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【春季リーグ戦前特集/「反撃」への道】最終回・明日初戦!リーグ優勝への鍵は「守備力」と「機動力」にあり!/春季リーグ戦展望

昨年は春季リーグで6位に終わり、入れ替え戦に進みながらも1部残留を決め、秋季リーグでは2位と躍進を果たした中大野球部。明日亜大との初戦を迎える中大野球部は2019年秋以来のリーグ優勝、1979年以来の日本一を目指す。リーグ優勝、日本一を実現するための鍵はどこにあるのか? ここまでのオープン戦、清水監督との取材をもとに紐解く。【硬式野球部担当=為谷楓太】
                                             

ほぼ負けなし
今年度の中大野球部は例年通り宮崎キャンプを消化し、おいどんカップにも参加。宮崎キャンプでは選手の意識や一体感の醸成、さらには1年生を含めたチーム内競争を実現でき、清水監督は「例年に比べていいキャンプを送れた」と話す。

東京に戻ってからのオープン戦も昨秋全国制覇の明大などに快勝。ほぼ負けなしでリーグ戦を迎え、「いい状態で来ている」(清水監督)という。
投手陣底上げ
投手陣については西舘勇陽(法4=花巻東)、石田裕太郎(経4=静清)の2枚看板が先発を担い、岩本大地(法4=石岡第一)、三奈木亜星(商2=浦和学院)らリリーフが抑えの大栄陽斗(商4=仙台育英)につなぐ流れが基本軸になると考えられるが、「リーグ戦やっていく中で変える必要があれば変えなきゃいけない」(清水監督)と調子次第で柔軟に対応していくようだ。

▲「チームに貢献したい」と意気込む岩城

新戦力の台頭という点ではこの春のオープン戦を通して岩城颯空(経2=富山商)が実力を発揮し、社会人の強豪・TOYOTAに対しても好投している。清水監督も「岩城は間違いなく良くなってきている。秋からこの春にかけて自分の有利なピッチングができるようになった」と岩城の成長にうなずく。その他にも左のサイドスローという変則腕・坂本典優(経1=尾道)もオープン戦で場数を踏んでおり、「坂本のベンチ入りももちろんある」(清水監督)と早期からのリーグ戦メンバー入りを示唆した。

今年の投手陣は言うまでもなく4年生4人が軸になると思われるが、オープン戦では社会人の強豪相手に3年生以下の投手陣で2失点に抑えるなど投手陣全体の底上げが見られ、「例年以上に下級生たちが頑張っている」と清水監督は振り返った。

可能性広げる
守備に目を向けると、今春のオープン戦では清水監督は守備位置を固定せず、さまざまなポジションを守らせたことが特徴的だった。キャッチャーも昨秋多くマスクを被った綱川真之佑(経2=健大高崎)のみならず野呂田漸(文2=秋田中央)、山田将義(経3=二松学舎大付)らを交互に起用した。

これについて清水監督は「もちろん固定が1番いい。色々なポジションを守らせたことで代打出した時にバリエーションが考えられるようになったし、キャッチャーも代打出したときに使えるように経験を積ませなきゃね」と起用の意図を明かした。

『繋ぐ』野球
打線については北村恵吾(令5卒=東京ヤクルトスワローズ)、森下翔太(令5卒=阪神タイガース)の両大砲が抜けたが、下級生時から出場を重ねる中前祐也(法4=浦和学院)、石井巧(文4=作新学院)、髙橋らが軸となり、『つなぐ』野球で得点を重ねる。清水監督も「みんなにつないで行こうと話している。フォアボールでもいいから後ろにつなごうという意識はみんな持っている」と話す。

▲昨春鮮烈デビューを果たした皆川も2年目を迎える

つなぐ野球が軸となる中で、オープン戦では繁永晟(商2=大阪桐蔭)や皆川岳飛(経2=前橋育英)、中前らにホームランが出るなど、今までリーグ戦でホームランを記録したことのない打者にも一発が出たことは森下、北村の抜けた今年のチームにとって流れが変えられるという点でも非常に大きい。

オープン戦では山下拓真(経3=磐田東)、松嶋晃希(経2=浦和学院)ら新戦力が結果を残しており、代打の切り札となることが予想される。1年生では伊藤櫂人(文1=大阪桐蔭)や安田淳平(商1=聖光学院)らも出場を重ね、「1年生も力があるし、キャンプからオープン戦までレベル高く頑張ってくれた。そのおかげでチーム内競争が生きていた」(清水監督)とポジション争いは激しい。

守備力と機動力
以上を踏まえた上で今季のリーグ優勝への鍵は「守備力」と「機動力」。

今春のオープン戦ではバッテリーミスや取れるアウトを取れなかったことによる失点が見られた。
今年の中大は西舘を筆頭に強力な投手陣を擁しているが、1点が致命傷となる東都リーグでは防げた失点を作ってしまうと大きな痛手となる。守備のミスで崩れることのあった昨春を経験している選手が多いからこそ、簡単なミスでの失点を防ぎたいところだ。

▲主将としてチームを引っ張る中前

今年の中大の攻撃のテーマは「つなぐ」。森下、北村といった超強力なバッターが抜けたからこそ、いかに少ないアウトカウントで得点圏にランナーを置けるかが勝負の鍵を握る。昨年は森下、北村の前に出塁。送りバントでアウトカウントを増やしてでもランナー二塁の状況を作り出し、森下、北村でランナーを返すというパターンが出来上がっていたが、今年のチームは軸となるバッターに頼るというよりかは得点圏のランナーを回ってきたバッターが返すというスタイル。盗塁やエンドランを積極的に仕掛け、機動力を発揮することが攻撃のチャンスを増やす理想的な状況を実現するために不可欠になる。

「平常心で」
明日初戦を迎えるが、「順調に来ているけれどリーグ戦は自分たちのペース、平常心でプレーしようともそうは行かない。そういうところをカバーしあって、勇気付けあって戦っていきたい」と清水監督。入れ替え戦という地獄を味わった世代が、その経験を糧にリーグ戦でもっと強くなる。