櫻井亨佑(商4=習志野) 主将のもと、開幕が迫る春季リーグに向けて調整を進めている中大野球部。西舘勇陽(読売ジャイアンツ)、石田裕太郎(横浜DeNAベイスターズ)をはじめとする下級生からチームを支えてきた選手たちが卒業したものの、高校時代から大きな注目を浴びたルーキーも数多く加入した。今回は中大に新たな風をもたらす新入生11名のインタビューを5日間にわたってお届けします!
第4回は熊谷陽輝(経1=北海)選手と橋本航河(文1=仙台育英)選手。タイプは異なるものの、それぞれ高校時代からバットで大きな実績を残し、大学でも春から即戦力の期待がかかる2人。将来の主軸候補は明確な目標を定めて最初のシーズンに向かっている。
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<熊谷陽輝>(聞き手、構成:志水恒太) ▲投打のパワーが大きな武器と語る熊谷。二刀流での活躍を目指す
──部の雰囲気にはもう慣れましたか
「1月14日に入寮して、段々慣れてきました」
──中大を選んだきっかけは
「高校出てプロに行くってことをずっと目指してたんですけど、自分の中でやっぱり東都リーグっていう、人気の六大学、実力の東都って言われるくらいなので、レベルの高いところでやりたいなって思って、その中でも名門の中の名門で練習の雰囲気もすごい良かったですし、環境も良かったのでそれで中央大学に決めました」
──今おっしゃったように高校からプロに進む道もあったと思いますが、どのタイミングで大学進学を決断したのですか
「高校3年の春に肘を怪我してしまったので、そのタイミングで大学に進むのを決めたので、6月とかですかね」
──入寮する前のイメージと練習を始めてからの印象はそれぞれいかがですか
「誰もが知っている大学なので入る前はすごく厳しくて上下関係もしっかりしているのかなと思ったんですけど、入ってみるともちろん練習のレベルは高いんですけど思ったよりきついメニューはあまり無くて、その中でも自分で自分を追い込まないと上達はしないので、今はそういう印象ですね」
──東京での寮生活ですがいかがですか
「やっぱり北海道から出たことが無かったので、こうやって住むのも初めてで最初は寂しかったりホームシックって感じもあったんですけど、でもこうやって1ヶ月経ったのでもうだいぶ慣れました」
──高校時代一番印象に残っている試合は
「自分が甲子園に出た初戦、明豊戦ですかね。9回裏2アウトまで負けててそこから逆転した試合だったんですけど、正直負けるかなって思ったんですけど、人生で初めて9回2アウトから逆転できたのですごい漫画のような試合でそれが印象に残っています」
──その次の試合で対戦があった新妻(恭介=文1・浜松開誠館)選手は今ではチームメイトになりましたが印象は残っていますか
「残っています!今は自分は『三振』っていうイメージしかないです。自分三振取ったので、4年間イジってやろうと思います(笑い)」
──高校最後の試合では神村学園の黒木(陽琉=亜大)選手と対戦されたと思いますがいかがでしたか
「やっぱり変化球のキレも良かったですし真っ直ぐも勢いあってすごいピッチャーでした。もちろん、(高校の時は)チームとしても負けてますしあの時は捉えてはいたんですけど凡退してしまったので次対戦した時はしっかり自分が勝てるようにバッターでしっかり結果残せるように頑張りたいと思います」
──個人的なベストピッチと打席を教えていただけますか
「ベストピッチは北海道の大会になっちゃうんですけど高校2年生の秋のセンバツ決める大会の準々決勝で札幌日大高校とやった時に7ー0で勝って、146㌔出してその時が一番だったかなって思います。バッティングは甲子園の神村学園戦でのホームランかなって思います」
──やはり甲子園でのホームランは格別なものですか
「そうですね、やっぱり音がすごい良かったので響きも全然地元の球場と違いましたし、今まで打ってきたホームランの中であれが確信持てた打球だったので、初めてあんな感覚で打てたのですごかったですね。歓声とかも違いましたね」
──地方大会でのバッティングは驚異的な成績(6試合/.762/5本/13打点)でしたがあの当時の感覚はいかがでしたか
「もう何か打てる気しかしなくて、打席入ったら緊張とかしなかったですね。ずっと楽しかったです。甲子園も緊張するのかなって思ったんですけどすごい楽しく試合できましたし打席立ってもすごい楽しかったので、やっぱり野球は楽しくやった方が良いのかなって感じた最後の夏だったのかなって思います」
──最後の夏はバットを短く持っている姿が印象的でした。あの取り組みはいつから、どういった意識で始めたものですか
「3年生になってからですね。自分はパワーあるんですけどミート力が欠けてたので86㌢の長いバットを短く持ってミートをできるようにって意味でやっていました」
──高校の練習では飛ばし過ぎて木製バットを使用していたという話を聞きましたが、ご自身の飛ばす力については
「あ、そうですね(笑い)。自分逆に武器はパワーしか無いので、守備とかはすごい苦手というか全然できないのでバッティング、ピッチャーのパワーっていう武器があるので、そこは強みだと思っています」
──大学では木製バットになりますが高校で練習しているということでそこへの対応に関しては
「そうですね、それなりに慣れてはいたんですけどやっぱり大学生の球はキレも違うのでバットには結構慣れたんですけど球にはまだ慣れてないっていう部分はあります」
──ご自身のピッチングの特徴、強みはどういった部分だと捉えていますか
「自分パワーがあるので重い球、球速以上に感じられる重たいボールが、やっぱり真っ直ぐですかね。それがいちばんの特徴かなと思っています」
──高校の2学年上にはプロに進まれた木村(大成・福岡ソフトバンクホークス)選手がいらっしゃったと思いますが身近な先輩がプロに行ったことに当時はどういった思いがございましたか
「身近ですごいキャッチボールだったりシート打撃の打席立ったりとかもしていたんですけど、やっぱり他の選手と一味違うというか、木村さんと同じ代で宮下朝陽(東洋大)さんもJAPANに選ばれて、その人もやっぱり違いました。もちろん刺激になりましたし、自分も頑張ろうっていうような、身近にそういう人たちが居れば自分も刺激になっているので良かったなと思っています」
──どういった部分で一味違うなと感じていましたか
「体のキレですかね。宮下さんは体のキレっていうか守備も全然スピードが違いますし、木村さんは球のキレが全然違いました」
──1ヶ月練習してみて、特に参考にしたいと思った選手は
「ピッチャーでは岩城(颯空=経3・富山商業)さんですね。シート打撃入った時にすごい良いボール投げてて、自分全然手も足も出なかったので、右と左で違うんですけどこういうピッチャーになりたいなと思いました。バッターでは皆川岳飛(経3・前橋育英)さんですね。中々あの人から話しかけてくるって事はないので、自分結構バッティングの事とか聞きに行ったりしてるんですけど、でも最近結構話しかけてきてくれたりとか、ちょっかいとかもかけてきたりとかもあって、逆に嬉しいんですけど、皆川さんみたいなバッターになりたいなって思いました」
──どういった部分を教えていただきましたか
「まずバットの出し方だったり、自分バッティングで足が使えないので足の使い方だったりとかそのような事を聞きました」
──手本にしているプロ野球選手はいらっしゃいますか
「ピッチャーだったら西武の平良(海馬)選手。自分も全部クイックで投げるので、平良投手もクイックで自分と同じパワーピッチャーなので目標にはしています。バッターはそんなに居ないですね。自分の型とかもあるので」
──現時点で感じる高校と大学の一番の違いは
「そうですね、高校野球の時はチームみんなで甲子園っていう目標があってそれを全員で叶えようって感じだったんですけど、大学はもちろんチームでもリーグ戦優勝しようって目標はあるんですけど、それ以上に個々の時間というか、個人が上手くなればチームも上手くなるだろうという考え方で、すごい考え方も違いますし雰囲気も高校に比べたら緩いので最初の1、2週間は全然慣れなかったりもしたんですけどそこが大きな違いかなって思います」
──マウンド、打席内で最も意識していることは
「そうですね、逆にピッチャーは意識したら負けだと思っていて抑えてやろうとしか思ってないです。気持ちの部分だけですね。バッターはまずは強く振る事を考えています。あとは配球の部分、変化球次何来るかなとかそこだけを考えています」
──自分のプレースタイル、アピールポイントは
「やっぱりパワーですね。観客の方の誰が見てもすごい打球を打つ事が出来たり、すごいボールを投げられたりというのが自分には出来ると思っているので、そこが強みかなと思っています」
──座右の銘や大切にしている言葉はございますか
「言葉ではないんですけど、自分は凡事徹底はすごい意識していますね。高校の時に監督が普段の事がグラウンドに出るっておっしゃっていたので、常にどれだけ細かなことでもしっかり最後まで成し遂げようということは心掛けています」
──現在は主に野手のメニューを
「そうですね、手術したのもあって今は完全に野手です」
──具体的にどういった練習が中心ですか
「さっきも言ったんですけど自分守備が下手なので(笑い)、まずは守備だったりとか、もちろんバッティングで期待されているのでしっかりバッティングもしつつ守備練習ってところも両立しながらやっています」
──現在の身長・体重は
「184㌢・95㌔ですね。高校と比べるとちょっと減りましたね。絞ったというよりは高校の時ずっとウエイトしていたので、筋肉量はちょっと減って絞れてきたって感じです」
──リーグ戦という形式になりますがその部分についてはいかがですか
「高校野球はトーナメントではありますけど、正直、支部予選の最初とかでは公立校も出場していますし、自分たちがしっかり出来れば勝てるところもあったんですけど、こういうリーグ戦になると東都っていうのもあるんですけど緊迫した試合が毎回続くと思うので手抜いていられる試合は無いと思いますし日程的にも詰められているので体力も必要になると思いますし、神経をすり減らしながら試合をしなければいけないと思うので大学の方がキツいのかなと思っています」
──対戦が楽しみな選手はいらっしゃいますか
「自分春は出れるとしたらバッターの方だと思うんですけど、対戦としてはさっきの黒木投手ですかね。メンバー入ってるかまだ分からないですけど対戦できるのであれば次は絶対打ってやろうという気持ちがあります」
──同級生には力のある投手が多いですが刺激にはなりますか
「そうですね、みんなすごい球を投げるのでお手本になる投手も多いですし逆に刺激にもなりますしすごい良いのかなと思っています」
──仲の良い1年生は
「みんな本当にすごい仲良いですね。ご飯とかも一緒に行ったりもありますし、でもやっぱり堀田(晄大=文1・北海)ですかね。高校から一緒ですし堀田が一番仲良いです」
──同部屋の選手は
「今は川波(瑛平=商4・白樺学園)さんですね。2人部屋です。すごい平和ですね(笑い)。高校の時から同じ北海道で川波さんの事は知っていたので、自分から結構話しかけたりとかもしています」
──最後に今年の目標と4年間のビジョンをお願いします
「今年は野手中心になると思うのでしっかり打撃で成績を残せるように。自分は8シーズンでホームラン20本っていうのを目標にしたので、1シーズンで3本打てたら余裕があると思うので、まずは今年の春はホームラン3本打てるように頑張りたいなと思います。将来的にはもちろん高校出てすぐ行けなかったプロ野球選手になって、活躍することですね。なることだけじゃダメなのでしっかり活躍できるように頑張っていきたいなと思います」
◇熊谷陽輝(くまがい・はるき)◇
学部学科:経済学部・経済学科
身長・体重:184㌢・95㌔
出身高校:北海高校
<橋本航河>(聞き手、構成:志水恒太)
▲薩摩おいどんカップでも結果を残し、春季リーグでの開幕スタメンも期待される橋本
──入寮してからはどのくらい経ちましたか
「もう少しで1ヶ月くらいですね。だいぶ慣れてはきました」
──中大を選んだきっかけやタイミングは
「高校の監督と進路の話をしていた時に、自分は少しでもレベルの高いところでやりたいと思っていたのでそれを伝えたところ、その少し後に中央大学さんからお誘いを頂いたので東都のレベルの高いところで、全員が全員行けるわけではないので、ここを希望しました」
──入学する前のイメージと入ってからの雰囲気はいかがですか
「思ったよりも練習時間が長くなくて、短い中で詰めていくという練習なので中身が濃いなというのは感じています」
──仙台育英高時代に一番学んだことは
「中学校までやってきた野球とは全く違う考え方もそうですけど、向き合い方みたいなものはすごく教えて頂きました。あとは高校に入る前に須江先生と面談をしたんですけど、その時に仙台育英のグラウンドのスコアボードの点数の『R』は『RUN』だよと教えて頂いて、『走って点を取るから合計点がRになっているんだよ』と言ってもらって、育英は走塁に力を入れているのもありますし、野球に対してそういう風に考えているんだと思って、その言葉が一番印象に残っています」
──高校と大学の違いについて、現時点ではどういった部分を感じていますか
「そうですね、そこまで今のところは感じていないですね」
──高校時代に最も印象的だった試合や対戦相手は
「2年生の夏の決勝、やっぱり優勝した時ですね。対戦相手だと色々な強いチームと対戦させてもらうんですけど、相手というよりは育英の、自分のチームのピッチャーだったり選手のレベルが高いのでその方が印象には残ります」
──これまでで一番の打席を挙げるとしたら
「2年生の夏の甲子園初打席でセンター前打ったんですけど、それが一番ですね。甲子園での初安打というのもそうなんですけど、綺麗な形でセンター前に打てて、気持ち良かったっていうのがあります」
──仙台育英の同級生もそれぞれ強豪チームに進まれましたが刺激にはなりますか
「そうですね、同じ東京で距離も近いですし、仁田(陽翔=立正大)とは2部ですけどこれから対戦する可能性もあるので、高校3年間一緒にやってきた仲間たちが近くにいるというのは刺激になります」
──高校日本代表として大学代表との壮行試合がありましたが、武内(夏暉=埼玉西武ライオンズ)選手との対戦はいかがでしたか
「高校生のピッチャーとはキレとか球の質とかが全然違くて、ストレートだったら自分が思ってたところよりも大分上に伸びてきて、やっぱりレベル違うなと思いました」
──日本代表を経験して得られたことは
「全員が全員選ばれる訳では無いですし、甲子園出たチームとかでもほんの一握りの選手だけが選ばれる大会なので、その中で初の世界一も経験できて、これから大学野球やっていく中でも生きてくると思うので高校3年間通して大きな経験をさせてもらったなと思っています」
──甲子園での通算安打が歴代4位ですが大会期間中は意識されていましたか
「自分の中では特に意識は無かったのですが、やっぱり取材とかでは言われるので頭にはあるって感じでした」
──打席の中で一番意識しているポイントは
「自分の中では力入り過ぎないように、力を抜くってことを一番意識してやっています」
──1番での出場が多かったと思いますが打順のこだわりについてはいかがですか
「そうですね、1番を打てるなら打ちたいですけど、どの打順に入っても自分のできる役割を全うする、どこで出してもらってもそういう意識を持ってやっていきたいと思います」
──ご自身のアピールポイントは
「自分は足を活かした守備だったり走塁だったりそういうところになりますね」
──大学で実際に練習してみて参考になる先輩はいらっしゃいますか
「同じ外野で皆川岳飛(経3=前橋育英)さんは練習とか見てても違うなと思います。バッティングだったり細かい技術だったりがすごい高くて守備も見習えるところが多いので、これから一緒に練習していく中で色々なことを吸収していきたいなと思います」
──参考にしているプロ野球選手などはいらっしゃいますか
「自分はバッティングはオリックスの西川龍馬選手を参考にしています」
──座右の銘や大切にしている行動はございますか
「自分は『覚悟』って言葉を大事にしていて、甲子園の時のアンケートでもこれを書いていたりグローブにも刺繍を入れてるんですけど、とにかく覚悟を持って大会に臨むというのをこれまでも大切にしてきたので大学4年間も同じ気持ちでやっていきたいと思います」
──入寮してからここまではどういった練習を中心にやっていますか
「今はチームとしても数を振るってことをテーマとしてやっているので、自分もまずは数を振って力をつけるということをやっています。スイングスピードだったり打球速度を上げていければなと思っています」
──現在の身長・体重は
「172㌢・75㌔くらいです」
──高校から結構増えましたか
「そうですね、3年の夏の甲子園の時が69㌔だったので、冬場とかで6㌔くらい増えましたね」
──高校までのトーナメントとは異なるリーグ戦となりますがその部分についてはいかがですか
「これまでと違う形式でやることになるとは思うんですけど、負けていい試合は無いので1試合1試合を勝ち切れるように、出させて頂ける機会があれば勝利に貢献できるようにやっていきたいです」
──対戦が楽しみな選手は
「高校の同級生ですかね。神宮大会とか出たらやる事はあると思うので元チームメイトのピッチャーとかとは対戦できたらなと思います」
──仲の良い同級生は
「武井(仙太郎=商1・鎌倉学園)とか熊谷とかですね。一緒に買い物とか行ったりしてます」
──最後に今年の目標と4年間のビジョンを教えて下さい
「今年は1年生の春からリーグ戦に出られるように頑張っていきたいのと、4年間通してはリーグ戦でベストナインを取りたいなと思っています」
◇橋本航河(はしもと・こうが)◇
学部学科:文学部・学びのパスポートプログラム
身長・体重:172㌢・75㌔
出身高校:仙台育英高校