてということもありましたので、大学の生活に慣れてもらうということで寮内に残ってもらう形で進めました。
練習内容としては、自粛期間で集合などもできませんでしたので、上級生に関しては自分たちで考えたメニューを1週間単位で提出してもらい、毎日どれくらいの形でできたかタイムを含めて日誌をラインでやり取りするような形にしていました。1年生に関してはある程度こっちの環境でできる範囲内で練習を組んで、密にならないようにやる形で進めていました。
――春先にチーム状況が良かっただけに、出鼻を挫かれたこともあったかと思います。学生に伝えたこと、心掛けたことはありますか。
未知のウイルスなので、どういう状況になるか中々読めなかったところが非常に大きかったかなと思うところもあります。モチベーションを保てない子も中にはいたので、その点がある意味うちの場合は試されたというか。今年は自律ということをテーマに掲げていたので、しっかりと自分を律してやれた子と、自分に甘くなってしまった子と完全に別れてしまったことに関しては、良い意味でうちのチーム状況を試されたのかなと感じています。
――他の大学アスリートにも言えることですが、走りをこの先職業としていく選手、実業団に行く選手にとってはアピールの場が減ったのではないでしょうか。特に3、4年生が関わってくると思いますが、その辺りに関しての想いを教えて下さい。
4年生に関しては、殆ど実業団でやりたい選手に関しては内々定というこの先やっていく状態が見えてきた中で、こういった状況に入ったので、逆に4年生に関しては一般の就職活動、こちらの方が今現在も含めてまだ決まってない子もおりますので、一番大変な時期かなと思っております。
逆に3年生ですね。試合の場がホクレンなどレベルの高い子のレースは始まりましたが、就職のアピールを狙うようなレースが中々無い。そういう意味では、これから夏合宿が始まってきますので、その辺りで(実業団に)ちょっとお願いをして、合宿に混ぜていただいたりして、アピールの場をこちら側でお願いして設けていかないと、来年の子たちに関しては難しいのではないかなということは感じています。
――厳しい状況の中、先日行われたホクレン深川大会では吉居選手や森凪也選手が自己ベストを出しました。選手たちがしっかりと結果を残していますが、その辺りに関してはいかがですか。
自粛期間で目標を定めてきた子たちが、チーム全体として多かったことは間違いありません。代表格というか、一年生は割と自分が手元に見てきた部分もありますけど、それぞれが思い描いているような成長をできているのではないかと思います。その象徴として吉居が結果を出してくれて、1年生全体として良い流れにあるんじゃないかなと思っています。
森に関しては、冬場に短期でアメリカに武者修行に行っていて、この状況で急遽帰国したりで中々実戦の場が設けれない中で淡々と自分の練習を積んできましたので、箱根以降結構周りの方から「状態は大丈夫なのか」と心配をされていたんですが、本人としては「あれがあったから成長できた」と言っていますし、こっから先のシーズンが楽しみだなという感じです。
――予選会中止による書類審査の影響で、全日本大学駅伝の出場が厳しくなりました。選手たちにとっても、監督にとっても歯痒い思いがあるかと思いますが、そこに関しての心境はいかがですか。
決まってしまったことですので。ルールがあるものですからその決まったことに則ってやっていくしかないのかなという部分はあります。ですが駅伝経験を積ませたいという思いは当然ありますし、ちょっとその代替案も考えてやっていかなきゃなというのが一点。
二点目は今だからこそできることをやっていきたいということ。逆にこういった状況下なので、秋口に全体としてトラックのタイムを出させてあげたいねという部分はありましたので、先程の質問にもありましたが3年生や2年生は就活にも繋がりますし、1年生にとっても大学での成長を数値化して、タイムで表してあげることの方が個人としての自信につながるので、駅伝がないんだったらトラックのタイムをしっかり狙ってやっていきます。
正直プラスとまでは言えないかもしれないですけど、こういう状況下でやれることを見定めたところで、秋口にしっかりとタイムを狙えることは決してマイナスではないのかなと思っています。
――選手たちを集めてのミーティングや、直接言ったことはありましたか。
その発表(全日本選考基準発表)があったときに士別に行った日でしたので、全体のラインに選考に至った経緯だとか、全体としては外れてしまったことは残念だけど、これがあったから箱根で思うような走りができたときに、「何で中大って全日本出れなかったの?」という話になれたらカッコいいよね、といった話はしています。
――何かほかに選手たちへ監督から伝えた言葉はありますか。
そうですね。「雪に耐えて梅花麗し」という言葉を伝えました。今の時期があったから、箱根で輝けた。そう思えるような残り半年にしようということは全体で伝えましたね。
――この先箱根予選会などがあると思います。そこに向けてと、一学生指導者として箱根駅伝開催について思うことを聞かせてください。
予選会は昨日、一昨日と新聞記事に出てた通り駐屯地の中で開催はされそうですので、我々ができることとしては、夏合宿からそこに向かって全力で取り組むことです。駅伝という公道を使ってやらせて貰っている面と、観客の方の制限ができない部分が難しいところではあると思いますが、我々にとっては高校球児の甲子園と同じように、箱根があるから1年間学生は頑張ることができてる部分が大半ですからね。どんな形であれ、是非実施して頂きたいというのが本音です。
ーー今後夏合宿などがあると思います。例年と違った練習スケジュールとなるのでしょうか。また今後の予定を教えて下さい。
近年の傾向からしたら、今年に関しては割と早めから長い距離に全体としてシフトしている部分はありますので、例年の夏よりかはボリュームや質は上げたことができるのかなと感じています。やるべきことを毎日積み重ねていくことが大事なので、怪我のないようにしっかりやっていきたいですね。
厳しい逆境の中、黙々と練習をこなす選手やそれを支える監督、コーチ、マネージャー、スタッフの方々。この逆境の先に喜びがあることを、弊部員一同切に願っております。今回はお忙しい中、取材にご協力いただきありがとうございました!
取材構成・レイアウト:山田裕太
写真:山畑友香里