今季は出雲駅伝3位、全日本大学駅伝7位という結果の中大。三大駅伝はとうとう箱根駅伝を残すのみとなった。「総合3位以内」という悲願に向け、勇往邁進。大会を直前に控えた選手たちは何を語るのか。
第6回はロード巧者、中澤雄大(経4)。箱根には2年目から出場し、前回大会は8区区間3位の走りでチームを支えた。副主将としてチームをけん引し、自身の競技以外にも力を注いだ今シーズン。大学で競技を引退する中澤はどのような思いで駆け抜けたのか。(取材は12月2日に行いました)
▲全日本では4区を走った中澤
──今年はどのような目標をもって競技に臨まれましたか
「今年はまず競技を引退する年と自分の中で決めていたので現役最後という位置づけだったのと、去年初めて箱根でシードを取れたというところで、チームの目標達成ということもそうですし、副キャプテンとしていかに来年優勝できるチームを作っていくかというところですかね。具体的な個人の関カレ(関東インカレ)やインカレ(日本インカレ)でのタイトルよりは、どちらかというとチームとして力をつけたいなというところが個人的な目標というか、今年やらなきゃいけないなと思っていたところではあります。」
──それらをふまえて今年を振り返って
「出雲、全日本でアピールできたように間違いなくチーム力ついていますし、中大としてトラックが得意な人だったり、ロードが得意な人だったり、自分自身も今年はマラソンをやらせていただいたり、ハーフをやらせていただいたりという、こういった幅の広い取り組みができることが中大の強みだと思っていますので、そういう意味では今までやりたかったことが上手く出来た年なのかなと思っています。すごく理想的な流れというか、予選会がなかったということもあって、順調に強化が積めて、その結果出雲、全日本と力を見せることができたので、個人的には相当充実している年だったかなと思います。」
──自身の走りについて
「今シーズンはもうトラックを極力削って、ロードに注力するという方針を頭から立てていて、3月にはマラソンに初めてチャレンジさせていただいたりというところで、チームのメインの流れとは違った組み立てをさせてもらっていて、そこはすごく自分に合った、自由にやらせていただいたというところですごく感謝しています。夏に1度体調不良やけががあったりして少し遅れてしまった分、思った通りの走りができなかったのですが、最後箱根でしっかりといい形で終れたらなと思います。」
──東京マラソンでの経験はいかがでしたか
「ずっと自分自身の課題だと思っていたタフさというか、そういうところで日本トップの選手、実業団の選手との差であったりとかはもちろん感じましたし、自分の克服していくべき課題点が見えたレースではありましたね。」
──4年間の中でターニングポイントなどはありましたか
「2年生の夏合宿とかですかね。春にコロナが流行り始めた頃、チームとしてバラバラになるという形で自分も実家に帰省していて、そこでなかなか思うような練習がモチベーションも含めて出来ませんでした。それで春はもう全然走れなかったのですが、夏にしっかりと合宿で走りこめるようになって、練習をしっかりと積めたことで、(箱根駅伝の)予選会に出させていただいて、その流れで箱根も出て、と練習をしっかりと積めたことで自分の実力をアピールする機会をいただけました。2年の夏で練習が出来ていなかったらきっとそのまま箱根も走れずじまいでずるずる行っていたんだろうなとは思っています。なので2年の夏から初箱根くらいまでですかね。」
現役最後のシーズン
──今後競技を続けない理由は
「自分が望む企業というか、行きたいなと思っていた企業と上手くマッチングできなかったというのが一つ。もう一つはそもそもそこまで無理やり続けようとは思っていなくて。区切りがいいところだなというのは思っていましたし、ちょっとついていけないかなって思ったのもありますね(笑い)。やっぱり吉居大和(法3)や中野翔太(法3)であったり、同学年でいうと千守倫央(商4)のようなスター選手と言われるような選手がいるのが中大の魅力だと思っていて、そういった選手と一緒にできるのがすごく今楽しくて、すごくいい環境なのですが、やはりそこでどうしても差を感じるのかな、それが悔しいというわけではなくて、客観的に見てそういった人たちが戦う舞台にはちょっとついていけないなと思ったのも一つですね。そこでなかなか、なにくそって思えないところが自分の弱さかなというところもあるんですけど、そういう闘争心を出せなかった時点で大学までかなって思ってしまったというのはあるかもしれないですね。」
──現役引退はいつ頃決められたのですか
「箱根が終わってすぐですね、今年の箱根が良くて、それが結構自分の中で満足というか、手応えがあったのですが、そのすぐ後に企業さんからちょっと無理だねと言われて、ならもう辞めようと。ずるずる続けるのが一番嫌ではあったので、辞めるとなったら別に未練もなくきっぱりという感じではありますね。」
──今年はその分陸上に対する思い入れもあったのでは
(箱根駅伝まで)「もう1か月を切るのかな。すごく寂しさであったり、あっという間だなという感じもあるのですが、その分メリハリが効いているというか、『やるぞ』という気持ちは今まで以上にあるんじゃないかなという風には思いますね。」
最後の箱根に向けて
▲前回大会、区間3位の好走を見せた(©Getsuriku)
──箱根に向けてチームの雰囲気はいかがですか
「今年の結果も踏まえて、自分たちの力を出せば『勝てるぞ、行けるぞ、目標達成ができるぞ』という自信はやっぱりみんなあると思っていて、その実力を出すというところが一番難しいところではあるのですが、エースたちが絶好調で走った出雲で3位、エースたちが結構不調でも全日本で7番を取れたというところで自信はあると思っています。後はもうどう出すかというところなので、そこに関してはみんなここまでやってきた選手なので不安もないですし、いい意味での緊張感になっているかなという感じです。」
──自身の現在のコンディションは
「全日本、上尾(ハーフマラソン)と秋シーズン1発目2発目で走って、なかなか上手く状態が上がってこなかったのですが、やっと強化練に入ってくる段階ですごく感覚的にしっくりきたというか、『あ、こう走ってたな』という感覚を思い出せてこれたので、ここでしっかりと最後の強化練習を踏むことができれば例年と遜色ない状態には持ってこれるかなという感じですね。」
──個人の箱根での目標は
「区間賞と中大新ですかね。まだ走る区間とかはあまり分かっていなくて、個人的な希望としては7区8区を走ったことがあるので、そこかなという感じなのですが、他の人に合わせてオールマイティにやっていきたいですね。目標としては区間賞、中大新。中大新の方が狙っています。」
チームに懸ける思い
▲取材中笑顔を見せる中澤(左)、千守(中)、若林陽大(法4)(右)
──4年生同士の印象について
「4年生は本当に仲が良くて。なんていうんだろうな、22歳の人が何人も集まると仲悪い人って絶対いると思うんですよね。合わないなとか。それが悪いということではなくて、自分の意見を言える関係というのはすごくチームとして大事だなとは思っているんですけど、それにしても自分たちの代は本当に仲が良くて、それこそ今日とかも4年生5人で一緒にジョグをしましたね。団結力は今までの歴代の学年のどこにも負けていないと胸を張れますし、そこの強さっていうのはもちろんあると思いますね。今までは甘さっていう形で強く注意できない、咎(とが)められないというのが弱さになっていたのが確かなんですけど、4年生になってチームをまとめるという自覚が出てきた分、そういう甘さを捨てて、ちゃんと言えるような仲になってきたので、そういう意味ですごく団結力というのは今年の4年生のカギかなと思います。」
──吉居大選手、中野翔選手など、下級生の活躍はどうみていますか
「このチームのエースが吉居兄弟と中野の3人だと思うんですけど、そこに関しては本当に尊敬というか、速くなるためにやるべきことを本当に真摯にやっていると思います。天才肌ではあると思うのですが、その分努力をずっとしていて、彼らが走ることを安心して見ていられる、信頼がおける、応援したくなるような感じです。下の学年が1番手、2番手というところで、すごく負担をかけてしまっているという申し訳なさはあるのですが、彼らならやってくれると思っていますし、彼らが戦える舞台を作ることが自分らの学年の仕事かなと思っているので、そういった意味では頼もしい存在ですね。」
──最後に改めて箱根に向けての意気込みをお願いします
「現役最後というのと、中大が強くなっている途中の大事な1年のレースだと思っているので、中大を応援してくださる方々を含めて全員で戦っていきたいなと思っています。個人としても中大にきて4年間競技をやらせていただいて、色々な方々に声援だったり応援していただいてやってこれたので、そういった方々に対して最後に感謝を走りで表現できたなと思っています。」
(取材:小幡千尋、二村沙羅、松本あゆみ、構成:松本あゆみ)
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