2022年12月10日 国立代々木競技場第二体育館
「悔しいよりも感謝でいっぱいです」(#21渡部)
またもあと一歩届かなかった。準々決勝の相手は昨年も同じ準々決勝で敗れた東海大。開始早々からいきなり9点差をつけ、ペースをつかむものの徐々にリングに嫌われる時間が続き、第3Qに逆転を許す。最後の最後まで#21渡部琉(商4)、#47吉田崇紘(商4)の4年生コンビが意地を見せたものの、試合時間残り約30秒で#21渡部が東海大#3ハーパーにターンオーバーを許しシュートを決められ敗戦。惜しくもリベンジを果たせなかった。
スターター
#0樋口蒼生(文3)、#2内尾聡理(商3)、#21渡部琉(商4)、#42山崎紀人 (商1)、#47 吉田崇紘(法4)
開始早々は中大ペースで進む。#21渡部の3点シュートで先制すると、#0樋口が前試合同様開始早々から高い得点能力を見せ、開始5分で11ー3とペースをつかむ。タイムアウト後、#0黒川(東海大)に二連続でシュートを決められるも、#13小川翔也(法2)の3点シュートなどでリードを保つ。しかし終盤になるにつれインサイドから崩される場面が目立ち、徐々に点差を縮められ18ー16と2点差にまで詰められてしまい、第1Qを終える。
▲今大会、オフェンス力の高さを見せつけた#0樋口
第2Q序盤は一進一退の攻防が続く。中盤#0樋口のバスケットカウント・3点シュートが立て続けに決まり流れを再びつかんだと思いきやタイムアウト後に東海大もしっかり修正し、#1元田(東海大)に終了間際に連続得点を許し、38ー34の4点差と均衡状態で前半終了。
そして第3Qに入ると東海大に流れを奪われてしまう。東海大主将#24松崎にバスケットカウント・3点シュート、#0ハーパー(東海大)にスティールからのシュートを短時間で一気に決められ、逆転されてしまう。中大も積極的にアウトサイドからシュートを狙うも、リングに嫌われてしまう時間が続く。しかし、「自分たちのやっていることは間違いじゃなくて、相手にシュートを決められていただけ」(#47吉田)と選手たちは冷静さを保ち、終盤に#47吉田、#21渡部の頼れる4年生コンビが意地を見せ、50ー56と何とか食らいつく展開で最終Qへ。
▲最後の最後まで闘志あふれるプレーを続けた#47吉田
運命の最終Q、序盤は両者点が入らない状態が続くも、中盤に入るにつれカウンターからの速攻が決められるなど攻守にわたり東海大に圧倒され、11点差まで広げられてしまう。しかし、このままで終わらないのが今年の中大。タイムアウト後に昨年のインカレ東海大戦で大活躍を見せた#60蒔苗勇人(商3)の3点シュート、#47吉田の倒れこみながらの気迫のバスケットカウントが炸裂し、2点差まで詰め寄る。そして残る時間は約30秒、東海大のシュートが外れターンオーバーをし、追い付く絶好のチャンスを得る。しかし、ボールを持った#21渡部が#3ハーパーにスティールを許し、得点を奪われ試合を決められてしまった。「最後自分がミスしてしまった」と#21渡部もこのプレーを悔いた。最後の最後で#3北村孝太主将(文4)のレイアップが決まるもわずかに及ばず。65ー70で中大の日本一への挑戦は二年連続ベスト8で終わりを告げた。
▲試合終了後、抱き合う#21渡部と#47吉田
昨年同じくこのインカレ準々決勝の地で流した悔し涙をうれし涙にするため、一年間戦ってきた。結果は昨年と同じベスト8。「勝たせられなかった」(#21渡部)、「すごく悔しい」(#47吉田)。試合後悔しさからか多くの選手が涙を流した。しかし、チームの要の二人はこうも口にした。「チームとしてやりたいことはできた」(#21渡部)、「チームとしてやってきたことは間違いじゃなかった」(#47吉田)。3年前は2部リーグであった中大。成長の証は確かに存在する。来年は中大バスケ部創部100年の記念の年。#21渡部、#47吉田の絶対的4年生がチームを去るも#2内尾、#0樋口、#60蒔苗、#21小川、#42山崎と今年主力として出場し続けた選手が多く残る。「またこの舞台で必ずリベンジしてくれると思う」(#21渡部)、「いい試合ではなく勝つ試合を来年やってほしい」(#47吉田)。来年こそ悲願の日本一へ。先輩たちの「夢」は後輩たちに今託された。
◆#21渡部コメント◆
ーー今日の試合振り返って
去年のリベンジとして最高の舞台でチームのみんなはよくやってくれたと思うし、チームとしてやりたいこともできました。けど最後自分がミスして、さらに最後自分がシュート打てなくて、自分としてもまだまだだなというところはありました。ただ悔しいというよりも今までエースとして他の人の分までチャンスを奪って自分がやらせてもらったので、チームメイトには感謝しかないです。
ーーマークを徹底されてた
東海さんは毎回しっかり対策してくると思ってたので、周りの選手も気持ちよくシュートを打てたシーンもあったのでよかったかなと思います。
ーーマークを徹底されながらエースとして自分がシュートを打とうという意識が見えた
そこは葛藤してるんですけど、自分が打てるシーンは必ず打つと決めていました。エースとしてやらせてもらったんですけど、独りよがりでは勝てないと思うのでそこもちゃんと意識してます。
ーーやりたいことはできたか
1試合を通してみたらできたと思います。
ーー#28濱野裕稀(総4)が出れず(風邪で欠場)、渡部選手もけががあったと聞いた
軽い捻挫だったり、アクシデントはあったんですけど、逆に濱野がいない分あいつの分まで頑張ってという姿をチームとしてあいつに見せてやろうという思いで入りました。(ーーそれはできたか)できたと思います笑
ーー中大は2部で低迷していた時期もあった。4年間でここまでこれたというのもあるのか
自分だけじゃなくて先輩たちが築き上げたのがほとんどだと思うので、その中で自分たちが受け継ぎをできたのかは来シーズンになってみないと分からないです。ただ自分としては最後の最後やり切ったかなと思います。
ーー今年のチームはどんなチームか
そうですね、難しいですね笑 個性豊かで能力はあるチームだと思います。それをまとめたりは難しいところはありましたね。ちょっと難しいです笑
ーー一年生の頃は一年生主体でやらなければいけないところがあった。そこからここまで上がってきて活躍できるというビジョンはあったか
正直一年生の頃は全然考えられてなかったんですけど、先ほども言ったように先輩たちが築き上げたものが実ったなと思います。
ーー個性が強い仲間たちをまとめる術
みんなでコミュニケーションを取るのはオフコートでも積極的にもやりました。寮生活なので、寮ですれ違ってもコミュニケーションを取るという些細なことをを意識してやってました。
ーー4年間で一番成長したところ
自分の感情のコントロールかなと思います。コミュニケーションを取るとかいうところも成長したかなと思います。
ーー次のステージに向けて、どういった選手になりたいとかあるのか
日本代表になりたいとかはあるんですけど…これも難しいですね笑 やっぱり観てる人を感動させられる選手になりたいです。(ーー点を取るとかのこだわりとかは)そこは中央大学で鍛えさせてもらったところだと思うので、次のステージでもストロングポイントとして表現していきたいと思います。
ーー試合終わった後、ベンチに入れなかったスタンドの選手たちのところに行っていた
4年間一緒にやってた仲間もいますし、悔しい思いしてベンチに入れなかった選手の思いも背負ってやってきたのもあります。最後自分がミスしてしまってチームを勝たせられなかったので、その過程もあってスタンドに行きました。(ーーその四年生に掛けた言葉)ごめんとありがとうしか言ってないです笑 勝たせられなかったこととコート上でもオフコートでもめっちゃ仲良くしてたので、ほんとにこの二つです。
ーー練習の時から学生主体のバスケが目立った。その中で4年生はどんな存在か
大学4年間一緒にいなかった時期がないくらいなので、家族みたいな存在でした。
ーー後輩へ託したいこと
かなり前から俺と吉田を軸にやってきて、来年になったらかなりチームの方針が変わると思うんですけど、必ずしも弱くなるわけではなく、新しい一年生も入ってきますし、能力ある選手はたくさんいると思うので、ちゃんと一から作り上げていけばまたこの舞台で必ずリベンジしてくれると思うので期待してます。
◆試合結果◆
●中大65(18―16、20―18、12―22、15ー14)70東海大◯
(記事:江渕光太、写真:江渕光太、大洞夢果)