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【第166号掲載記事】800m 金子魅玖人、日本歴代3位で得た“自信”─ホクレン・ディスタンスチャレンジ2021千歳大会

(写真提供:EKIDEN_News
※「中大スポーツ」第166号3面の本文を掲載しております。

2021年7月17日 千歳市青葉陸上競技場

 ホクレン千歳大会男子800㍍で、金子魅玖人(商2)が3位入り、日本記録に0.1秒まで迫る1分45秒85をマークした。同種目で1分45秒台を記録した日本勢は、7年前に突破した川元奨(スズキアスリートクラブ)、今レースでトップに立った源裕貴(環太平洋大)に続いて3人目。出場を目指す、来年のオレゴン世界陸上の標準記録である1分45秒20突破に向け、視界は明るい。

◇   ◇   ◇

 史上3人目。金子は日本男子800㍍の歴史にその名を刻んだ。「目標は1分46秒台でしたが、何秒が出るのか分からなかったので、ペーサーに引っ張ってもらって自分が出せる全力を出そうと」。結果は目標を上回る1分45秒台。日本記録に肩を並べた源とともに、7年ぶりの大記録を作った。
 金子はこの大会をチャレンジレースに位置付けた。「1周目で前の方たちが速いペースで進めていたので、付いていくか迷いはあった」と振り返るが、積極的に前を追う。序盤から日本記録保持者であり、ともに松井一樹コーチ(中大外部コーチ)に師事する川元にぴったりと付き、残り半周でぐんぐん加速していった。「ラストは全員で上げて、タイムが出たという感じですかね」。最後の直線、追い風も相まって上位3人が拮抗する。フィニッシュラインでわずかに源が抜け、続けて川元、金子の順で決着した。
 競って、競っての1分45秒台。目標以上のタイム達成は、金子がこれまでやってきたことが体現された瞬間でもあった。

 レース後、金子は心境の変化を口にした。「練習であったり日々の生活、食生活や睡眠など、いろいろなことに自信を持てるようになりました」。
 今季前半にけがをし、結果が出せず不安に襲われた。それでも、5月の関東インカレでは主戦場の800㍍で優勝。6月の日本選手権では1分46秒台の自己記録更新で準優勝。徐々についてきた自信を、やっと確信に変えることができた。

 世界も射程圏内だ。金子は直近の目標として、来年開催される世界陸上選手権(米・オレゴン州)の参加標準記録、1分45秒20の突破を挙げる。東京五輪では代表選手を輩出することができなかったこの種目。日本勢と世界との間にはまだまだ厚い壁がある。
 「川元さんも源さんもそうですけど、一緒に頑張る人たちという感じですね。ライバルと考えてしまうと、ストレスとかにもなると思うので」。金子は自身の成長、ひいては日本中距離界の未来のため、一枚岩となり世界に向かっていく。その姿は今大会ラストの競り合いに重なる。新時代のミドルランナーとして─。鮮やかな青写真を描けるか。

(記事:杉浦瑛俊)
(写真提供:EKIDEN_News

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2021年9月21日(火)付で「中大スポーツ」第166号を発行いたしました。詳細はこちら