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インカレバスケ直前特集① ――荻野ヘッドコーチインタビュー

先月、オータムリーグの全試合が終了し中大は全体で8位の結果に終わった。スプリングトーナメントでは2部順大に敗北し痛恨の初戦敗退。リーグ戦序盤は連敗を喫するなど不安は否めなかったものの、結果11勝8敗と昨年に続き勝ち越しとなった。そして4日後には今季の集大成となるインカレを迎える。中大は予選リーグ後からのスタートとなり、初戦にHリーグから勝ち上がったチーム(名経大、広大、仙台大のいずれか)、次戦にはオータムリーグ準優勝の専大を相手に控える。
一昨年、昨年は準々決勝で強豪東海大に敗れ、中大はベスト8の壁を越えられずにいる。チームの目指すところは変わらず日本一。ラストインカレの舞台に臨む中大バスケ部「CARIONS」の選手、コーチにその思いを聞いた。

1人目は中大バスケ部でヘッドコーチを務める荻野大祐氏。オータムリーグ最終節の早大戦後にインタビューを行い、主にリーグ戦の結果を踏まえた総括やホームゲームを振り返って、そしてインカレに向けた選手たちのコンディション、目標などを聞いた。(取材、構成:桑沢拓徒)

※取材は11月3日に行ったものです。

 

――リーグ戦全体を振り返って
正直春の出来も良くなかったですし、リーグの開幕戦も東海大にボコボコにされて、それで開幕3連敗でスタートしてしまっていたので、「今年勝てんのかな」というような状態に陥ったんですけど、けが人も入れ代わり立ち代わりたくさんいて、最初は小川がいなくて、高山がいなくて、小川戻ってきたら山崎いなくなってという。そのような揃わない中で、苦しかったは苦しかったんですけど、代わりに出た子たちがすごく頑張ったかなとは思いますので、喜多、栃木、西村とか宮内。この辺りが本来だったらここまでプレータイムなかったかもしれないんですけど、そういった選手がステップアップして良くカバーしてくれて、チーム全体としては底上げにつながった2カ月だったかなと。

――今大会2巡目では下位リーグで戦ったが、勝敗や成績、結果という部分を振り返っては
本当はやはり上位リーグに残って、強いチームともう一回やろうというのが大きな目標ではあったんですけど、水戸での三連戦での最後の二つ(神奈川大・江戸川大戦)をこぼしたというところが、本当に痛かったが、そこでなんというかチームに良い危機感が生まれたので、後半2巡目は良い形で「その分取り返すぞ」というところでチームとしては締まった。

――学年問わず活躍が見られたが、選手の活躍やプレーを振り返って成長など感じられたか
1、2年生は新人戦でたくさんゲームして、ベスト8に残ってインカレも行ってという形で、そこで1、2年生はすごくゲームの経験を積めていたし、自信も持っていたと思うので、そこが3、4年生とうまく融合してチームとしてはステップアップできているんじゃないかなとは思いますし、去年のチームのような渡部琉(令4卒・仙台89ERS)とか、吉田(崇紘・令4卒)というような絶対的な選手が抜けた後だったので、逆にみんなでやるという、誰かに頼るとか、誰か突出した子に依存するバスケットではなくて、みんなでやっていくというところが今年のチームの特徴で、そこが逆に良い形で出たのかなという風に思います。

――けがの選手もいる中、試合やチームの組み立て方はどのような意識や考えがあったのか
そこは本当に苦労したんですけど、いないものを欲しても仕方がないので、絶対やってほしいことっていう部分をまずやってくれと。それで栃木とかオヌとかだと、山崎がいなくなったので、リバウンドの部分とか、留学生に対して体を張るっていうところをやってくれれば、まずそこだけ。点を取るとかそういうのはまだ行かなくても良いから、まずそこだけやってくれれば試合が壊れないから、そっからやろうと(伝えた)。やることはやはり限定して、ゲームに入ってもらうように、あれもこれもやってくれと求めてしまうとパニックになると思うので、やることを一つ二つで良いから、それをしっかり徹底してやってくれというので、みんなゲームに入ってもらうようにはしました。

――ホームゲームも開催されたが、中大バスケの盛り上がりなど感じるところは
本当に渡辺先生(部長)が風穴を開けてくれる形になって。本当にいろいろ準備の段階ではうまくいかないこともたくさんあったんですけど、試合に出ない子たちとか、あの日ベンチに入れなかったメンバーがいろいろ思うところがあったり、悔しかったりもすると思うんですけど、すごく自己犠牲を払って、ああやって応援してくれたり、裏方のスタッフとしてやってくれたところが僕は一番嬉しかったところ。ああいう雰囲気で試合ができるっていうのは本当にありがたいですし、高校バスケはすごく盛り上がってて、Bリーグも日本代表も盛り上がってて、大学スポーツがちょっと空洞になってしまっていると思うんですけど「大学スポーツもおもしろいぞ」というところをああいうものがきっかけに広めていけたら良いなと思いますし、中大生にはぜひああやって、夢中になってボールを追いかけている同じ大学の仲間を見てもらいたいなっていう風に思います。

▲オータムリーグ第6節筑波大戦にてベンチから声をかける荻野ヘッドコーチ

――インカレに向けて、リーグ戦での収穫は
一つは全体の底上げができたってところがまず一番大きいところで、いろいろな選手がゲームの経験を積めたというところですよね。ここからけが人が間に合うか間に合わないかというところになってくるんですけど、やはり日本一というのを目指す中で、目標としてはそこ(日本一)を目指しているんですけど、ずっとベスト8のところの壁を越えられずにいるので、そこをまず越えるというところですね。ディフェンスを一つ、やはり今大会を通して(見えた課題)、失点が悪い所から3番目ぐらいなんですよね。60点台の失点の試合をしようって言って、今日も75点取られたし、平均でも76、7点(失点が)あるので、そこはやっぱり60点台の点数に持っていかないと、上位のチームには勝てないかなという風に思っているので、この1カ月はディフェンスをテーマにインカレに向けてチームを仕上げたい。

――課題としてはディフェンス
あとリバウンドのところだと思いますので、点数は取れている方にいるので、全体の得点ランキングとかチームとしての得点ランキング、平均得点では5番目6番目ぐらいにはあるので、これだけ背が小さくて、留学生がいない中でそこはできているので、なんとかやっぱりディフェンスの部分を大きく変えないと、チャンスは生まれてこないかなと思う。ディフェンスとリバウンドってところは、もうこの1カ月のテーマでやりたい。

――インカレのキーマンを1人挙げるとしたら
最後は僕は内尾(聡理・商4)かなと思っているので、ずっと1年生のときからコートに立ち続けてきていますし、今年もチームの状況がいろいろ苦しい中で、やっぱり最後一番体を張ったり、リバウンドを取ったりするのは内尾なので、最後彼を中心にガッと行ければという風に思っているところなので、勝っても負けても内尾のチームと思ってやっているところがうちはあると思うので、勝負どころはあいつに託したい。

――インカレでの目標、意気込みを
チームは今年日本一を目指してやってきているんですけど、まず僕はこのベスト8の壁を越えないと始まらないと思っていて、ここのところずっとベスト8のところで跳ね返されちゃっているので、準々決勝越えてまずベスト4に行くというところですよね。そこにまず一番エネルギーを注いで、その先はそっからかなという気がするので、まずはベスト4に入るっていうところを一つ。去年までより1個上のステップに行けるようにしたいので、リーグ戦も一昨年初めて久々に勝ち越したのかな? 一部で戻ってきて、何年かぶりに勝ち越して6勝5敗。試合数少なかったので。去年は14勝12敗で。勝ちが1個多い、勝ちが2個多いところで、今年勝ちが3個多いところまで来ているので、チームとしてはちょっとずつですけど、ステップアップできていると思うので、最後インカレでベスト8ぐらいで満足するのではなくて、本当にベスト4、優勝を目指してやろうっていう空気にはなっているので、頑張りたいと思います。

インカレまであと4日。悔しい敗戦やけがなどさまざまな苦難を経験し、着実に成長を遂げてきた中大バスケ部の集大成をここで見せつける。目標は日本一。だがまずは序盤の戦いをどのように攻略し、チームを勢いづけられるかが、まだ見ぬ世界への扉を開けるカギとなるだろう。