2021年7月30日
「1年での1部復帰」を最大の目標としてスタートした今シーズン。東京学芸大との開幕節をウノゼロで勝利して幸先の良いスタートを切ると、続く2節と3節でも勝利を重ね、3連勝で一気に首位に躍り出た。しかし、4節以降は5戦未勝利(4試合連続引き分けを含む)と、一転して勝ち切れない展開に。9節、10節を大量4得点で勝利するも、最終節は専大に今季初となる完封負けを喫し、1部自動昇格圏外の3位でリーグ戦を折り返す結果となった。
▼順位表(上位6校)
▼フォーメーション
攻撃けん引の小島、山﨑
前半戦でチームトップの7ゴールを挙げた小島偉央(商4)。自身でも「メンバーに入れるか入れないかという瀬戸際だった」と話すように、開幕当初はメンバーの当落線上に位置するも、結果を残してスタメンに定着。10 節ではハットトリックを達成し、得点ランキングでリーグトップに浮上した。
チャンスメイクでは、山﨑希一(経2)がチーム最多の3アシスト。昨季はルーキーながらリーグ戦全試合に出場したが、「今年は出るだけではなく、数字を残してチームの勝ちに貢献したい」と、昨年を上回るペースでゴールとアシストを記録。得意とするドリブル突破で攻撃の中心を担った。
争い激化の中盤
中盤ではインサイドハーフのポジションを巡って競争が加速。開幕当初は髙岸憲伸(文4)と堀脩大(経4)でスタートするが、6節には堀に変わってスタメン出場した坂本康汰(経2)が今季初ゴールを挙げると、続く7節にはケガから復帰の田邉光平(法2)が、終了間際の途中出場で値千金の同点ゴールを奪うなど存在感を示した。
さらに、田邉はその後3試合で2ゴール1アシストの好調を維持。「結果を残すことが大切になってくるポジションなので、本当にそこは自分の力で勝ち取っていきたいなと思います」と、数字に貪欲な姿勢を見せた。
守備陣
左サイドバックの岡井駿典(法3)がチーム唯一の全試合フル出場。9節・関東学大戦ではCKからヘディングでゴールを奪い、攻守において活躍を見せた。センターバックでは、ケガで出遅れた主将の塩崎悠司(経4)に代わり、新井秀明(経4)が多くの試合で先発出場。対人の強さに加え、自陣からのビルドアップでも能力の高さを示した。
攻撃パターンの確立
今季のポジティブな要素の一つとして挙げられるのが、サイドからのクロスに対して中央で合わせて得点を狙うという、攻撃パターンの確立だ。佐藤監督も「練習から意識して狙っている形」と話しており、前半戦全20ゴールの内、実に13ゴール(65%)がサイドを起点とした攻撃によって生まれている。また、エリア別ではペナルティエリア左が最多の7ゴール。左ウイングの山崎を中心した攻撃が大きな武器となっている。
ビルドアップ
さらに、持ち味の「ビルドアップ」も昨年と比べて安定感を増している。相手の前線からのプレスに対し、ライン間で受けるアンカーと、幅を取ったセンターバックとのパス交換で相手をいなし、安定したボール保持からの前進を目指した。
しかし、こういった安定したボール保持がシュートやゴールといった結果にそれほど結び付いていないという現状もある。
実際ボールをビルドアップの出口まで運ぶことができたとしても、そこからディフェンスラインの裏を取る、縦横のドリブルでギャップを作る、ライン間で前を向いて加速するなど、「崩し」の局面でアクションが不足し、ボールを失ってシュートまでたどり着けない場面も散見された。
1試合当たりのシュート平均本数を比較してみても、昨年が8.45本なのに対し今季は6.91本と1試合当たり約1.5本減少。直近10シーズンでも3番目に低い数値となっている。
「ボールを動かせるが、試合を動かせない」。だが、90分間を通してこの傾向が見られるわけではない。序盤は丁寧なビルドアップで主導権を握って攻撃を展開。時間帯別得点をみても、全得点の約6割に当たる12得点が前半30分までに集中している。
その一方で失点直後や試合終盤は一転、疲労や焦りから前線へのアバウトなロングボールや自陣深くからの強引なドリブルでボールを前進させるケースが急増。横と斜めの揺さぶりを複数回繰り返すことで相手を出し抜くという中大のストロングを生かした攻撃とは逆に、縦へ攻め急ぐ単調な攻撃となっている。
この攻撃によって得点の割合が減少してるだけではなく、ボールを失う位置とタイミングも悪化。試合は必然的にオープンな展開となり、アンカーの両脇や、アンカーとディフェンスラインの間に生まれたスペースで、スピードに乗った相手と危険な位置で1対1を強いられてしまう場面も目立つ。失点自体も、76分から90分の終了間際での失点が最多となっている。
後期リーグ開幕
後期リーグの開幕戦は9位・関東学大との対戦(7月31日、17時30分キックオフ)。前期の対戦では4ー0で大勝しているだけに、勝利して勢い良くスタートしたいところだ。
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記事・写真:「中大スポーツ」新聞部