2025年1月3日 神奈川・芦ノ湖〜東京・大手町
往路を2位の快進撃で終え、注目を集めた中大。復路では序盤から青学大や駒大にリードされ、目まぐるしく順位が入れ替わる中で、5人の選手たちが粘り強く襷(たすき)を繋ぎ、5位でフィニッシュした。
(記事:遠藤潤、藤本佳野、写真:日向野芯、志水恒太、山口周起、琴寄由佳梨、橋本唯花、佐伯真生、髙橋美帆、功刀萌恵、村野風珈、山﨑響、井口縁、髙梨晃世、福田菜緒、篠原ひなた、大畠栞里、森田華瑠、小林想、野村真、石井悠樹、大澤晶、日原優、酒井奏斗、田中のぞみ、水崎菜花、髙橋若夏、渋谷海翔、渡邉咲衣、片岡芹菜、中島遥、関拓斗、琴寄永里加、吉田弥生、桑沢拓徒、塚越香都、土屋日向、湊谷昂太郎、小林陽登、浅野詩多、齋藤さくら、大日方惠和、木村匡翔、松浦有紗、要明里沙、二村沙羅)
◆大会結果◆
往路
①青学大 5時間20分01秒
②中大 5時間21分48秒
③早大 5時間22分30秒
復路
①駒大 5時間20分50秒
②青学大 5時間21分18秒
③国学大 5時間25分21秒
⑬中大 5時間31分01秒
総合
①青学大 10時間41分19秒 大会新
②駒大 10時間44分07秒
③国学大 10時間50分47秒
⑤中大 10時間52分49秒
6区 20.8㎞ 浦田優斗(経4) 58分49秒 区間6位
7区 21.3㎞ 岡田開成(法1)1時間04分28秒 区間7位
8区 21.4㎞ 佐藤大介(文1)1時間09分51秒 区間20位
9区 23.1㎞ 吉中祐太(文3)1時間09分46秒 区間8位
10区 23.0㎞ 藤田大智(文2)1時間09分28秒 区間4位
▲青学大を追う浦田
復路のスターター、6区は昨年に続き浦田優斗(経4)が務めた。57分台を目標にしていたが、「上りは想定くらいで入ることができた。後半から差し込みが来て抜けないまま下りに入ってしまい、スピードに乗ることができなくて出遅れてしまった」と、昨年のタイムに及ばず悔しい結果となったレースを振り返った。「7位シード権獲得」のチーム目標を上回ったものの、「1区の吉居(駿恭・法3)から流れを作って往路2位で終えたので、もっと上位を狙えた悔しさも残る」と、後輩たちへ上位目標を託した。
▲チームメイトの声援に応える岡田
7区は副主将の山平怜生(法4)から当日変更となった岡田開成(法1)が務め、2位で襷を受け取った。18秒差でスタートし、後方から迫る佐藤圭汰(駒大、3年)は洛南高校の先輩。4.7㌔地点でかわされるも、給水地点で、同じく高校からの先輩である佐野拓実(経4)、柴田大地(文2)から「佐藤と一緒に行ってほしい。ここからもっとキツくなるけど、絶対楽しいから」と励まされ、ペースを落とさず、必死に食らいつく走りを見せた。レース後、岡田は「監督には62分50秒くらいと言われたが、個人的には62分30秒くらいで区間3位以内を狙っていた」とレースプランを明かし、初の箱根路を「ちょっと苦い結果になった」と振り返った。
▲ルーキー佐藤大
8区は全日本大学駅伝で6区7位と好走を見せた佐藤大介(文1)。入学から安定したレースを見せつけてきた佐藤だっだが、箱根デビューは区間20位の走りとなり、総合順位を6位へ落とす苦しい走りになった。レース後、山本亮コーチは「詳しくは分かっていないが、本人は汗が一滴も出なかったと。緊張から軽く低体温症みたいなことになったのかなと」と分析。佐藤大は険しい表情を浮かべながらも、9区まで一心に駆け抜けた。
▲城西大と並走する吉中
続いて9区を任されたのは吉中祐太(文3)。独走が続き、途中桜井優我(城西大、3年)に追いつかれるも、冷静な走りで6位を死守し、鶴見中継場へ2人同時に飛び込んだ。吉中は「正直びっくりしたが、桜井くんに合わせていけば、藤田が楽できると思ったのでなんとか粘ってついていきました」と明かす。8区で苦戦した佐藤大から襷を繋いだ吉中は「僕と藤田で挽回しようということで、最終的に順位を上げてゴールできたので、そこはチームとして良かった」と最高学年目前の堂々とした走りを振り返った。
▲大手町に帰ってきた藤田
最後に襷を受け取ったのは藤田大智(文2)。城西大と同時にスタートし、チームメイトらが待つ大手町を目指した。2校はしばらく並走を続けたのち、飛び出した藤田が、勢いのまま創価大を捉え、順位を一つ押し上げた。また10㌔地点の給水所には、昨年までに3度箱根路を駆けた阿部陽樹(文4)が登場。「この箱根駅伝で楽しかったことも悔しかったこともあるので、最後に給水という形でチームに貢献できてよかった」と振り返る阿部は、「今いい走りができているから。最後は笑顔で楽しんでゴールして」と藤田を励ました。藤田は力強い区間4位の走りで阿部のエールに応え、中大は5位で箱根路を終えた。ゴール後、藤田は「声援が強くて、21㌔本当に一瞬だった」と清々しい表情を見せた。
山本コーチは「しぶとく戦えたと思う。苦しい展開になった中でも、最後まで切らさずに粘り強く戦ったという点で、次につながる戦いだった」と今大会の収穫を振り返った。また大会後に開かれた報告会では、藤原正和監督も、選手らの信念を貫く走りを評価したうえで、新チーム始動に向け「学生たち自身が優勝を狙いたいと、自分たち自身を動かそうとするチームになって初めて優勝にチャレンジできるのではないかと考えています」と語り、集まった中大ファンは期待の声をあげた。
前回大会を13位で終え、予選会からの再スタートとなった第101回箱根駅伝。往路は5区半ばまで首位を譲らず、全日本の悔しさを晴らすような快走だった。復路、苦しい場面もあったものの、懸命に前を追い、チームメイトの想いを繋いでいく姿は、見る者を惹きつけた。1月3日、大手町で選手らが見せた表情は、特別に輝いていた。
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