前編「初めての海外遠征で見えた課題と得たもの」はこちら
2021年5月8日
全3回に渡ってお届けする「特集・吉居大和 2年目インタビュー」中編。
昨年、鳴り物入りで中大陸上競技部に入部した吉居大和(法2)。7月に行われたホクレン千歳大会では、デビュー2戦目にして佐藤悠基(=東海大 現SGホールディングス)が持つ5000mのU20日本記録を15年ぶりに更新。その後も勢いそのままに、9月の日本学生陸上競技対校選手権大会(全カレ)では圧巻の走りで初制覇、12月の日本選手権では3位に入り再びU20日本記録を更新した。大学1年目から劇的な結果を残し、“スーパールーキー”の呼び声が日に日に高まっていた吉居だが、初めての箱根駅伝では区間15位に終わり課題も見えてきた。中編では、大学2年目に突入した吉居にルーキーイヤーを振り返ってもらった。(聞き手、構成:「中大スポーツ」新聞部)
▲入寮時の取材で1年目の目標を掲げる吉居(2020年3月)
「自分のレベルが上がったことで目指すものも上がった」
──昨シーズンを振り返って、率直にどう思っていますか。
吉居 うまく、しっかり練習を積めた結果をレースで出すことができた1年だったと思います。もちろん失敗したレースというのも何度かあったのですが、その中でも特に力を入れていた5000mで結果を残すことができて、なんというか、すごくうれしいという気持ちはもちろんあるんですけど、自分のレベルが上がったことによって目指すものも上がったので、それに向けてもっとやっていかないといけないことがあるという風に思った1年でした。
──手応えを感じられた1年ということですかね。
吉居 もちろん、目標としていたタイムが更新できたので手応えはありました。
──目標というのは5000mのタイムということですか。
吉居 はい、5000mでU20の記録を更新することが目標だったので、それが更新できて、充実した一年でした。
──入学して思い描いていたプランと現状ではギャップはありますか。
吉居 半々というか。正直、5000mで日本選手権3位であったりU20の記録を2回も更新することができるとは思っていなくて、良くて1回更新できたらいいと思っていました。逆に箱根駅伝でもっと活躍したかったなという思いがあったので、5000mが思った以上にうまくいった分20㎞近くの距離に関してはまだ対応しきれなかったかなと思います。なので今シーズンはどちらも結果を残せるような選手になりたいなと思います。
▲昨年の日本選手権では13分25秒87を記録し、自身が持つU20日本記録を再び更新した。
徐々に感じた手応え
──大会ごとに結果を残していて、周りの注目は高まりますがプレッシャーを感じることはありましたか。
吉居 もちろん自分がしっかり走れるかという緊張はあったのですが、出さなきゃというか、しっかり走らなきゃといったプレッシャーみたいなものは感じてはいなかったです。
──昨シーズン手応えを感じたり、転機になったレースはありますか。
吉居 自分の中では結構少しずつだった気もしているので、毎回のレースで「次もいけるんじゃないかな」という少しずつの手応えがあったと思います。
──一気にではなく徐々にレベルアップしていったような感じですかね。
吉居 そうですね。
──コロナの影響はどのようなところで受けていますか。
吉居 無観客や中止になったレースもあるので、少なからず走りに影響しているとは思います。自分としてはオリンピックが1年延期になったことで、まだまだではあるんですけど、狙える位置が見えてきたと思っているので、競技面ではマイナスばかりではないんじゃないかなと思っています。それをプラスに変えていければと思っています。
大学1年目を手応えを感じることができたと自評した吉居。だがその語り口からは現状に甘んじず、さらなる高みを見据えているように感じた。次回、最終回となる後編では東京オリンピックへの思いや世界に対する姿勢について話してくれた。
後編「東京オリンピックへの思いとその先」はこちら
なお、今回の取材は5月5日にオンラインで行いました。