2022年に創部初の2部降格を経験した中大ラグビー部。創部100周年という節目を迎え「一意奮闘」のスローガンとともに挑んだ今季のリーグでは、中大らしい粘り強いゲームを展開し見事2部優勝を果たした。
12月15日(日)に開催される1部・2部入れ替え戦を前に、監督、コーチをはじめ、中大ラグビー部の躍進を支えた選手らの思いを全5回にわたってお届けする。
第2回は、井上監督、山北HCからキーマンとして挙げられた、須田龍之介(法2=大阪桐蔭)選手、吉田晃己(法1=桐蔭学園)選手です!
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▲取材後快く写真撮影に応じてくれた須田㊨と吉田晃
<須田龍之介>(聞き手、構成:井口縁)
———リーグ戦を振り返って
「結果は1位だったんで、結果は良かったんですけど。まあ、どの試合も満足はできなかった、全試合が満足できなかったんで、最後の入れ替え戦で、もちろん結果が1番なんですけど、満足できる試合がしたいなっていう気持ちですね」
———どのへんが満足できなかった?
「入れ替え戦で1部の相手とやるときに自分たちのプレーが通用するのかっていう、不安じゃないですけど、試合終わるごとにいろんな課題が出てそれにつながるので、そういうところが不安でしたね」
———個人としての今シーズンは
「夏自分ちょっと怪我しちゃって、最初のほうの試合は出れなかったりチームにちょっと迷惑かけた部分は多かったんで、出たときになんとかプレーでじゃないですけど、自分の中でチームに貢献したいなっていう気持ちはあったんですけど、あんまり自分の中でも自分自身のプレーに納得できてない試合が多いんで、入れ替え戦で少しでも貢献できればな、っていう気持ちですね」
———山梨学院戦での敗戦は大きかった?
「そうですね、負けてよかったって言ったらちょっとあれですけど、自分の中でこのままじゃいけないなっていうのが結果にひとつ出た試合だったんで、みんなも気づくタイミングだったと思うんで、結果良かったかなと思いますね」
———「司令塔」としての試合中の意識、大切にしてること
「ゲームをつくるのが仕事なんで、アタックで言ったら、ボールの動かしの部分でどういった動かしをするか、ディフェンスはもちろん、全員を動かすのが自分の仕事なんで、周りをよく見るじゃないですけど、を意識しながらやってますね」
———プレー選択、状況判断のポイントは
「自分の中で、例えばチームって試合の前に相手の分析とかして対策すると思うんですけど、自分の中でも、どのプレーにおいてもそういう小さな対策というか、『次こうなりそうだから自分のいろんなオプションを持って、相手がこうしてきたらこうしよう、こうやってしてきたらこうしよう』っていう選択肢をいっぱい持つことで、どんなことが起きても対応できるんで、準備ですかね。試合前にする準備はもちろんそうなんですけど、プレーが始まる瞬間にそのときのプレーの準備をして、プレーが始まってる最中も次に起こる準備を自分の中でして、余裕ある状態でプレーしてたら選択の幅も自分の中で広がっていってる、そういうことを意識してますね」
———ハーフ団としてSH(スクラムハーフ)との共通意識は?
「まあのむさん(野村幹太・法3)に限らないですけど、よくコミュニケーションをとって、どういう状況っていうのを自分視点と人視点でたぶん違うと思うので、見え方っていうのを、状況を常に伝え合ってると思いますし、お互いコントロールする、9番(SH)と10番(SO)ってコントロールする立場なので、感覚っていうのは伝え合ってるようにしてますね」
———いつからSO(スタンドオフ)?
「高校の最初SOちょっとやってて、高校最後はハーフやってたんですけど、ここ来てからですね10番、本格的に。SHやるつもりで来たんですけど、チーム事情というか、まあいろいろあって…。笑」
———様々なプレーを求められるポジションで、自分の強みは?
「強みかぁ。ラグビー理解力は、ちょっとはあるとは思いますね。強みって言えるかわからないですけど。人より上手くなるには技術はもちろんそうですけど、技術じゃ追いつかない部分も多いんで、理解力でちょっとでも、自分の弱さを埋めれれば、っていう気持ちで。だいぶ勉強したつもりなんで自分では。ラグビーの理解力っていうのはちょっとはあるかな、と思いますね」
———なんで中大に進学した?
「大学決める段階ではあんまりこう、本格的に大学でラグビー頑張って社会人でも頑張ってっていうつもりじゃなかったんで自分の中で。『まあ就職頑張れればいいな』っていう感覚で決めたときには決めたんですけど。高校3年生の初めくらいには大学決まって、高校3年生後半になるにつれて、ラグビーで頑張ろっていうよりかは、『ラグビーしか自分できひんな』って思っちゃって、今はもう就職っていうよりかはラグビーを頑張ってラグビーでいけるところまでいきたいなって感覚なんで。決めたときは就職いいとこいけたらいいなっていう感覚でしたね」
———今年のチームはどんなチーム?
「突出してすごいプレーヤーがいるわけでもないんで、全員がひとつの方向を向いてまとまってるチームなんじゃないかなって。理想はそうなんで。そうなっているかはちょっと自分では判断しにくいですけど、そうなりたいとは思ってますね」
———試合見てると明るそうですが、、
「そんなことはないと思います笑。いやなんか、あんまり。ラグビーだからしゃべれてるっていうか、人前とかも好きじゃないんで…」
———試合も緊張しますか?
「そんなことはないですね。不安なことを自分の中で消してから試合に行くんでいつも。緊張とかはしないですね」
———学年としては明るいと聞きました
「そんなこともない…笑。みんな自分たちの中やったらわいわいできるけど、外行ったら全然、陰キャみたいなやつばっかなんで、自分もですけど笑。みんなでいたらみんな明るいんで、それは間違いないと思うっすけど」
———監督がキーマンにあげてらっしゃいましたが、どのようなプレーを期待されてると思う?
「10番なんで、さっきも言ったっすけど、ゲームコントロール、ゲームマネジメントを、それが自分の1番の役割なんでそれをして。そうですね…。自分1人で何かしようっていうよりはチームで勝つしかないと思ってるんで、求められた役割を全うしようかなと」
———入れ替え戦で自分がいちばん見て欲しいプレーは
「ディフェンスですかね、あんまりアタックが得意じゃないんで、ディフェンスのほうが得意なんで自分は。ディフェンスを見て欲しいです」
———意気込み
「この試合に勝つためにこの1年間、去年もそうっすけど、2年間やってきたんで、まずはちゃんと楽しんで、その上で結果しっかり求めたいなと思います」
◇須田龍之介(すだりゅうのすけ)◇
ポジション:SO
出身高校:大阪桐蔭高
▲果敢に攻める須田
<吉田晃己>(聞き手、構成:小林想)
———リーグ戦、チーム全体振り返って
「そうですね、今シーズン振り返って前半戦は苦労する部分だったり、そういった部分が結構目立つ試合が多くて。そこで一旦山梨学院に負けたことによって、もう一度チームの士気が高まったり、気引き締まったりして、後半戦は負けられない戦いが続いたんで、そこでチーム一丸となって戦うことができたシーズンだったと思います」
———個人としての今シーズンは?
「個人としては、 シーズン通して課題が結構明確に見えたシーズンであって、1年生なんで課題っていうのはまだこのあと3年間でもっと修正して成長できるいい課題が見つかったんで、自分にとっていいシーズンが過ごせたのかなと思います」
———1年生でレギュラー、ポジション掴むまでの経緯は?
「練習に真面目に取り組んだり、あとは自分のライバルのポジションの先輩だったり、同級生より1つ1つのスキルっていう部分だったり、そういった部分で上回っていかないとメンバーっていうのは絡んでこないと思ったんで、そこは誰よりも負けずに取り組んだ結果コーチ陣からの信頼だったりを勝ち取れたのかなと」
———リーグ戦経て、自身が成長したところはあるか?
「成長した部分っていうのは、メンタルの部分だったり、高校では味わえないメンタル。試合の流れだったり、スピードだったりっていう、そういった部分は最初は戸惑った部分多かったんですけど、そこでメンタル、色々僕も例えばシンビンだったり退場っていう経験を初めてしたんですけど。そういった部分で、経験しなかったことを経験したことによってメンタルは強くなったのかなとは思います」
———メンタル面でプレー中意識していることは?
「メンタルをなるべく自分は強い方だと思ってて、それを崩さずに試合に臨みたいんで。もう毎試合、試合前だったりはその試合のイメージだったり、試合直前だったらもう深呼吸をする、本当に簡単なことをして、自分のメンタルをその試合通して崩さないってことは意識してます」
———キックに安定感があるように見える、秘訣は?
「キックの部分は自分の強みでもあるんで。高校の時からそうですね、毎朝キックは欠かさず練習してきたんで、それを大学になっても練習終わり時間を縫って時間見つけてキックの練習しての結果が今シーズン出てんのかなと。まだまだ伸ばせる部分だと思うんで、そこは来シーズン、入れ替え戦に向けてまた準備していきたいと思います」
———キックの練習は具体的にはどのようなことをされている?
「練習終わりは、練習の終わる時間もバラバラなんですけど、大体10分から15分はやるようにはしています。自分の苦手な部分だったり、試合でここから狙うであろう、どこから狙ってでも決めれるようにいろんな場所を想定して蹴ってます」
———桐蔭から中大に進学されたのはお兄様の影響?
「そうですね。本当は違う大学を目指してたんですけど、残念ながら声かからずってところで。他も考えたんですけど、やっぱり兄と一緒のグラウンドで、戦いたいなっていうのがやっぱ心の底にあったんで。それは1番。お兄ちゃんの影響で」
———入学前と入学後でチームへのイメージの違いはあるか?
「特に変化はなくて。お兄ちゃんからはもう明るく、みんな楽しくやってるっていう話は聞いてたんで。まさにみんな練習普段から楽しくやってるなって。で、高校の時はまた逆で楽しみながらやっぱ厳しいっていか、うん。なんかまたちょっと違ったその雰囲気っていうのを」
———チームの雰囲気は?
「たぶん結構いいかなと思ってて。みんなやっぱそれこそ入れ替え戦に向けて、メンバーだけでなくチーム全員が 1つの1部昇格っていう目標に向かって、今いい方向に向いてるのかなと思います」
———寮生活はもう慣れた?
「もう慣れましたね。それこそもう入学してから1ヶ月も経たないうちに慣れたっていう部分もあって。それはもう兄がいるっていうのも大きいですし、そこはもう慣れました」
———お兄様の支えは大きい?
「めちゃくちゃ大きいっす」
———お兄様から声掛け、アドバイスとかは?
「アドバイスはありますね。練習、寮で帰って部屋で。部屋隣なんですけど。部屋で行った時にちょっと話したり、アドバイスとかお互いにしてるって感じですね」
———同学年、仲とかいかがでしょう?
「同学年はみんな仲良くて、いい学年だと自分は思ってます」
———みんなで遊ばれたりする?
「寮なんですけど、みんなで遊ぶってことはやっぱそれぞれみんな予定があるんで難しいんですけど、遊ぶ時はみんなで予定立ててどっか行ったりご飯食べたりっていうのはあります」
———リーグ戦を経験して、高校ラグビーと大学ラグビーに違いはあるか?何が魅力か?
「高校ラグビーと大学ラグビーの違いって、やっぱ1番体格の大きさだったり、やっぱ1回り、2回り、やっぱ大学になると大きくなるんで、 あとはスピード、そのラグビーのスピードだったりそういった部分は高校よりも大学の方がはるかに上なんで、そこは大学ラグビーの魅力であって。高校ラグビー逆に、難しいですね。まだ1年生なので(笑)難しいな。でも僕たちの代は、1個上の代が花園行けなくて、次の年でもあったんで、チーム全員っていうか。1つの花園優勝っていう目標に向かってできたことは、楽しかったし、良かったのかなって。それぐらいですか」
———目標としている選手、ライバルはいるか?(他大でもどこでも)
「目標としてる選手は、海外のニュージーランド代表のボーデン・バレット選手だったり、日本でも2シーズンぐらいプレーしてる選手なんですけど、その選手は身長は僕より全然高いんですけど、ラグビーのスキルっていうのは、もう世界トップレベルの選手なんで。そういった選手の動画を見たり、真似できるところとか真似して、超えれそうな部分はなんとか練習とかで、それこそ磨いていくっていうか、日々練習してって、いつかは超えられるようにしたいなとは思ってます」
———大学、そして卒業後のビジョンや目標あれば
「将来はリーグワン選手になってプロ選手になりたいと思っていて、そのためにもやっぱ1年生から試合に出るっていうのは目標でもあって。リーグワンになれる選手って、簡単ではないんで難しいんですけど、 しっかりそこを目指しながら今はプロっていうか、社員契約で行きたいんですけど。そこに行けるように今頑張ってます」
———入れ替え戦へ向けて、個人目標を
「やっぱ自分の強みであるキックとランっていう部分には注目してほしくて。キック、自分の強みであるキックとランでチームを引っ張っていったり、チームが苦しい時も自分のランでチームを盛り上げるっていうか、そういったところは率先して。1年生だからっていうのは関係なくて、絶対に一部上がりたいっていう気持ちをもつ。観客にも分かるようにプレイしていきたいなと思ってます」
———ファンの皆さんに向けて一言
「相手は1部なんですけど、1部と関係なく、どっちが勝ちたい、勝ちたいかっていう気持ちが大きい方が、絶対その勝利を掴むと思うんで。そこはまだあと1週間ちょっと、その準備で変わってくるところだと思うんで、チーム一丸となって全員で1部昇格っていう目標を絶対に勝ち取りたいなと思ってます。そして 4年生はもうここで最後の試合なんで、4年生にいい形で引退してもらえるように頑張っていきたいと思います」
———キャプテンは言葉もそうだが、背中でも見せてくれるタイプ?
「キャプテン、山崎祥希さんは背中でも見せてくれる選手であるし、言葉でもチームを引き締めてくれる部分あるんで、本当に尊敬する先輩です」
◇吉田晃己(よしだこうき)◇
ポジション:FB(フルバック)
出身高校:神奈川・桐蔭学園高
▲高い成功率を誇る吉田晃のキック