春季は全日本覇者・青学大との一騎打ちに敗れあと一歩、優勝には手が届かなかった中大野球部。しかし表彰選手に５人が選出されるなど、快挙も達成した。春の雪辱を果たすべく、夏の練習で弱点を克服して迎える秋。
ラストシーズンを迎える４年生をはじめ、中大の躍進を支えた選手たちが持つそれぞれの特別な思いを全11回に渡ってお届けする。
第３回は２年生野手陣の伊藤櫂人（文２＝大阪桐蔭）選手、安田淳平（商２＝聖光学院）選手です！
────────────────────────────
＜伊藤櫂人＞（聞き手、構成：橋本唯花）
▲春季リーグではベストナインを獲得した伊藤櫂
──春季リーグの点数をつけるとしたら何点ですか（前回10点満点中４点）
「６点くらいかなと思います」
──前回より２点増えた理由はありますか
「１年生の頃に（リーグ戦を）経験させてもらった分、少し余裕持って入れて、それなりの結果が出てきたかなと思ったんですけど、まだ打てない試合が続いたりすることが連続で多くなってしまっている分、もっと高い点あげられないなっていう感じです」
──春季リーグを終えて一番成長した部分は何ですか
「個人的には去年よりもヒットの数が多くなったので、ピッチャーに対応する力が良くなったのかなと思います」
──春季リーグでは背番号も変わりましたが何か感じることもありますか
「中大の中だと30番が出世番号みたいな。１年生の時につけたら。そういうのがあるらしくて。 自分も２年生になったんで、基本先輩方が背番号優先なんですけど、 空いてたのが25だったんでいいかなっていう」
──前回のインタビューで守備が課題という風におっしゃっていたと思うんですけど、この夏どのような練習を重点的に取り組みましたか
「前のリーグ戦でミスが多く出てしまったので、ちょっとそれを引きずっちゃって今の練習試合の期間に入ってしまったんですけど、最近は少しずつ安定してきて、 日頃のノックとかは良くなったのかなって」
──バッティングの時に気持ちの持ちようを変えたという風におっしゃってたと思うんですけど、毎回新しい気持ちで打席に入るというイメージですか
「そうですね。毎回やっぱりアウトになってしまっても、 次切り替えてまだ打席あるので、また初打席だと思って打つっていう気持ちは変えてないです」
──オープン戦で誰かからアドバイスをもらいましたか
「まず、リーグ戦が終わった後に、もうこれからは強く思いっきり振っていこうっていうか、 大きく振ろうっていうのを指導者の方と話し合って、そこを意識してこの期間やってきたので、 自分のかたちで振るっていうのをみんなに見てもらったりもしてたので、強く振るのを意識してやってました」
──前回、試合が終わってからすぐに練習するっていうお話が印象的だったのですが、どんな練習をしていますか
「基本ティーをしているんですけど、駄目な時は修正して、良い時はそれを体に染みつけられるようにやるイメージです」
──やはり、すぐ練習するというのは意味がありますか
「そうですね。その時に直さないと結局同じ失敗を繰り返してしまいますし、やっぱりバッティングって結構忘れちゃうことが多いんで、もう体に染みつくまで数をやらないといけないと思ってるので」
──前回のインタビューで考えすぎてしまうとおっしゃっていたと思うんですけど、配球について考えてしまいますか
「いや、失敗した時や出てなかった時とか、それが続いた時に考えるっていうのが自分の駄目なとこなんですけど、このオープン戦期間はそういうのも一切なくて、もう常に周りに声かけて、自分の結果もこだわるのも大事なんですけど、結果が出なくてもチームに声かけたりして前向きに取り組むことができたのかなと」
──メンタルトレーニングもしていますか
「そうですね。自分は結構メンタルの中でも波があるので、良い時は誰でも良いと思うんですけど、特に駄目な時は駄目になってしまうので。その時に声出したりとか、 全力でダッシュしてジャンプしたりとか、自分の中で切り替えるためにこれをしようっていうのは思ってます」
──春季リーグで色々な打順で打っていたと思いますが、打順によって打席に入る時の心境って違うものですか
「打順ごとに役割があると思うんで、そこは考えて先に打席に立つんですけど、とにかく振るっていうか、初球から打ちにいくっていう姿勢は変えてないです」
──体が開く部分に悩んでいるとおっしゃっていましたが、誰かからアドバイス受けましたか
「今は自分で治したっていうか、自分で開かないように取り組んで、この期間。少しずつ良くなっているので、 あとはそれに慣れることが大事なのかなと思います」
──伊藤選手もとても注目されている中、中大に入学されたと思うんですけど、同じく期待されて入学してきた１年生の活躍をどう見ていますか
「今キャプテンがやりやすい雰囲気で練習とか試合をやっている分、1年生がのびのびできてそういう結果につながってるのかなと思っていて。やっぱり力があるんで、下の学年も。もっとのびのびやってくれたらいいのかなと思います」
──２年生になって見えてきたこともありますか
「少しずつ経験っていうか、数をやらせてもらってるので、 落ち着いたプレーっていうか、あと１年生の頃はちょっと慌てちゃって、一生懸命やらないといけないのでそういう焦りがあったんですけど。今は落ち着いてプレーできたりしてるんですけど、やっぱり結果出てないんで、このオープンの中でもあんまり出てなかったんで、下からの追い上げっていうか、追い上げがある分、少し焦っています」
──繁永（晟＝商３・大阪桐蔭）選手が大学侍ジャパンに選ばれて海外に行かれた思うんですけど、刺激も受けましたか
「自分の高校の先輩でもありますし、やっぱりよく知っている分、繁永さんの成長っていうか、 練習の中見ても日本代表帰ってきてからの姿勢がすごいなっていうか。それがすごいなって感じたので、１年経ったら同じ今の繁永さんの立場になるんですけど、まだ１年あるって考えると、 この１年をどう過ごすかで変わってくるなっていうか、その立場に、繁永さんの今のジャパン、そういうところに自分も行きたいと思ってるんで、この１年間を大事にしないといけないなっていう部分ではすごく刺激になりました」
──優勝まであと一歩のところで競り負けたと思うんですけど、チームの試合前の雰囲気と試合後の雰囲気に変化はありましたか
「春はすごく良かったかなと。まとまって結果も出ていた分、みんながまとまってたと思うんで。 今の課題として、チームの駄目な時に崩れていってしまってるんで、もっと駄目な時こそみんなでやっていかないといけないなと思ってます」
──入学直後のインタビューで将来的に引っ張っていきたいとおっしゃっていたと思うんですけど、後輩ができて何か変化はありますか
「後輩もできて、試合も経験もある分、多分自分のことを知ってる人が多いんで、焦ってることもあるんですけど、やっぱ結果出てないので。焦らずに自分のプレーをし続けないといけないなと思ってます」
──高校野球、大阪桐蔭はご覧になりましたか
「はい、見ました。あの試合だったんで、負けた日が。その結果しか分からないですけど、 なかなか最近勝ててないなっていう印象があるんで、頑張ってほしいなと思います」
──夏休み期間のオフは楽しく過ごされましたか
「毎日基本練習なんで、オフの日はゆっくりして、練習が続く分疲労が溜まるんで、 あまり外出はしなかったんですけど、休むことを大事にしてました」
──試合前のルーティーンはありますか
「自分は特にないんですけど、試合前とかは基本安田と一緒にアップしていて。ずっと（中大野球部に）入った時から続けています」
──あと数日でリーグ戦が始まりますがどのような調整をされてますか
「今はなかなか正直自分の思ってる以上の結果は出てないんですけど、全然今までよりは自分の中では良いのかなっていうか。あとは思いっきりプレーするっていうか、一生懸命やるところが結局大事だと思うんで、 そこをあとちょっと一旦意識してボールを追っかけていきたいなと思います」
──４年生はラストシーズンになると思いますが
「自分はなかなか高校の頃とかは先輩とやる、最後の大会をやるっていうのがなかったんで、大学入ってからそういうのが増えていくようになったんですけど。良い思いして終わってほしいっていうのもありますし、今こういうやりやすい雰囲気をつくってくださったのも４年生だと思うので。やっぱり結果的には優勝して日本一取って終わりたいっていうのはそうなんですけど、上手くいかなくても最後４年生がこの４年間楽しかったとか、このチームで良かったなって思ってもらえるように一生懸命やりたいです」
──今シーズン、ここにこだわりたい、見てほしいっていうポイントはありますか
「今シーズンは去年とか今年もホームランは出たんですけど、全体的に見たら小さいバッティングをしている感じがするので、 もっと今年は強くフルスイングを意識してやろうと思っているのでそこを見てもらいたいなと思います」
──最後に秋季リーグの目標をお願いします
「前は指名打者でベストナインだったんですけど、今回は相手チームのサードに良い選手がいる分、 サードでベストナインをとりたいなと思います。目標はないんですけど、やっぱり柳舘（憲吾＝国学大）さんとか、 谷端（将伍＝日大）さんとかそういう良い選手が揃ってる分、その中でベストナインをとれることがすごく大事だなっていうか、 意味があるのかなと思うので、頑張りたいなと思います」
◇伊藤櫂人（いとう・かいと）◇
学部学科：文学部・人文社会学科
身長体重：177.5㌢・77.7㌔
出身高校：大阪桐蔭高校
＜安田淳平＞（聞き手、構成：齊藤さくら）
▲春はバッティングで存在感を示し、チームに貢献した
──今の調子や状態はいかがですか
「絶好調です」
──春を振り返っての感想をお願いします
「チームとしては優勝争いできたっていうのがすごい新鮮だったというか楽しかったですし、あと１勝を逃したっていうのは秋の課題になったのかなと思います。そこのリベンジを果たしたいなっていう気持ちが強いです」
──春は特に代打での起用も多かったと思いますが、打席で心がけていたことがあれば教えてください
「レベルの高いピッチャーが揃っているので、ストライクを見逃していくとどんどん追い込まれて自分のペースに持っていけないなと思ったので、とにかく入ってきたボールは振っていこうと思っていました」
──春季リーグ戦が終わって夏休みはどのようなことに力を入れて練習されてきましたか
「ちょっと体が細すぎたので、食事もちょっと量を増やしたりウエイトもしたり体作りというところもしっかりやりながら、バッティングだったりでももっとチームに貢献できるように力を入れてやってきました」
──夏休みの期間を経てどのような面が成長したと思いますか
「多少体重も増えてバットも振れるようになったかなって思いますし、技術的なところもまだまだではあるんですけど、春より少し自信を持ってバットも振れるかなと思います」
──オープン戦の手応えと課題は何かありましたか
「あんまり結果自体はそこまで残らなかったんですけど、振っていくことであったり、自分が常に大事にしている気持ちの部分だったり。そういうところは変えずにやりましたし、結果は出なかったですけど、そんなに不安もなく望めるかなと思います」
──オープン戦は何試合くらい出られましたか
「最初ちょっと出なかったりしたんですけど、代打含めて20試合くらいですかね」
──繁永（晟・商３＝大阪桐蔭）選手が大学日本代表で遠征されていましたが、何か経験をお聞きにはなりましたか
「あんまり話してくれないんですけど（笑い）。なんか楽しそうにやってるのも動画とかで見ていいなと思いましたし、この前も壮行試合やっててそれでも躍動してるところを見て、やっぱりすごいなと思いましたし。自分もそういうジャパンになれればいいなと思います」
──夏休みはどうお過ごしになられましたか
「オフもそんなになかったんですけど、オフはみんなで川行ったりとかして。でもまあ野球漬けだったかな、と思います」
──開幕まであと１週間ですが今のご心境は
「状態もみんな仕上がってきてると思いますし、自分ももっともっと状態上げて臨めれば春のリベンジも果たせるんじゃないかなって期待も持ってるので。しっかり調整して最後の準備をして戦いたいなと思います」
──安田選手からご覧になって、今のチームの雰囲気や状態はいかがですか
「練習試合の結果はまあ勝ったり勝てなかったり色々あるんですけど、みんなだんだん覚悟が決まってきたというか、もうやるだけだっていう感じで過ごしてる姿勢っていうのもすごい見えてきましたし、それがどういう結果につながるか分からないんですけど、自分たちがやるべきことをやれれば簡単には負けずに戦っていけるかなという手応えはあるので、自信持って頑張りたいと思います」
──対戦が楽しみな選手はいらっしゃいますか
「国学院戦であんまり打てていないので。高校の同期の赤堀とかもいるのでちょっとそこで打てればいいなと思います」
──秋季リーグ戦でのご自身の役割はどのようなものになるとお考えですか
「レギュラーなのか代打なのかまだはっきりはしないんですけど、どういうポジションにしてもベンチからもどんどん声出したり、気持ちの強さっていうのは自分の武器だと思ってるので。１年生に負けないようにはつらつと頑張りたいなと思います」
──リーグ戦、自分のここを見てくれ！
「熱い気持ちで！」
──秋季リーグ戦の目標と意気込みをお願いします
「まずチームとして日本一をずっと掲げてやってきているので、そこに対して本当に１敗もしないぐらい常に勝ちを求めてやっていきたいなと思いますし、自分もそこに向けて貢献できるように元気出していきたいなと思います」
◇安田淳平（やすだ・じゅんぺい）◇
学部学科：商学部・商学科
身長体重：177.4㌢・67.7㌔
出身高校：聖光学院高校
公式X（@chudaisports）
Instagram（@chuspo_report）
