• Twitter
  • facebook
  • instagram

前回覇者を撃破で3位以上確定! 見せた『全員ハンドボール』の真髄―全日本学生ハンドボール選手権大会3回戦 対大阪体育大

11月10日 宮城・グランディ21

 

「勝てる自信しかありませんでした」(大坂間慶裕・法4)。中大が1年間かけて磨き上げた『全員ハンドボール』は前回覇者の大阪体育大学の高い壁をも打ち破った。「この試合に勝つために1年間戦ってきた」(山川慎太郎主将・経4)と気合十分での臨んだ3回戦。前半は緊迫した展開が繰り広げられたが、後半一気の攻めで相手を突き放し、3年ぶりとなるベスト4進出を果たした。

▲得点に沸き立つ中大ベンチ。アナリストとしてチームを支える大坂間(右から3番目)も雄たけびを上げる

 

前半は相手の連続得点で幕を開けた。インカレを通じて許した初めてのリード。それでも焦ることなく中村翼(法2)と蔦谷大雅(法1)の連続得点ですぐさま同点に追いついた。この流れで一気に攻勢に転じたいところだったが「珍しく速攻でパスミスが出てしまった」と実方監督。逆に速攻で失点するなど、なかなか流れをつかめないままその後は一進一退の攻防が繰り広げられた。

追いつけそうで追いつけない、もどかしい展開が続いたが、前半15分を過ぎると試合が動く。前半17分に挙げた安永翔(法3)の得点を皮切りに、蔦谷が強烈なシュートで続くと同じく1年生の久保寺歩夢(文1)、再び蔦谷のゴールも飛び出して4連続得点で逆転に成功。この試合初めて頭一つ抜け出す形となった。ここで大阪体育大はタイムアウト。しかしタイムアウトが明けると傾きかけた流れが一転し、まさかの5連続失点。終了間際に中村翼の7㍍スローと山川主将の速攻が決まったものの、13-14と1点のリードを許したまま前半を終えた。

▲司令塔として活躍する安永。攻守にわたって重要な役割を担う

 

勝負が決する後半。どちらに転ぶか分からない緊張感の中、後半先手を取ったのは蔦谷のシュートだった。だが相手もお返しとばかりに連続得点を挙げて攻勢を仕掛ける。なかなか抜け出せない流れの中、「今日のMVP」と実方監督が絶賛したキーパー大西が続けざまにファインセーブ。「昨日が昨日だったので、そろそろ自分の中では当たるだろうと思っていた」(大西)と素早い反応と鋭い読みを見せて流れを呼び戻す。

▲相手シュートをブロックする大西暁斗(法4)

 

すると流れに乗った中大は、山川主将が相手ディフェンスに切り込んで前半10分までに3点を稼ぎ出すなど猛攻。さらに相手の7㍍スローのミスに付け込んで後半15分から21分までの間にこの試合2度目の5連続得点をたたき出し、現役日本代表の部井久アダム勇樹(法2)のシュートが炸裂すると会場がドッと沸き上がった。後半23分には相手ディフェンスが危険なプレーで退場。数的優位に立った中大は、ディフェンス・オフェンス共にさらに圧力を強めてゲームを支配した。試合はそのままリードを保って29-25と4点差をつけて勝利。特に後半は秋季リーグから武器とする堅いディフェンスとスピード感あふれる攻めを見せてチームとしての強さを見せた。

▲試合終了後、応援席に向かって勝利の報告をする選手たち

 

グランディ21のAコートで躍動したチームの一体感は、実に濃密な60分間だった。ここまでの3試合においても日々進化を見せて『全員ハンドボール』を体現している中大ハンドボール部。そしてついに準決勝からはセンターコートで試合が行われる。会場の注目を一身に浴び、戦う相手は「今年練習試合を含めても1度も勝てていない」(実方監督)という秋季リーグ王者日体大。リーグ戦では途中までリードしていたものの、終盤に猛追を受けて悔しい逆転負けを喫した。

インカレという大舞台で今年一度も勝利していない相手に勝利すれば、まさにドラマのような展開。試合前からほとばしる激戦の予感。その中で今の中大にはドラマを巻き起こす力が間違いなく宿っているはずだ。東京から仙台に場所を移してのリベンジマッチ。次もただひたすらに勝利に飢えた選手たちは狙った試合は逃さない。華麗なる逆襲で『はやぶさ』のごとく、勝利をつかんでみせる。

▲試合終了後、仲間と抱き合い、ハイタッチをする山川主将の目には涙があった

 

◆大会結果◆

〇中大29(13-14、16-11)25大阪体育大●

 

◆コメント◆

実方監督

「前半は速攻でパスミスが多くて、逆に速攻かけられてなかなかもどかしい展開だった。ハーフタイム明けてからはミスも減っていい流れでできたと思う。今日は大西がノーマークシュートを何本も止めてくれて、本当に大きかった。とにかく勝ちたい一心で選手たちはやっているし、次もやってくれるはず。必ず日体大にリベンジする」

山川主将

「ずっと1回戦負けだったので、ここまでは最低でも来たかった。今日は積極的にいこうと考えていて、自分が点を取れたのも全員で戦うチームだからだと思う。次の日体大は意識している相手で、このインカレの舞台でできる試合を楽しみにしている。最後倒れるくらいまで力を出し切って勝ちたい。リーグ戦の負けた悔しさを絶対に晴らしたい」

大西

「みんな今は優勝を目指しているけど、まずはベスト4で当初の目標を達成できた。とりあえずここまではクリアしないといけないといけないし、ここまでは絶対にできると思っていたので、その通りになってよかったと思う。明日の日体大戦は1点でもいいので勝って決勝に行きたい」

大坂間

「みんな自分の分析のおかげでと言ってくれるけど、それも活かしてくれる選手がいてこそだし、みんなの上手さがあってのもの。インカレは予想外のことが起こるものだけど、今回はいい調子できている。今は不安もないし、負ける気がしない。明日も必ず勝ちます」

安永

「おとといと昨日はめちゃくちゃ緊張したので、4年生とできる残り少ない試合を楽しまなきゃ損だと思って今日は思いっきり楽しみました。大坂間さんの分析もあって、すごく試合の組み立てもしやすかった。明日の日体大は今年一度も勝っていない相手。全力で明日も楽しんでプレーしたい」

 

◆お知らせ◆

次戦の準決勝は11日の15時半から同会場にて日体大との試合となります

 

記事・写真:「中大スポーツ」新聞部