2024年4月10日 明治神宮球場
チーム 123 456 789 =RHE
駒 大 002 000 000 =250
中 大 000 003 01× =460
[駒]東田、中山、山川、仲井ー真鍋蒼
[中]今村、東恩納ー野呂田
[本]なし
◆スタメン◆
1[指]佐藤 豪(経3=藤代)
2[遊]山本 聖(文4=鹿屋中央)
3[二]繁永 晟(商3=大阪桐蔭)
4[左]櫻井 亨佑(商4=習志野)
5[右]皆川 岳飛(経3=前橋育英)
6[三]伊藤 櫂人(文2=大阪桐蔭)
7[一]松嶋 晃希(経3=浦和学院)
8[捕]野呂田 漸(文3=秋田中央)
9[中]橋本 航河(文1=仙台育英)
P 今村 拓哉(文4=関東第一)
黄金ルーキーが圧巻のデビューを飾った。開幕戦に敗れ、勝ち点獲得に向けて負けられない一戦に臨んだ中大。この日も序盤からリードを許す展開となるも、6回に打線が繋がり逆転に成功。中盤以降は駒大打線に得点を許さずそのまま逃げ切り、今季初白星をつかんだ。ロングリリーフを務め、チームに反撃の勢いを持ち込んだ東恩納蒼(商1=沖縄尚学)に嬉しいリーグ戦初勝利をプレゼントした。
中大の先発は今村。昨季までは強力な卒業生の影に隠れ、石田裕太郎(令6卒・現横浜DeNAベイスターズ)からも「どれだけ練習してきたかも知っているし4年生には頑張って欲しい」と期待をかけられていた左腕がリーグ戦初登板初先発のマウンドに上がった。プレッシャーのかかる状況の中、初回をわずか6球で抑えると2回も三者凡退に仕留め、最速も147㌔と上々の滑り出しを見せた。
▲リーグ戦初先発の今村
試合が動いたのは3回表。先頭打者に安打を許し、犠打と四球で2死二、三塁のピンチを招くと2番の平井(駒大)にフルカウントから右中間を破る適時三塁打を浴び、2点を先制される。これ以上の失点は避けたい場面で中大は東恩納に継投。高校時代から注目を浴び、Uー18W杯では大会ベストナインにも選出されたスーパールーキーが早くも大学野球デビューを果たした。厳しい場面での登板も1回戦で決勝打を放った角田(駒大)からスライダーで三振を奪い、追加点を防ぐ。
その後もマウンドに上がった東恩納は精度の高い真っ直ぐ、スライダー、カーブを丁寧に投げ分け、1年生らしからぬ巧みな投球術で駒大打線を翻弄(ほんろう)した。駒大の香田監督は試合後、東恩納について「変化球のコントロールと緩急も使われて球離れも遅く、ピッチングが上手で1年生だけれどもあっぱれ。今日は勢いも良かったし、してやられた」と敵将をも唸らせるまさに快刀乱麻の投球を披露した。それでも、味方の攻撃時にはベンチ前で1球1球大きな動きでチームを盛り上げる姿には1年生らしいフレッシュな一面も感じさせた。
▲7回、際どい判定に「セーフ」のジェスチャーをする東恩納
東恩納の力投に打線も応えた。5回までは昨冬の大学日本代表候補合宿に選出された東田(駒大)の前に得点の糸口が見えない展開だったが、6回に2つの四球から2死一、二塁の好機を生み出すと主将の櫻井がライト前へのタイムリーを放ち、ついに1点を返す。さらに2死二、三塁として打席には5番の皆川。「櫻井さんがタイムリー打ったので、自分が決める」と意気込んだ打席で2球目のボール気味のスライダーを捉えた当たりは二塁手の頭上を越える適時二塁打となり、塁上で大きくガッツポーズを見せた。皆川は「3打席目もスライダーで入ってくるだろうと思って、打った瞬間抜けたと思った。本当に死にものぐるいというか、負けられない戦いだったので」と振り返った。熱い気迫と冷静な分析が生んだ値千金の一打。4、5番の連続タイムリーで中大が鮮やかに逆転した。 ▲6回に逆転タイムリーを放ち、ベンチの声に応える皆川
待望の援護点を受けた東恩納はその後も続投。逆転した直後の7回、一段階ギアを上げるかのように2つの三振を含む三者凡退に抑えると、8回の2死二塁のピンチでも切れ味抜群のスライダーで三振を奪い、同点を許さない。中大打線はその裏、好調が続く繁永の二塁打からチャンスを演出すると、2死満塁から松嶋に三遊間を破るタイムリーが飛び出し、貴重な追加点を獲得。2点差で最終回の守りに突入する。
最終回のマウンドに上がったのも東恩納。先頭打者に安打を許し、この日初の四球も絡み2死一、二塁と最大の山場を迎える。一打同点、逆転の場面でも「最後は三振で取りたいなという気持ちが大きかったので、自分の思い描いたイメージで投げられた」とウイニングショットのスライダーがここでもさえ渡り、空振り三振でゲームセット。雄叫びとともに力強くガッツポーズを見せ、手応えをかみしめた。6回1/3を7奪三振無失点の好リリーフで中大の今季初勝利、さらには自身の大学野球「1勝」をつかんだ。清水監督は「最後の場面でも勝負度胸、苦しくなればなるほどスイッチが入る子だなと改めて今日思いました。9回は替えるつもりは無かった」と高い評価を明かした。
東恩納は自身の投球を振り返り、「大学野球の独特な応援を味方にもつけて、要所要所でしっかりと抑えられて、変化球を決め切れたところが良かった」と振り返りつつ、「まだまだ1試合目なので、リーグ戦通して全部抑えられるように。まずはチームを勝たせてあげられるピッチングをしていきたい」と今後を見据えた。昨年甲子園を沸かせたスターのリーグ戦デビュー。大学野球の聖地・神宮球場に「東恩納蒼」の名前を轟かせるには十分過ぎるほどの、圧巻の78球だった。▲リーグ戦初登板初勝利をつかんだ東恩納
これで今カードの成績を1勝1敗のタイに戻した中大。清水監督が「去年とは少し違うので、うちは継投という形になってくると思う」と語るように、今季は開幕2戦目にして既に6人の投手が登板しており、打線も2試合連続スタメンのルーキー橋本が絶妙なドラッグバントで大学初安打を記録するなど、投打ともに新しいスタイルを見出しつつある。勝ち点を獲得し、上昇気流に乗っていけるか。明日の3回戦は今季の戦いを占う一戦となる。
◆試合結果◆
○中大 4ー2駒大●
◆お知らせ◆
次戦は4月12日(金曜日)に明治神宮球場で行われる対駒大3回戦です。
(記事:志水恒太 写真:中島遥、齊藤さくら)
公式X(@chudaisports)
Instagram(@chuspo_report)