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岡田、会心のスパートで3000mの中大記録を更新!─Summer Night Run Festival in CHUO(中央大学記録会)

2024年7月26日 東京都・中央大学多摩キャンパス陸上競技場

7月26日に中央大学記録会が開催され、U23 3000mで上半期トラックで無類の強さを見せた岡田開成(法1)が中大記録を樹立。吉中祐太(文3)ら3人が快走を見せたU23 1500mを含め計17人が自己ベストを更新し、各選手のスピードの強化が顕著に見られるレースとなった。また、Summer Night Run Festival in CHUOと銘を打つ今大会は小学生を対象としたかけっこ教室の併催、中大陸上競技部OBや多摩地域の中高大生の記録会招待など、革新的な取り組みが行われ大いに盛り上がりを見せた。


今大会最初の種目となったU23 1500mには吉中祐太(文3)、吉居駿恭(法3)、後藤琉太朗(文2)の3人が出場し、全員が自己ベストを更新する快走を見せた。序盤から篠原寛(経3)や藤田大智(経2)が積極的に集団を引っ張り、400mを59秒、800mを2分00秒という非常に快調なペースで展開されていく。ラスト1周の鐘が鳴ると同時に吉中が大きく前へ出ると、ラスト200mで吉居がギアを変えて追い上げを見せる。最後は吉中に軍配が上がり、3分44秒17の好タイムをたたき出した。今季トラックレースで不調に苦しめられていた後藤も粘りの走りを見せ、3分46秒22をマーク。全日本インカレの標準記録を突破し、レース後は9月に控える大舞台での飛躍を力強く語った。

▲後藤(奥)は全日本インカレの標準記録を突破した

幕開きの好演で湧く競技場で特別な想いを抱えて舞台に立つ選手の姿もあった。U16 1500mにペースメーカーとして姿を見せた伊藤春輝(法2)は昨年6月の日体大記録会以来、実に1年1か月ぶりに出走。脳炎を発症し、普段は川沿いでのロード練習のみ。この日も思い通りのレース展開が作れず、ペースメーカーとしての務めはできなかったと語るが、再びスタートラインに戻ってこれたことへの喜びを噛み締めるように口にした。「今後どうなっていくか分からないですけれども、必ず自分はこの舞台に戻ってきて練習と試合ができると信じています。そう簡単なことではないですけど、支えてくれた方への恩返しとして駅伝への出走という形と、それがなかったとしても何らかの形でチームへの自分の走りで恩返ししていきたい」と丁寧に自分の言葉を綴った伊藤の想いは、現在のそして未来のチームの糧になっていくに違いない。

▲1年1か月ぶりの出走となった伊藤

続くU18 3000mには木下道晴(経1)が出走。序盤から先頭集団後方で淡々とレースを進め、2000mまで2分50秒前後のラップを刻む。2000mを通過して木下が集団の先頭に躍り出たが、後続の高校生にラスト400mで抜き返され後塵を拝した。

▲落ち着いたレースを展開した木下

青学大の選手も多く参加し、ハイレベルな争いが予想されたU23 3000mは最初の1組目からデットヒートが展開され、多数の自己ベストが更新された。

合わせて25名もの大所帯で行われた1組では下級生が多く名を連ねる中、折居幸成(法3)が躍動。ペースメーカーを務めた藤田、東海林宏一(経4)、田中伶央(文1)、三浦彰太(文1)らが先頭集団でレースを進めるのに対し、折居は冷静に第2集団で様子を伺う。上体を前に倒し、大きな腕振りで快調に歩を進める田中がリードを広げるかのように思えたが、戦局が傾いたのはラスト1周のことだった。折居が400mを62秒ほどのスパートを見せラスト100mを前に大逆転、自己ベストを10秒以上更新する8分17秒21でフィニッシュした。

▲快調に走る田中とその後続を走る東海林、三浦

レース展開について問われた折居は「上手く自分の力の配分ができなくて序盤に速めに入って潰れてしまうってことが多かったので、それを改善するという意味でしっかり最後まで持つように思い通りにできました」と自身を評価しつつも、「夏はAチームとで合宿の出来具合で分かれてくるので、上に残れるようにというところと、自分は上りが強いというのがあるのでそこを活かすことで狙っていきたいと思います」と次を見据えた。

▲夏合宿を前に自信を口にした折居

2組目では佐藤蓮(法2)が圧巻のラストスパートを見せた。レース序盤から中盤にかけては山口大輔(文4)が集団前方の青学大勢を前に割って入り、400mを64秒ペース、1000m2分40秒前後でレースを展開する。その一方で佐藤蓮は自身のスタイルを貫き、集団やや後方に構える。先頭が2000m通過を5分23秒ほどで通過すると、苦しい表情の山口の背中を捉え、徐々にペースを上げていく。ラスト1周の鐘が鳴り、一段階上のスパートを見せると先頭をひた走る青学大の鳥井健太を捉え、8分03秒36の自己ベストでゴールに飛び込んだ。2200mからの800mは2分02秒、ラスト400mは56秒ほどと中距離ランナーを彷彿(ほうふつ)とさせる会心の走りは場内を騒然とさせた。

今後について問われた佐藤は「全日本インカレ優勝を狙うと聞いているので、そこにまず合わせて結果を残して、駅伝もちろん箱根を目指して頑張っていきたいです」と秋以降の飛躍を誓った。

▲爆発的なスパートで会場を沸かせた佐藤蓮

競技場は観客で埋め尽くされ、盛り上がりが最高潮に達した多摩の地でひときわ輝きを見せたのは期待の新星だった。ラストを飾った3組目、黒田朝日や折田壮太、塩出翔太など青学大からもエース級の選手が多数顔をそろえる中、ペースメーカーを務めた浦田優斗(経4)と吉中が1000mを2分30秒台中盤で通過するという驚異的な入りでレースが展開される。

▲浦田が高速レースを演出する

七枝や並川らルーキーも序盤こそ積極的な走りで集団前方を走っていたが、1400mを手前にして集団はやや縦長に。伊東夢翔(経3)や中野倫希(経4)も上位に浮上して上級生の意地を見せるも、先頭争いは本間、岡田、そして青学大の小笠原陽琉に絞られる。

2000mを5分17秒ほどで通過し、小笠原が果敢にスパートを仕掛けるも、本間と岡田は動じることなく冷静にペースを刻み続ける。レースが動いたのは2500mを過ぎたころだった。岡田が本間の後ろで腕を下げて脱力する素振りを見せると、それを合図にするかのように徐々に前へ。ラスト1周の鐘とともに力強い腕振りに変わり、一瞬で小笠原を捉える。本間も負けじと2位に浮上するも、岡田のラストスパートは一切寄せ付けなかった。中野翔太氏(現Honda)の中大記録を更新する7分55秒41でゴールすると、ガッツポーズとともに歓喜の雄叫びを上げた。

▲ガッツポーズを見せる岡田

レース後に岡田は「正直疲労もかなりあったので7分台を出せたらいいかなぐらいで臨んだのですが、ラスト1周で出すことができてよかったです」と語り、連戦の中で確かな手ごたえを得ていたように感じた。また、次なるポイントを問われると「次はもう駅伝ですね。予選会に向けてしっかり取り組んでいきたいです」と意気込みを述べた。

上半期、ルーキーらしからぬパフォーマンスで新紅の選手たちを照らし続けてきた新星は勝負の下半期でどのような輝きを見せてくれるのだろうか。いざ一番星へ、岡田の最初の夏が始まる。

◆大会結果◆

U23 1500m

1組

①吉中祐太(文3)3分44秒17 PB

②吉居駿恭(法3)3分44秒62 PB

③後藤琉太朗(文2)3分46秒22 PB

※篠原寛(経3)DNF

※柴田大地(文2)DNF

※藤田大智(経2)DNF

U16 1500m

1組

※伊藤春輝(法2)4分48秒95

U18 3000m

1組

③木下道晴(経1)8分37秒89

※白川陽大(文3)8分51秒46

U23 3000m

1組

折居幸成(法3)8分17秒21 PB

田中伶央(文1)8分18秒40

相地一夢(理工1)8分20秒67 PB

三浦彰太(文1)8分22秒13 PB

東海林宏一(経4)8分25秒24

山﨑草太(文2)8分26秒20

荒井遼太郎(法1)8分26秒46 PB

髙沼一颯(経4)8分28秒62 PB

※藤田大智(経2)DNF

2組

佐藤蓮(法2)8分03秒36 PB

山口大輔(文4)8分08秒20 PB

佐藤宏亮(文3)8分17秒01

阿部陽樹(文4)8分17秒80

原田望睦(文1)8分25秒36

佐野拓実(経4)8分25秒46

※白川陽大(文3)8分32秒62

※後藤琉太朗(文2)DNF

3組

岡田開成(法1)7分55秒41 PB 中大記録

本間颯(経2)7分58秒64 PB

大石港与プレイングコーチ 8分05秒57 PB

中野倫希(経4)8分07秒86 PB

伊東夢翔(経3)8分08秒62 PB

田原琥太郎(文1)8分11秒57 PB

園木大斗(法4)8分13秒92

並川颯太(法1)8分14秒53

佐藤大介(文1)8分16秒96 PB

七枝直(法1)8分25秒62 

※浦田優斗(経4)DNF

※吉中祐太(文3)DNF

吉居駿恭(法3)DNS

鈴木耕太郎(法2)DNS

※ペースメーカーとして出走

 

◆コメント◆
岡田開成(法1)
──レースを振り返って

正直疲労もかなりあったので7分台出せたらいいかなぐらいで挑んだのですが、ラスト1周で(中大新切ったかは分からないのですが)出すことができてよかったです

──ラストスパートを長めに取った意図

僕はラストで負けることが結構多かったので、今日はラストスパートを意識して、今まで勝ちきれなかったところを勝ち切ろうと意識しました

──ラストスパートは長めだったのか

今日はラスト1周に絞りました

──次のポイントは

次はもう駅伝ですね。予選会に向けてしっかり取り組んでいきたいです

 

本間颯(経2)

──レースを振り返って

ホクレンの2連戦から中4日で疲労感ある中で出場して中大記録っていうところ目指してたんですけどかなわず、岡田にも負けて自分の中では中大記録会3連覇っていうところが1つあったので、 そこ取りたいなと思ってたんですけど、負けちゃったので、岡田強かったなって感じです

──青学大の選手は意識したのか

そうですね、結構意識して。黒田さんであったりとか、若林さんだったりとか、折田くんだったりとか、強い青学の選手でしたので、 もちろんこの大会狙ってきてないことはわかってたんですけど、しっかりその中でも勝とうと思ってました

──ホクレンの疲労残ってた中で練習で意識したこと

この大会は僕たちはなんか狙っていく大会っていうよりかは、 その合宿に向けた1つまたなんか切り替えという位置付けだったので、ホクレンからここに向けて落としすぎるってことを考えるんじゃなくて、しっかり監督が立ててくれた流れの中で、しっかりその1日1日の監督の狙いとか、そういうところを考えて練習しました

──OB・OGの方々と何か話したりしたか

練習頑張れとか言ってくださいましたし招集で、去年の主務さんだったりとか、その他にも運営でたくさんのOBだったりOGの方々が関わってくださったので、本当にその人たちが いたからこの大会を盛り上げられたと思いますし、すごく楽しかったです

 

佐藤蓮(法2)

──今大会の出走の狙い

そうですね。もうペースメーカーの人が自分のベストで刻んでくれるんで、それは着いてラスト上げればっていうプランで行って、 思うようにレースが進んだのでよかったです

──上半期振り返ってみて、調子はどうだったか

そうですね。1500~10000m全部更新できたんですけど、やっぱり安定感はないので、駅伝シーズンになってくると求められてくると思うんで、 そこを課題として後期取り組んでいこうかなと思います

──トラックからロードに移行していくがスタミナの面などはどうか

そうですね。まだ不安はあるんですけど、もうこの時期から距離は踏み始めているので、 駅伝シーズン、涼しくなる頃には自信持って出走できるようにとりあえず走り込みます

──今後の目標、夏にどんな取り組みをして行きたいか

全日本インカレ優勝を狙うって聞いてるので、そこにまず合わせて 結果を残して駅伝、もちろん箱根を目指して頑張ってきたいです

 

折居幸成(法3)

──レースを振り返って

夏合宿前に一回刺激を入れていい形で入れるようにっていう目的で走ったんですけど、一応ベスト更新と組の中でも一位取れたってことで自分の中で自信につながったレースだったと思います

──レース展開はどのようなものを考えていたか

とにかく自分の力を3000の中で出し切るってところを集中して、今までちょっとレース走ってきて、練習できてたんですけどうまく自分の力の配分というか、ができなくて最初の方に早めに入って潰れてしまうってことが多かったので、それを改善するっていう意味でしっかり最後まで力が持つように思い通りにできました

──今シーズン順調そうだが

練習はかなり順調に詰めていて、上の練習も一緒にどんどんやるっていうのができてきてるんですけど、ハーフとかも出させてもらっている中でうまく走ることができなくてっていうのが続いてたんですけど。今日はそういう意味では一つきっかけにできたかなと思います

──夏合宿、駅伝シーズンに向けて

夏はAチームとで夏合宿の出来具合で分かれてくるので、しっかりそこで上のグループに残れるようにってところと、自分はあとのぼりが強いっていうのがあるのでそこの強みを活かせるように、というか狙っていきたいと思います

(記事:日向野芯、写真:二村沙羅、松本あゆみ、大畠栞里、村野風珈)

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