11月23日 慶応大学日吉陸上競技場
箱根本戦に向けて今週も明るい兆しが見えた。時折風が吹き、ミスト状の雨が降りしきる中行われた学連10000m記録挑戦会。中大からは12人が出場し9人が自己ベストを更新した。三浦拓朗(商2)がチーム内の舟津彰馬(経4)、二井康介(文4)ら4年生以外では初の28分台をマークするなど多くの選手たちが手応えをつかむ結果となった。
チームに勢いを与えたのは第8組に出場した川崎新太郎(経3)だった。「練習はある程度出来ているから、ちゃんと走れば結果はついてくる」と事前に藤原駅伝監督に言われた通り、川崎は終始先頭集団後方から中ほどに付けレースを進めた。ラストは持ち前の伸びやかな走りで相手を置き去りにし組トップでフィニッシュ。29分8秒と自己ベストを大きく更新した。▲ラストスパートをかける川崎
続いて池田勘汰(商3)や井上大輝(法2)ら主力4人が出場。レースは序盤から早大の太田智(4)や青学の吉田圭(3)ら各校のエースたちを中心に速いペースで進んだ。池田、井上、千守倫央(商1)は5000㍍を14分20秒弱で通過。千守にとっては5000㍍の自己ベストよりも速いタイムで通過するなど積極的なレースを見せた。
選手たちは終盤ペースを落とすものの、池田が29分一桁と1万㍍では2年振りの自己ベスト更新。目標の28分台でのゴールとはならなかったものの、「終盤ペースは落ちましたが、単独走という形で自分で押し切れて走れたのは良かった」と池田は箱根に向けて収穫の多いレースとなった。井上、千守、助川拓海(経1)は自己ベスト更新とはならなかったが、今後に向けてそれぞれの課題が見つかる走りとなったはずだ。▲序盤から速いペースとなるも積極的な走りを見せた右から池田、千守、井上
続く第10、11組では2年生の商学部コンビが力走を見せた。昨年、今回と同じ学連記録会でレーンを踏み外し失格となり、幻の28分台を記録した三浦。しかし今日は序盤からリズムに乗り、正真正銘の28分台でのフィニッシュとなった。▲最後の直線で必死に前を追う三浦
レース終盤、三浦は駒大の中村大聖(4)、伊東颯汰(3)、明大の鈴木聖人(2)たち各校の主力たちと第二集団を形成しペースを刻んでいた。「途中駒澤の伊東さんが『しっかりここで付くぞ』と声をかけて下さって、それは一番力になりました」と、苦しくなったところでも三浦は粘りの走りを見せた。
倉田健太(商2)も安定したペースを刻み念願の30分切りを達成した。倉田にとっては今回の記録は一つの通過点。着実に成長を遂げている倉田の今後の活躍が楽しみだ。▲帝京大の選手と競る倉田
最終組には世田谷ハーフで好走した大森太楽(文3)、手島駿(商2)、若林陽人(法1)の3人が出走。大森は自身の調子の良さをうかがわせる力強い走りを見せ、組トップでフィニッシュを果たした。特にラスト200mからのスパートの切れ味は抜群だった。若林も29分半を切り、手島も自己ベストを更新するなど最後に全員がベストを更新し学連記録会を締めくくった。
▲ラスト200mでスピードを切り替える大森
今回のレース結果を受け、藤原駅伝監督は「シードを狙うチームとしては非常にいい流れだったんじゃないかなと思います」と箱根に向けて一定の手応えを口にした。しかし他校の選手たちも好記録を連発しており、手放しでは喜べない。
優勝候補の青学は8人が28分台をマークするなど圧倒的な強さを見せた。箱根予選会で中大の順位を一つ上回る9位だった早大も28分台が3人、その他シードを争う大学の多くの選手たちも28分台が複数出るなど各大学の戦力は強力だ。▲高速レースを展開した青学の選手たち
来週も日体大記録会が行われるが、今日走った選手の多くは今回が年内最後のレースとなる。箱根まで残り38日。シード権獲得に向けここからの約1ヶ月が正念場だ。先週の上尾ハーフに引き続き、今大会でできたいい流れは箱根本戦に繋がるに違いない。
◆コメント◆
藤原駅伝監督
――レース全体を振り返っていかがですか
12名出てベストが9名でしたので、優勝を狙うチームとは差がありますけどシードを狙うチームとしては非常にいい流れだったんじゃないかなと思います
――監督が見て今日一番良かった選手は誰でしょうか
3年の川崎と大森ですかね。組トップでゴールはなかなかできないですし、池田も含めてこのコンディションで29分一桁でゴールしましたし、よい走りをしてくれました
――三浦選手も28分台で走られましたが
そうですね。昨年ちょっとインレーンで正式記録として出せなかったので、そこに関してはまずは良かったかなと思います。三浦に関してはここ2週間くらい少し足をけがしていて、うまく練習を積めていない中でしたので、調子がよくない中でのレースという意味では底力がついてきたのかなと思います
――来週の日体大記録会に出る選手たちに期待することは何かありますか
来週も多くの選手が出場します。田母神、岩佐、二井あたりは上尾からセットでポイント練習を続けていて、ある程度本番を見据えた中で戦える走りを見せてほしいですし、舟津も5000でしっかりスピード感を持ってまとめてほしいと思います
――今後の箱根に向けての意気込みを教えて下さい
なかなか予選会で皆さんにご心配をおかけしたような内容だったんですけど、チーム状況としてはあの結果を受けて選手たちがというか私がですね、危機感を持って選手たちと共に自分たちの走りを見つめてやってこれてますので、この1カ月は何も守ることなく挑戦者として万全の状態で臨みたいと思います
三浦
――28分台が出ましたが、今日の走りを振り返っていかがでしたか
結果的には28分台は出たんですけど、去年とあんまりタイムが変わっていないので、しっかりここからもう一回力をつけていって箱根に挑みたいと思います
――今日の目標タイムはどのような感じでしたか
A目標とB目標があって、A目標は28分40を切ることで、B目標は28分台を出すことでした。最低限の走りはできたかなと思います
――今日のレース展開から思うことはありますか
しっかり前のペースに合わせていって、ペースが落ちることはないと思っていたので、想定通りに進んでくれました
――途中、駒澤の主力選手や明治の鈴木選手などと同じ集団で走っていましたが
途中駒澤の伊東さんが「しっかりここで付くぞ」と声をかけて下さって、それは一番力になりました(笑い)
――箱根への意気込みを教えて下さい
去年はここでインレーンをして、箱根前に風邪を引いたので、とりあえずここでインレーンせずに走れたので、たぶん風邪も引かないと思うので、しっかり力つけていって走れるように頑張ります
池田
――今日のレースを振り返っていかがでしたか
自分個人としては、2年ぶりの自己ベスト更新するという目標を達成でき、成長を確認したいということで箱根に向けていいステップになればいいなというレースでした。展開としては自分が思っていたよりハイペースで、想定はしていたんですけど、それについていける力はなくて、単独走という形になりました。でも単独走になってからは、踏ん張るっていうことが今までで1番できたかなと思います。単独走については自信がついたレースになったかなと思います
――惜しくも28分台には届きませんでしたがその辺りに関しては
28分台を狙ってはいたんですけど、今回のレースを通じて28分台を出せると確信に繋がりました。昨年は、28分台本当に出せるかなといった感じで前半突っ込んで、6000メートル以降死んでしまうという感じでしたが、今年は一人で押していった上で、ベストを出せたので、28分台も出せると思いました
――今後に向けての意気込みと希望区間を教えて下さい
2019年ベストが出せていなかったので、最後の最後出せてよかったというのが率直な感想です。箱根については、今回単独走というところで自信がついたので、往路でも復路でも、単独走になった場合、ガンガン走っていけるなというのはとても自信になりました。二区はすごく希望してるんですけど、チーム状況に応じて、昨年走った4区だったり、1年の時走った9区だったり、難しい区間だと思うので、今回の単独走が生きる区間、自分の強みを出せる区間を走れるように頑張ります
川崎
――今日の走りを振り返っていかがですか
前について行くだけだったんですけど、その中で聞こえてくるのは(1周のラップが)69とか70秒で、思ったよりもスムーズにいけてるなという印象を途中から持っていました
――事前のプランは何かありましたか
去年はついていけたのが4000mくらいだったので、7000、8000m位まで付ければ、そこからは粘って行けるかなというプランでした。思いのほか前にいけたかなと思います
――箱根に向けての意気込みを教えて下さい
今の状態は悪くないですけど、もう1段状態を上げて、箱根ではもっといい結果を出せるようにしていきたいです
――希望区間などはありますか
7,8,9区とかを走りたいですね(笑い)。僕は池田と矢野と仲良いんですけど、その3人で繋げたらいいなと思ったりしています。でも前半の区間に僕らの誰かが行かないといけないと思ってますし、任された区間でしっかりチームに貢献できる走りをしたいと思います
◆大会結果◆
3組
⑩藤村燦太(商1)30分38秒24 PB
5組
⑭藤井拓輝(商2)30分36秒49 PB
8組
①川崎新太郎(経3)29分08秒56 PB
9組
⑮池田勘汰(商3)29分08秒30 PB
⑳井上大輝(法2)29分29秒47
㉒千守倫央(商1)29分45秒29
㉕助川拓海(経1)30分19秒77
10組
⑱三浦拓朗(商2)28分56秒44 PB
11組
⑲倉田健太(商2)29分55秒46 PB
12組
①大森太楽(文3)29分09秒35 PB
⑫若林陽大(法1)29分28秒44 PB
⑯手島駿(商2)29分44秒12 PB
記事・写真:中大スポーツ新聞部