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鉄壁の守りと多種多彩な攻め 鬼門突破で杜の都に旋風の予感!―全日本学生ハンドボール選手権大会1回戦 対同志社大

11月8日 宮城・元気フィールド仙台

 

秋季リーグ閉幕からあっという間に過ぎた40日。今年もインカレの季節がやってきた。開催地は宮城県。晩秋のひんやりとした風が吹く東北の街を舞台に、学生日本一の称号をかけて5日間にわたって熱き戦いが繰り広げられる。

おととし、昨年とインカレでは1回戦敗退と苦汁をなめた。そんな中大の初戦の相手は関西代表の同志社大学。秋季リーグでは関西1部リーグで3位という結果を残した強豪だ。「内容より負けないことが大事」(山川慎太郎主将・経4)とチーム一丸となり一戦必勝の体制で試合に臨んだ。

▲チームを盛り上げ、最高の雰囲気を作り出す応援団

 

リーグ戦とは異なり負けたら終わり、そして4年生が引退となる一発勝負のトーナメントということもあり、独特の緊張感の中で幕を開けた。前半1分に中村翼(法2)の強烈なシュートがゴールに吸い込まれ先制点を挙げると、さっそく応援団の盛り上がりは最高潮に。一段と気合の入った応援の波に乗り、蔦谷大雅(法1)の速攻と保利憲之朗(経4)のシュートも続けざまに決まり3連続得点と最高のスタートを切った。しかし同志社大も反撃を見せ、お返しとばかりに3連続得点を挙げて瞬く間に同点。

『インカレは一筋縄ではいかない』。前半序盤の戦いを見てそのように感じられた。ここで中大ベンチは流れを変えるべく、海外から帰国した部井久アダム勇樹(法2)と藤田龍雅(法2)を投入。これがこの試合のキーポイントとなった。久々に中大のユニフォームに袖を通しての公式戦出場となったが、「堅さはあまりなかった」(藤田)と安定感あるプレーを見せ積極的に攻撃に参加。部井久も海外や日本代表で培った高い技術と長身を生かしたプレーで流れを中大に呼び込んだ。厚い選手層を生かした起用も功を奏し、再び3連続得点で点差を広げた。部井久と藤田の活躍に指揮官も「インカレ前の練習試合も出場していたけど、今日ははるかにいいプレーを見せてくれてすごかった。巧かったしさすが」と舌を巻いた。

完全に勢いを取り戻した中大は5-1ディフェンスで同志社大のオフェンスをシャットアウト。反対に中大は多彩な攻撃で隙を見せることなく、前半17分から怒涛の12連続得点。12連続得点の間に得点を挙げた選手は8名を数え、『全員ハンドボール』を体現し、14点差をつけて前半を折り返した。

▲「引かずにしっかり当たっていけた」と手ごたえを口にした藤田

 

後半も堅いディフェンスと多彩な攻撃の勢いは止まらない。後半開始直後も、一進一退の攻防を続けたが、5分過ぎに安永翔(法3)と蔦谷の得点で連続得点を挙げると、キーパー大西暁斗(法4)のファインセーブも飛び出して再び試合は中大ペースに。相手が2分間の退場によって一人少なくなった13分には、部井久のシュートブロックのこぼれ球にすぐさま中大が反応。無人のゴールに寺島健太(総3)がボールをたたきこむビックプレーが飛び出した。直後には再び速攻で寺島が飛び出すと、技ありのループシュートを決めて個人で3連続得点。後半17分には、前半はディフェンスで大活躍だった部井久の待望の得点も生まれた。

幾度となく相手の得点を防いだ大西に代わって途中出場した宮城風太(経2)も存在感を見せた。ことごとく相手シュートを跳ね返し、後半25分には7㍍スローを読み切って好セーブ。次戦以降も活躍に期待がからかる。

多くの得点を挙げたこの試合。最後を締めくくったのは久保寺歩夢(文1)のスカイプレーだった。最終的につけた点差は19点。32―13で文句なしの快勝だった。

▲リーグ戦同様、強烈なシュートが光った蔦谷。初めてのインカレにも「緊張は全然ない」と頼もしい

 

「過去2年のインカレ初戦負けの経験から、準備と気持ちをしっかりこだわってやってきた」と山川主将。見事に鬼門となっていた1回戦を突破し、不安を払しょくした。次戦の相手は順大。先日の入替戦に勝利し、1部昇格を決めた勢いのある相手だが、「速攻をしっかり守って、自分たちの方が速いということを見せつけたい」(蔦谷)と気合は十分だ。実方監督も「選手はとにかくインカレで勝ちたいという思いでやっている。これで気が抜けるということも無いと思うし、心配していない」と選手たちに全幅の信頼を置いている。

この試合で、1年間掲げてきた『全員ハンドボール』の集大成、そして完成形が垣間見えた。冬の足音が近づく杜の都に、中大旋風が吹き荒れる―。そんな予感がした。

▲後半、相手の7㍍スローをセーブする宮城

 

大会結果◆

〇中大32(20-6、12-7)13同志社大●

 

◆コメント◆

実方監督

「(笑顔を見せながら)快勝だね。本当にいい試合ができた。同志社大学さんも関西リーグ3位で力があるし、過去2年1回戦負けで心配してはいたんだけど、それも関係ないくらいの内容の試合をしてくれた。5-1ディフェンスが上手くはまって、キーパーもよく止めてくれて、13点に抑えたんだもんね。攻めも部井久と藤田が入ってさらに攻めの幅が広がったし、どんどん交代させながらやれればこの先の選手の疲労とかを考えるとアドバンテージになると思う。いい内容で勝てたので、しっかり明日も勝ちます」

山川主将

「最初は堅さがあったけど、過去二年のインカレは1回戦で敗退しているので準備と気持ちの面をこだわってきた結果が出た。インカレ前からチームは盛り上がっていて、応援のメンバーも含めて全員でこの大会に臨めている。明日の順大は入替戦に勝って、今日も勝って、勢いのあるチームなのでその勢いに負けないようにしたい」

藤田

「あまり堅くならずにプレーできた。(合流から日は浅いが)先輩方に言われたことをしっかりやれば大丈夫だと思うし、やるべきことをしっかりすることでどんどん今年のチームにも馴染んでいけると思う。明日も相手の勢いに引くことなく、前進してしっかり当たって負けないようにしたい」

蔦谷

「インカレ初戦だったので、相手に合わせることなく自分たちのやれることをミーティングで話して、それがしっかりできたのが試合の結果につながったと思う。次の順大は速攻が速いのでしっかり守って、自分たちの方が速いところを見せつけたい」

 

◆お知らせ◆

2回戦は9日にグランディ21にて順大との対戦となります。試合開始は14時です

 

記事・写真:「中大スポーツ」新聞部